45話:カジノエリア
オラリオ。言わずと知れたダンジョンを有するという特徴によって『世界の中心』と呼ばれるぐらいに発展した大都市だ。
魔石やドロップアイテムといった資源を自らの命を担保にダンジョンからとって来る冒険者。その資源で様々な製品を作る職人。そして、冒険者や職人の橋渡しやオラリオ外へ商品を輸出する商人や商会。
無論、彼らを飢えさせないようにする【デメテル・ファミリア】といった食料品を生産する者たちや【ガネーシャ・ファミリア】のような治安維持をする人間も含めれば、オラリオは都市として高い水準を誇っているといっても過言ではない。
しかし、そんなオラリオで
それは娯楽。特に神々は退屈しのぎに下界に来ているため、『変わらない日常』にはあまり耐性が無い。
そのため、神々の要望に応える形でギルドが名だたる各国や大都市に向けて協力を誘致し、それらを纏めてオラリオ南方──今では繁華街と呼ばれているエリアに集中させた。
多くの賭場が立ち並ぶカジノエリアもそんな繁華街の一角に存在し、夜になると誘蛾灯の様に数々の神や冒険者を飲み込んでは朝に吐き出すという非常に退廃的なサイクルを巡らせていた。
そんなカジノエリアの中心。かの娯楽都市『サントリオ・ベガ』が大金を使って建築されたオラリオ随一の賭博施設である『エルドラド・リゾート』を背に、ちっぽけなテントが1つ建っていた。
せいぜい数人収容できれば御の字の小さなテントではあるものの、カジノエリアのゴールデンタイムであるど深夜だからかひっきりなしに人が出入りしているという盛況具合を見せている。
その中を覗くと、1人のパルゥムが片膝をついてヒューマンの女性の足を検診していた。
「失礼ですが、この靴は初めて御履きになりましたか?」
「えぇ、せっかくだから新しい物を……って」
羞恥心からなのか言い辛そうにする女性の返答に、パルゥムは診断書を書いてから処置を始めた。幸い、軽い靴擦れだったので薄めた
「いかがでしょうか?」
「あら……、楽になったわ」
「足がヒールの大きさと合っていなかったようですね。綺麗な足に映える素敵な意匠ですが、もう少し小さくて素敵なヒールに変えることをお勧めします」
「えっ……えぇ。ありがとう」
ややドモりながら礼を言ってテントから出ていった女性と入れ替わる形で、【ガネーシャ・ファミリア】の団員がドワーフの男性をボコボコにした状態で連れてきた。話を聞くにどうやらどこかのカジノにある金庫を破ろうとしていたところを制圧したらしい。
「頼むわ、キアン」
「……あぁ、分かりました」
一瞬、心がどこかに行っていたキアンと呼ばれたパルゥムは先ほどと同じく診断書を記載した後、
やがて、ドワーフの治療が終わると次はヒューマンの男性が死にそうな顔をしている
「どうなさいましたか?」
「あぁ、昨日シャール……じゃねぇ。ロロのやつが調子に乗って大酒飲んじまってな。悪いが、強い酔い覚ましとかないか? だから仕事が始まる前に行っとけつったのによ」
「るっせぇな。そう叫ぶな」
「強い薬となると、必ず診断書を書いてもらわなければなりませんが?」
強そうな外見なので、彼らの役割や事情を察したキアンは診断書を取り出した。
いくらこのカジノエリアがオラリオでは治外法権に近い場所でも、オラリオの中ということには違いない。先ほどのような靴擦れといった軽度の怪我や【ガネーシャ・ファミリア】が連れてきた犯罪者は任意だが、もらった薬を悪用したりで混乱を巻き起こした際にはキアン自身を守るためにも『彼のファミリア』では強い薬を処方するときは診断書もセットで書いてもらうことになっている。
「おい、ロロ。お前の責任なんだから、お前の名前で書けよ」
「分かってるっ! すまんが、代筆してくれ。頭がガンガンしやがる」
「承知しました」
どうやら納得してくれたようで、
「護衛ということは冒険者の方ですか? 一般人の方なら薄めた
「あぁ、心配ない。冒険者じゃないが、恩恵は得てる」
「安心しました。それで、シャール様……でよろしかったですか?」
「いや、こっちでは"ロロ"ってコードネーム。……いや、【黒猫】って書いといてくれ。異名の方が分かりやすいだろ」
前者はかなり効き馴染みのある名前で、後者はたまに
「ハハハッ。ロロ、【黒猫】は知らないってよ! そうだよな、"表"のやつが知るわけないよな!」
「うっせーよ、ファウスト!」
「そちらの方も変わったお名前ですね」
「ん? あぁ、俺もこいつと一緒だ。"ファウスト"で通ってる。【黒拳】っつー異名も……聞いたことないよな」
再び見知った人間の名前に戯れで聞いた覚えのある異名。口では『聞いたことない』と言いつつも心の奥では疑問を浮かべていた。
異名の件については神々がつける二つ名とは違って人間がつける名前なので、得てして被るのは仕方がないことと言える。
ただ、名前は被りはあっても事情は多少異なる。彼がたまに拉致……もとい、手伝っている豊穣の女主人で働いている
意図的に隠しているのか、それとも本当に名前が被っただけの別人か。はたまた名前を騙った存在なのか。考え出したらきりがないため、判断に困った彼は一旦保留することにして薬と
「あ”-、多少楽になった」
「お気をつけて業務に励んでください」
『ありがとよ』とテントから出ていくロロとファウスト。改めて見ても彼女たちとは全くといって良いほど似ていない後ろ姿に、キアンはひたすら疑問を覚えていた。そうした出来事が起こった後もひっきりなしに患者が来るが、どれも応援を呼ぶような症状ではないために1人で対応していく。
人の波も引き始め、そろそろ朝になってきた頃。テントに【ガネーシャ・ファミリア】の団長であるシャクティが訪れた。
「アク……。キアン、すまないな。慣れないことをさせて」
「いえ、ギルドの方も忙しいので仕方がないですよ。報酬もいただいておりますので」
「そう言ってくれると助かる」
安堵した様子のシャクティを他所にキアン──別人に成りすましたアクスは荷造りを始める。
今回の
ならば、外交方面や行政方面といった窓口業務以外はどうなっているのか。
端的に言えば、
その理由は──言わずとも分かるだろう。
ただ、ここについてはいくら【ディアンケヒト・ファミリア】やアクスの往診があろうとも、『ギルドが市政に目を向けている証』としてロイマンもギリギリのギリギリまで稼働できるよう調整はしていた。残念なことに種目が攻城戦となったことで片づけに人員が割かれる結果となり、泣く泣く閉鎖する羽目になったが市民は逆に『仕方ない』と納得はしてくれている。
しかし、残念ながらオラリオ
当然ながらはっちゃけるレベルがケタ違いな場所では何かと諍いが絶えないため、『こっちの収入が減るから、早く治療施設を再開しろ』という外からの圧力にロイマンは予てより伝えていた通りに【ガネーシャ・ファミリア】に応援を出し、そこから
下請けの仕事をさらに他の存在に下請けする『孫請け』だが、【ガネーシャ・ファミリア】も
そういった経緯でアクスがカジノエリアの治療施設──と言っても、どこも賭場だらけなのでテントという質素な施設に入り込んだわけだが、ここに来る前にもギルドとひと悶着あった。
いくら最大手の医療系ファミリア所属で身元がしっかりしていても、彼は【ガネーシャ・ファミリア】とは別の派閥に所属している冒険者だ。ギルドの一存だけでは新たなファミリアを参入することは出来ず、かといって各方面にお許しの手紙を出して戻ってくる頃には元に戻っている。
そういった背景があり、アクスは【ガネーシャ・ファミリア】のキアンとしてここに居る。もちろんだが、正式に
なので、アクスには魔法を使わずに薬や
靴を厚底にして身長を多少誤魔化し、
なお、これらの変装は全てガネーシャやシャクティを含めた昔から居る首脳陣が責任をもって実行したことをここに付け加えておく。他意はない……一切ない! ガネーシャが号泣していたが、おそらく花粉症だろう。
長々と語ったが、概ねは上の決めたことに逆らえない
そんな社会人の悲哀染みた境遇に置かれながらも『
「では、この剣をお返しします」
「あぁ、確かに受け取った」
セイクリッド・オース。魔力を注入する事で斬れ味が落ちる変わった武器で、元の持ち主はシャクティの妹──アーディ・ヴァルマである。
アクスもこれをシャクティから渡された時は驚いたが、『いくらカジノエリアでも自衛は必須』という念押しでありがたく貸してもらった。やたらと『怪しい奴には近づくな』という念押しや、十数分おきに【ガネーシャ・ファミリア】が見回りに来ていたのは気になったが、何はともあれこれで本日の業務は終了。後は帰る前に──『お楽しみ』の時間である。
「今日も行くのか?」
「はい」
すっかりオフモードになったアクスに、シャクティは黙ってついて行く。最初にアクスが向かったのはカジノエリアの隅っこにある『貸金庫』であった。
ノームが運営しているこの貸金庫は有料制だが、頑強で盗まれ辛い。さらには保証もあるため、オラリオの各所でこういった施設がある。ここもその1つで、アクスは契約した際に受け取った鍵で金庫を開けた。
中にはかなりのヴァリス金貨が詰まった袋と10枚ぐらいのチップが入っている。これらの金の出所は、以前の
それらをカジノエリアへの業務開始直前にヘルメスが渡してきたため、悩んだ末にアクスはこの貸金庫に全てを保管した。
「今日は頑張ったからこのぐらい」
そんな袋から数十枚という少額の金貨を抜き取ったアクス。まるで1日頑張ったからと好きなお菓子を食べる女性団員を見ているかのような気持ちになったものの、それを指摘することなく次の目的地までアクスと歩いていく。
次に彼らが向かった先。そこはアクスの仕事場であるテントの後ろにあったエルドラド・リゾートであった。シャクティが懐から取り出した金のカードを見た門番が甲斐甲斐しく豪奢な扉を開けると、そろそろ明け方にも拘らず賭け事を楽しむ客の熱気がアクスたちの全身を舐めていく。
そんな客たちには目もくれず、彼はお目当てであるルーレットの台まで足を運んだ。
「あら、昨日振り」
「昨日、一点賭けして負けたガキか! 今日はどうすんだ?」
「おー、……キアン!」
卓に付くと、ディーラをしていた
「では、賭けてください」
「俺はここー」
「私はここね」
「おいおい、単品かよ。剛毅だな」
1から18番のローナンバーに賭ける神。奇数に賭ける冒険者。中には数字を指定して数十枚を賭ける勝負師のような貴族も居る中、アクスはルーレットの赤色の数字に落ちると予想した。
「ほんとに良いのぉ?」
「ファイナルアンサァ?」
「今なら間に合うぞー」
昨日と比べて即決なため、ルーレットを回し始める周囲が彼を囃し立てる。しかし、彼は目をキラキラさせながらルーレットを見ていたため、ディーラーは勢いよく玉を投入してから締め切りを宣言した。
「綺麗に回ってる」
「落ちる番号じゃなくてルーレット自体に興味を持つのはお前ぐらいなもんだよ」
「私どもとしましては所作を見てくれるのは嬉しいのですがね……っと、出ました」
ぐるぐると回るルーレットと玉にすっかり興味を持っていかれたアクス。
子供にとって動きながら内容が変わっていく物は得てして興味をそそられる物だ。それがいくら欲望渦巻くカジノで行われる遊戯の一種であろうとも関係はない。
賭け事の最中にも拘らず、結果ではなく動く物に夢中な子供の様子にホッコリとした空気になりながらもディーラーの宣言で結果が伝えられる。
結果は──赤の23。
「マジかぁ、くっそぉ!」
「この女神様、単発当てやがった」
「フフフ、勝利の女神が微笑んだのよ。私、神だけど」
当たり外れで一喜一憂する客に混じって当たったアクスも次の予想を始める。
そのまま1つ勝ち──1つ負け──都合3回の勝負をした後に2勝したことで若干温かくなった懐を叩きながらエルドラド・リゾートを出てきた。
「あのまま勝負しなくてもよかったのか?」
昨日もそうだが、子供らしく『遊んでいる』かのような実に無欲で健全なギャンブルをする。12歳という歳ならばもう少し欲望を前面に押し出して勝負し、結果的に負けて涙目になるだろうと考えていたシャクティはわざとらしい疑問を口にする。
「あのまま行ったら負けますよ」
「なんだ、気付いていたのか?」
ディーラーはカジノ側の人間だ。店の売り上げには敏感だし、かといって客入りが悪ければそれも叱責対象になる。そのことを【ディアンケヒト・ファミリア】での給料を全ブッパして泣きながらダンジョンに籠った団員経由で知っていたアクスは、正しい引き際を弁えていた。
おそらくはあと2回。大勝ちした場合は1回で後は負けを転がしていく方針だったのだろうと言うと、シャクティは実に微妙そうな顔をしながら『嫌な客だな』と悪態をついた。
「
「僕の神はお金に煩いですからね。むしろ褒めてくれるかと」
すると、団員とアクスのやり取りを聞いていたアミッドが不思議そうに口を開いた。
「特段、不快な臭いを感じなかったのですが……。【ガネーシャ・ファミリア】で入ってきたのでは?」
「いや、
何度か鼻呼吸を繰り返すが、特に詰まった様子はない。試しにもう1度アクスに近づいたアミッドはもう1度鼻呼吸をするが、別に嫌な臭いは感じない。
むしろ、欲したての干し草のような香りが強く、余計に眠気を誘うような気がした。
「まぁ、うちは治療院だから風呂ぐらいは入った方が良いのは確かなんだが……。おっかしいな」
「干し草の匂いがする。え、なにこの人間睡眠装置」
「そう? ちょっと洗濯とかした方が良くない?」
客商売かつ、清潔さは売り上げに直結するので仕方ないかもしれないが、ここまで明け透けに『臭い、臭くない』とか『汚れてる、汚れていない』とか言われると子供でも傷ついてしまう。『お風呂入って来る』と全力ダッシュするアクスを見送ったアミッドたちはアクスを送ってくれたことにシャクティへ礼を告げると、彼女は『
「では、皆さん。シャクティ様も仰っていた通り、風邪に気を付けて業務を行ってください」
「それ、アミッド様が1番気を付けないといけないんじゃないのですか?」
「団長、ひょっとしてそれはギャグですか?」
「むしろ、ディアンケヒト様連れてきてください。無理矢理働かせてアミッドさんを休ませますから」
何人かがアクスの臭いに全く気付かなかったため、『風邪の引き始め』を危惧し出した団員たちの熱意がアミッドを休ませる方向へ動き出す。団員たちから愛されているのは十二分に分かるが、少々気恥しくもあった彼女は照れ隠しに手を強く叩いて行動開始の合図を出した。
「つまり……。結構な数がアクス君の匂いが良いと思ってるってこと!?」
「アクスの匂いを瓶詰にしたら売れねぇかな」
「いや、流石にそれ買う奴いたら引く 「ダース単位で買う!」 ……居たよ。もうやだ、この同僚」
なお、一部拗らせたり商魂逞しい面々が先ほどのやり取りにちょっとテンションが上がったのは内緒である。
***
そうした生活をして4日目。本当は3日の約束であったが、オラリオへ戻って来る馬車の遅れがあって数時間だけ出て欲しいという要望でアクスは再びテント内で過ごしていた。
しかし、4日目ともなると色々ルーチン化してくるためか、準備が早めに終わった。カジノは営業を開始しているものの、本格的に稼働を開始するまで時間があれば怪我人や救急の人間が来るのも疎らなので時間が有り余っている。
手持無沙汰になったアクスは荷物の中から
思い出すのは数日前の
──と格好つけたは良いものの、そういった人物にあまり心当たりはない。アミッドも
そうなると、
「オッタルさんは……除外で」
ふと、団長繋がりでオッタルの名前も頭に過ったが、どんなに頑張っても『自分が率先して向かえば、誰かしらついてくるだろう』以上の回答が出てくる気配がなかったために除外した。
しかし、いつまでも1人遊びをしていると段々空しくなってくる。外の空気を吸いながら適当に時間を潰していようとテントの外に出たアクスが周囲を見渡していると、見知った顔が誰かと歩いていた。
「あれ、シルさんだ」
胸元を大胆に開けたドレスで着飾ったシルが、やや線が細い男性と腕を組みながら歩いている。一見すると貴族の夫婦のような出で立ちだが、アクスはシルの相手側に興味を持った。
これでもアクスは【ディアンケヒト・ファミリア】の
そういった理由から、アクスはシルと一緒に居るエルフは女性であると結論付けた。
「あの髪のエルフの女性……。リューさん?」
そうなると、必然的にシルのお相手も決まってくる。あの髪色かつ、シルとあそこまで仲が良い人物と言えば1人しか居ない。
なぜあんな格好をしているのかという疑問に至っては『彼女もそういったおめかしをしたかったから』という投げやりな感想になってしまうが、ここであったのも何かの縁。挨拶ぐらいはしておこうとアクスはシルたちに近づいた。
***
「やっぱり、アクス君を連れて来たら良かったかな」
「まだそんなことを言ってるのですか」
今日になって何度聞いたかも分からないシルの提案に、私は隣で残念そうな表情を浮かべる彼女に呆れの視線を向ける。
今回、私が請け負ったとある少女の捜索はどうやらかなり根深いみたいだ。さらに裏で手を引いている人物は、私の考えが正しければ大抗争の時まで遡るほど因縁深い相手。あの時はアストレア様の計らいで許されたが、その恩すらも忘れて更生の機会を不意にした。
いくら正義を語る資格のない私でも、今回ばかりは別だ。
そのため、エルドラド・リゾートに潜り込むためにシルの伝手で入手した招聘状を使わせてもらい、私はアリュード・マクシミリアン伯爵として、シルはシレーネ・マクシミリアン伯爵夫人としてこうして潜入している──が。
「あ、あなたも私と同じことを思ってる」
「シル……。シレーネ、人の心を読まないでください」
手に持った扇で口元を隠したシルが優雅に笑う。まるでこちらのすべてを見透かすような笑みに私は内心を吐露した。
たしかにそこかしこから既婚者に向けるべきではない不埒な視線を感じる。その都度牽制をかけても少し歩いた端から同じような視線が纏わりついてくるため、いい加減手間になってきた。
こんな時、たしかに子供役としてフローレンスさんが居てくれた方が助かったかもしれない。子供としてならば招聘状は必要ないだろうし、適当に付き合ってもらった後で解散すれば角が立たないだろう。
しかし、もうカジノエリアに入ってしまっている。もはや引き返すのは困難だと自分に言い聞かせた私が周囲を警戒しながら進んでいると──。
「リューさん」
「っ!」
いきなり本名を呼びかけられたことで、私の心臓は緊張によって高鳴った。
バレた。この変装に不手際があっただろうか。やはり、男装は無理があったのではないだろうか。
いや、今はそんなことを考えている暇はない。何とか誤魔化さなければ……。
「んんっ! 私はアリュード・マクシミリアンです。そのような名前では……」
この場を凌げるほど冴えた考えが纏まらなかったが、せめて『他人の空似』と穏便に済むことを祈りながら私は意識的に低い声で話しながら振り返る。
しかし、後の言葉が続かなかった。
数年前に喪った鈍色の正義。彼女とならもっと高く飛べると確信した瞬間にもがれた己の片翼。私に正義の1つを教えてくれた大切な人。
そんな彼女と似た姿の子供が立っていた。
まーた1人の脳壊してるよ、このパルゥム。
キアン
前世とは全く関係ありません!
なお、偽名の発案者はディアンケヒト。曰く、ティンときたそう。
亡き妹や亡き団員と似たような恰好をさせる変態と変神
しゃあないんや。将来有望なアーディちゃんが自爆テロとか言う救いようのない結末を迎えたところにその子のスキル引っ提げてきたんや。そら、そうなる。
なお、アクスは『アーディお姉ちゃんの剣だー』と暢気に素振りしてた模様。
ルーレット
珍しくディーラーが懇切丁寧に説明してくれたにも拘らず、初日は単数賭けして敗北。
このパルゥム、某パルゥム仮面のせいで時流は多少読めるが基本的に賭け事に弱いのである。
アクスの香り
ペットのお腹とか肉球とか良い匂いするよねという話(雨の日は地獄)
アクスのは、形容するならば干したての藁や草原の匂い。デメテル・ファミリアの所に行ったら土の匂いをさせて帰ってくる。
なお、アクスはたまにパン焼くこともあり、その香りにアミッドはアクスを抱きしめながら即座に眠りに落ちたという逸話も持っている。
????「なんですか、まるで私が変態みたいじゃないですか」
リュー・リオン
カジノ回の脳破壊担当
シル・フローヴァ
某猫に探させたが、当日見つからなかったので子供役はあきらめた。