ダンまちアニメ6期製作決定らしいですよ、奥さん。『貴方の為に地獄に落ちる』ってことは学区+救出編同時にやるってことだと思うんですが、大丈夫? 尺足りる?
2クールでも足りない気ガガガ
97:突入
東の空が俄かに明るくなってきた頃。ディアンケヒトは
「ロキィ! 儂の可愛いアミッドたちをこんな戦場に赴かせるに値する対価を用意出来とるんじゃろうなぁ!」
「朝っぱらからうるさい爺やなぁ! ほら、持っていきぃ!」
羊皮紙ではなく上等な紙に乱暴になにかを書き殴ってからくしゃくしゃに丸めたロキは、それをディアンケヒトに向かって思いっきり投げつける。
「ふふ、ふははは! 随分羽振りが良いなぁ、ロキィ!」
「じゃかぁしぃ、アクスが起きてまうやろ! はよう姉ちゃん所に送ったり!」
かなりの額が記載されていたのだろう。快活に笑うディアンケヒトの騒々しさにロキがキレると、彼は『分かっておる』と言いながらアクスと共にダイダロス通りの方へ向かって行った。
作戦開始前なのにどっと押し寄せてきた疲労感を逃がすようにロキが大きく息を吐いていると、
「ロキも災難だね」
「自分、見てたんやったら助け舟ぐらいださんかいな」
「いやー、助け舟を出したかったのは山々だけどね。どうやら一足遅かったようだ。ハッハッハッ」
張り付けたような笑み。十中八九、『対岸の火事』と楽しんでいたのだろう。
ロキ自身もディオニュソスが同じ目に合っていたら絶対助けずに見物する自覚はあるため、『優男め』と文句を言いながらショートパンツのポケットに手を突っ込む。
その手には
***
一方その頃。ロキたちと別れたディアンケヒトは、やや小走りでダイダロス通りへと向かっていた。
「神ディアンケヒト。こちらです」
「ディアンケヒト様、アミッドさん怒ってましたよ?」
「おぉ、すまんな。野暮用を済ませておった」
一切人気が無い道をシャクティや『ダイダロス通りから避難してきた人たちの治療支援』という名目で待機していた団員たちの案内で駆けていく。途中で
「ディアンケヒト様、アクス君を連れてどこに行ってたんですか」
「ロキのやつに取り立てをしておった。中々良い取引が出来たぞ」
そう言いながらディアンケヒトはくしゃくしゃに丸められた紙を見せてくる。この期に及んで商売っ気が強すぎる主神にげんなりしつつ、紙の惨状からよっぽどの憎しみが込められていると察したアミッドたちは恐る恐る取り立ての内訳を聞く。
すると、案の定アミッドたちのレンタル代や怪我をした際の保証金の類だという。こんな鉄火場に飛び込むのだから少なからず怪我はするため、『保証金に見せかけた金額の上乗せ』と分かったアミッドは怪訝そうな表情でディアンケヒトを見やる。
「流石にその金額は無理くり過ぎるのでは?」
「なにを言うか、元々無茶を言い出したのはあやつらの方だぞ?」
確かに色々無茶を言われ、その度に対応するとまた別の無茶と便利屋のように色々頼まれたものの、心優しいアミッドは少々【ロキ・ファミリア】に同情していた。
すると、扉の前で陣取っていた【ロキ・ファミリア】の面々が一斉に散っていく。どうやら作戦開始前の最後の打ち合わせが終わったようだ。
「あ”-、やっと終わったー。疲れたよー」
「今から突入なのに何疲れてんのよ……って。団長ー、来ましたよー」
心底気疲れしたようなティオネに活を入れようとしたティオナだが、ディアンケヒトと彼の背中に居るアクスの姿を見た途端にフィンを呼ぶ。その声に反応したフィンが『まったく』と自らの頭を掻きながらゆっくりと歩いてくる。
「神ディアンケヒト、勝手な行動は止めてくれるかい?」
「ふん、貴様に言い様に使われたのだ。これぐらいの勝手は許されても然るべきじゃろうが」
「それは反論しようがないかな。それで、ロキからどれぐらい踏んだくったんだい?」
「自身の目で確かめぃ。じゃが、サインはするなよ? これは"儂とロキの"契約じゃ」
暗に『なにかあったら契約した神のせいにすれば良い』と言ってくるディアンケヒト。相変わらずなところでツンデレな神に苦笑いを浮かべつつ、フィンは彼から受け取った丸めた紙を破らないよう慎重に伸ばしていく。
そこには子供の小遣い程度の金額に加えてこう書かれていた。
『黒幕を釣りだすで』……と。
「なるほど、確かに大物だ」
「アクスに徴収してもらう予定じゃからな。あやつも逃げられんよ」
ニヤリと笑うディアンケヒトに釣られてフィンも笑みを浮かべる。彼らの言っていることは、こうである。
これから行われるクノッソス1次侵攻の後のことだが、アクスには『行方不明』になってもらう。間違ってはいけないのは、本当に行方知れずになるわけではない。少々黄昏の館にてお兄さんやお姉さんたちに
ただ、そうなるとアクスを見つけるために捜索隊を組んでダンジョンやクノッソスを探し回る必要が出て来るだろうが、それは犯人を釣り出すためのただの『振り』。数日もすれば、おそらく『偶然見つけた』と言い張るだろう
──そう。ロキがゴーグルを見て思った最悪の疑念は『アクスが死んだという証』。デザインも含めるとあまり出回っていないが、それでも金さえあれば複製は出来る。いつまでも見つからないアクスを心配する団員たちにとって、その物品は致命傷と同等の威力を誇るだろう。
ただ、そこで先ほど紙に包まれた状態でロキに寄越された『
言葉にしてしまえば本当にこれで犯人が釣れるのか微妙な程単純な作戦だが、神々は総じて堪え性がない。密かに準備を果たす『コツコツタイプ』と呼ばれる神種は居るには居るが、大抵は目的や念願叶う直前に色々
なにより『うちみたいに自分で色々計画する神は特に効くで』という
「まぁ、今は目の前の作戦に集中させてもらうよ」
「賢明じゃな。……して、そろそろアクスを起こさねばならんのじゃが? アミッド、なぜアクスから離れておる」
「えっと……。その……。今、アクスに近づくのはちょっと……あれなので……」
何があれなのだろうか。しどろもどろになりながら一向にアクスを受け取ろうとはしないアミッド。
そんな彼女にその場にいた男たちは首を傾げ、対する女たち……失礼、
「だ、団長!? も、もしかして……」
「まさか、いろんな本で有名なあの展開を!」
「あー、だからアクスまだ眠ってるのね」
姦しい声に囲まれたアミッドは、初めこそ羞恥で顔を真っ赤にさせる。その反応に『ビンゴ』とばかりに女たちが囃し立て、そこから他の女たちに伝播。男たちもフィンを主軸に固まり、上級冒険者の異様に高い聴力を遺憾無く発揮した盗み聞きを行う。
「ねぇ、フィン。ティオネたち何してんの?」
「ティオナにもいずれ分かること……かな。時間もあるし、主力の士気をあげるにはちょうどいいか」
未だ恋についてあまり理解できていない
今回で
それでも純粋な戦闘能力が高いティオネとティオナを配置している通り、ここが『主力』である。藁にも縋る──とは少し違うが、多少なりとも未来を連想させられる話で戦意高揚はしておきたい。
そんな打算有り有りな、割と良い空気を吸っている
まずは今まで誰も彼もが言っていたクノッソス攻略に行かせるのを思いとどまらせる説得が、あっという間に無に帰したことについて。これは全員、『そこで折れてたら誰も苦労していない』と言いたげな視線をアミッドに向けていた。
次にアクスが言っていた救い出す命の順序についてだが、全員がそれはもう苦虫を嚙み潰したように渋い顔を浮かべる。特にフィンなどの暗黒期を駆け抜けた面々は、『分かるけどそうじゃない』と血反吐を吐きそうな表情でため息をついていた。
そして、話はいよいよ
「自分の命を軽視するような発言に、私は咄嗟にアクスを叩こうとしたんです。そしたら手を掴まれて……、強い力でした。それで、"アビリティでは僕には敵わない"って……」
「おぉ!」
「攻守逆転……だと……」
「それはもう別ジャンル……。いや、でもアミッド様とアクス君だったらそれはそれで……」
今まで子供と思っていた存在が力をつける。まさに
本来の理知的なアミッドであれば、ここらへんで止めただろう。しかし、今になっても気持ちの整理が全くつかないことから、ついつい昨夜のことを話してしまう。
この場に学区在住の金髪女神が居れば『アオ★ハル!』と言いながらぶっ倒れそうなラブの波動に口元を抑えたり、身悶えする面々がアミッドが最終的に行ったことに期待するような眼差しを向ける──が。
「その……、頬に唇を……」
「え、頬?」
「唇じゃなくて?」
「え……。え?」
それぞれが目を丸くしながらアミッドを眺めるが、当の本人は心底恥ずかしいようで『私はなんて破廉恥なことを』と蹲ってしまう。だが、彼女──厳密に言えばフィンの側に居たアクスとティオナもだが、それ以外は全員『思ってたんとちゃう!』と悲嘆に暮れていた。
「っっっはぁぁぁ~!」
「ガッカリだわ」
「はじめてアミッド様に失望しました」
「団長のファン辞め……やっぱり入り直します!」
「根性無し!」
出るわ出るわ、罵倒の嵐が。中には『書くわ!』と創作意欲が降って湧いた者に、『出資するわ、何億ヴァリス?』と石油王の如き気前の良さを見せるものまで出現する。
そんなカオスな空間の中、割と本気で全員がなぜ熱狂しているのか分からなかったアクスは隣に居るフィンとティオネに聞こえるぐらいの声でポツリと呟いた。
「お姉ちゃんには僕よりふさわしい人居るって言ったのに……。まだ分かってくれないのかな」
「アクス、それは言っちゃ駄目ってバカな私でも分かるよ」
「そうだね、またティオネの攻撃を食らいたくはないだろ?」
姉の心、弟知らず。未だに彼女の気持ちを一切理解しないアクスに流石の
***
そんなこんなで
そんな彼らの前には
以前の状態のままであれば
「よし、予想通り無力化できる。それとアミッド、この部隊には秘薬はない。いざという時は頼むよ」
厄介なガレスでさえも破壊するのが不可能な
しかし、全員は揃って首を縦に振る。独特の緊張感を感じたアミッドは、自身の役割を察するとアクスを呼び寄せた。
「承知しました。では、グランド・デイと同じ布陣で進みましょう。アクス」
「はい」
指示が聞こえた途端にアクス──否、主人の命を聞きながらも自身で思考し、主人の理想のために殉じる1匹の『猟犬』が中衛より前へと上がっていく。
彼より前ではティオネやティオナを中心とした前衛が襲い掛かる脅威を打ち払い、少し後ろではエルフィやアリシアが前衛が打ち漏らした敵を魔法や弓矢で的確に処理している。
そんな前衛と中衛の狭間ともいえる中途半端な場所でアクスが何をするかと言うと──『超攻撃的な支援』である。
「アリシアさん、弓を貸してください」
「はい。リヴェリア様や私の教えたことを思い出してね」
アリシアから予備の弓を受け取ったアクスは矢筒と共に装備し、そのまま前線へ突っ込んでいく。すると、モンスターをなぎ倒したばかりのティオネが彼の目の前に下がってきたので、アクスは彼女の背中に手をついて超短文の詠唱を言祝いだ。
「
「助かるわ。ティオナ、そっちに行くから下がりなさい!」
「オッケー!」
瞬く間に傷が癒えていったティオネは、すぐさまティオナが下がったことでぽっかり開いた戦線を塞ぎに前へ出る。入れ替わる形でアクスの元へ掛けて来たティオナの腕には切り傷があったため、
死と再生の象徴よ、我が声に耳を傾けたまえ。癒しを求める者よ、我が声に集まりたまえ。
詠唱の魔力に惹かれた5匹の
我が癒し、
1匹にティオネの回し蹴りが炸裂し、沈黙。もう1匹もオルバたちの連携で魔石を砕かれ、灰に帰す。
誓いをここに。
それでも勢いはそのままに突っ込んでくる
我は侵された者の安寧を願う者。我は傷ついた者を癒す者。
残り2匹──というところでアクスたちの頭上を1本の槍が駆け抜ける。空気を切り裂きながら飛翔した槍は上顎にある魔石に命中し、そのまま
ただ、残り1匹。いかに上級冒険者であっても武器が無ければモンスターに致命傷を与えることは叶わないし、例え武器があろうとも投擲には数テンポ必要である。
しかし、アクスは少しも動揺することなく走りながら弓を構える。
この誓いに基づき、我が行使する。
そして、走行中という狙いがブレにブレる状況ながらも矢を番えて引き絞り──。
ケーリュケイオン
詠唱の完成と共に矢を放った。
先ほどの投槍ほどではないものの、アクスを中心に灯った
「アクス、よくやった。一旦、態勢を整えよう。マッパーは今までの情報を纏めて地図を清書してくれ」
「分かりました」
扉からかなり進んだこともあり、一旦休息を入れるべきだとフィンは進軍を停止する。手に紙とペンを握っていたマッパーたちが話し合いながらこれまでの道程を地図として大きな紙に書き起こそうとしている光景を見ながら周囲を警戒していたフィンだが、ティオナの『あれ?』という声に素早く反応した。
「ティオナ、敵かい?」
「うぅん。
「いえ、これは強い魔力で
「呪いを抑え込むなんて、レフィーヤみたいなバカ魔力ね」
どうやら
ちなみにだが、先ほどアクスが見せた弓の技術は並行詠唱をレクチャーしている合間にリヴェリアがこっそり教えたことである。彼女もまた騎乗中のアクスが見せた弓術に光る物を見ており、『どうせなら技術として教えてしまおう』と教えたのだとか。
リヴェリアがよく言う何事も動じない大樹の心でしっかりと狙いを見据え、かといって何もしないのではなく『次の行動』も組み立てる計算高さ。いずれも同じく中衛で弓を放っていた
それもこれもアクスが弓術において中々呑み込みが早かったこともある。パルゥム本来の器用さゆえか、はたまたアクスに弓術が向いていたのか。理由は定かではないが、その呑み込みの速さは『熱が入ってしまった。
その横では生まれたての小鹿のように腕を痙攣させているアクスが居たのだが、(本人の同意関係なく)新しい技術を学ぶのは誰でも苦痛を伴うものである。なにより彼自身の戦闘力を高めるためなので、決して虐めているわけではない。そこだけは勘違いしないでもらおう。
そんな著しい成長を遂げた同胞に目を細めていると、マッピングをしていた団員が声をかけて来る。
「団長、ここまでのマッピングが完了しました」
「分かった。全員、移動を再開! 1秒でも早く前へ進むぞ!」
フィンの声に全員が駈ける。時折見かける監視装置と思われる奇妙な石像やオブジェを破壊しつつひたすら進軍するフィンたちに、
「っ! 前方に敵部隊!」
「ティオネとティオナを主軸に交戦開始! アリシア、魔法のタイミングは任せる!」
「分かりました!」
雪崩のように押し寄せて来る残党とモンスター。普通のダンジョンともファミリア同士の抗争とも違う正真正銘の『戦場』に、そこらの冒険者であれば怖気づく者も居ただろう。
しかし、彼らは【ロキ・ファミリア】だ。オラリオに数多あるファミリアの中から代表を問われれば真っ先に名前が挙げられるほど知名度が高く、多くの遠征をこなしてきた都市最大派閥。そんな矜持と今までの苦戦、そして
そして、そんな彼らに呼応するかのように度重なる経験によってアクスの中にあったセンスの種が『開花』した。
とあるスポーツ選手曰く、『上達するには心のコーチが必要』らしい。現実のコーチは所用などで席を外してしまい、その間に欲に負けた選手がサボるということになることも往々にしてある。
しかし、心の中にコーチの存在を認識してしまえばサボることなく適切なトレーニングが出来る……ようだ。
一般人にとっては『何をバカな』と一笑に付すような話。しかし、神々の悪ふざけでさえも覚えて帰ってくるほど素直なアクスは、己の中に複数のコーチを
【バカ弟子、前ばかり見てちゃ駄目よ。ほら、後ろから敵。あれを許したらまた被害が大きくなるわ】
【アクス、数歩先の行動を見据えるんだ。それが終わったら、君が次にすべきことは何だい?】
部隊の最後尾より少し後ろ。先ほどフィンが壊した奇怪なオブジェクトが置かれていた台座が少し
偶然その光景を走りながら前衛の回復作業を行っていたアクスが見かけた途端、彼の脳裏に
当たり前だが、この場にヘイズは居ない。そして、間違ってもフィンはそんなことは言っていない。
ただ、過ぎった言葉の通りにアクスは動き出す。ブリューナクの穂先を床に突き刺すことでその場で急制動をしたアクスは、
そのまま息を殺しながら禍々しい魔力を放つ短剣を手近に居た冒険者に突き立てようとした不審者に対し、アクスはの柄を上段に構えてから勢いよく振り下ろした。
ゴチンという鈍い音と共に不審者が倒れ、その音に気付いた冒険者たちが縛り上げようと近づいてくる最中──。
【アクス、そろそろ前衛の回復。ブリューナクがあれば行けるでしょ?】
「……ケーリュケイオン」
今度は
今の前衛に近すぎれば敵までも回復させてしまうし、かと言って中衛付近であれば移動速度が下がってしまう恐れがある。そんな考えからか、アクスは前衛と中衛の間にブリューナクを投擲。地面に突き刺さったブリューナクから緑色の
そして、一仕事終えたようにアクスはアスフィからもらった『アンヴァル』の力で
敵の撃退。並行詠唱。そして予想地点への置き回復。少しの間に何役もこなしながら平然と元の位置に戻ってくる小型犬の本気をまざまざと見せつけられ、さらにそれが全て『アミッドを助けるため』ということを先だって語られたアミッドの言葉から察したフィンは『一途って怖いな』と前衛に上がっている
なお、その光景を監視装置で見ていた
「とりあえず、作戦変更しない?」
「……あ、はい」
秘薬の絶対数が不足しているだろうという考えからの偽装兵だが、
またこいつ勇者の頭焼いてるよ。
こんなバグキャラでもレベル的に格上にはあまり勝てないのがダンまちです。チートキャラではありません!
黒幕釣り
ロキの頭の中では『こいつやろうなぁ』と思っているゆえの作戦。それもこれもアクスが良い意味でランカー常連(ヘルメス・ファミリア刊行のあれ)で、囮として都合が良すぎるのが悪い。
アミッド
嫌しか聖女だが、意気地なし聖女。そこはぶちゅーせんかい!と愛に生きる戦士が申しております。
弓術
並行詠唱を既に会得しているため、他のディアンケヒト・ファミリアの団員にレクチャーしている傍らで『少々』厳しく教えられた末に会得出来た。
腕前としては本職の弓使いには劣るが、サブウェポンとしては使える程度。ユーノにパイルダーオンすれば、スキルの効果でメインウェポンにもできる。
え、弓を教えてもらったから師匠枠? ソーダネ。
某史上最強の弟子も色んな師匠に教えてもらってるし、ヘーキヘーキ。
敵の撃退。並行詠唱。そして予想地点への置き回復。
某ター●的に言えば、1拍で3行動のような動き。これまで様々な人と関わり、可愛がられ、痛めつけられ、教わった技術の集大成。
適度に敵を倒せて、回復出来て、自分で考えて場所を移動するとか相手にとって悪夢だと思うんだ。
余談:
あかんっ! デート回書きたい! 何を見たかはあえて言わないけどすっごい書きたい! アクスに歯の浮くようなセリフ言わせてエスコートさせてぇ!
……と、私の中の僧侶が叫んだのでお漏らし。
アクスが差し出してきた物は細長い木の箱。なんだろうとアミッドが細長い箱の蓋を開けた瞬間、深い夜を切り取ったような色が目に飛び込んできた。
濃紺のバレッタだ。光を強く跳ね返すことはなく、角度によって静かに艶を返す、落ち着いた色合いのそれを慎重に摘まみ上げた彼女がアクスの方を見やると彼は満面の笑みを浮かべながら口を開いた。
「欲しそうにしてたから、プレゼント」
「ありがとう……ございます」
『つけてあげる』と言われ、案内されるがままに座らされたベンチ。後ろでは鼻歌交じりにアミッドの髪を整えているアクスに彼女の心臓は敵襲を告げるように早鐘を鳴らしていた。
あの戦い──否、クノッソス1次侵攻前からアクスの一挙手一投足が愛おしい。そしてそれが今もなお膨れ上がっていく。
このままでは爆発してしまうのではないかとありもしない予想に微笑を浮かべていると、バレッタを付け終えたアクスが声をかけて来た。
「終わったよ、すごい似合ってる」
「大切にしますね」
普段履かない靴で転ばないようにと差し出された手を持って立ち上がったアミッドは、再びアクスと歩き出す。濃紺のバレッタはそこにあるのが当然だったかのように、静かに馴染んでいた。
「僕より小さい子があんなに……」
「あいつは尽くすための努力や他者に助言を乞うことを厭わない気質がある。愚兎、あそこまでやれるとは期待していない……が、あのレベルに近づけるように調教してやる」
「はひぃぃ!」
その後ろでは放電音と共に鬼畜ホワイトエルフがとある白兎を引き摺って行ったとか……行かなかったとか。