降って湧いた黒いミノタウロスに避難区画はたちどころに大混乱となる。その圧倒的強者の風格を漂わせる暴虐の権化を前に、本来であれば一般人の避難誘導をしなければならないギルド職員どころか常日頃からダンジョンに潜ってモンスター相手に切った張ったを行っている冒険者でさえも蜘蛛の子を散らしたように逃げ惑っている。
そんな阿鼻叫喚の様子を窓の外から見つめてヘイズであったが、ふと斜め下あたりにあった人の気配がないことに気づく。
「あの子……!」
舌の根も乾かないうちからの独断専行。そろそろ本格的に懲らしめてやろうか、具体的には動けなくしてから抱き枕の刑にでも処してやろうかと私情と自身の精神回復を目論んだお仕置きを計画しながらヘイズは廃墟を飛び出したものの、アクスが廃墟の前でヘディンと何やら話していたことで安堵の息を漏らした。
「ヘイズ、何してたんだ」
「うちの末っ子から目を離すな」
「あいつは気を抜いたらすぐどこかへ行くんだから気を抜くな」
「もはやスキルだろ、あれ」
監視役が監視の仕事を放棄したことに小言を言うアルフリッグたち。一応故意ではないことを話すと理解はしてくれたものの、なぜヘディンとアクスが話しているかが気になった彼女はアルフリッグたちに質問をする。
「ところで、なぜヘディン様とお話を?」
「廃墟から出てすぐにインテリ眼鏡を呼んだんだ。クエストの条件が変わったとかでな」
「俺たちが誘導したわけだが、避難区画にミノタウロスだからな。【ディアンケヒト・ファミリア】としては見過ごせないんだろ」
避難区画はまるで蜂の巣を突いたような騒ぎが続いている。この騒ぎを落ち着かせるには複数の力のあるファミリア。もしくはオラリオ内でかなり信用されているファミリアが率先して動かなければならないだろう。
しかし、特に力を持っているファミリア──【ロキ・ファミリア】は手一杯だし、【フレイヤ・ファミリア】はあの黒いミノタウロスが【ロキ・ファミリア】に狩られるのを防ぐためにここで待機している。オラリオから信用されているファミリアである【ガネーシャ・ファミリア】は現地に居るが、それでも力不足感は否めない。
ならば、大規模な医療系ファミリアである【ディアンケヒト・ファミリア】も加わるのは何らおかしいことではない。ただ、それではあのブラックライノスの強化種であろうモンスターをベル1人に押し付けるというフレイヤの神意を尊重したヘディンの計画が狂ってしまう可能性も出て来る。荒れ狂う猛牛の膂力に吹き飛ばされている兎から視線を外したヘディンは、睨みつけながら改めて考えを聞くためにアクスへと問いかけた。
「アクス・フローレンス。貴様の性格的にあれが市民や他の冒険者を巻き込んだ場合、考えなしに突っ込むだろう?」
「はい!」
はいではないが?──と元気一杯に答えるちびっ子にヘディンは額に青筋を立てたが、高い建物に昇らせたヘグニからの手信号に時間がないことを悟ると
まずはガーゴイルがいつの間にか居なくなっているため、『ベルとガーゴイルが戦っている間』という条件は削除。その代わり、『ベルとミノタウロスの戦闘の邪魔を極力しないこと』が追加された。
この極力というのは、戦闘中に他の冒険者や一般人が巻き込まれかけた時は攻撃を逸らすなどが挙げられる。そのため、ヘディンはヘイズと
「分かりました」
「ヘイズ、この愚パルゥムがおかしなことをしたら折檻しろ。方法は任せる」
「承知しました」
相変わらず分かっているのか分かっていないのか分からない元気の良い返事だが、そんな曖昧な返事では超合理主義者であるヘディンは誤魔化されない。ヘイズに折檻の許可を出すと、彼女はニコニコしながら後ろからアクスを抱き上げた。
その姿はまるで獲物を捕まえた捕食者の図。同種族のガリバー兄弟は『YESショタ! NOタッチ!』と叫び、ヘディンからは『ファミリアの汚点になるようなことは慎め、豚』と相変わらずの暴言を言い放つと、ヘイズは深いため息をついた。
「たまに出没する痴女じゃあるまいし、そんなことするわけないじゃないですか」
「まぁ、良い。そろそろ【ロキ・ファミリア】の幹部が動く。あの猪が
ヘディンが号令を出すと、全員の表情が一瞬にして泣く子も黙る【フレイヤ・ファミリア】の表情へと変わる。それぞれ受け持つ予定の【ロキ・ファミリア】幹部が居る場所へ移動していくヘディンたちを見送ったアクスはヘイズに避難区画に行くことを伝えると、未だ混乱の中にある避難区画へ入り込んだ。
「おい、モンスターはどうなったんだ!?」
「押すな! クソ野郎!」
「誰か! 坊やを見てないかい!?」
四方八方から聞こえてくる声にアクスは一瞬だけだが
しかし、そこに追いついてきたヘイズがいきなり手を握ってくる。手から伝わる温かい体温に彼女の方を向けば、いつもクエストで顔を合わせた時のような朗らかな笑みを浮かべていた。
『大丈夫』。そんな言葉が聞こえた気がしたアクスは、手を強く握り返しながらひとまずギルド職員か【ガネーシャ・ファミリア】を探すために民衆の中を突っ切っていく。
すると、【タケミカヅチ・ファミリア】の桜花たちがエイナを介抱している姿が目に飛び込んでくる。ぐったりしてはいるものの、意識はある。周囲に目を向ければ【ガネーシャ・ファミリア】の団員もちらほら居るため、ここに『治療院』を設営するのが最適だとアクスは判断する。
「師匠、手伝って」
「バカ弟子、私はあくまで監視と補佐よ。"言い方"」
【フレイヤ・ファミリア】よりも【ディアンケヒト・ファミリア】が主体になった方が上手く事が運ぶ。そう判断したからこそ、ヘディンはヘイズをアクスの
自ら所属しているファミリアの悪名を正しく理解し、それすらも利用する非常に合理的な判断ではある。あるのだが、人を顎で使って酷使させる態度にヘイズは『相変わらずですねぇ』と乾いた笑いしか出てこなかった。
それでも、弟子が一体どのような指示を出すのか。内心期待しながら待っていると、周囲を見渡したアクスはようやくヘイズに指示を出す。
「……師匠、治癒魔法準備。後、ダイダロス通りに集まってるファミリアの皆を呼ぶから、
「はーい、先生」
今、この場で必要な治癒魔法は
圧倒的ーーそれも
この選択をするのに今までの記憶を総動員させたのだろう。魔法の特性を正しく理解して運用することが出来たことに少々声を弾ませつつ、ヘイズは魔法の準備をあっという間に行った。
──ゼオ・グルヴェイグ。
治癒の光が瞬いた途端、傷だらけの冒険者や打撲跡が痛々しい市民など人種や性別関係なく避難区画に居た全ての人間の傷が癒される。
「やっぱり師匠はすごいなぁ」
「これでも抑えてるのよ?」
どうやらベルを誤って回復しないよう、最新の注意を払って『抑えている』らしい。つくづく規格外だと思い知らされながらもアクスはバックパックから信号弾が1発入った短銃を真上に向ける。
パシュッと軽い音と共に赤い煙が尾を引きながら天を駆け上がり、やがて赤い光が空を照らす。
これでダイダロス通りで回復所を設営していた団員たちは集合してくるはず。撤収作業もしていれば物資は流用できるため、なかなか大規模な治療院が出来る計算ではあるもののいささかーーいや、あの黒いミノタウロスのことを考えるとかなり不安が残る。
「何してるの?」
「ベルさんがこっちに来ないように目印描いてます」
バックパックから包帯がなくなった時や即席の担架を作る時に備えて持ってきていた大きな布を引っ張り出したアクスは、筆記用具を取り出してなにやら描いていく。
大きな丸に草のような絵。到着した
「……なにそれ」
「【ディアンケヒト・ファミリア】のエンブレム!」
まるで『会心の出来!』と言いたげなアクスの顔。しかし、出上がったのは所々の線がガッタガタで余白が寂しいのか何かしらの落書きを追加した旗で、
「気になるなら、【フレイヤ・ファミリア】のも書くよ?」
「止めなさい! 絶っっっ対に! 止めなさい!」
このパルゥム、命が惜しくないのだろうか。
【フレイヤ・ファミリア】は【ディアンケヒト・ファミリア】の物と違って『戦乙女の側面像』と人物画である。それをこのパルゥムが描くこととなれば、それはもはや人物画以下の汚物となりかねない。
ヘディンどころかアクスと割かし仲が良いガリバー兄弟でも怒り狂う可能性もあるし、もちろん出来栄えによってはヘイズの
しかし、本人は大真面目にかなりの出来栄えと思っているようで、ふんすと自慢げに旗を掲げる。それを見た周囲の心情は正に『なんだ、あのクソみたいな旗』と言ったところだろうか。ポカンと口を開けながら人々が動きを止めたため、一瞬だけ避難区画が静かになったのは言うまでもない。
「あー! アクス君居たー!」
「お前、こんな時だけ無駄に存在感消して何処か行くの止めろよ!」
そうこうしていると、撤収作業を終えたのか荷物をそれぞれ担いだ【ディアンケヒト・ファミリア】の団員たちが
いつもは存在感ありありなこの末っ子。何度も言うが、医療関係のことに至っては無駄に頭も回れば行動力のある妖怪と化す。
そして、何よりも
例えば今回のように人知れず治療院から出ていったり、辻ヒールのように気が付いたら回復されていたというような隠遁技術に関しては元々、『治療院』と聞くとギャン泣きするような治療院嫌いの子供に対して極力怖がらせないよう気配を薄くしながら治療するという振る舞いを悪用……もとい流用している。
また、なるべく治療費がかからない施術を多用した挙句に料金も取らずに何処かへと去っていくといった奉仕精神溢れる行動も、元を正せばオフの日のアミッドやミアハが元凶だ。
つまるところ、善人が舗装し続けた道を黙って歩いていった結果が今のアクス──というわけである。
「苦労してるわね~」
「帰ったらお説教確定ですけどね。ところで、どうして【フレイヤ・ファミリア】が?」
主にアクスのせいで苦労していることを察したヘイズが同情していると、テキパキと持って来た道具一式を開いていた団員が彼女がここに居る理由を尋ねた。
すると、ヘイズは『のっぴきならない事情で私が人身御供に……』などと明らかに白々しい理由を言いながら泣き真似を始める。挙句の果てには『よよよ……』とどこかの酒場で勤務している町娘のようなことを言い出すが、人身御供の意味も知らないお子ちゃま以外は『お前、そんなタマじゃねぇだろ』と言いたげな視線を向けた。
「はいはい、分かってますよー。まったく、あなたたちも同調ぐらいしてくれても……ヤッバ」
全く味方してくれない部下たちに文句を言っていたヘイズが珍しく滝のような汗を流す。その視線の先には件の黒いミノタウロスの攻撃を何とかさばきながら
このままでは今度こそ避難民や怪我人を巻き込んだ大惨事となる。そう思ったヘイズがひとまず
その手には例のクソみたいな旗。それを持って突撃するのかと思った彼女は慌てて止めようとするが、アクスは向かってくるベルたちに見えるように旗を振り回しだした。
「つ!?」
「ウ”ォ”オッ!」
すると、ベルの方も気づいたのだろう。軸足を強く踏み込んだ後に体重をかけて方向転換を行う。そんな彼に追従するかのように黒いミノタウロスも──視線を一瞬だけアクスに向けてから、そのままベルの方向に走り去っていく。
一難去ったと深い息をつくアクス。おそらくだがあの黒いミノタウロスも分かってくれたからこその方向転換なのだろう。後でフェルズ経由でお礼でも言おうと思っていると、不意に彼の体が宙に浮く。
「バ〜カ〜弟〜子〜。あんたはっ! なんでっ! そんなに突っ込むのっ! そもそもあの人たちは監視ばかりしてないで、もうちょっとこっちに近づけないようにそれとなく誘導してくださいよぉ!」
「
アクスを持ち上げたヘイズがそのまま右や左と彼を揺さぶりながら思っていた恨み辛みーー挙句の果てにはファミリア幹部への愚痴をぶちまける。
そんな上司の姿に
「やぁ、
「あ、はい。我々は別にアクス君が居なくても動けるので良いですけど……」
「オッタル様、なぜ
「
こちら……つまるところ、ベル・クラネルの1件とは別の案件である。それでも
なお、ここまで一切アクス自身は許可を出していない。そんな農繁期の農家の子供、あるいは犬猫のような扱いを受けた彼はそのまま随伴していた【ロキ・ファミリア】所属のアルクという冒険者に担ぎ上げられ、そのまま近くに敷設していた【ロキ・ファミリア】の拠点の1つまで連れて行かれる。
「どこに行くんですか?」
「"君と別れた友達の所"……と言えばいいのかな? ともかく、皆も走りながら聞いて欲しい。今からダンジョン12階層経由でクノッソスに入る。目的はリヴェリアたちの救援及び撤退の支援だ」
あれよあれよという内に槍や軽鎧といった武装を施され、今度はガレスに担がれたアクスの問いにフィンが答える。
なんでもゼノスの討伐の片手間で行っていた
そして、しばらく
「僕の見立てではリヴェリアがそう簡単にやられないと踏んでいる……けど、不確定要素は1つある。僕たちはその保険だ」
フィンの脳裏に過るのは以前戦い、アイズに並々ならぬ執着を持つ
「それに、これは予想だけど君が乗っていたユーノみたいな存在たちもそこに居る。彼らが頑なにダイダロス通りから離れないことから明らかだ」
特に有翼のモンスターは空を飛んでしまえば追跡は困難だ。それなのにダイダロス通りに固執するのは、モンスターたちにとってここがダンジョンに繋がる唯一の通路に他ならない。
なによりガレスが仕損じるなどありえない。長い付き合いからかそう断じると、ガレスは大声で笑いだした。
「おっと、フィンにはお見通しか」
「元々は僕が原因だからね、ある程度は察せられるさ」
取り繕うように笑うガレスにフィンは苦笑する。
ゼノスたちの目的がダンジョンへ帰還することだと考えるなら、クノッソスに入るのが1番の近道だ。しかし、そうなると未だどの鍵がどの扉に反応するのかは分からないため、扉がある以上は鉢合わせ──という展開になる可能性は大いにあり得る。
「間に合ってくれよ」
万に一つなどありえないが、ダンジョンでは絶対はあり得ない。
***
フィンたちがダンジョンへ突入する少しばかり前。具体的にはヘルメスとの裏取引によってクノッソスへ突入したフェルズたちがリヴェリアと鉢合わせしたところまで時間が撒き戻る。
「アホか」
主神の物真似をしつつ、リヴェリアはフェルズの語った夢物語のような願望と憧憬を切って捨てる。
ゼノスはたしかに友好的な種族になりうるかもしれない。彼らを取り入れればダンジョン探索に役立つかもしれない。……本当に手を取り合うことが出来るかもしれない。
──ただ、それは仮定の話。冷たい言い方をすれば
血族を皆殺しにされ、恋人を引き裂かれ、自らも食われかけた。そんな関係である人類とモンスターがそれぞれの手を取り合うには、双方とも血で塗れすぎている。
さらには『この場で危険でないことを証明しろ』という始末。いかに賢者と呼ばれたフェルズでもこの場ですぐにかのリヴェリア・リヨス・アールヴ──否、『フィン・ディムナの代弁者』を納得させられる言葉は見つからなかった。
既に切れる手札はないため、このまま交渉は決裂する──かに見えた。
「だが……」
「?」
「私にはそちらのユニコーンと約定がある。だから……」
そう言って詠唱を始める。詠唱と共に周囲に目配せをすると、エルフたちは一様に頷きながら今にもゼノスを切りかかりそうな雰囲気で武器を構え出した。
それらの行動のどこに約定があるのだろうか。しかしながら今のフェルズにはそれを考える暇はない。一刻も早くこの場を離れようと後ろを振り返る。
「逃げ──」
──ウィン・フィンブルヴェトル!
「かかれぇー! 【ロキ・ファミリア】とモンスター共を皆殺し……に?」
高速詠唱によって紡がれた魔法により、極寒の三条の吹雪がフェルズの
「……は?」
「魔術師、ぼさっとするな。そっちのモンスターたちも戦う意思があるのなら手伝え」
「お、おう?」
もし肉の顔があれば口をあんぐりとバカ面を晒しているであろうほど呆けていたフェルズに代わり、リドは返事をしながら獲物を抜く。どういう訳かは知らないが共闘してくれるらしいため、彼らは少々戸惑いながらも【ロキ・ファミリア】と連携して
「死ねぇー!」
「神よぉー! この身を捧げ──」
「危ねぇ!」
詠唱中のリヴェリアの横から捨て身の覚悟で突っ込んできた
***
「【ロキ・ファミリア】がモンスターと……共闘? ハ、ハハハ」
そんな常識はずれな光景にタナトスは乾いた笑いしか出なかった。
武装したモンスターとの交渉が決裂し、その間に集めた眷属やモンスターで数を減らし、そこで
格下が智謀を巡らせて格上を討つ。まさに神々の大好きな『予期せぬ事態』をふんだんに盛り込んだ会心のシナリオは即興にしては非常に高いクォリティで、たしかに
しかし、そのシナリオはアクス・フローレンスというたった1人のパルゥムがぐちゃぐちゃに塗り潰した。
事前にユーノと出会い、その人柄(?)やアクスとの関係を良く知っていたエルフたちにとって目の前の武装したモンスターは友好的なのかもしれない。そんな考えに至っていた。
リヴェリアもリヴェリアで、フィンが
「あぁ……、最高のシナリオがっ……! でも、なんだこの気持ちぃ! イライラしているはずなのにぃ!」
そんな具合に拙いながらも連携の『れ』の字が取れている動きに
***
そんなタナトスの複雑な心情はさておき、今後の展望が見えないことにリヴェリアは焦りを感じていた。
ハイエルフたるリヴェリアの言葉によってエルフたちはゼノスを攻撃対象から外したところまでは良い。そうすることで無駄に敵を作ることなく戦いは五分五分と拮抗状態に持って行けたものの、ここは
それに──。
「近づくな、モンスター! ……っ! すみません」
「イえ……」
爆風に押し流されたレイに剣を突き出して威嚇するアリシア。そして、そこを好機と襲い掛かる
リヴェリアの言葉で一時的な共闘は成ったものの、アクスと違って【ロキ・ファミリア】はダンジョン──ひいてはモンスターに仲間のほとんどを殺された被害者であり、それ以上にモンスターを狩ってきた加害者だ。
『殺さなければ殺される』という冒険者の常識がじわじわと連携に綻びを与えていく。
「新手っ! ……すまない」
「いや、それよりも
リヴェリアもまた同じ。フェルズに対して殴打しようとした杖を寸でで止めた彼女は、脱出の糸口を問われると冷や汗を流した
敵の攻勢が強いため、いくらゼノスの協力があったとしても脱出はかなり難しい。そしてなにより、少し前にレフィーヤとの連携で少なくない損傷を与えることに成功したあのレヴィスと呼ばれていた
そうなる前にレフィーヤが援軍を連れてきてくれれば──とリヴェリアが考えたところで閉じていた扉が開く。
「ここに居たか、羽虫共」
リヴェリアとフェルズにとっての凶報を告げる声と音が戦場に響く。先の魔法によって砕けたはずの腕が元に戻り、その手には禍々しい気配を放った
「死ね」
もはや言葉は不要とばかりにレヴィスは手にあった
だが、おそらくこの攻撃はリヴェリアには当たらないだろう。
なぜなら──。
「アリシア!」
ちょうど
『あっ……』と言うのが精いっぱいな僅かな暇。数秒後には彼女の頭部が無残に壊され──ない。
「ぐゥ……アッ!」
直後に飛び込んできたレイが身を挺してアリシアを守ったのだ。
威力を殺しきれずに彼女共々壁に打ち付けられるものの、レイが庇ったおかげでアリシアは即死を免れる。しかし、献身にも似た友愛を示してくれたモンスターに対してユーノとアクスの姿が脳裏にチラついたアリシアの感情は、頭部の代わりにぐちゃぐちゃになっていた。
「……次だ」
だが、そんな『茶番』はレヴィスには関係ない。今度は
先ほどの焼き直しのように
「グゥ……オ……オォォォ!」
両腕を交差させながらトロルが雄たけびを上げながら飛来したナイフを受け止める。元々耐久に秀でていたトロルであってもレヴィスの膂力には敵わないのか固い表皮が貫かれた──が、そこで勢いが完全に無くなった。
「ちっ、量産品では駄目か」
肩透かしの結果にレヴィスは舌打ちを一つするが、どのみち目の前のエルフやモンスターには退路はない。どう転んでも全滅という結末なため、鎧袖一触に屠ってしまおうと彼女が地面を蹴ろうとしたが──。
「リヴェリア様、扉が!」
レヴィスとは反対方向──ダンジョンの方向にある扉が高らかな音と共に開けられる。その意味を察したエルフたちが喜びの声を上げる最中、ユーノだけはその音に混じるように聞こえてきた
年末年始もお仕事です。(ガチギレ
アクス
この世界線ではお絵かきやマッパーの真似事をしなかったため、致命的に絵が下手なおチビちゃん。
怪我人が居ると才能の無駄遣いをする困った子だよ! 生産者、ちゃんと手綱握って!
ヘディン
話は通じるが、理解していない様子に制裁間近だった模様。
ヘイズ
多分頼れる近所のお姉ちゃん。…多分。
タナトス
シナリオを滅茶苦茶にされた怒りとモンスターと冒険者が共闘するという未知を見たことに対する喜びがごっちゃになった模様。
これもアクスが蒔いた種のせいである。つまるところ、安定のアクス焼き。
モンスターとの共闘
原作ブレイクポイント。ユーノとアクスのおかげですんなりとはいかないが、みつどもえが回避された。
フェルズやゼノスの皆は、アクスに足向けて寝れないと思うんだ。