105:奇跡で出来たタイトロープ
これは、とある猛犬が計画を破壊する存在になる瞬間のお話である。
時はアクスがフィンを蹴り上げ、そのまま緑肉に呑まれた時まで遡る。本来であれば瞬く間に生命力が吸われたことでショック死。もしくは無惨に轢き潰される末路を歩むことになるのだが、奇跡的にも彼は
奇跡──そう、奇跡なのだ。
アクスが生存できたのは、複数の幸運が積み重なった結果である。
はじめの奇跡は、アクスの装備の更新が間に合ったことだ。
アクスの装備は【ディアンケヒト・ファミリア】所属の団員が作っており、団員たちの愛情が防御力と重量に変換されている。そのため、グランド・デイにて久々に引っ張り出したことで改めてその重さや煩わしさに普段温厚なパルゥムは不満を口にした。
そんな、まるで服を無理矢理着させられる小型犬の如く嫌がるアクスのために団員たちは改めて設計からやり直したのである。
再定義されたコンセプトはアクスへの愛情を性能と軽さに分配。つまり、性能と軽量化のハイブリッドである。
ただ、性能が良くて軽い材料は総じて金がかかる──のだが、彼/彼女らはブラック環境に身を置いているためか、趣味の裁縫や物作り以外でまともな浪費がないために貯蓄は十二分にある。それを『末っ子の服作り』という趣味と実益を兼ね備えた作業をするとどうなるか。言わぬが花だろう。
かくして、アミッドのように【神秘】はなくとも、【裁縫】や【錬金】といった発展アビリティを持ったLV2を筆頭とした彼/彼女たちの親愛やら友愛やら汗や涙やらなんやかんやが多分に含まれ、時に音楽性の違いで何回か空中分解しかけたものの、物理的にも魔法的にもガッチガチかつ動きやすい法衣が完成。さらにはパルゥムの子供という体躯の小ささから神々でいうところの『回避率がバカ高い防御力極振りキャラ』という
さらにはアミッドから貸してもらった首飾りから出現した障壁が前方限定だが緑肉を食い止め、アクスはどこも怪我することなく側面に開いた穴の中へ滑り込むことが出来た。
そんな、エニュオが聞いたら『はぁ!?』と思わず聞き返しそうな奇跡。しかし、これはまだ序の口である。
第2の奇跡は
【ディアンケヒト・ファミリア】というブラック環境によって
例えば住処から住処への移動中のこと。前までは最後尾を陣取って背後から来るモンスターを後ろ足で蹴るぐらいしか戦闘らしい戦闘をしていなかったのが、今ではリドやグロスたちと一緒に前線に出て暴れ散らかすといった具合に積極的に動いていた。
魔石に関してもそうだ。必要最低限の魔石しか食さなかったのが、今では牛飲馬食の如く(馬なのだが)大量に食べては着々と力をつけている。
全ては再び無限にも思えたあの大地を走り回りたい。上に友を乗せ、ひたすら駆け回りたい。
願いが叶ったことで新たに生まれた憧憬目掛けて頑張り抜いたユーノは、気付けばそこら辺の馬から2回りほど大きくなっていた。
椿が切り取った角がより太く、長く生え直っており、
本気で突っ込めば
特にフェルズやリドが『
そんな世紀末覇王のような存在がレイが飛び出した少し後、何かを感知したように一際大きく嘶いてから近づいて来る緑肉を轢き潰しつつも撤退を行っていた
そんな向こう見ずなユニコーンに、ラーニェ──こちらもアラクネの強化種となった彼女はフェルズから
以前よりも射程距離が伸びた糸でもってユーノに追従。たまに横の通路から襲い掛かって来る緑肉を鋼鉄よりも強靭な糸で作った巣を設置することで押し留めるといったことを行いながらもユーノと共に通路を突き進んでいた。
そのようにドッタンバッタン大騒ぎをしていたからだろうか。鷹の目にも劣らないパルゥムの目がユーノたちを捉えることが出来た。
すかさずアクスは首元に下げていた笛を口元に運び、勢いよく息を吹きかける。周囲の轟音にかき消されるぐらいに頼りない旋律であったが、ユーノはその音を知覚。すぐさま反転すると、
そんなエニュオが聞けば『ふざけんな!』と手に持った酒瓶を近くの壁に
最後の奇跡は、ヘイズがアクスに鍵を渡したことである。
無事に合流したアクスは、
しかしながら、【ロキ・ファミリア】が緑肉をこれ以上進ませないようオリハルコン製の扉を閉じてしまったため、どんなに探しても開いている扉は1つとしてない。彼らが切れる手札は『地図や方角も分からない中、フェルズと連絡を取って扉を開けてもらう』か、『【ロキ・ファミリア】が脱出した穴から緑肉を掘り進めながら脱出する』かのどちらかである。
無論、これらは両方とも危険性が高い。それでも何もせずにその辺を駆けまわるのは愚の骨頂である。覚悟を決めたアクスがどちらかを選ぼうとした途端、僅かに光っているポケット──具体的には中に入っていた鍵を発見したことで『第3の道』が示された。
貰ったは良いが、いざバックパックに仕舞おうとした際に『忘れたら
すぐさまアクスたちは反応が強い方向に走り、強い反応を示した扉を手に持った鍵で開けては閉じ、そして次の扉を目指す。
また、これはアクスたちは知る由もなかったが緑肉は
結果的にエニュオが聞けば顔面崩壊レベルでのた打ち回りながら叫びそうな奇跡を幾度も重ねたか細いタイトロープを何とか渡りきることで、アクスは『生存』という何事にも代えがたい報酬を手にする。
しかし、その代償はもちろんあった。
「ぐっ!」
片腕と脇腹から来る痛みにアクスが声を上げる。脇腹を少々えぐられており、その傷から血が溢れ出ていた。
だが、腕の傷はもっと酷い。骨が歪に浮き、皮膚の下で不自然な角度を作っているのだ。
息をするだけで脇腹の裂傷が開き、焼けるような痛みがアクスを襲う。慌てて糸で圧迫してフェルズを呼ぼうとしたラーニェを無事な方の腕で制したアクスは、時間がかかる
「ケーリュケイオン」
魔法の発動と共に緑色の淡い光がアクスの全身を包み込んだ。
その光が当てられた端から脇腹の肉が逆巻き、裂けた皮膚の縁がまるで意思を持つかのように引き寄せられては繋がり、赤黒かった傷口がじわじわと小さくなっていく。
片腕も同じだ。歪んでいた骨格がゆっくりと、しかし確実に正しい位置へと戻されていく。筋肉が引き寄せられ、繊維が編み直される。
こんな大々的な修復が行われると痛みを伴うはずだが、不思議と痛みはない。治癒魔法を覚える以前、アミッドの治癒魔法を見ながら子供特有の『なぜなぜ攻撃』によってディアンケヒトを困らせたが、あの時も特に何も教えてはくれなかったのでアクスは『そういうもの』だと認識していた。
「もう治ってる……」
フェルズの治癒魔法は見たことあるが、それよりも遥かに高みに居る存在が目の前の子供だとラーニェは深く息を吐きつつ、限界まで振り絞った体力を回復させるように蜘蛛脚を折って周囲を見渡す。
横を見れば久方ぶりの地上にテンションがあがったのだろう。ふわっふわの枕を前にした競走馬の如く寝転がるユーノや、その上で寝転がろうと腹によじ登っていく
しかし、いつまでもこうしていられない。息を整え終えたラーニェは、フェルズから分捕った
【フェルズ、聞こえるか?】
【ラーニェ。無事だったのか】
【なんとかな。ユーノと迷子も一緒だ】
【迷子……? ひとまず、詳細は後にしてくれ。今、【ディアンケヒト・ファミリア】で行方不明者が出ている】
その時、フェルズは一旦リドたちと別れて別ルートで地上に戻って来ていた。
窪んだ眼窩の先ではアミッドがフィンを力なく叩いており、一触即発と言っても過言ではない空気が漂っている。とても痛々しくて見ていられない状況であるのもそうだが、ここで派閥連合の解散はマズい。
さりとて、フェルズはどちらかというと
【行方不明者というのはアクス・フローレンスのことだろう?】
【知っていたのか!?】
【いや、迷子も一緒といっただろう。ユーノが偶然見つけてな……あ、コラ。登るな】
おそらく蜘蛛足から人型の胴体まで昇って来たのだろう。ラーニェの困りきった顔の横に現れた元気そうなアクスの表情が
なんとか気合でオクルスの落下を阻止できたが、ウラノスやフィンたちから聞かされた作戦を遂行できるのか不安になったフェルズは『うーん』と重大なことを迷っているかのように唸り声を上げ出した。
そのまま唸ること数分。既に下では全員の撤退が始まっており、アミッドが茫然自失の体で治療院へ帰っていく。
そんな痛ましい後ろ姿を見送る中、フェルズはようやく決心する。
【少し待っていてくれ。神ウラノスに報告した後で君たちを迎えに行く】
【分かった。アクス、ここはどこだ?】
【アレス軍が陣取ってた荒野です】
【……だ、そうだ】
そんなところに扉があったとは知りもしなかったフェルズは多少驚くものの、今は
青々とした植物がない荒野だが、肌にじんわりと纏わりつく温もりはまるで荒野そのものが呼吸しているかのようだ。
それに空気も違う。ダンジョンの中のように曇った感触と真逆を行く柔らかい風に目を細めたラーニェは、メインディッシュとばかりに空を見上げる。
黒ではない。底の見えない藍が果てしなく広がっており、その中には無数の星が零れていた。まるで天に居る誰かが『輝き』で満たした器をうっかり傾けてしまったかのように、大小の光が瞬いている。
「リドやレイが空を見たがっていたのも分かるな」
アラクネという種族に生まれたからだろうか、ラーニェはリドやレイたちと違って空への渇望は薄かった。それでも
しかし、そんな消極的な考えは満天の星空という視覚の暴力によって早々に打ち砕かれた。
「あぁ、良い景色だ」
草も、木も、灯りも。大地には何もない。
当たり前だ、荒野なのだから。しかし、空だけが彼女の満足感を充足に満たしていた。
息を深く吸うと乾いた空気が胸を満たし、思いっきり吐くと自分の存在が吐息を介してこの広い広い地上に溶けていくように感じる。
ラーニェにとって、それだけであまりにも贅沢な体験だった。
***
そんな具合にややまったりしていると、すぐ近くに骸骨が浮かび上がる。年頃の子供らしくホラーが若干 自己申告 苦手なアクスは『ギャア』という叫び声を上げながら近くで寝転がっていたユーノの腹にしがみつくと、それに気づいたラーニェはやや困った表情をしながらフェルズに片手を上げた。
「オラリオでその顔は流石にまずいだろ」
「あそこには【ロキ・ファミリア】の上級冒険者が居たからな、少しでも音が出そうなものを外していたんだ」
五感が超人並な上級冒険者に物音は厳禁である。衣擦れの音1つでも位置を気取られるため、そういった一切を排除したまま監視をしていたのだろう。
ただ、アクスの反応にちょっと傷付いたらしい。『そろそろ慣れて欲しい』と文句を言いつつ、フェルズは外套を深くかぶり直してからユーノに何枚かの大きめな布を巻き、ラーニェとアクスには外套と腕輪を手渡しながら説明を始める。
外套の名は『リバース・ヴェール』。先日、ベルたちが【ロキ・ファミリア】から逃げるために使った隠蔽用の
「これは?」
「獣人対策として消臭機能を付けた
リバース・ヴェールは透明になるだけで、それ単品では上級冒険者や獣人が跋扈しているオラリオではすぐにバレてしまう。そのためにいつもは消臭機能を持つ
曰く、上級冒険者は五感が鋭い意外にも周囲との調和に人一倍敏感であるとか。
汗臭い部屋の中に無臭の空間がある。
雑多な街中に一際鼻につく匂いがある。
口にしようとした食べ物におかしなの香りが混ざる。
そんなふとした『違和感』が、上級冒険者の──特に第2級冒険者以上の存在が即座に臨戦態勢を整えるトリガーとなる。それが
「起動と解除があるから、町中に入った瞬間に起動して欲しい。その瞬間から君たち一帯の匂いはオラリオの街中の匂いに上書きされる」
「ただ、獣人に近づき過ぎないように……か?」
「その通りだ」
ゆえにフェルズは『オラリオの匂い』を発することで
ただ、
「あと、これが地下水路用で……。これが路地裏用で……」
「流石に多すぎるぞ。一つに纏めないか?」
「"無いから手あたり次第作る"ってお姉ちゃんも言ってた」
「
何処かの青田抜きの如く
あの時は何徹もしていた末のクエストでちょっと見境が無くなっていたと供述していたが、多かれ少なかれ徹夜テンションによって冴えに冴えた頭から次々となだれ込んで来るアイディアの奔流に酔っていたのだろう。
……そんな姉を傍目から見て、とてつもなく怖く感じたのをアクスはよく覚えていた。
そんな歯止めが効かない製作者の悲しい性はひとまず置いておき、ようやく出発準備が整った一行はフェルズの先導で市壁からオラリオへと侵入する。緑肉を隠すために【ガネーシャ・ファミリア】が大急ぎで資材をダイダロス通りに搬入し、覆いの準備をしていることから警備は門前のみに限定されていることを良いことに悠々と侵入を果たしたフェルズたちは路地を抜けていく。
「どこへ向かってるんです?」
「1番安全で見つからないところに向かっている」
答えになっていない答えに訝しむが、この状況でアクスが治療院へ帰ろうものならラーニェかユーノに即刻連れ戻されることは如何に彼がおバカでも理解していた。
そのため、歩く道が路地から地下水路に移っても、地下水路から再び狭い路地になっても、如何にも人が通らないような通路になってもアクスは黙ってついていく。
「フェルズ! もうちょっと道を選べ! つっかえる!」
「いつも1人で移動してたんだ、仕方ないだろう」
ラーニェは蜘蛛の胴体。ユーノはその輓馬のような体型によって思うように進めず文句を言うが、そもそもこれから向かう先はウラノスの所。他者に知らせたり、ましてや道を共有することなんてなかったので逆切れ気味に歩いていく。
途中、何度もつっかえたことで流石にじれったくなったユーノが
「神ウラノス。先ほど話した通り、アクス・フローレンスを連れてきた」
「うむ。
経緯は不明だがとてつもなく疲れていることだけ分かったウラノスは、わざわざそれを指摘するのは酷だと思ったのだろう。同情交じりの礼を言ってから改めてアクスを見る。
しかし、なにやら
「なんや、ウラノス! 今ごっつ忙しいねん!」
「会わせたい人物が居る。それと、今後のことを話したい。ゆえに今から言う神に
「ウラノスゥ、自分話聞いとったか? それに今更増援ってなんやねん」
ロキの怒りは尤もだ。
アクスが居なくなり、【ディオニュソス・ファミリア】が全滅ことで団長であるフィンを始めとした【ロキ・ファミリア】の士気はボロボロである。そんな中で
ただ、それでもウラノスは再度頼み込む。表情は変わらずともなにかしらの必死さを感じ取ったロキが渋々ながら了承するが、先ほどから感じていた疑問を理由として問うた。
「なんでうちなんや? 伝令ならヘルメスに頼めばええやろ。それに今更増援って、第1次侵攻では間に合わなかったんか?」
「言わんとしていることは尤もだ。ただ、誰にも聞かれないところで話したい。すまないが、誰も居ない場所まで移動して欲しい」
「……労力に見合うもんなんやろうな」
「あぁ、見合うと確信している」
ただ、なんとも居た堪れない気持ちになったウラノスは、せめてヘルメスに伝令を任せない理由を話し出した。
「今回、そちらに伝令を頼んだ理由は【ロキ・ファミリア】が
「あー、たしかにな。なら、うちが持って行くしかないわな」
つまるところ、量産には不向きのためにポンポン人に渡せない欠点を持っている。なので、現在放出中の
「ここならえぇやろ。ウラノス、移動したで」
「分かった」
そう言うが否や、ロキの
ただ、その姿を目にしたロキは何も言わない。いつもの彼女であれば、ワインセラーに響き渡るぐらいの声で『生きとったんかいワレェ!』と叫んだことでウラノスに叱られそうなものだが、何かを必死に耐えるように唇をかみしめていた彼女はようやく小さく口を開いてか細く囁いた。
「生きとった……。生きとったんやな」
神の身でありながらもささくれ立った心に『安堵』という水がすぅっと沁み込んで来る──が、ロキは権謀術策に長けた神である。すぐさまアクスが生きていたという『
一瞬の内にトリックスターの顔となった彼女に、ウラノスは改めて『今後のことを全員で共有したい』と告げた。
「全員で……か。ちなみに面子はどうするんや?」
「……気付かぬのか?」
「なにをや?」
具体的に『何を』とは言わないウラノスにちょっとイラっと来たものの、
「お主とディアンケヒト、ヘルメスは確定。装備の観点からヘファイストスとゴブニュにも交渉する必要がある。後は……、フレイヤも呼んでもらおう」
「色ボケ関係ないやん」
ヘルメスは第1次侵攻に参加していたので分かる。ヘファイストスもブリューナク関係だし、ゴブニュは材料調達的に間接的だが関係はある。
ただ、フレイヤは今回のことについては無関係だ。アクスに色々頼んだり、便宜を図った関係であることは知っていたが、参加させる意味合いが薄いことを指摘するロキ。それでも、ウラノスは頑なに彼女の参加を求めた。
曰く、
「気付かんのか?」
「えーかげんにしぃ。今の自分とアクスの位置関係をディアンケヒトが知ったらガチギレするってぐらいしか分からんわ!」
膝の上にアクスを乗せるという『爺ちゃんと孫のような振る舞い』をするが、ロキにはそれ以外分からなかった。
ただ、ウラノスがここまで念を押すのだから『何か』はある。そう信じた彼女は、フレイヤの参加を了承した。
「ひとまず、分かったわ。……で、護衛はどうするんや? うちらはまぁ……、何とかなるやろうけど。あの色ボケの眷属は間違いなく護衛に来るで」
「それは致し方なかろう。1人の同道は認めるが、
「可愛そうやけどな。しゃあないか」
仲間はずれにするのは気が引けるが、仕方のないことだ。
1人の同道が可能ということでロキは即座にフィンを思い浮かべる。酸いも甘いも噛み分けている彼であれば、時間を掛ければ必ず復活することを信じているからだ。
他の派閥も大抵は団長を連れて来るだろうことは想像に難くないので特に問題視はしてないが、アクスが行方不明という騒動の渦中に居るアミッドは別だ。
アスフィと3歳差である19歳ではあるが、
それならば、
「分かった。ディアンケヒトだけには予め、アクスのことは言うとくわ」
「助かる。ギルドに着いてからはロイマンの案内に従って欲しい……が、奴にはアクスのこと話さんつもりだ。くれぐれも──」
「言わんようにやな。うちもフィンには黙っとくつもりや」
こうして伝えたいことを全て伝えたウラノスは、通話を切ってからアクスを膝から降ろしてフェルズたちに向き直る。
まずはアクスという存在を救ってくれたことについて改めて感謝をし、続けてフェルズにアクスたちの世話や明日に来るであろう神々の応対を任せた。
「神ウラノス。彼らの世話は納得できるが、神々の応対は貴方がやるべきでは?」
「明日、この部屋を限界まで封印する。そのための準備に入らせてもらう」
そう言ってフェルズの了承も得ずにいつものように目を瞑るのではなく、
しかし、次の日。厳密には神々の前にアクスが姿を現した時──その疑問は一瞬にして氷解した。
ソードオラトリアの漫画見て思ったこと。
魔力暴発も言わば魔法の出来損ないだから、ベートの靴で吸収できるのか…。なるほどなぁ。
ブリューナクも同じ原理で作られてるし…。なるほどなぁ。
やっぱ時代は
アクス
数々の奇跡で生還した変な子。
この時のためにグランド・デイやなぜなにアクスで法衣の紹介して、ユーノと友好的になってなどと色々やった節がある。
『正義は巡る』を正しく使った例であり、これには天国のアーディさんもにっこりスマイルだろう。
ユーノ
憧憬を見ると急成長する法則があるのか分からないが、身体が重種馬のように大きくなり、角もより太く長く生え直ったユーノ。
無論だが強化種。強化されたのは浄化の力と速力と突進力。
冒険者換算でLV3かそこら。アクスのスキル込みだと現時点でLV4、後にLV5相当となる。
その突進力はアステリオスと立ち合い、少し後ずさりさせる程度。中層あたりに居るモンスターはそのままひき殺されること請け合いである。
浄化能力は
そういえば、薬って、綺麗な水が必要だよね。他意はないよ?
飼い葉を水桶に突っ込んだもの食べさせたり、変顔させたい(ゴルシ感)。
ちなみに輓馬で調べてもらえると分かる通り、通常サイズの人よりも大きいです。
ラーニェ
ちゃっかり強化種になった子。糸はより強靭に、より遠くに飛ばせるようになった。
あと、より美人さんになった。
え、なんでラーニェ優遇してんのだって? 蜘蛛脚はロマンだからだよ!
あ、ラーニェさん。ちょっとビームライフルとシールド持ってくれない?
フィン
『そうだ勇者。お前が殺した』で意気消沈中。
アミッド
『そうだ聖女。お前が殺した』で意気消沈中。
エニュオ
道程知ったら『ふざけんな!』と怒り狂うことは確実。