先生達の活躍によりアリウス分校生徒は解放され色彩からの侵略も何とか退けたことによってつかの間の平和が訪れたキヴォトス。
そんなキヴォトスでアリウス分校生徒は一人、また一人とスマホを持ち始めたが、情報や娯楽が制限されていた彼女たちにとってインターネットの情報はあまりにも魅惑的で、難解で、そして危険すぎた。





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アリスクへの解像度が低すぎます!

体調不良の時に小説を書くとロクなものが出来ない事が学べました。


マ  コ  モ   湯

 

 

「うーん…?どうやって使うんでしょうか…」

 

ヒヨリはトリニティから支給されたスマホを興味深そうに見つめながら使い方を模索していた。

渡された時の説明書にメールや写真の撮り方など、一通りの使い方は書かれていたが初めて使うため戸惑いながら操作をする。

 

「これをこうして…あ!出来ました!」

 

四苦八苦しながらも何とか開いたのは、キヴォトスで最も利用者の多いSNSサイト『モモッター』であった。

 

「これであの雑誌の新刊情報をいつでも把握できるはずです…!」

 

慣れない手つきで出版社の名前を打ち込みフォローボタンを押す。

 

……なお、フォローしたのは大元の出版社アカウントであるため特定の新刊以外の情報も大量に流れてくることになるのだが、まだまだ情報弱者のヒヨリには知る由もなかった。

 

ひと仕事終えたかのような顔でホームボタンを押し、タイムラインを開いてみると『いいね』と『リツイート』数がほとんど同じ呟きを見つけた。

 

「いいねとリツイート数が同等か、リツイート数の方がいいねより多いと何かが起きていたんでしたよね…?」

 

この何かというのはインターネット上でのいわゆる『炎上』のことを指していたのだが…

 

「うーん、ここまで両方の数が多いのなら大人気に違いないはずです。それに、背景的にはお風呂に関する動画のはずなので変なものの可能性は低いはずですよね…?」

 

炎上という概念も言葉も知らないヒヨリはこれを良い意味と捉えて見ることにしてしまった。

 

[うちのお風呂、1年半お湯替えてません!]

[マコモ湯って知ってますか?]

[発酵したマコモが雑菌を抑えてくれるからお湯を変えなくて良いんです!]

 

はつらつとした声から発せられたとは思えないような発言内容にヒヨリは口が塞がらず、つま先から頭までが凍ったかのように一切動くこと無く動画を見入る。

 

[逆に、替えない方がお湯の質が良くなっていくからアトピーや肌荒れにも良いと言われていて、デトックス効果も抜群なんです!]

[経済的だしエコだし、何より体に優しいマコモ湯!]

 

みんなも試してみてねー!という言葉で動画は締められ、自分の顔が写ってしまうような黒い画面に暗転する。

そこに写ったヒヨリの反応はというと…

 

「こんな…………こんなものがあるだなんて…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな画期的なもの、早くみんなに教えてあげたいです!!

 

 

瞳には星が光り輝いているかのようにハイライトを宿し、まるで初めて火を発明したかのように喜びを露わにする。

 

 

 

忙しいサオリにはモモトークで伝え、たまたま同じ部屋に集まっているらしいアツコとミサキの元へ大急ぎで向かう。

 

 

「姫ちゃん、ミサキちゃん、マコモ湯というのを一一一一」

 

バンッ!と大きな音を立てて扉を開き、息遣いを荒くしながらもマコモ湯について一通り説明したのだが……

 

「……」

「……」

 

アツコとミサキは一瞬互いに目を合わせてから気まずそうな、呆れたような表情をする。

 

「…それ、多分嘘だと思うけど。」

 

はぁ…と一息ついてから嘘だと指摘をするミサキ。

 

「……え??

 

2人は今までの人生で1番大きな『え?』を聞き、反射的に耳を塞いでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だからあんまりネットの情報は信じない方が良いと思う。」

 

アツコは親が子供に教育するかのように『モモッター』だけでなく他のSNSにおけるデマや詐欺についての説明をした。

 

「そんな…まるで成金が如くネタに金粉をかけるお寿司屋さんも、接客態度が悪いという演出をしていたレストランも嘘なんですか…?」

 

「それは…両方とも嘘ついてないと思うけど…」

 

それどこから情報を集めてるの?と言いたげなミサキ。

 

「とにかく、こういう情報は鵜呑みにしちゃダメ。周りに教えるのもちゃんと事実確認をしてからにしてね。」

 

「はい…」

 

 

 

アツコがヒヨリに注意をしてから話題は変わり、スマホの操作方法を教えてもらったり近況を話し合っていたりしていたのだが、ふと窓から外を覗くと日は沈み夜が訪れようとしていた。

 

「もう今日は遅いので自分の部屋に戻りますね…おやすみなさい。」

 

最近早寝早起きを目標としているヒヨリは、一足先に自分の部屋に戻り寝る準備を始めることにした。

 

「おやすみなさい」と2人の声が聞こえてから部屋を出てから自分の部屋に戻り、お風呂に入ることする。

 

もちろん、2人に本気でやろうと伝えたら不快 嫌悪 拒絶で返されたマコモ湯では無く数十分前に貯めたばかりのお湯だ。

 

 

「やっぱり、暖かい普通のお風呂が一番ですかね〜〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マコモ湯、か…ヒヨリ曰くかなりメリットは大きそうだな。今夜から試してみるとしよう。」

 

 

 







マコモ湯をアップロードした生徒……アップロード直後、何者かによる爆破により1年半熟成されたマコモ湯と共に姿を消した。犯人は分かっていないが爆薬にゲヘナ製の物が使われていたらしい。

サオリ…翌日アツコから今すぐお湯を抜いてこれからは普通のお風呂に入るように言われた。

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