さてさて、どこぞの
なにせ、決まったのは『攻城戦』。つまるところ、
いくらオラリオの周囲にはバベルが無かった時代、ダンジョンの大穴から這い出たモンスターから町や村を守る目的で築かれた防衛拠点の数々があろうとも、それは神々が『何時頃だったっけなぁ……』と記憶を忘却の彼方に投げ捨てているほど遥か古代の話。現在ではほとんど廃墟と化している。
それに、城選びはただ無事な城を適当に選択するだけには留まらない。森の中ではエルフ、屋外では『獣化』という特殊なスキルを持った獣人の独壇場といった具合に、城周囲の環境によって有利不利が出ないように気を付けねばならない。
この際獣人は置いておこう。ようは適度に状態が維持され、さらにそれぞれの種族に平等な環境に置かれている城が欲しい。
そんな都合が良い城などあるものか──と会議が始まると共にギルドの上役の1人が言ったが、それにロイマンはただ1言。『あるぞ』と地図を広げた。
シュリーム古城。正確にはその跡地なのだが、100年前ぐらいまでラキア王国が要衝として使っていた城だ。
つまり、まだ城壁といった防衛設備は生きている。多少修繕は必要だろうが、そういったことは『両ファミリア間における公平性』ということで【アポロン・ファミリア】にやらせておけば良い。
こうして、長く協議が必要と思われていた話し合いは僅か数分で決着し、ギルドは即座にシュリーム古城跡地を攻城戦の舞台に決定。即座に職員と【ガネーシャ・ファミリア】を近隣の『アグリス』という町へ派遣し、臨時の支部を建てさせるよう指示を出した。
ぱっと見では何も問題なく準備が進められているように見える。しかし、それはまったくの間違いであった。
具体的に何が準備を邪魔しているかというと──かの古城跡には盗賊が住み着いているらしく、一掃しないことには
***
「姉者、あいつらただの盗賊じゃない。一部は多分、
「やはり……か」
夜半。黒い擬装布を脱いだアマゾネス──
さらに、そんな彼らを纏めるには力でねじ伏せるのが1番だ。ゆえにLV.2以上が1人か2人……といったところであろうか。
「どうする、姉者。いっそ、このまま踏み込むか?」
「馬鹿を言うな。神々から言われているだろう」
いっそこのまま踏み込んでしまうという提案をしてきたイルタに、シャクティは呆れながら城を奪取する案を模索する。
本来であればこのまま城に踏み込んで一気に制圧するというイルタの案を採用するべきなのだが、今のシャクティたちは
神々からも『極力、城は傷つけるな』と厳命されているので、城の安全は最優先。だが、それと引き換えに盗賊が逃げ出して周囲に被害をもたらすようなことは許されない。
『どうしたものか』とため息をつきながら悩むシャクティの後ろから、なにやら小さい存在が声をかけてきた。
「イルタさんにシャクティさんを飛ばしてもらえば良いんじゃないでしょうか?」
「アクスは私を攻城兵器か何かだと思っているのか? ……イルタ、その"任せろ"と言わんばかりに腕を回すのは止めろ」
あんまりな言い草に、後ろに居たアクスを持ち上げたシャクティはそのまま彼を上下に揺らす。『あ”ーっ!』という悲鳴が聞こえるが、周囲に居る【ガネーシャ・ファミリア】や【ディアンケヒト・ファミリア】の面々は黙って成り行きを見守る。
そう。この場にはアクスを含めた【ディアンケヒト・ファミリア】の団員たちも数名混じっていた。
***
あの臨時
『最悪の想定が当たった』とアミッドやディアンケヒトに状況を報告しながら自分の手に負えないことを素直に話すと、まさか本当に攻城戦のような苛めを開催するとは思わなかった彼女たちは目を丸くした。
だが、いつまでも驚いている余裕はない。話を聞いたアミッドは、今後の方針を裏で進めていた『大規模戦仕様の方針』へ切り替えた。
アクスから問題をあらかじめ報連相してもらっていたおかげで、既にアミッドは【ディアンケヒト・ファミリア】全体への周知を済ませていた。今は合流予定のメンバーを選抜する作業と並行で、決まっているメンバーから連携訓練を現在進行形で行ってもらっている。
そのため、後は
ならば、最初に決めていたアクスを中心とした精鋭たちには彼らには先んじて現場に移動してもらい、城の実物を見ながらそれぞれの配置や動き方について話し合ってもらった方が良いだろうとアミッドはアクスたちに先発を指示。こうして急な方針転換が決まる中、アクスもアクスで新たな情報を取得したことで新たな動きを見せた。
ディアンケヒトの私室へ向かった彼は、何やら話し込んだ後に大量のヴァリス金貨が詰まった袋と共に出てくる。何のための金かと周囲が問いかけるが、『別にー』と言葉を濁しながらギルド職員や【ガネーシャ・ファミリア】と合流するために精鋭たちと治療院を出た。
その道中、
ただ、ここでようやくシュリーム古城跡を根城にしている盗賊の話を聞いて今に至る──というわけだ。
***
さて、正面切っての突撃は城に被害が出る。かといって、闇夜に紛れて1番レベルが高いシャクティを城の中へ投擲するのも駄目ときたものだ。他に案が無いかシャクティが募ると、それぞれが意見を言い合う。
「姉者。そうは言っても、"城を傷つけるな"と言われてる以上は野戦になるぞ?」
「防衛の有利を捨てるほどあいつ等もバカじゃないだろうしなぁ」
「団長や副団長ならまだしも、我々が城壁をよじ登るのも無理がありますね」
10Mもする堅牢な城壁はいくら冒険者であろうとも補助なく登りきるのは難しい。そうなると野戦しかないが、防衛拠点から外に誘い出す手立てが見つからない。
これは思った以上に苦戦するかもしれないとシャクティが頭を悩ませていると、唐突に【ディアンケヒト・ファミリア】の団員が手を挙げた。
「穴を掘るのはどうでしょう? 地下から侵入して制圧……とか」
「そんなに時間が掛けられないからなぁ……」
たしかにシャクティを飛ばしたり、野戦に持ち込んだりといったことに比べれば堅実な案だが、問題は時間だ。いくら高レベル冒険者であろうとも動けば動くだけ疲れるし、掘るペースも遅くなる。
そのことを指摘すると、彼女たちはにっこりと笑いながら自らが持っていたワンドや
「都度、私たちが回復させます。それでも不足でしょうか?」
「あ、あぁ。助かるよ」
ただ、穴掘り計画には1つだけ大きな問題がある。いくら地中を進むからと言っても多少の音が出るため、
そのことを心配したシャクティに、イルタは『問題ないよ』と告げた。
「──でな?──して……」
「あぁ、じゃあ周囲に──をして……逃げてきたやつを──」
「じゃあアクス君の槍の旗を──して……アグリスで待機してもらってるギルドの人に……」
「僕、後でフィンさんに怒られません?」
「大丈夫だ、後で弁明の手紙を送っておく」
そのままゴニョゴニョと全員で話し合い、全員の認識が揃ったところで各自は行動を始める。
【ガネーシャ・ファミリア】所属の軽装の団員たちは城の周囲に潜み、重装の団員は鎧を脱いでからスコップを手にガツガツと穴を掘り、【ディアンケヒト・ファミリア】の団員たちは穴掘りをしている彼らを魔法で癒す。
そんな集団とは別に、シャクティはアクスを抱えてイルタと共にアグリスへと引き返していった。
***
シュリーム古城跡地の中央にそびえ立つ巨塔にある玉座の間。防衛拠点としては似つかわしくない玉座に尻を乗せていた大柄の男は周囲に憚ることなく退屈な欠伸を放っていた。
「何か面白れぇことはないのか? ドニア」
「さっぱりですねぇ。商人たちもここに俺たちが居ると分かってからここを避けるように道程を変えたようで」
「潮時なのかねぇ」
ドニアと呼ばれたパルゥムの小男が小銭を数えていた手を止め、盛大なため息をつく。このところ実入りも少ないため、盗賊たちの中で不満が溜まっていっていることはこの盗賊団を纏めているゼスト・ラーグムも把握していた。
彼はオラリオ外では中々見ないLV.2。強者ゆえの奢りなのか、そろそろ新天地へ赴いて派手に暴れて実入りを良くしたいという欲望が脳裏にちらつく。
「久方ぶりにラシャプ様を探すのも悪くねぇな」
「色々暴れましたからねー。もしかしたらLV.3ですか?」
「かもしれねぇな。へへっ」
ゼストがランクアップした途端に姿をくらませた子供のような主神。十数年前の記憶でおぼろげだが、たしか『砂漠へ行く』と言っていた気がする。自分も目にしたことが無い新天地の光景と
「お頭ぁ! ぼ、冒険者が攻めてきやがった!」
「冒険者だぁ? 何人だ」
「さ、3人!」
まったくもってお話にならない報告に、ゼストが笑いながら玉座から立ち上がる。
盗賊は情報が命だが、それは
それがたったの3人。観光にでも来たのかと思った彼が姿を拝んで笑ってやろうとした際──ふと良くない予感が頭を過った。
「なぁ、そいつらって"オラリオの"冒険者か?」
「わ、分からねぇ! だけど、ヤバそうな気配がする女が2人居た!」
要領を得ないことを話してくる部下をこの時ばかりは張り倒したくなったゼスト。いくら強者の末席に座る彼でも、オラリオの冒険者だけは尻尾を巻いて逃げるしか助かる道はないのだ。
魔境とも揶揄されるオラリオでしのぎを削る冒険者たちは、文字通り
どうか偽物でありますように。遠くに居るであろう
「アババババ」
ヒューマンとアマゾネスとパルゥムという異質な構成の冒険者たち。情報収集はまったくしていないゼストでも分かった、あいつら……特にあの女2人は
そう考えた彼はすかさず大声を出す。
──偽物だと。
──囲んで潰せと。
本人はその気が全くない指示に呼応した盗賊たちが我先にと城門から出ていく。そんな彼らの雄姿を一切見ることなく、ゼストは
「──と考えているのだろうな」
一方その頃。盗賊たちに囲まれたシャクティたちだが、既にイルタによる蹂躙が始まっていた。
まるで瞬間移動したかのように姿が掻き消えたイルタが盗賊たちをなぎ倒していくのを彼女がたまに周囲の様子を見ながら見物していると、隣で立っていたアクスが声をかけてきた。
「なんで僕、金髪にさせられたんです?」
今の彼は着色剤でくすんだ黒髪から黄金色に変わっており、最近髪を切っていなかったせいで伸びた後ろ髪を1つに纏めている。服は【ディアンケヒト・ファミリア】の制服からそこらの旅人が着るような旅装に変わっており、槍もファミリアのエンブレムが刻まれた旗を取り払って普通の槍としていた。
アクス本人も姿を変えるのは全く抵抗はないものの、せめて理由を聞かせて欲しいといった様子に、シャクティは『さっさと終わらせたかったからな』と愚痴のようなことを吐いてきた。
「私とイルタだけでは女ということで舐められかねんからな。一応、LV.6で有名なフィンみたいな恰好をした人物を混ぜて怯ませたかったが……。上手くいかなかったらしい」
どうやらLV.5が2人とLV.6が攻撃を仕掛けてきたという誤解を相手に生ませ、そのまま足の速い軽装の団員たちが隠れている城外の方へ誘導したかったらしい。上手くいけば盗賊たちを一網打尽に出来、城まで到達していないので穴を埋める労力がかなり少なく済む──はずだったが。
目の前から次々と襲い掛かって来る盗賊たちを見るに、おそらく作戦は失敗だろう。『ままならんな』と呟いたシャクティは鞭を取り出し、暴れ回るイルタを迂回してきた盗賊たちに叩きつけた。
「いぎゃあ!」
「いでぇっ!」
慎重に薙いだだけで絶叫を上げる盗賊たち。彼らは
積極的に足を狙うことで盗賊たちは次々と戦闘不能になっていく。自分で移動することもままならず、地面でもがくだけの存在となった彼らをアクスは次々と厳重に縛り上げて無力化していった。
「おい、パルゥムだ! やっちまえ!」
しかし、そんなサポーター染みたことやっていると、当然ながら戦っていないことに気づいた盗賊たちが押し寄せてくる。気づいたシャクティがカバーに入るも1人の盗賊の接近を許してしまう。
「死に晒せぇ!」
今まで良いようにされてきたせいもあるのか、猟奇的な笑みを浮かべながらナイフを振り下ろす盗賊。
そんな彼の不幸は、ただただ
【リトル・ルーキー】、
これまで出会ってきたどの冒険者よりも遅い攻撃をサッと避けたアクスは、驚愕の色に染まった盗賊の目を見ながら槍を手放した。
『相手に構う必要はないの。誰だろうが、何をしてようが、自分が敵と思ったら躊躇しちゃダメ!』
思い出すのは
「このガキャ……。あれ? なんともねぇ」
腹に拳がめり込んだことで苦し気なうめき声をあげた盗賊が仰向けに倒れるが、しばらくすると何の異常もないことに気づく。起き上がって再び襲い掛かってみたものの、やはりアクスに攻撃は当たらずに盗賊はカウンターを食らうがこれといったダメージが無い。
「へっ、やっぱり力が弱いパル 「
先ほどまでの流れでアクスに力が無いから大したダメージをもらうことはないと高を括っていた盗賊であったが、まるで問題がないかのようにアクスは殴打と詠唱を続ける。
謎の詠唱と共に振り下ろされる拳とこれだけ殴りつけられているにも拘らず
(こいつ、まさか殴るごとに回復させてやがるのか!?)
攻撃した瞬間に回復するという摩訶不思議な現象という真実にたどり着いた盗賊だが、いざ分かったからと対策できることは皆無だ。
いくらパルゥムの子供でもアクスはLV.2。対して盗賊は
さらに言えば、アクスは所々に
痛みが急速に静まっていく中を何度も殴りつけられるという地獄を延々と繰り返されることに、盗賊の口から『止めてくれ』という懇願の声が漏れ出てきた。
そんなことをしていると、周囲で戦ったり拘束から逃れようとする盗賊が徐々に大人しくなってくる。
「うわぁ、回復させながら攻撃って……えげつな」
「な、なぁ……アクス? そろそろやめてやらないか?」
「なんでですか? まだ無力化できていませんが」
どこの世界に身体的な無力化ではなく、心を折る形で無力化から仕掛けるバカが居るのだろうか。実際、ここにアクスというバカが居るのだが、それはそれとして彼が仕出かしたことは意外な方向に転ぶ。
「逃げろ! 特にあの金髪のパルゥム、やべぇぞ!」
「待てぇ! 置いてくなぁ!」
余談だが、現実世界の中国には
何度も殴りつけられたことで心がポッキリ折れてしまった盗賊が幼児の様に丸くなって泣き出す様子に、我が身が1番可愛い盗賊たちは三々五々に逃げていく。しかし、既にシャクティが団員を広く展開していたために逃げ出した全ての盗賊があっけなく捕縛。外に出ていた盗賊は全滅した。
「アクス、流石に今のはお姉ちゃんに怒られるんじゃないか!?」
「自分が敵と思ったら躊躇しちゃダメってヘイズ師匠に」
「
「師匠、綺麗で優しいよ? たまに怖いけど」
すっかり敵を片付けて陣へ戻っていく最中、イルタが
***
そして、そろそろ日付が変わる頃合い。たっぷり休憩と尋問に費やしたシャクティたちがいよいよ城へ攻め込む。
「首尾は?」
「万全です。篝火を焚いて示威行為は続けてますし、穴の出口と城の抜け道には既に人員を配置しています」
「結構。行くぞ」
シャクティの激で全員は穴に飛び込んだ。舗装が全くされていない穴の中をアクス以外は中腰になりながらも進み、やがて突き当りにある梯子を上ったシャクティはぴったり閉じられている石床を一定のリズムで叩く。
「団長」
「ご苦労だった。報告を」
ずらされた石床からそれぞれが飛び出して周囲を警戒する中、あらかじめ潜り込んでいた団員とシャクティが幾度か言葉を交わす。
どうやら日中に逃げ出す算段を付けていた首領であったが、アクスの一件で逃げ出した盗賊たちが軒並み【ガネーシャ・ファミリア】に捕らえられたことで闇夜を利用して城の抜け道で逃げようと方針転換したらしい。
今は路銀になりそうな物を部下たちとかき集めて逃げ支度をしているのだとか。
「好都合だな。軽装の者は付いてこい。重装の者は尋問で吐かせて抜け道を捜索。封鎖しろ」
「了解」
情報共有が成されてすぐに移動を開始するシャクティたち。アクスはどっちに行けば分からなかったが、彼女が手を引いてくれたので黙ってついていった。
道中は高レベルの団員たちが盗賊に存在を気づかせることなく意識を刈り取り、厳重に捕縛していく。その最中にせめて主神の情報だけでも知っておこうとシャクティが
「一応、ギルドに報告しておこう。模写を頼む」
「はっ」
背中に浮かび上がったエンブレムと主神の名前を模写し終え、あらかじめ尋問で聞いていた数と照らし合わせると後は首領を残すのみ。チェックメイトが近くなってきたということで、『最後は団長が』という団員たちの声にシャクティはあまり気乗りせずに中央の玉座の間へと乗り込んだ──が。
「すみません。降伏させてください」
仕方ないのかもしれないが、拍子抜けな結末に張りつめていた全員の力が一気に抜けた。
結局、盗賊は全員捕縛。朝1番で捕まえた盗賊たちをアグリスの地下牢にぶち込んだシャクティは、後のことはギルドに任せてイルタたちと一緒に穴を塞ぐ作業に従事する。
「じゃあ、周囲を見て回ろっか」
「はーい」
その間、割かし暇になった【ディアンケヒト・ファミリア】の面々はアクスの手を取りながら周囲の地形を確認していく。
やはり、城というだけあってか外周だけでもかなり歩かなければならない。えっちらおっちらと戦闘が繰り広げられている場所に移動するのも面倒なため、アクスはどこから戦いが始まっても良いように分散する作戦を提案する。
「それしかないよなぁ」
「助っ人を入れた2方面の作戦もあり得ますので、4方向に待機するのも良いかもしれません」
「アクス君。助っ人って言うけど、そんな冒険者居るの?」
もしもの事態ということで『助っ人』という言葉を出したが、そもそも【ヘスティア・ファミリア】は助っ人が呼べるのかと半信半疑な
助っ人はオラリオの外のファミリアから1人。聞いたアクスが思わず『セコい』と言ってしまったぐらいの条件に合致するファミリアが居るのだろうか。
「多分、居るんじゃない?」
「オラリオの外だから、期待薄じゃない?」
アクスは口では自信なさげに言ったものの、助っ人は絶対居ると確信していた。
例えばメレンを活動拠点にしている【ニョルズ・ファミリア】。ほとんどは漁師でLV.1なのだが、1人だけLV.4……と自称しながらアクスの尻の感触に夢中になっていた
仮に彼女の助力を得ることが出来た場合、百人力であろう。代わりにベルの尻が危険で危ないが、背に腹は代えられないというやつだ。
だが、彼女の同僚の中には彼女よりも助っ人に適したエルフが居る。
そのエルフが奉じている女神は現在、ファミリアの壊滅の憂き目にあってオラリオから出たはずだ。実のところは壊滅していなかったわけだが、都市から出ている以上はアポロンの条件に合致している。
そうなると、あの器が小さいにも程があるアポロンが言い放った助っ人に関しての条件にヘルメスが特に異議を申し立てることなく同意したことも合点が行く……のだが、助っ人にあのエルフを呼ぶという構想はヘルメス自身がアクスに話したことである。
彼の綺麗な帽子に折り目をつけるというヤキを入れている最中に聞いたことだが、どうやらこの
今は【ヘルメス・ファミリア】が水面下で動き、配当レートの高そうな商会を調査しているのだとか。
「アクス君、なんだか悪い顔してる」
「どうせ、賭け事だろ。大方、昨日会った
ただ、そんな子供の浅知恵を見抜けない大人たちではない。そもそも、割と明け透けにアスフィに金を渡していたため、彼らはアクスが何をしようとしているのか分かっていた。
しかし、アミッドならいざ知らず、彼らも
*** これは遥か昔に起きた、とある騎士の
「南西、及び東方! 回り込まれました! 我等、完全包囲!! 退路無し、退路無し!!」
青い目のパルゥムが叫ぶ。周囲には夥しい数の魔物。もはや大地全てが魔物に変じたような有様だった。
それでも俺たちは『大峡谷』目掛けて馬を進ませる。あの憎き熱線で我らの同胞や連合を打ち払った単眼の王を滅するため、そして1騎でも多くあの勇者の──
「砲撃、来ます!」
「回避ぃ!」
フィンの号令によって騎馬たちが進路を変える。その都度
──それで良い。
俺は心配げに見て来るアルフの視線に
そうしてしばらく進んでいると、俺たちは再び砲撃に晒される。
またもや数騎が逝った。俺も今度は瓦礫で片眼が潰れたが、問題はない。アルフも先ほどの説得が利いたのか、引き続き被害が無いような報告を叫んだ。
──そうだ、それで良い。
あいつは希望だ。前を向いて走ってくれればそれで良い。俺たち
そうすることで石は──俺たちの遺志は──黄金へと変じる。
3度目の砲撃。ただ、今度は一条の熱線ではなく『散弾』だった。
灼熱の光の粒が襲い掛かり、俺はわき腹を撃ち抜かれた。揺れる視界に力が抜けていく身体。どうやら俺はここまでらしい。
しかし、奴の攻撃はまだ終わっていない。荒れ狂う散弾の雨を何とか回避するフィンだが、1発の凶弾が奴の眉間目掛けて飛んできている。
あぁ、なんとも
「フィィィン!」
「キアンッ!?」
大声を出したことで出血が酷くなるが、関係ない。赤い泡を吹きながらフィンの跨るフィネガスも追いついた愛馬に別れを告げた俺は、その背中を足場にして思い切り跳躍──真っ赤な光弾に
大輪の華のごとく俺の足が弾け飛び、今にも気絶しそうなほど痛いが
「キアン! やめろ、逝くな!」
「"前"を見ろぉ!! 進めぇぇ!」
見る見るうちに傷が治っていくフィンへ向かって力一杯叫んだ俺の意識は無理が祟ったのか、あっという間に闇に染まる。
じゃあな、
後ろのはあれです。シュリーム城ということなので、さらっとアクスの前世的な物を書きました。(詳しくは真勇蹄跡参照)
キアン
元ネタはディアンケヒトの息子。こちらも複数ある民話の中には、別名だがバロールに殺されている物も存在する。
こちらもアクスと同じ料理屋の倅。フィアナ時代の騎士で故郷の森で起こった惨劇の生き残り。
槍に弓となんでもそつなくこなすタイプだが、間が悪かったりと
フィンが新たなフィアナ騎士団を作ってからも当然参戦。最期はバロールの散弾に身体を引き裂かれながらもディムやフィネガスを回復して果てた。
とある精霊「あやつの焼く鮭は美味い。あやつの存在を知っておれば、すぐさま契約しただろう」
シャクティを投げ込む
南斗人間砲弾(人力)。多分、高レベルならできるでしょ。
ラシャプ
滑稽かつ残忍な神。episodeフレイヤでは砂漠の方に居た。
ゼスト・ラーグム
ラシャプについていかなかった残党を纏めて盗賊になったオリキャラ。現状で出会ったらおそらく団長になるんじゃないかなぁ。壊滅状態だし。
フィンの真似事
ちゃんと後日、シャクティ直々に弁明などがされます。(事後承諾ともいう)
外見はソード・オラトリア原作14巻を参照
なんか変な技が出来た。『テカゲン ムツカシイヨ』な場合に有効。相手の心は死ぬ。
なお、行動の非情さから【勇者】とは違う別の冒険者と思われたそう。