スライヌの群れを倒した帰り道、俺は前を歩くアイエフに声をかけた。
「なぁアイエフ」
「なによ・・・っていうかさっき言いそびれちゃったけど、あんた危ないでしょ!?いくらスライヌがそんなに強くはないとはいえあんなふうに飛び出してきたら!?」
「す・・・すまん、あの時はとっさのことで無我夢中って感じになっちゃってて」
声をかけたら怒られてしまった、まぁ確かにあの時はモンスターが目の前にいたわけだから危ないに決まっている、けどネプギアの様子をみたら体が勝手に動いてしまったのだ。
とはいえ、迷惑をかけてしまったのは紛れもない事実なので素直に謝っておく。
「はぁ・・まぁいいわ、それでなんなの?」
「ああ、ネプギアって今まではなんだ・・・女神化?っていえばいいのか?には慣れてたんだよな?」
「ええ、別にいつも当たり前のようにしてたわよ、多分だけど捕まっていた時の恐怖が体にしみついちゃってるのもしれないわね。まぁとにかく様子を見てみないことにはね・・・・」
俺の質問にアイエフは少し真剣な表情で答える、聞けばネプギアは三年もの間犯罪組織に捕まったいたのだという。それはトラウマができて当然のことといえるだろう。三年間囚われの生活なんて常人ではとても耐えられない、間違いなく精神の方の方が壊れてしまうだろう。
俺は俺とアイエフの後ろを歩いているネプギアとコンパのほうを顔だけ向ける、そこにはさっきの暗い表情をしていたネプギアではなく、コンパと楽しそうに談笑しているネプギアがいた。
どうやらコンパがネプギアの気持ちを落ち着けてくれたらしい、あれならとりあえずは大丈夫そうだ。俺は一安心すると前を向きなおして四人でネプギアたちが普段すんでいる場所・・・プレネテューヌを目指した。
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「・・・・で、報告をしておしまい。どう?クエストのやり方は覚えた?」
「はい。ギルドで依頼を受けて、それをこなして、最後にまたギルドで報告すればいいんですね」
どうやらネプギアもギルドのことは詳しく知らず、もともとはレクチャーを受けるという意味も含めての仕事だったらしくアイエフから説明を受けていた。そしてしばらくしてから、俺の元にきて俺の身の振りの話になった。
「さて、どうしようかしらね・・・・」
「とりあえず、いーすんさんにも相談したほうが良いんじゃないでしょうか?」
「ギアちゃんの言うとおりです、ひとまず教会にいくです!」
ん?・・・・・三人の会議の中でまた俺の知らない人物?っぽい名前と場所がでてきた。
「なぁみんな・・・教会ってのは?あといーすんさん?ってのは人か?」
「ああ、教会っていうのは・・・まぁ言ってみれば女神様が住んでいる建物ってところかしらね?で、この教会には女神様をサポートする役割を担ってる教祖様ってのがいるんだけどいーすんさんっていうのはその教祖様のこと、これはあだ名で本名はイストワール様よ」
「なるほど・・・」
アイエフの説明で納得がいった、用は女神様の補佐官の教祖様のところまでいって話を聞いてみようということか。
「それじゃあ、いきましょう!?」
ネプギアの号令とともに俺たちは教祖様のいる教会へと向かった。
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教会に入るとそこは俺の元いた世界の教会ってイメージとはちょっと違う雰囲気の建物だった、まぁ教会の入り口から見た建物は全然教会とイメージが結びつかない近未来って感じな建物だったが、というかこの街自体が俺のいた世界に比べて明らかに科学が進んでいるように見えた。
「いーすんさん、ただいまー」
ネプギアの声とともに教会の奥からでてきたのは・・・・
「お帰りなさいみなさん・・・・あら?そちらの方は?・・・」
本の上に座っている、見た目だけなら人間だがサイズが明らかに小さい・・・・言ってみれば妖精みたいな人?がやってきた。
「あ、早速紹介しますねこちらは天草海斗さんといって実はバーチャフォレストで出会って事情があって一緒にきてもらったんです。海斗さん、こちらがプラネテューヌの教祖のイストワールさんです」
なんと、こんなちみっこr・・・・げふんげふん、そんなことを思ったら失礼か。
「そうでしたか、初めまして海斗さん。私がこの国の教祖イストワールと申します」
俺が失礼なことを考えているとイストワールさんが姿勢を整えて丁寧な挨拶をしてきてくれた。
「あっと・・・天草海斗です、よろしくお願いします・・・」
「それで、ネプギアさん・・事情というのは?」
「あ、はい・・・それはですね・・・・」
~~~~~ネプギア事情説明中~~~~~~~
「なるほど、では海斗さんは気がついたらこのゲイムギョウ界にきてしまっていたと」
「ええ、俺としてもなにがどうしてここにきたのかさっぱりわからなくて・・・」
ネプギアからおおよその事情を聞いたイストワールさんは俺の存在に納得したようだった。
「それで、どうでしょうかイストワール様?私としては帰る方法がわかるまでは教会で預かってもらうのが一番良いんじゃないかと思って連れてきたのですが」
「そうですね、わかりました。海斗さんの身柄は私が確かにお預かりしますね。海斗さんもそれでよろしいですか?」
「え、ええ俺はそれで全然・・・というか俺元の世界に帰れるんすか?」
「それはまだ調べてみないことにはなんとも・・・でもきっとその方法も見つかると思いますよ」
俺の質問にイストワール様は優しい笑みを見せて答えてくれる。そっか・・・帰ることもできるかもしれないんだ・・・・と俺が思っていると
「ただ、大変申し上げにくいのですが・・・・今このゲイムギョウ界は未曾有の危機にあるといって良い状態です、ですので海斗さんの帰還の方法を調べるのにかなり時間がかかってしまうかもしれません・・・・・」
イストワールさんが本当に申し訳なさそうに俺にそう伝えてくる。
「いやいや、全然気にしなくても良いっすよ、ネプギアたちから事情は聞いてますし、俺のことなんて全然後回しにしてもらって構わないっすよ」
「そうですか、そういってもらえると助かります。それでは海斗さんは帰る方法が見つかるまでは私たち教会の方でしっかりと保護させていただくので、せっかくですからこのゲイムギョウ界の世界を楽しんでいってください」
イストワールさんがそう笑顔で言ってくれる、けど・・・その前に俺は自分の意見を言ってみることにした。
「なぁアイエフ」
「ん?どうしたのよ海斗」
「さっきまで三人が受けてたクエストってのは誰でも受けることができるのか?」
「ええ、まぁ基本的にはね」
「そっか・・・・それならアイエフ・・・・お前に頼みがあるんだが・・・・」
「?なによ?」
「頼む!?この世界にいる間、俺を鍛えてくれないか!?」
「「「「ええっ!!?」」」」
俺の頼みにアイエフ含めたその場にいた全員が驚きの声を上げた。そりゃそうだよな、ついさっきまでこの世界の住人ですらなかった一般人がこんなこと言い出すんだから何言ってんだってなるよな。
「このままただ教会でお世話になるだけってのは申し訳ないし、自分の食い扶持くらい自分でなんとかしたい、それに・・今は国の一大事なんだろう?さっき聞いた話だとギルドでのクエストをこなしていけば国民の不安や不満も解消されてシェアとかいうのの増加にもつながる。すぐには無理でもいずれみんなの力になれるかもしれないだろ?」
俺の言い分にアイエフが少し考え込む、けどすぐに考えていて下げていた頭を上げて
「わかったわ、あんたは私が責任もって面倒みてあげるわ」
「「ええっ!?」」
「あ・・・アイエフさん!本気ですか?!」
イストワールさんとコンパが驚きの声を上げてネプギアが質問する
「ええ、海斗のいってることはちゃんと筋が通ってるしなにより、本人がやる気になってるんだからそうさせてあげるのが一番良いんじゃないかしら?」
「ありがとう、アイエフ」
「いいわよこれくらい、その代わり厳しくビシバシいかせてもらうわよ」
俺の感謝の言葉に答えるアイエフの顔は中々に悪そうな顔でした・・・・・大丈夫だよな俺?
「あの、海斗さん本当によろしいのですか?無理をしなくても教会で預かる分には全然構いませんが・・・」
イストワールさんが俺に確認してくる
「ええ、俺みたいな異世界からきた正体不明の人間を雇ってくれるところなんてあるとは思えないしそれに、俺を助けてくれた三人に自分のできる範囲でやれることをやっていきたいんですよ。だからどうか見逃してもらえないですかね」
俺の言葉にイストワールさんもまた少し考えて、しかしすぐに答えはでたようで
「わかりました、確かに国のシェアを上げるのに最も効率が良いのはクエストをこなすことですがギルドに行く人は万年人手不足ですので海斗さんのような方がいてくれるのはこちらとしてもとても助かります。ではアイエフさん、海斗さんのことよろしくお願いしますね。それと海斗さんの住居ですがそこは予定通り教会の方ということでお願いします」
「「はいっ」」
イストワールさんの言葉に俺とアイエフは声を重ねて返事をした。
最初この異世界に迷いこんだときは俺はどうなっちまうんだと思ったがトントン拍子に住むところと働き口(といっていいのか?)、そして・・・・優しい人たちに出会うことができた。この先はまだまだどうなっていくのかわからないけど俺はこの世界でまずはがんばって生きていこうと思った。