順調とはいかなかったが、なんとか無傷でシュリーム古城を奪取することに成功した一行。しかし、残念なことに仕事は始まったばかりだ。
ギルド職員は支部を置く場所の選定や建設。そして、捕まえた盗賊の管理といった諸々の雑務を限られた人員でやらなければならず、必然的に残業と徹夜を繰り返していた。たまに『ワーカーホリック怖い』と変な鳴き声が聞こえるが、多分気のせいだろう。
一方、【ガネーシャ・ファミリア】も大変だった。まずは全員で穴を完全に埋め、後は周囲の住民や権力者に根回し。空いた時間で治安維持のために見回りと、オラリオの治安維持を一手に引き受ける自警組織であることを前面に押し出した活動を行っていた。
しかし、【ディアンケヒト・ファミリア】だけはそういった準備や業務はない。そもそも盗賊が住まうシュリーム古城の奪取に参加しなければならないわけではなかった言わば
そんな具合に1日過ぎ、2日過ぎ、と時間が経過するごとにアグリスの町やシュリーム古城跡地周辺に変化が訪れる。
報告などのためにオラリオに戻ったシャクティがギルド職員の増員やアミッドたちを引き連れて来たり、【アポロン・ファミリア】が先んじて入城しては城壁や内装といった修繕作業を開始したり、突発的に出た怪我人や急病人や度々体力が尽きて担ぎ込まれてくるギルド職員を癒すという毎日であったが、その合間を縫って【ディアンケヒト・ファミリア】はシャクティたちと共に最後の調整に入る。
「アクス。この規模だと、やっぱ4班に分けた方が良いんじゃね?」
「そのつもり。編成は僕、ザクスさん、ベルナデットさん、マルタさんをそれぞれ1から4班の代表に。後は治癒魔法を使える人をバランスよく配分して、サポーター役の人も配分するのが1番かなって」
「情報の伝達と動き方は?」
「僕が指示します。連絡はこの小銃で信号弾を上げてください。色と意味は既に決めてます」
このやり取りは耳にタコができるほど前々から行われていたものの、増員としてやってきた面々に周知するためにわざと進言するザクスの言葉にアクスは考えている編成案や動きについて話す。
ザクスたち精鋭を部隊長にすること。
全体の指揮はアクスが取ること。
連絡はそれぞれに貸与予定である色付きの光を発する特別な信号弾を放てる小銃を使うこと。
待機中は定時連絡を行うこと。
以上をもって【ディアンケヒト・ファミリア】側の戦力は4等分され、各自の認識もある程度は統一化された。後は【ガネーシャ・ファミリア】の審判だが、シャクティから紹介されたのは装備も種族もバラツキがある集団だった。
「割り振りはそちらで決めてくれ」
「重装の方を集めて、激戦地の救助をする時に壁役になってもらいましょう。獣人の方にも集まってもらいます」
「ずいぶん偏ってるな」
種族や装備を分けて部隊に特徴を持たせるという手法はあるが、それだと咄嗟の場合に対応できないことを伝えるシャクティ。しかし、これは
そうして思い返せば色々
「おーい、そっち持っとけ」
「イブリー、拡声器の魔石入れ替えといたぞ」
「アー! アー! ガネーシャ様サイコォ!」
「俺がガネーシャだ!」
早朝からギルド本部の前が騒がしい──というのも、前日から【ガネーシャ・ファミリア】が来たる
未だ祭りは始まったばかりにも関わらず、少し前のグランド・デイの前夜祭と同等の盛り上がりを見せるオラリオ。通りに面した酒場には朝っぱらから様々な人や神がなだれ込んでおり、それぞれは賭券を大事そうに握りしめながら熱い思いを肴に酒を飲んでいた。
そんな酒場に1人の
「【リトル・ルーキー】に30万」
「おいおい、ファルガー。お前らしくないな」
かの【ヘルメス・ファミリア】の副団長を務めるファルガー・バトロスがこのような勝負が見えている賭け事に大穴で賭けるなど珍しい。金を確かめながら帳簿に記載する胴元が疑問を口にすると、ファルガーは小さく『文句はうちの主神に言ってくれ』と言いながら手渡された賭券を持って店を出た。
「あの神の所は相変わらずか」
オラリオの中で上位に食い込むほどの自由な神。その神の眷属は相変わらず振り回されてばかりだということを知れた胴元であったが、独り言ちるのもそこそこに次々とやって来る客をさばいていった。
「ファルガー、首尾はいかがですか?」
「団長に指示された3か所は抑えてる。後はネリーとエリリーが2か所。ルルネとメリルが1か所で賭券を確保してくれている」
そう言ってファルガーが6枚の賭券をアスフィに渡す。これらは全てアクスが渡した総額100万ヴァリスを【ヘスティア・ファミリア】にそれぞれ賭けた物で、昼からの
「たしかに。はぁ、いくら
「おいおい、アクス君とはちゃんと合意を取ったんだぜ?」
12歳の子供の金でギャンブルというのはどうにも居心地が悪い。それに関してはファルガーも同じように思っていたらしく、同意するように首を縦に振る。
すると、彼女たちの後ろからヘルメスが声をかけてくる。その手には幾枚にも及ぶ賭券が握られており、とてつもなくホクホク顔で手を上げて来るかの主神に、嫌な予感がしたアスフィは彼の手にある全ての賭券をひったくった。
「ヘルメス様、なんですか? この金額は」
「ハッハッハ。も、もちろん自分のお金さ。ホントダヨ~」
聞けども聞けども非常に胡散臭い言葉や笑いで返すばかり。おそらくはファミリア共有の資金から拝借したのだろうが、証拠がない以上は追及できないとアスフィが諦めるとヘルメスは彼女の手を取ってバベルを指差した。
本日の
***
「皆さぁん! おはようございます! そして、こんにちはぁ!」
「さぁ、子供たち! 大きな声で言ってみよう、おはようガネーシャア!」
1時間後には開戦の正午となる頃合。全ての準備が整ったステージからイブリとガネーシャが声を張り上げながら説明を始めていく。
観衆の喝采を一身に受けつつも、イブリは
「だが、今回の種目は攻城戦! 【ヘスティア・ファミリア】にとっては不利な状況だー! ……って、映像が無いと分からないか。ガネーシャ様、何とかなりません?」
「ウラノォス!」
『分かっておる。先ほどヘルメスからも要請が来た。"許可する"』
ギルド本部から神威の籠った宣言が響く。その言葉を待っていたかのようにガネーシャが指を鳴らすと、虚空に鏡が出現した。
本来はアルカナムを下界で使うのはご法度なのだが、この『神の鏡』と呼ばれる力は厳密には除外されている。千里眼の能力を有すことで遠く離れた土地であっても一部始終を見通せるこの力は、下界の催しを神々がその場で楽しむために特例が敷かれていた。
「さてさて、映像も来たところで説明を再開させていただきます!」
古城全体を舐めるように映す傍らで攻城戦の概要を説明していくイブリ。そんな喧騒の真っただ中にあるギルド周辺とは別に、メインストリート北部の僻地にある黄昏の館は静かな物だった。
「あと40分ぐらいか」
特に三首領や上位陣が集まっている応接室ではその静かさは顕著で、アイズやティオナ以外はどこか他人事のような視線で鏡を見ていた。
すると、鏡が突然シュリーム古城から離れ、複数のテントが集まっているキャンプ地を映した。【ディアンケヒト・ファミリア】の旗が揺れているために臨時の治療院というのは分かるが、応接室に居た全員は映し出された
「ブゥゥゥッ!」
「えっ! フィン!?」
「えっ? えっ? どういうこと?」
予めシャクティから手紙をもらっていたものの、あまりにも似ていることに
さらにラウルとアキが入って来ては目の前のフィンを見て再び混乱の渦に突き落とされるが、ティオネがため息交じりに結論だけを述べた。
「あれ、アクスよ? うわぁ、あの着色の仕方だと中々落ちないわよ」
「ティオネの言うとおりだよ。先日、シャクティから報告書染みた手紙が届いてね。どうやら無血開城を試みてアクスを僕に変装させたらしい……失敗したみたいだけど」
「そういうことだ。ラウル、アキ。すまないが、このことをギルドに報告して来て欲しい。一応な」
ここでさらっとネタ晴らし。事情が分かったそれぞれは納得したような顔を見せると、先ほど血相を変えてやってきたラウルやアキにリヴェリアはギルドまでお使いを頼んだ。
【ロキ・ファミリア】だけでもこの騒ぎだ、おそらく町中は急にフィンっぽい存在が現れたせいで大混乱だろう。シャクティに限ってそんなヘマはしないだろうが、ギルドに後で文句を言われるのも煩わしい。そのための措置だ。
ようやく嵐が過ぎ去ったかのような様子の応接室。フィンもすっかり落ち着きを取り戻したが、逆に知っていたはずの彼が驚いたことにガレスは疑問を口にした。
「ところでフィンよ。おぬしも手紙は見ておっただろうに、なぜあれほど取り乱した? 別に昔のおぬしと姿が似とるだけじゃろうて」
「そうだな。アルヴの
「うん、そろそろ止めて欲しいな。後生だから」
「懐かしいのぉ。"三
「当時はロキの考えに悪乗りしてたからね。だけど、いい加減止めて欲しいな」
あまりにも過去の自分の似ていたこともあってかフィンはガレスとリヴェリアの昔話の餌食となるのだが、それはまた別のお話。
そんなこんなでアクスが思わぬ姿で登場したことで神々や民衆問わず非常に盛り上がったわけだが、いよいよ開戦時間である正午がやってくる。オラリオでは大鐘が、現場では銅鑼がそれぞれ轟き、戦いの火ぶたは切って落とされた。
***
「2班、定期照明確認。3班と4班も待機中の照明が上がりました」
「こちらも信号を上げてください。色には注意してください」
城門に1番近い方角のテントの周辺では
古城を遠目から取り囲むように上げられた緑の光。『待機中』の符丁を告げる信号にアクスは返答用の信号弾を上げるように伝えつつ、単眼鏡で
そんな魔剣持ちのエルフという隔絶した戦力によって【アポロン・ファミリア】の数割は直ちに戦闘不能。ここでアクスはシャクティに出撃を進言する。
「未だ始まったばかりだぞ。見たところ、重傷になりそうな冒険者は居なさそうだが?」
見たところ、ルアンと思われるパルゥムの裏切りによってベルとヴェルフは城の内部へと入れたようだが、勝敗はまだまだ先である。
それにやられたのはほとんど近接戦闘を主とする部隊なため、未だ弓や魔法といった遠距離部隊は元気一杯だ。彼らも必死なため、街中のように力の調整を願うのはお門違い。無計画に全体で救助活動をしているところに流れ弾が飛来して二次被害を受けるかもしれない。
「アクス、話を聞いていたのか?」
「はい。なので、
事前に決めていたそれぞれの班の特色を活かした提案がアクスから飛んでくる。どうやら今回はあの偏った編成が良い方向に流れたらしいと察したシャクティは、『ちゃんと連携させるんだぞ』と助言を送りながら許可を出す。
許可が下りたと同時にアクスたちは、その場に居る
「僕たちと4班は2班と3班の抜けた穴を塞ぎます。移動しながら4班に連絡を」
「分かりました」
突発的に班を動かしたことで包囲に穴が出来たため、アクスは配置転換を指示する。すぐさま準備を終わらせた
***
そして、場面は再びオラリオへ戻る。魔剣を携えたエルフの登場から【アポロン・ファミリア】からの裏切り、そしてまさかの【ヘスティア・ファミリア】がチェックメイト寸前という事態に街中の熱気がピークに達していた。
その熱気は【ロキ・ファミリア】のホームである黄昏の館にも同様に広がっており、特にベルの訓練に協力していたティオナがアイズと抱き合いながら熱く感想を語っていた。
「すごいね、アイズ!」
「うん、もうあそこまで行ってる……」
「けっ、馬鹿ゾネス。あの兎野郎だけの実力じゃねぇのによく"すごい"なんて言えたもんだな」
しかし、そんな彼女にベートは水を差す。すっかり熱くなっていたところを冷静にさせられたティオナがベートに食って掛かるという【ロキ・ファミリア】の日常を横目に、フィンは【ヘスティア・ファミリア】に新しく加入した冒険者たちの動きやアクスたち【ディアンケヒト・ファミリア】の動きに笑みを強くしていた。
「ベル・クラネルたちはもちろんだが、アクスも動き出してるね。中々に的確だ」
「少ししか映っていないのに分かるのか?」
「分かるさ」
リヴェリアの疑問は尤もだ。
しかし、優秀な指揮官とは少しの情報で大量の情報を把握する人物が挙げられる。フィンは既にその域まで達している化け物であり、そんな片隅程度の情報だけでアクスがやろうとしていたことは手に取るように分かっていた。
魔剣の威力から見てラキア王国で過去に使われた『クロッゾの魔剣』と同等か、それ以上の品であることは明白。それを打てるあのヴェルフという鍛冶師も興味深いが、それは今は関係ない。
問題は、あの魔剣が
だからであろうか。魔剣の被害にあった城壁付近に居る部隊は、【ガネーシャ・ファミリア】所属の獣人に重装備のヒューマンが数人といった審判が着いている。
獣人の鼻や耳によって
そんな治療現場の周辺には同じく【ガネーシャ・ファミリア】の大鎧と大楯を装備した団員が壁となっており、時折流れてくる狼狽え弾や魔法から
「仕事が出来る部隊に任せる。指揮官には重要な技術だよ?」
「うっ、努力……します」
チラリとアイズを見るフィン。暗に『君もそんな立場なんだけど?』と言われていることに察したのか、彼女はひたすら縮こまる。
すると、そんなフィンの小賢しいやり取りに鼻を鳴らしたガレスがチクリと彼の痛いところを突いた。
「しかし、機嫌が良いな。アクスがアグリスへ向かって不満げだったのはどこのどいつだったかのぉ」
「そう言わないでくれ。ロキから言われた時、かなり楽しみにしてたんだ」
編成のコツや部隊を運用するうえで気を付けることなど、過去にラウルに教えた際に使用した教材などを引っ張り出し、『ついでだからラウルに教えさせて、それを自分が後ろで見て補足を入れるのも良いな』などと考えていた。
──そう、考えていた。
その結果がこれだ。
同盟を結ぶ際に言っていた荒事になった時の編成について尋ねるために【ディアンケヒト・ファミリア】に赴くと、既に【ガネーシャ・ファミリア】とギルドの職員と共にアグリスの町へ向かった後。それに加えて独自で色々調べたようで、中々鋭い着眼点もあったのか普段は客前では人を褒めないアミッドもアクスのことを褒めていた。
『ちょっとぐらい噛ませてもらっても良いだろう』と、贅沢な愚痴を出さなかっただけ許してほしい。
「だが、アクスは別派閥だ。いくら同族で目をかけているとはいっても、そろそろ自重してやれ」
「リヴェリア。仮に今のレフィーヤが別派閥で、自分のところ以外の派閥のことを一切考慮しない存在だとしても、同じことが言えるのかい?」
「言え……。言える……ぞ? アリシアたちも居るしな」
神であれ、人であれ、年長者にとって導きがいのある若者というのは激毒に等しい。心配そうに見つめるリヴェリアの後釜として最有力候補なレフィーヤの視線を見ないようにしながら彼女は言葉を詰まらせつつも、言葉を返すだけで精一杯の様子だった。
「うわ、速っ! アルゴノウト君ってあんなに速かったっけ!?」
そうこうしていると、ティオナの言葉で全員が再び鏡へと注目する。正午に始まったばかりの
直下からの魔法によって爆散した玉座の間が
常に死角へ移動しながら2本の短剣を振り回すベルに、フランベルジュでもって迎撃するヒュアキントス。LV.3とLv.2の正面衝突など目に見えてはいるが、ベルがヒュアキントスの武器を破壊したところでベートが珍しく口を開いた。
「当然だな」
「そうだな。
ベートの反応にリヴェリアは肯定する。
あの日、ミノタウロスとの死闘で盗み見た彼のアビリティの中には、『SS』と限界突破しているものもあった。ベートたちには『オールS』と噓をついたが、おそらくヒエログリフを多少読めるアイズもそれを察しているのだろう。リヴェリアの言葉に彼女は何度も頷いている。
「ベ、ベル・クラネルゥ! アイズさんだけじゃなくリヴェリア様までもぉ……」
ただ1人。尋常じゃないほどの殺気を鏡に映るベルに向けている
その後、ヒュアキントスの魔法の余波によってベルが戦闘不能になりかけるという展開はあったものの、彼らの予想は一切覆ることなくヒュアキントスは敗れた。そうなると、後は『こちらの』仕事だ。
「アクス、"全力で"頼む」
言われるまでもない。シャクティの言葉に、アクス含めた【ディアンケヒト・ファミリア】の面々の面持ちが真剣な物へと変わる。
「さぁ──、治しましょう」
***
オラリオ上空に歓声が打ちあがる。ジャイアント・キリングという奇跡にも近い結果を手繰り寄せた勝者への賞賛や、賭けに外れたことで打ちひしがれる敗者の嘆き。先ほどの熱戦を肴に飲もうと酒を注文する酔っ払いの声。
多種多様な声がオラリオ中に広がる中、未だに鏡の映像と実況は続いていた。
「さてさて、ここからは番外編! かの【ディアンケヒト・ファミリア】の
イブリの声に再び全員が鏡に注視する。そこには、数々の信号弾と共に4つの部隊が淀み無く動く姿が映っていた。
城のところどころで倒れながら痛みで口元を歪ませる冒険者たちに
やがて、怪我が完全に消え失せたことを確認した
傍から見て気持ちが良いほど順調な治療のリズムがそこかしこで展開されていき、次々と元気になっていく【アポロン・ファミリア】の冒険者たちに特に一般市民は『あれほどの腕を持つ
そんな歓声を耳にしつつ、今日も今日とて激務の中に突き落とされる
「ほーんと、あの人たちの何人か手伝ってくれないですかねー」
「ヘイズ様、アクス君が来るだけでもありがたいんですから……」
「ロナ、そんなことぐらい分かってますよ~。はぁ、また
小柄なヒューマンの部下に言われながらも、ヘイズたちは血だまりの中でもがいている
なぜか金髪になっているが、『
「しかし、育ってきましたねー。アクス君」
「でも、アクス君って杖持ってませんよね」
「ヘディン様みたいな複合って線はありますけどね~。なるほど、お高い物で釣れば。……冗談ですよ」
それはひょっとして『事案』ではなかろうか。良いアイデアが浮かんだとばかりに声を弾ませるヘイズの横で、
杖は魔法効果の増幅といった具合に様々な効果を宿すが、魔導士にとってなくてはならない存在だ。
『魔砲剣士』と呼ばれるヘディンでも『ディザリア』と呼ばれる長柄武器と杖を両立する武装を持っており、ヘイズや
「はーい、次ー」
「ほい、次」
「次の人ー」
そんな雑談をしながらも裏ではしっかり治療作業を進めていく彼女たち。心なしかその作業速度が上がっているのは、今も遠くの地で頑張っている弟子を想ってのことだろうか。アクスと彼女たちの関係について微塵も興味が無い
***
【ヘスティア・ファミリア】の勝利により、【アポロン・ファミリア】は直ちに解散された。主神であるアポロンは1柱静かにオラリオを去る予定だったが、そこにはギルドには内緒で都市を出たヒュアキントス含めた数名の姿があったとかなかったとか。
こうして
「
「オッタル様。アクスも暇ではありません。失礼ですが、1度勤務体系などを見直されてはいかがでしょうか?」
「……むぅ」
今まで数か月に1度と大人しめの頻度であったが、ここ最近は耐えられなくなってきているのか徐々に頻度が上がっている事実に、アミッドは珍しく毅然とした態度で断りを入れる。
なお、奇しくもその言葉は以前に何度かヘイズや
「それにアクスは今、極秘の
「分かった。日を改めることにしよう。……ちなみに、行先は【ロキ・ファミリア】か【ヘファイストス・ファミリア】か?」
大方、アクスの魔法に頼ったあれこれをしたいファミリアに出し抜かれたのだろうと推測したオッタルであったが、どちらでもないのかアミッドは首を横に振る。
そうなると、一体アクスはどこに行ったのか。他派閥なので答える義務はないのだが、オッタルの疑問にアミッドは治療院の玄関に展示されているブリューナクを指差しながら黙って首を振る。『ダンジョンではないが、詳しくは言えない』という仕草にこれ以上の追及を諦めた彼は治療院から出ていく。
「場所ぐらい教えてあげたら良かったのでは?」
「あの方のことですから、単身で乗り込んでいくでしょうね。そうなると非常にマズいかと」
十分あり得そうな想像をしつつ、アミッドは南方に視線を向ける。
アクスの新たな勤務先。そこは繁華街の一角に存在するカジノエリアであった。
エルドラド・リゾート編。開幕です。
賭け
ディアンケヒトが渡したのは100万ヴァリス。およそ給料数か月分である。ディアンケヒトが管理しているため、その都度彼に頼まなければならないので非常に面倒。
フィンもどき
某大切断「フィンだよね」
某剣姫「フィンだね」
某狂狼「フィンだな」
某千妖精「団長ですよね?」
某怒蛇「団長じゃないわよ」
安定のティオネである。
三
詳しくはソード・オラトリアを参照。あの人、女装したんだな。
アクスの指揮
フィンの内心ウッキウキ。だけど、できれば自分も教えたかったのでなんとかならないか悪だくみ中。
アミッド
アクスは私たちが育てました。
ヘイズ
アクスは私が育てた!
オッタル
勤務体系を直せない