ディアンケヒト・ファミリアの末っ子   作:マジックテープ財布

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今回はまたしてもアミッドやディアンケヒト・ファミリアのイメージが大変変わっております。
誰テメェとか、こんなん聖女じゃないやいって人はご注意ください。

まぁ、ダンメモ時空で結構はっちゃてけるから大丈夫大丈夫

あと、5000文字です。サーセン


【小神父】アクすい

 吸う。主に空気や液体を体内に引き入れる動作のことである。具体的に例を上げるなら、外気といった生命活動に必要な措置やタバコなどの吸引系の嗜好品などが上げられるだろう。

 ただ、中には吸引系の嗜好品の範疇に留まらない物だったり、『高いリラックス効果』を求めるあまり常軌を逸した行動に出る者たちが居る。

 

 これは、とある聖女がそんなトンチキな行動にハマるきっかけとなったお話である。

 

***

 

「アクすい……ですか?」

 

「はい、アミッド様も是非!」

 

 朝の営業も終わり、昼の調剤作業に入る合間。団員の話にアミッドは耳を傾けていた。

 曰く、『アクすい』と呼ばれる行動がリラックス出来て作業効率も上がるとか何とか。しかしながら、生まれてこの方そんな言葉は聞いた事もなかったアミッドは、どのようなことをするのか聞いてみた。

 言葉の前に『アクス』がついているため、アクスが関わるのだろう。そう思って説明を待っていると、返ってきたのは彼女も思いもつかない行動だった。

 

「あ、えっと……。アクス君を持ち上げて、鼻を近づけて思いっきり呼吸するんです」

 

「……は?」

 

「ですから、アクス君の匂いを吸い込むんです」

 

 どうやら()()()()だったらしい。『お腹周りが私のジャスティス』だの『アクすいは"アクス君を吸う"の略称で、皆で作った造語』とペラペラと話す団員の話にアミッドは頭痛を覚えた。

 だが、説明の中に『皆』という単語が混ざっていたため、思い切って聞いてみる。

 

「"皆"ということは、これを行っているのは貴女だけではないのですか?」

 

「はい。マルタさんやベルナデットさんをはじめ、色んな人がやってますよ」

 

 なんということでしょう。知らない間におかしな風習が【ディアンケヒト・ファミリア】に広まっているではありませんか。

 これも働かせすぎの弊害かと頭を抱えるアミッドに、団員は『是非!』とますます仲間を増やそうという圧を掛け出したため、彼女はかなり引き気味にその申し出を拒否する。

 

「えー、人生の半分ぐらい損してますよ」

 

「半分……ですか?」

 

「あれは病みつきになりますよ」

 

 依存性が高い薬品でも使ったような顔で力説してくるが、中々エキセントリックな人生を謳歌している物だとアミッドは冷ややかな目で見つめる。

 しかし、彼女は団長。昨今は色々ハラスメントに厳しいことから、厳しい言い方を避けた言い回しを行う。

 

 ……え、そんなハラスメントなど知ったことではない最大派閥の1画(【フレイヤ・ファミリア】)が居る? あそこは無法地帯なので、論外である。

 

「アクスが嫌がることはやめておいた方が良いかと」

 

「大丈夫です。YESショタ、NO淫猥の方向なので。ルールを破ったらリンチなので」

 

「意味が分からないんですが、本当にお願いしますね?」

 

 神々のよく使うフレーズを言いながらフンスと胸を張る団員。正直アミッドには意味が分からなかったものの、なんだか嫌な予感がしたので念を押すが、どうやらやられる方も何も分からずに受け入れているらしい。

 相変わらずの警戒心の無さに頭が痛くなってくる。しかしながら、ディアンケヒトが言うにはあの警戒心の無さが一部の界隈に受けているのだとか。

 

 ただ、パルゥムらしいアクスというのも想像できない話だ。パルゥム特有の擦れた反応を示すアクスを想像してみたが、正直言って()()()()()

 そのためか、アミッドは少しばかりシミュレートした後に『あの子はあの子のままが良いですね』と聞かなかったことにしていると、庭先で当の本人を見つけた。

 お昼寝途中なのか、野良猫を抱っこしながらうつらうつらと船を漕いでいる。彼の周囲には見学しているのか、周囲に何人か集まって雑談をしていた。

 

「まだギリギリ休憩時間じゃないしな。起こすか。……頼んだ!」

 

「いや、何さらっとこっちに振ってるのよ」

 

 何やら誰が起こすか揉めているらしい。彼/彼女たちも厳密に言えばサボりなのだが、もうそろそろ休憩時間なのでアミッドは特に何も言わずにアクスを通り過ぎようとするが、彼女と話していた団員がアクスの方へと歩いていく。

 そのまま団員が人集りを掻き分けて半ば睡眠中のアクスの前に膝をつくと、両手を左右に開きながら優し気な声色で彼に話しかけた。

 

「アクスくーん、起きようねー」

 

「うん……。お姉ちゃん、ごめんなさい」

 

「いいんだよー。おいでー」

 

 少しばかり申し訳なさそうにしたアクスは、猫を放してから団員のそばに近づいていく。その警戒心を母親の腹の中に置いてきたような行動に彼の将来がかなり心配になったアミッドだったが、無事にアクスを抱き上げた団員はすぐさま彼のお腹に顔を近づけた。

 

 ──すぅぅぅぅぅぅ。

 

「あ、ズルッ!」

 

「しかも猫を抱いた後のレア状態じゃない!」

 

 一息ごとに満足そうな吐息を漏らす団員とそれを羨ましがる団員たち。その光景に自身がいつの間にか異世界に迷い込んでしまったと考えたアミッドが宇宙の真理を理解した猫のような表情で呆然と立ち尽くしていると、アクスを持ち上げた団員が笑顔で彼女の前に立つ。

 

「アミッド様もどうぞ」

 

「あ、アミッドさんもアクすいですか? ちょっとこの子が吸っちゃいましたけど、まだ大丈夫ですよ」

 

 どこかの集落の奇祭を見るような視線にも負けず、団員たちはアクスを寄越してくる。もしかしたらアクスの身体にそういった人々をトリップさせる成分が入っているかもしれないと逆に『何を言ってるんだ、お前は』とツッコまれそうな考えに至ったアミッドが一旦断ると、彼/彼女らは信じられないと言わんばかりに驚いた。

 

「1回! 1回で良いんで!」

 

「ちょっと吸うだけなので!」

 

「人生丸々損してますよ!」

 

 今度は人生そのものと来たものだ。

 そんな人生なら喜んで差し出してやる。聖女ながらにそんな罵詈雑言が腹に沸き上がったものの、完全に目を覚ましたアクスがアミッドに笑い掛けながら両手を出して抱っこを強請ってくるため、アミッドは『はいはい』と彼を団員の手から受け取った。

 

 子供特有の温かさ。それに髪の毛もふわふわで、本当に小さな犬猫を抱き上げているような錯覚さえ覚える。

 すると、そこに一陣の風が吹き抜けた。その風に煽られた毛先がアミッドの鼻先へ触れると同時に、彼女は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それは──なんとも優しい香りだった。皮脂や汚れから来るツンとした刺激臭ではなく、春先の草原に立っているかのような少しだけ青臭くも清々しい若葉の香りが彼女の鼻腔を通り抜けていく。

 気付けば頭にかかった靄のようなものがかすかに晴れ、心拍も穏やかになっている。

 

「……すぅー」

 

 気付けばアミッドはアクスの頭部に鼻を埋め、()()()の深呼吸を行っていた。

 初めは若葉の香り一色で分からなかったが、日向に干した毛布のような何とも言えない良い香りが後を追いかけてくる。もふもふとした柔らかい髪質も手伝ってか、うたた寝をしているような心地良さを覚えたアミッドが()()()の深呼吸を敢行。今度は先ほどの匂いの奥に香ばしい──穀物を焼いたような香りが鼻腔に訴えかける。

 

 そのまま何度か息を吐きながら吸い込むと、徐々にアミッドの肩から力が抜けていく。まるで心そのものに毛布を掛けられたような安心感を覚えた彼女だが、いきなりアクスがアミッドの胸元へ顔を埋めてくる。

 

「あら、見て」

 

「あれは流石に真似できんなぁ」

 

「俺たちがやったらセクハラだしな」

 

 完全に枕扱いするアクスに半分は羨まし気に見つめ、もう半分は尊みに目を焼かれる団員たち。対してアミッドは安心しきった顔で眠りにつくアクスに目を丸くしつつも、()()()()()()()()()()()()()()という称号がお気に召したのか微笑を浮かべた。

 

「まったく……、しようがない子ね」

 

 幸せそうな寝息をたてるアクスの背をアミッドは軽く叩く。数年前、もっと小さかった彼が好きだった童話のリズムで叩きつつ、自身も彼の頭を堪能する。

 良い香りに包み込むような優しい髪質。そして、腕の中から伝わってくるたしかな温もりは、アミッドの胸の奥をじんわりと温めてくれた。

 

「聖母だ」

 

「アクすいをしていたら聖母がやってきた件」

 

「誰か、絵師呼んできて! いや、私が描く!」

 

「こいつを止めろ! 俺たちを殺す気だ!」

 

「アミッドさん、流石に独占は貴女でも許されませんよ? アクス君は独占禁止法で守られてますからね!」

 

「馬鹿野郎、団長は治外法権だよ!」

 

 気付けば休憩時間に入っているらしい。騒ぎを聞きつけた団員たちが続々とアミッドの周囲に集まり、思いの丈を喚いている。どうやら彼/彼女らは『アクすいの常習者』らしいが、流石にこんなに騒がしいとアクスが起きてしまう。

 もう少し寝かせてあげたい。そう考えたアミッドは、少しばかり考えた後に行動に移した。

 

「しぃー」

 

 いつもの鉄面皮はどこへやら。まるで慈愛の女神といっても差支えがないほどに穏やかな笑みで人差し指を唇に当てるアミッドの姿に、団員たちの心臓に高負荷がかかったのは言うまでもない。

 どこまでも愉快な団員たちに、彼女は再び微笑を浮かべると治療院へと戻っていった。

 

***

 

 こうしてアミッドはすっかり『アクすい』にドハマりしてしまう。されど、団長という立場から日常的にふと『あ、今吸いたい』という衝動──発作を必死に抑え込んでいた。

 

 本当ならば、調合の合間など患者や客が居ない時を見計らって胸いっぱいに吸い込みたい。

 いや、肺では足りない。魂ごと吸い込みたい。

 もはや中毒症状のそれだったが、アクスはそういった【ガネーシャ・ファミリア】が取り締まるご禁制の品物とは違ってクリーンな存在なのでモーマンタイ。……という冗談はともかく、周囲には部下たちの目がある。団長である自分がアクスに顔を埋めて恍惚とする姿など見せられるはずもない。

 理性という名の砦を死守しながらも業務をこなしていくアミッド、ただ、それでも彼女は人間である。ルールとマナーを守って楽しくアクすいをキメる分には遠慮はしなかった。

 

「吸わ()()なさい」

 

「お姉ちゃんって最近そればっかりだよね。僕のことなんだと思ってるんですか?」

 

「うる()()()、私は団長()すよ」

 

 節度は……守っているはずである。ただ、度重なるストレスには勝てなかったようだ。

『飲酒』という安息日(サバト)を迎えたアミッドはガッツリと己の欲望を解放し、『昨日、誰かイビキすごかったな』という雑談に顔を真っ赤にし──。

 

「アミッド様、明日は争奪戦になります。アクス君がパンを焼くので」

 

「詳しく、お願いします」

 

 週に1度。保存が効くパンを作る日ということで、普段の匂いにパンの甘くて香ばしい匂いがプラスされた『激レア』を聞きつけたアミッドが争奪戦に参加。流石にこの日ばかりは普段は団長ファーストの団員たちも譲らず、熱い舌戦や権謀術数の末にアクスを勝ち取ったとかなんとか。




大人しい子供サイドにも問題があると思うの。
イメージ

【挿絵表示】


アクス
 どこぞの脱獄王のように良い匂いでもしてるんじゃないかな。
 ちなみにパンを焼成後 >> 動物と遊んでいる最中 > 平時とレア度や良い匂い度が可変する模様

アミッド
 変態的なことに目覚めた聖女。現在のことは思い浮かべてはいけない。
 この後、某愛に生きる戦士から良い匂いと思った相手は相性がいいと言われるが、自覚前なのでノーダメだったらしい。

ディアンケヒト・ファミリアの皆々様
 まぁ、ダンメモの所々などからはっちゃけてるから。こんな感じかなと。
 すべては来年の2月に決まる!

アクすい裏話1
 本当は神様による某NIKKEなすいで使われていた【ねこちゅわん】をやりたかったけど、見返したらどっかのエニュオ以上にキモかったのでやめた。

アクすい裏話2
 実地調査をするために猫吸ったらキレられ、犬吸ったら目に犬パンチされました。もうやらん。
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