【祝・追放100回記念】 自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~竜のぬいぐるみ~   作:高見南純平

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第4話

 ボスロバウトは誇らしげに「フフフィ──ンッ!」といななきを響かせたあと、その場で大きな足を地面に何度も踏み鳴らし始めた。

 

ドン、ドン、ドドン! 

 

 そのリズムは力強く、一種の挑発にも似た音を周囲に響かせる。それと同時に、彼の動きが徐々に大きくなり、まるでダンスの一部のようなステップでララクに向かって近づいてきた。

 

 突然、踏み鳴らした足から勢いをつけるように、ボスロバウトがララクへと突進する。重い足音がジャングルに響き渡り、地面にわずかな震動を感じさせるほどだ。

 

 ララクは冷静にその動きを見極めながら、リズムに合わせて軽やかにジンガのステップで後方に回避。ボスロバウトの動きの隙を探しつつ、その豪快な攻撃に対応する準備を整えた。

 

「……っく、普通に戦うより何倍も難しいな」

 

 ララクは焦り笑いを浮かべながら、相手のテンポを先読みして、次の一手を狙っていた。

 

 ボスロバウトの突進が迫る中、ララクはわずかに体を傾け、ジンガのステップを一段深く刻んだ。彼の動きはあくまで軽やかで、相手のリズムに溶け込むようだった。

 

「こっちもリズムに乗らせてもらうよ」

 

 突進のタイミングを計りながら、ララクは腰を落として体重を低く保ち、瞬時に反撃の体勢に入る。そして、カポエラのスキルを発動。

 

「【マルテロ】!」

 

 その瞬間、ララクの右足が鋭い弧を描いて空を切り裂くように振り上げられた。その回し蹴りは、正確なタイミングでボスロバウトの横腹に直撃。衝撃で巨体がバランスを崩し、数歩後ろに下がる。

 

 ボスロバウトは驚きの声を漏らしたが、ララクは攻撃を止めなかった。さらに流れるように連続技を繰り出す。

 

「【アウー・バチドゥ】!」

 

 そのまま上体を倒し、両手をついた低い姿勢から後方へ高く蹴り上げる。ララクの回転する動きに対応しきれず、ボスロバウトは足を滑らせるようにして地面に転倒した。

 

「……ふぅ、これぐらいじゃ、認めてくれないか?」

 

 ララクは余裕を見せるように軽くジンガを続けながら、ボスロバウトに微笑みかけた。

 彼の目的は、ダンスバトルで自分をアピールし、強さを証明する事。そして勝利することで、ロバウトたちをここから退ける事。

 音楽と踊りにプライドを持つモンスターならば、一度負ければもう二度と現れることはない。っと、っララクは考えていた。

 

 それは仲間のゼマにも伝わってはいたのだが、彼女が想像している田高とは少し違かった。

 

「ちょ、ちょっとララク! バチバチに攻撃してるしされてんじゃん!」

 

「っえ? あー、すみません。ダンスバトルといっても、ダンスをしながら戦うってことでして……」

 

 ややこしいが、ゼマの思っていたダンスバトルは、それぞれが向かい合い踊りを披露し、その芸術性などを競い合う勝負だった。

 しかし、ボスとララクの戦いは音楽に合わせた紛れもない戦闘だった。

 

「なんじゃそりゃ。……でも、それだったら私も参加できそうかも」

 

 ゼマはやる気に満ちていく。アイアンロッドをぎゅっと握りしめ、戦いの、いや舞闘の場へと足を踏み入れた。

 

 すると、ボスロバウトの背後から何体かの子分ロバウトたちが現れた。小柄だが俊敏そうな彼らは、揃った動きで地面を足で踏み鳴らし始める。

 

 ドン、ダン、ダンダン!

 

 それまでのリズムとは異なる、速くてアップテンポな音が場を支配し始めた。他の子分ロバウトたちは即興で太鼓を叩き、木の枝を楽器代わりに叩き合わせる。ジャングル全体がその勢いに呼応するように揺れ動き、雰囲気が一気に熱を帯びていく。

 

「フヒィイイイイイイ!」

 

 転倒していたボスロバウトが立ち上がると、これからが本番だと、腹から声を出す。会場のボルテージは最高潮だった。

 おそらく近くの里にも、この爆音は聞こえていることだろう。

 

「なんだか盛り上がってきた!」

 

 ゼマは気持ちを高ぶらせながら、その場で軽くリズムに合わせてステップを踏む。モンスターが奏でる音楽だが、その演奏自体はまとまりがあり力づく、人の心を揺らす音だった。

 

「ゼマさん、あくまでダンスです。リズミに合わせて、敵を叩いてください!」

 

 ララクは体を小刻みに動かしながら、仲間に指示をする。

 

「おっけ~、太鼓に合わせるよ」

 

 音楽はさらに激しさを増し、ロバウトたちは各々の動きでリズムを楽しみながらも、戦闘の火種を絶やさない構えを見せていく。

 

 こうしてダンスバトル・団体戦が始まるのだった

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