キャラが違う。時系列おかしい。などはすみません。
アミッドとのてぇてぇ成分が枯渇していたので投稿。
病気というものは流行り廃りが存在する。大抵は十分な薬を以てして収束へと向かっていくのだが、そういった薬品系の素材のほとんどがダンジョン由来となっているオラリオでは素材の方が病気が廃るより先に枯渇するという事態がたまに発生する。
本日は、とある病気によって素材が品薄となった時のお話である。
***
「あ、この素材」
「おー、アクス君。最近、これが品薄になってきてるって聞いてね。ちょっと遠出して摘んできたんだけど、いるかい」
往診の最中に寄った市場でアクスはとある薬草を見つける。この薬草は最近流行している病気の症状を緩和する薬に使用される物で、オラリオでは現在品薄となっている貴重品だ。
ただ、商人の言い分だとこれは
仮にこれを薬にしたとしても満足な量は作れないだろうが、付け焼刃にはなる。最近は治療院に薬を買い付けに来ては残念がりながら帰っていく人が多いため、アミッドも頭を悩ませている現場をよく見かけていたアクスは購入を決意した。
「あ、でもお金足りない」
「そういえばお小遣い制だったね。取っといてあげるから代金を持ってきなさい」
財布の中には300ヴァリスしかないため、商人の男性に品物を取りおいてもらうと彼は元来た道を歩いて【ディアンケヒト・ファミリア】まで戻る──前にジャガ丸君を購入する。
残り250ヴァリスとなったが、【ディアンケヒト・ファミリア】に戻ればなんとかなると思ったアクスが裏口から戻ってくると、エルフの団員が気づいて駆け寄ってきた。
「早いな。どうした?」
「皆で探してた素材だけど、オラリオの外で採集された奴なら見つけたよ」
「お、本当か! ……って、今アミッドさんが探し回ってるんだった」
男性曰く、例の薬草が足りない件をアミッドから注意されたらしい。それはもうみっちりと叱られたが、結局は伝手があるとのことで彼女が市場に薬草が入荷していないかを確認しに行ったのだとか。
ディアンケヒトも今は不在のため、アクスのお小遣いを引き出せる存在が居ない。迷った末に団員は自らの財布をアクスへ託した。
「とりあえず、財布渡すから買ってきてくれ」
「はーい」
間延びした返事をしながら元来た道を戻って再び薬草が置いてある商店までたどり着くが、店の前では見知った2人が言い合いをしていた。
「申し訳ない。この薬草は先約が居てね、売れないんだ」
「そこを何とかお願いします」
「ちょっと、私が先に着いたんだから私から交渉するのが筋でしょう。これだから大手のファミリア様は……」
「なにを仰っているのか分かりかねます。私の方が先に着きました、言いがかりは止めてください」
アミッドとナァーザが言い争っているいつもの光景にアクスは黙って近づいていく。彼の接近に気付いた彼女たちが揃ってアクスの名前を呼んではいかに自分が正当かを熱弁し出した。
「アクス、私は彼女よりも早くここに来て交渉を始めたのにエリスイスが割って入って……」
「なにを言っているの? 私の方が早く来た。それに、ここで売られている情報をいち早く入手したのも私。アクス、信じて」
「嘘を言わないでください。私がこの話を聞いた時にあなたが歩き出したでしょう。アクス、お姉ちゃんが正しいの!」
「あー、やだやだ。隙があれば姉、姉と笠に着て。ファミリアでもそれでアクスを従わせてるんでしょ、浅ましい!」
ネチネチと粘着質な言葉の応酬を続けるアミッドとナァーザ。言わずと知れた店の前なので、店主も徐々に顔色が悪くなってきているのだが、彼はふとアクスが何も反応しないのが気になった。
もしかすると大人の女性の聞きたくもない口喧嘩に気分を害したのかと心配するが、当の本人はその場にしゃがみながらまるで彼女たちの言葉が聞こえていないかのように薬草の品質をじっと見ていた。
やがて、再びアクスの名をアミッドたちが呼ぶと同時にようやくアクスが立ち上がる。
「取りおいてもらった物くださーい」
「はいはい。ところで、そっちの2人も引き取ってもらっても良いかい?」
「知らない方たちなので、嫌です」
万感の思いを込めた言葉。実はアクスも店先で口喧嘩をする身内や知り合いが恥ずかしかった口である。
特にアミッドは彼を教育する中で『店先に迷惑を掛けてはいけない』と教えていたため、今回の件はまるっきりブーメランが刺さる。
子供にそうあれと教えたくせに自分が破るという『ダブルスタンダード』は時に子供からの信頼を著しく落とすもの。ゆえにアクスは他人の振りを決め込んだが、どうやら彼女たちには受け止めきれなかったようだ。
「あじゅじゅしたー」
早口でお礼を言いながら去っていくアクスに手を振りながら見送った店主は、チラリとアミッドたちを見やる。やや煤けた背中を晒している2人は微動だにしないまま店の前で時が停止したかのごとく止まっている。
「お茶、いるかい?」
『……いただきます』
ようやく再起動するが、2人揃ってすっかりやつれてしまっている。その光景に商人は『茶を飲んだらさっさと帰ってくれないかな』と常連客相手に失礼なことを考えていた。
***
ようやくメンタルが回復したアミッドが治療院に戻ってくる。
アクスのおかげで薬草は手に入ったとはいえ、薬効を考えるとオラリオ中に行き渡るとは思えない。後はギルドを通じて
そうして全ての空欄を埋めた後、アクスに代わって代金を肩代わりしたと報告するエルフの団員に申告されたお金を支払う傍ら、申請書に不備が無いかをチェックしてもらう。
ただ、やはり報酬額が気になるのか指摘してきた。それでもアミッドは頑なに『正しい』と告げると、彼は少々声を抑えながら彼女に忠告する。
「こんな条件……、ディアンケヒト様が許されるかどうか」
「はい。なので皆さんには黙っていて頂けると」
「分かりました」
確実に素材を手に入れるためには致し方ないこと。そう言い含めたアミッドはギルドに
ここで問題が起こった。
「アクス、購入した薬草の一部を【ミアハ・ファミリア】に売ったとはどういうことですか?」
治療院の裏手でアクスがアミッドに詰められている。傍には先ほどアクスが買ってきた薬草があったが、店先で売られていた量よりも少々少ない。
聞けば薬草の一部をあの店と同価格でミアハに売ったらしい。いくら売ったお金をエルフの団員に返したとはいえ、素材を商売敵に渡すとはどういう了見だろうか。
それについてアミッドが怒っても、アクスは全く反省しようともしなかった。
「だって、お姉ちゃんたちだけじゃ1日に作れる量は増やせないでしょ? なら、協力してもらえば良いと思って」
「そうは言ってもエリスイスに渡すなんて!」
アミッド・テアサナーレは鉄面皮とナァーザから言われているが、実際は激情家である。普段は人を蝕む病や怪我などに対して怒りを見せるが、今回は先ほどナァーザとしたやり取りが尾を引いていた。
その証拠にアクスが『協力』と言ったのに彼女の頭の中では『ナァーザに協力した』という図式が勝手に組み上がっており、傍から事情を聞いていた団員たちも『エリスイス氏どこから出てきた?』と首を傾げる。
「お姉ちゃんのやりたいことは薬をオラリオに行き渡らせることでしょ!」
「っ! ……勝手にしなさい!」
アクスの訴えに息を呑んだアミッド。しかし、しばらく葛藤した後にいきなり話を打ち切った彼女は『ギルドへ向かいます』と言い残すと足早に治療院から出て行く。
賑わいを見せるメインストリートを歩く最中、アミッドの胸中には後悔と自責が渦巻いていた。
アクスの言っていたことはまさにアミッドの考えていることそのものであり、その為に彼が取った行動もまるっきり正しい。つまるところ、自分が間違っていることに彼女は既に気付いているのだ。
(それでも、少しぐらい相談して欲しかった。……いえ、あのようなやり取りをした後ならされなくて当然ですね)
だが、それでもアミッドは人間である。時には理性や理論とはかけ離れた思考に支配されることもある。
大人として、人を癒す
改めて客観視すると酷く醜いやり取りだったように思う。なんだか恥ずかしくなってきたアミッドであったが、無事に
***
原因としては【ミアハ・ファミリア】のナァーザである。彼女はアミッドが
お徳用
傍から見ても異常としか思えない報酬の数々。ただ、アミッドの方もそれに競り合う形で報酬を釣り上げて行き、【ディアンケヒト・ファミリア】側もレフィーヤに頼んで【ロキ・ファミリア】冒険者によるダンジョン護衛というとんでもない報酬を昨日申請したのだという。
どこからどう見ても意地になっているが、それを指摘しても『私は冷静です』と返すばかり。かなり雲行きが怪しくなってきたと団員たちが嘆く中、5日目の朝がやってくる。
最近の日課であるギルド訪問のために治療院から出ていくアミッドにアクスは無言で後を追う。本日の彼の業務はダンジョン内の往診のために2人の行き先は一緒なのだが、先日の件から全然話すこともなかった2人の仲は未だ修復出来ていない。
いつもは姉が構ってくれないことに耐えきれなくなったアクスがギャン泣きし、それを見て呆れたアミッドが彼を抱きしめて喧嘩が終わるのだが、今回は自分の言い分が正しいと思っているアクスに意固地になっているアミッドと構図が少々異なる。
そのまま何も言わずにギルドまでたどり着いた2人は黙ってそれぞれの受付に着いた。
「アクス君、なにかあった?」
「テアサナーレ氏、フローレンス氏となにかありましたか?」
『別に』
全く同じ言葉。ただ、雰囲気が全くと言って良いほど『別に』と言えるほど柔らかくはない。
特にアクスの方を対応していたミィシャが気分を変えるために色々話しくれてはいるが、いずれも生返事ばかりで全然反応しない彼に彼女はため息を吐きながらミッションの書類を作っていた。
そんな時、アミッドの方から声が上がる。
「み、ミアハ様が膝枕を!? そんなっ!」
「はい、女性冒険者がこぞって依頼を受けています。神ミアハは人気なので、仕方ないかもしれませんけど」
またしても報酬の吊り上げ。しかも今度は自らの主神すら報酬に差し出すという恥知らずにもほどがあるものだ。
流石のアミッドも『おのれ』と普段は使わない言葉遣いで憎悪を露にするが、逆にそれで火がついてしまった。
すかさず新たな申請書に色々書きこむが、報酬の部分でペンが止まる。
「あちらがミアハ様なら、こちらはディアンケヒト様の……」
──フハハハハァ! アミッドォ! これで打ちの売り上げは倍増よぉ! グワハハハァ!
「ディアン……ケヒト……様のぉ……」
──アミッドォ! 明日までに
思い出すブラックな記憶の数々。明らかに需要が合っていない報酬なため、アミッドが諦めてペンを置こうとする。
ただ、ここでアクスと目が合ってしまったことでアミッドの中にあるナァーザへの対抗心が燃え上がる。
「アクスの……膝枕……。いや、アクスを1日貸し出しに……。でも、アクスを報酬になんて……ハァー……ハァー……」
「テアサナーレ氏! なんだか目が怖いです! 落ち着いて!」
ペンを小刻みに揺らしながら焦点が合っていない目でブツブツと独り言を呟くアミッド。もはやエイナの声も聞こえておらず、葛藤しすぎなのか手袋にちょっと赤い染みが付いている。
主神を差し出したナァーザの気持ちがよく分かるが、それはそれでこれはこれだとアミッドの脳内で派閥大戦が勃発する。
ナァーザと同じ境地に立つためにもアクスを報酬に差し出そうとする悪女なアミッドと負けを認めてアクスに謝罪しながら猫可愛がりしようと提案してくる聖女なアミッドが雌雄を決する中、突如現れた第3勢力がどちらのアミッドも瞬く間に行動不能へと陥らせた。
「そうだ、私が報酬になれば……」
まさかの自己犠牲。喉につっかえていた物がストンと胃の腑に落ちるような感覚に陥ったアミッドが晴れやかな笑みで自分の1日貸し出し券を報酬として記入した瞬間。
「いい加減にしなよ。お姉ちゃん」
横から申請書が掻っ攫われる。驚いたエイナとアミッドが横を見ると、怒った表情のアクスが申請書をくしゃくしゃに丸めてポケットに突っ込んでいた。
せっかく認めていた申請書が一瞬で無に帰したため、今まで溜め込んでいたアミッドのあれこれが爆発する。
「アクス! 何をしているのですか!」
「はぁ、往診に行ってきます」
薬の扱いを誤った時ぐらいしか聞かないアミッドの怒鳴り声。いつものアクスならば身を竦ませて泣きそうな顔で彼女の方を見るのだが、今回はその声を無視して出口へ向かって歩いて行く。
そこでようやくアミッドは自制出来ないほどに自分が熱くなっていたことを自覚した。慌ててアクスの方を振り向くが、既に彼はギルドから出ている。
「あの、申請書は如何しましょうか?」
「いえ、結構です」
「あの、テアサナーレ氏。大丈夫ですか?」
「大丈夫……ではないです。……はぁ」
やってしまった。そんな思いがアミッドの腹にへばりつき、胃を蝕む。
これ以上の
***
「なにをしてるのでしょうか。私は」
夜中。アミッドはメインストリートを非常に暗い雰囲気で歩いていた。最終手段であるダンジョンで直接採集に踏み切った彼女であったが、その道中でベルと出会う。
詳しい事情を聞くと、どうやらナァーザの代わりに素材を採集しに来たらしく、考えていることが一緒だと分かったアミッドが改めてナァーザとやたら競っていたことを自覚してはアクスのあの言葉がより深く胸へと突き刺さった。
本当は1人で探したかったが、いくらLV.2でも
そんな虚無の時間を過ごしながらもようやくモンスターが屯している場所に少し生えていることを確認したアミッドたちは、苦労しながらも邪魔なモンスターを排除。ようやく採集出来たのだが、ベルと分けると片手で十分も持てるほどの量にしかならなかった。
「まさかこれだけとは」
あれだけ探し回った挙句にこれだけの成果。やはりダンジョン内でも取り尽くされたのだろうという確信と共に徒労感がアミッドの身体を襲う。そう言えばここ数日はアクスと険悪で逃げられているため、帰ってもまともな癒しにありつけないと予想した彼女は再び大きなため息をついた。
しかし、いくら少なくとも1つか2つ分の薬にはなる。もうひと頑張りと彼女が治療院の裏手から店の中へ入ると、帰ってきたことに気付いた団員が駆け寄ってきた。
「アミッドさん、お帰りなさい」
「ただいま戻りました。申し訳ありません、私の力不足で素材の方は……」
「あ、その素材の方なのですが集まりましたよ」
青天の霹靂とも思える報告に思わず『えっ?』と聞き返すアミッド。あれだけ探していた素材があるとは一体どういうことなのかと問うと、団員は論より証拠とばかりに彼女を調合室へ案内する。
「あ、団長。お帰りなさい」
「アミッド様、お帰りなさい」
調合室で既に素材の選り分け作業を行っていた団員たちはアミッドに挨拶してくるが、彼女は素材の入手経路が分からずに混乱していた。
すると、事態を察した団員が台帳を広げながらアミッドに説明を始めた。
これらの素材は全て素材不足に奔走するアミッドを含めた【ディアンケヒト・ファミリア】への
ただ、寄付といっても素材を薬にして売る関係上、受けた恩をなにもせずにいるのは不義理だと判断した団員たちの手で寄付してくれた冒険者にファミリアだけでも台帳に記載してもらい、後で纏めてお礼の品を渡すという形に収まった。アミッドが台帳をめくっていけばアクスが往診に向かわせているほとんどのファミリアの名前が治療に対するお礼の言葉と共に書かれており、彼女の目頭を熱くさせる。
そうして台帳の最後まで見た彼女だが、最後のページに先ほど共に行動していた冒険者のファミリアの名前が書かれていることに気が付いた。
「【ヘスティア・ファミリア】? もしかして、【リトル・ルーキー】ですか?」
「はい。彼からは伝言を預かっています。酷く棒読みでしたので、恐らく又聞きの伝言かと」
こんなに手に入るんだったら、お前なんかと張り合うんじゃなかった。こっちで余ったから施してやる……ざまぁーみろ。悔しがれ。
アミッドの脳内では伝言を伝えていたベルの姿が消え、代わりにナァーザの姿が映し出される。相変わらず敵意むき出しの言葉だが、アミッドの頭の中でその伝言を喋っているナァーザの顔には微笑が浮かんでいた。
しかし、嬉しい報告という物は続くものだ。『それだけではない』と言って団員はアクスがよく往診に使っているリュックサックを見せる。そこには薬草が沢山詰め込まれており、調合台に置かれている薬草と合わせるとかなりの量の薬が作れることが伺えた。
「これは?」
「アクスですよ。あいつが往診の代金に薬草を追加したんです」
なんでもあの薬草を採集する
その結果が手に負えないほど強いモンスターの襲撃から始まって、後は怪我や状態異常のオンパレード。そこをアクスが通りがかり、品薄になっていると伝えた上で薬草を代金に回復作業に従事していたらしい。
これが神々の言う『漁夫の利』というのだろうか。ただ、当の本人も流石に悪いと思って治療に使う
本当に色々な人間に助けられているということにアミッドが台帳を深く抱きしめていると、調合室にアクスが入ってきた。
「あ、お姉ちゃん。おかえりー」
「アクス。……その、色々とごめんなさ 「はい、これ」」
すっかり機嫌が戻っているアクスにアミッドが目を伏せながら謝罪の言葉をぶつけようとすると、彼は1枚のくしゃくしゃになった紙を差し出した。
それは本日ギルドに提出しようとしていた
「これでお姉ちゃんを1日貸し出してくれるんでしょ?」
「でもそれはギルドで申請されていないでしょう?」
「出来ないの?」
「内容によります」
断られてシュンと落ち込むアクス。いったい自分に何をさせようとしたのか気になったアミッドは、興味本位で彼に問いかける。
休みが欲しいのかもしれない。ならば往診を代返であろうか、それとも調合や接客?
そういえば、明日の食事担当はアクスの好きな物を良く作る団員だ。もしかしたら食事のおかずを強請りたいのだろうか。
何にせよ、自分が出来ることならご褒美としてやってあげてもやぶさかではないと彼女は思っていた。
すると、アクスの口から『明日、お姉ちゃんとお世話になった人にお礼に行きたい』と思いがけないことを告げられる。
たしかにお礼に行かねばならないが、別にアクスを連れて行く必要はない。そう思ってアクスの同行を断ろうとしていたアミッドだったが、近くで薬草の選り分け作業を行っていた団員が口を挟んできた。
「あら、アクス君。団長が最近休んでないから一緒にお出かけしたいって言ってなかった?」
「俺も聞いたな、それ。あ、これ言っちゃ駄目だったか。ハッハッハ、悪い悪い。ハッハッハッ」
「うー!」
「ハッハッハ、何言ってるか分かんねぇーや」
すかさず裏の理由を暴露する団員たち。その優しくも真っ直ぐな思いをあっさりバラされたことで大人の汚さを肌で感じたアクスは『うーうー』と唸りながら近くの団員を叩こうとするも、額を抑えられたことでその拳は空を切っていた。
そんなやり取りを呆然と眺めていたアミッド。そんな彼女に近くの団員がサムズアップを送った。
「団長、明日はなんとかするのでアクス君を見てあげてください」
「薬は我々で何とかします。大丈夫です、報酬はアクス君と団長のポカポカな光景を……おっと、いけない」
「お前はそろそろ自重しろ?」
「安心してください、アミッド様の仕事はディアンケヒト様に丸投げするんで」
やや不安な言動が聞こえたが、久方ぶりの休みにアミッドの胸がときめく。そして、そのきっかけを作ってくれた優しい弟をぎゅっと抱きしめる。
──ごめんね。
──いいよ。
こうして数日という長い時間をかけた姉弟喧嘩は幕を閉じる。
その夜、寝ているアクスを抱き上げたアミッドが自分の寝室に彼を連れて行く姿を見た団員たちは、口々に『禁断症状かぁ』と言っては微笑ましく見守っていた。
***
翌日。オラリオの至る所で調合用の作業着とは思えない華やかな格好をした聖女と『ごらいあす』という文字だけが描かれたクソダサTシャツを着た神父が見かけられたとか──。
仲が良いけど喧嘩するんだよというお話。
素材
ダンメモでは【素材】と明記されていたが、ダンジョンで採集ということなので薬草に変更しました。
アミッド
激情家なのはダンメモのリヴェリア談。今回はせっかくの薬草をあろうことか先程言い争っていたナァーザのところにちょっと売ってしまったせいでスイッチが入った。
弟とか身内の年下に謝るのって難しいよね。(仕事は別)
アクスを1日貸し出し
某勇者 ガタッ
某鍛冶師 ガタッ
某酒場店員's ガタン!
某師匠's ガタンッ!ガタガタガタッガターン!
某変態 ベルきゅんとアクスきゅんFOOOOO!
天下一武道会が始まりそう。
薬草の寄付
ダンメモでは名やファミリアを明かさずに去っていくが、一応薬にして売るのだからということでファミリアだけ記載に変更しました。
禁断症状
この後、沢山甘やかした。
ごらいあすTシャツ
アイランドヴィレッジ(オリジナル店)の商品。ビッグになりたいパルゥムに大人気(だと良いなぁ)
定価:1800ヴァリス