【祝・追放100回記念】 自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~竜のぬいぐるみ~   作:高見南純平

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第4話

 以下が現在ララクのスキル画面である。

 

 名前  ララク・ストリーン

 種族  人間

 レベル 52

 

 アクションスキル 一覧

【ヒーリング(Ⅰ)】【エアスラッシュ(Ⅶ)】【フィジカルアップ(Ⅸ)】【スピードアップ(Ⅶ)】【スラッシュムーブ(Ⅱ)】【クイックカウンター(Ⅱ)】【挑発(Ⅴ)】【ディフェンスアップ(Ⅶ)】【カウンターブレイク(Ⅳ)】【ギガクエイク(Ⅳ)】【シールドアタック(Ⅳ)】【ウェイトアップ(Ⅳ)】【サーチング(Ⅵ)】【ウィンドブレイク(Ⅴ)】【スピントルネード(Ⅳ)】【空中浮遊(Ⅳ)】【嗅覚強化(Ⅱ)】【ウィンドカッター(Ⅵ)】【ウィンドスラッシュ(Ⅸ)】……NEXT

 

 パッシブスキル 一覧

【追放エナジー】【剣適性(Ⅹ)】【盾適性(Ⅸ)】【魔力上昇(Ⅹ)】【身体能力上昇(Ⅹ)】【防御力上昇(Ⅹ)】【俊敏性上昇(Ⅹ)】【体力上昇(Ⅶ)】……NEXT

 

 

 アクションスキルは発動型のスキルで、パッシブスキルは常時発動型。

 このほかにも、先ほどの【アイシクルタッチ】のようなスキルが数多く、彼の中に眠っている。

 

 その数は、彼がこれまで加入していたパーティーメンバーに比例する。

 

「ふぅ、これでも綿などに損傷があるかもしれませんけど。でも、このスキルは凍結に力を入れていますから、攻撃スキル特有のダメージ自体は少ないと、思います」

 

 ララクが考えていた作戦は、氷系統のスキルによる比較的安全な動きの停止だ。そしてそれは、見事に実現した。

 

「氷か。あれ? これでもう終わり?」

 

 氷河に迷い込んでしまったかのように氷漬けになっているドラゴンの姿を見て、あっけなく決着してしまったことをゼマは悟った。

 

「あとは、大人しく精霊さんが出てきてくれればいいんですけど……」

 

 ララクはドラゴンの目を見つめた。まだ精霊自体の姿は確認できていない。が、十中八九それの仕業だとは考えていた。

 声が届くかは分からないが、ぬいぐるみから出るように促そうと、ララクは声をかけた。

 

「あの、精霊さーん……」

 

 ララクとゼマが覗いて目を向けると、ぬいぐるみの口の奥で鈍い赤い光が脈打つように輝き始める。瞬間、裂けるような音とともに、氷に閉じ込められた口から眩しい炎が勢いよく吹き出した。

 

「危ない!」とゼマが叫ぶが、警告の声は炎の轟音にかき消される。

 

 ララクとゼマは反射的に飛びのくが、炎の熱気が二人の頬をかすめ、焼けるような感覚に襲われる。ぬいぐるみの口から放たれる炎は広場の上を駆け抜け、乾いた草を焦がし、床に煤を残す。

 

 その炎の熱は一瞬で周囲の温度を上げ、ぬいぐるみをかぶっていた氷の層をゆっくりと溶かした。布の表面が再び外に出てくる。凍結の残りは消えて、ぬいぐるみは新たに息を吹き込まれたかのように、軽快に動きだした。

 

「ちょいちょい、火ー吹いたんですけど! これじゃ、ほんとにドラゴンじゃん」

 

 ゼマは(会ったことないけど)と、心の中で付け加える。彼女がイメージするドラゴンは、口から炎やら氷の息吹を放っていた。

 

「……精霊とは、色々と規格外ですね」

 

 炎を吐くスキルでメジャーなのは【フレイムブレス】。主にモンスターが習得するスキルだ。人種は獣の血が入った獣人がたまに獲得することがある。

 ここまではララクの知識にあったが、魔力の集合体といわれている精霊が息吹のスキルを持っているのは予想できなかった。

 

 ドラゴン型のぬいぐるみ(精霊憑依)に惑わされるララクとゼマ。

 ララクの【アイシクルタッチ】で凍り付いていた体は、すでに半分以上は解凍されてしまっている。ララクのスキルは、レベルアップと多種多様なパッシブスキルで常人よりも遥かに強化されているのだが、炎という弱点により、比較的簡単に溶かされてしまっていた。

 

「グオオオオオオォオオ」

 

 怒りを表すドラゴンは、凍り付いた体をほぐすように激しく動き始める。翼を再び大きく広げると、ゼマの方へと猛襲していく。

 

 ドラゴンの火吹きを避けるために、ゼマとララクの距離は少し離れていた。ドラゴンがゼマを狙ったのは、ララクの【アイシクルタッチ】を警戒したからだ。

 倒しやすそうな方から狙う、という戦闘の定石を踏んだのだ。

 

「ゼマさん! 回避して、敵の注意を引いてください!」

 

「ん? なんかやる気だね。おっけー、私の華麗なる逃避行、見せてやるよ」

 

 ドラゴン型ぬいぐるみが、ゼマに向かって猛然と空中突進してくる。その動きはもはや布と綿でできた玩具とは思えない力強さを備えていた。ゼマは目を見開きながらも素早く反応する。手にしていた長い棒をしっかりと握りしめ、一瞬の判断で跳び上がる準備を整える。

 

「そう簡単に、私の体に触れられると思うなよ~」

 

 ゼマは棒を地面に突き立てる。瞬時に体を引き上げると、空中で大きな弧を描くように跳躍。彼の動きは見事な棒高跳びそのもので、突進してきたドラゴンの頭上を優雅に跳び越える。その背中に触れるほどの近さに、ぬいぐるみのボタン目が一瞬こちらを向いたが、ゼマの速度に追いつくことはできなかった。

 

「ガグルゥウウウウ」

 

 翼もないのに空を跳ぶゼマを見て、ドラゴンは分かりやすく機嫌を悪くした。

 いっそう、翼を稼働させ、ゼマを捉えようと再び動きだそうとした。

 

 だが、それは叶わなかった。

 

「が、ガルゥゥ!?」

 

 甲高く少し間抜けな声を上げるドラゴン。ぬいぐるみの体が、びくとも動かなくなった。体には氷の霜がついたままだが、凍り付いているわけではない。

 

 そのはずなのだが、翼をはためかすこともできないでいた。にもかかわらず、低い位置で空中に浮いているのだから、本人は不思議でしょうがなかった。

 

「……ボクの事、一瞬だけ忘れたよな」

 

 ララクは、ゼマを追うことにやっけになって、自分をフリーにしてしまったドラゴンに向かってスキルを発動していた。

 

「が、ガルゥ……!!」

 

 ドラゴンが焦って声を荒げようとする、その口が強制的に閉じられて開くことができなくなった。そのぬいぐるみの体には、極薄の糸が無数に張り巡らされており、ドラゴンの自由を奪っていたのだ。

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