片や数年前に死別した友とかなり似た外見の存在と出会い、片や痙攣したかのように震えながらも険しい視線を向けている男装の麗人の姿に碌に動けずに突っ立っているという状況に置かれた3人。
しかし、先にもあるように3人のうちの2人は碌に使い物にならないため、必然的に残り1人──シルがこの状況を打破することとなった。
「あなた、ちょっと足が痛いの……」
「っ! それは大変だ。君、どこか休めそうなところは知らないだろうか?」
「では、こちらへどうぞ」
咳ばらいをしながら足の不調を訴えたシルに、ようやく平静を取り戻したリューが彼女の起点に乗る形で目の前のパルゥムに問いかける。その問いかけに彼はシルに気遣いつつも、テントへ案内する。
そんな怪我人への対応に一瞬だけ既視感を感じたリューは、『はて?』と思う。しかし、シルが呼びかけたことで気のせいだと断じた彼女がテントに入ると、そこには先客が居た。
「アク……キアン。いくらもうすぐ終わりだとしても、安易に持ち場を離れるな。……っと、申し訳ない」
「いえいえ、この方は私の足を気遣って迎えに来てくださったんです。あまり悪く言わないであげてください」
「なるほど。重ね重ね申し訳ない。こちらの早合点だったようだ」
【ガネーシャ・ファミリア】の団長であるシャクティの姿にリューの背中から冷たい汗がどっと出てくるが、その一方で相方が申し訳なさそうに彼女へ謝罪。シャクティ側もホストに謝罪させるという面倒ごとを避けたかったのか、穏便に済ませていた。
内心ではバレないように彼方に居るアストレアに祈っていたリューであったが、シルもシルでこの展開は流石に読めなかったのか内心慌てていた。
「どうぞ」
「あら、ご丁寧に」
椅子に綺麗なタオルを敷いて衣服が汚れないようにする配慮や靴を脱がす時に『失礼します』と一声かけるといった所々に滲む
事情を話せれば良いのだが、この場には【ガネーシャ・ファミリア】の団長であるシャクティが居る。安易な声掛けは即座に悪手となってしまう。
「失礼、ミスター。招聘状を見せていただけないだろうか?」
「あ、あぁ」
それぞれがこれからどうやって状況を打破するべきかと考えていると、何やら考え込んだシャクティが唐突に招聘状を見せるよう伝えてきたため、リューは多少緊張しながらシルから借りた招聘状を手渡す。リューの目からしても印章も筆跡も紙質も綺麗に纏まっていたので偽造とは思えないが、かの【ガネーシャ・ファミリア】の団長が直々に検査しているというこの状況が非常にマズかった。
ただ、リューの心配を他所に軽く検査をしたシャクティはふぅと息をついてから招聘状を返却する。
「たしかに本物のようだ。失礼した」
「誤解が無かったようで良かった」
「あぁ、お前の本名がアリュード・マクシミリアンなんて知らなかったぞ。
リューを通り過ぎたシャクティがテントを締め切った途端に彼女の正体を告げる。心の準備も出来ずに正体が露見したことでリューが目を丸くさせつつも、いざとなればシルを守るために後ろのパルゥムを人質に取ろうとシャクティの前に立ちはだかる。
しかし、そんな彼女の行動にシャクティは『待て』と制止させる。戦闘の意思が無いことを話したシャクティは再びテントの周辺を見やり、誰も居ないことを確認してから改めてリューと相対する。
「訳アリなんだろう。話せ」
「シャクティ、良いのですか?」
「
情報交換をするべきか悩むリューに、シャクティはエルドラド・リゾートの方向を見ながら事情を話すように促す。このことから【ガネーシャ・ファミリア】が水面下で動いていることに気づいた彼女は、意を決して今回頼まれた
そこらの人間に話せば一笑に付されるか、治療院への通院をお勧めされるほどの十把一絡げな話をリューはツラツラと話していく。しかし、シャクティはそれについて一切口を挟まずに聞き入っており、リューの口からすべてが語られると『遅すぎるか』と自分の髪を乱雑に掻き毟った。
「リオン、今日の目的はその娘だけか?」
「出来れば彼女だけではない存在も助けたい。後は、首謀者も……縁があります」
この案件はとてつもなく大きな『闇』だ。そのため、彼女が首を突っ込んだ発端となったのは1人だが、実はかなりの女性が被害に遭っている。
そのすべての奪還を望むリューに、シャクティはテントの隅からカジノエリアの地図を取り出した。
「お前のことだから、一般人を連れて徒歩で脱出は考えていないだろう。迎えはどこで待っている」
「ここの路地です。そこに口が固い御者の馬車を待たせています」
「では、ここから……ここの警護は私が受け持つように配置を変える。ここを通ってくれたら【ガネーシャ・ファミリア】は何も手を出さないことは約束する」
印をつけながら助言を加えるシャクティに初めこそ戸惑うリューであったが、素直に感謝を告げると『止めてくれ』と彼女が断って自らの心中を吐露した。
【ガネーシャ・ファミリア】は精強で所属する人数も多い。だが、それゆえに警戒もされやすければ動きも取りづらい。
今までカジノ側が何やら怪しい動きや趣味の範疇と片付けてはならない事態は察知できたものの、踏み込む準備も未だ万全ではなく、さらにはリューから知らされた
「だから【ガネーシャ・ファミリア】の団長としてではない。シャクティ・ヴァルマとして友に協力するだけだ。だから、すまないがギルドやカジノからの通報があれば容赦はしない」
「はい。それだけの確約をもらえれば十分です。ありがとう、シャクティ。……それにしても、随分と
情状酌量の余地がもらえただけでも御の字だとリューが笑う──が、ようやく落ち着いたことで1番の疑問点が今更になって湧き上がってくる。
今もシルの足の治療を行っているあのパルゥム。背格好からして【ディアンケヒト・ファミリア】所属の町中に出没する
それにあの装備や姿に
そしてなによりシャクティがこの場に居ることを良しとし、なおかつシルもシルでやけに彼と仲が良いように伺える。
「まさかとは思いますが、大抗争の前にアーディは一児の母に……」
「歳を考えろ、ポンコツエルフ」
「こちらも悪かったので聞かなかったことにします。それで、誰なんですか?」
冗談はともかくとし、特に見覚えのある出で立ちのことをやや強めに聞く。すると。シャクティは明後日の方向へ視線を向けた。
「アクスだ」
「は?」
「だから、アクスだ」
「そうだよ、リュー。アクス君だよ? せっかく子供役で潜入しようとしてたのに、無駄になっちゃった」
初耳な情報を聞かされて首がねじ切れる勢いでシルの方を向くアクスはともかく、リューは目の前でひたすらそっぽを向き続けながらアクスが変装しながら手伝ってくれる理由について説明するシャクティに憐憫の視線を向ける。
ギルドが忙しい状況なのはリューも
そして、治外法権に近いカジノエリアということで色々面倒くさいことも十分に分かった。
「ですが、なんでアーディみたいな格好をさせてるのですか?」
「いや……まぁ……そのだな。が、ガネーシャが率先してやったんだ。本当だぞ!?」
「武器はシャクティが大切に保管していると聞いてますが?」
「た、たまには使ってあげなければ可哀想だろう!」
しどろもどろで理由を話すシャクティ──否、リューの目には
「リューさん、多分僕のスキルが関係してる」
「スキル?」
そう言ってアクスは手近な羊皮紙に文字を書き出した。スキル名も
「これは本当ですか?」
冗談と思えるぐらいの名前。シャクティの方を見ると強く頷いていることを見るに、おそらく彼女もアクスのスキルを以前に見聞きしたのだろう。
これならば仕方ない……のかもしれない。これならばガネーシャも張り切る……のかもしれない。
「それでも、やり過ぎでは?」
ただ、それらの事情を加味しても、『やり過ぎてしまう』ことが玉に瑕なリュ-でさえもやり過ぎと思えるほどの変装に彼女が呟いた。
しかし、それがシャクティにとって地雷だった。手を強く握りしめながら頻りに『分かっている』というその姿は何とも痛々しい彼女であったが、不意にこんなことを言ってきた。
「もうあいつは帰ってこないところに"あれ"を見せられたんだ。アリーゼたちを失ったお前も分かると思ったんだがな」
「っ! ……軽率でした」
未だ自らに課した『旅』を終えていないリューからすれば、アクスのスキルはひたすらに遠く──眩しかった。仮にアクスや他人がアリーゼたちの正義に感化してスキルを伴ったことを耳にすれば、うっかり倒れ込んでしまうかもしれない。
冒険者は肉体的に頑強だが、心の弱さは鍛えなければただの人間だ。そのことを思い出したリューがシャクティに謝罪していると、何やらアクスが小さなカギをシルに渡していた。
「シル、何をもらってるのですか?」
「あ、リュー。資金についてだけど、何とかなりそうだよ」
嬉しそうにシルが小さなカギを見せる。小さいながらも意匠が散りばめられたカギと括り付けられたタグを見るに、どうやらカジノエリアにある貸金庫のカギ。彼女の話の流れから金銭でも入っているのだろうが、
「いくら入っているのですか?」
「教えてもらったけど、教えなーい。言ったらリューは絶対受け取らないもん」
チロリと舌を出すシルに、リューは呆れの範疇を通り越したのか無表情になる。
ここでアクスが嘘を言っているという可能性を示すことが出来ればまだ良かった。だが、本人が嘘をつくメリットはどこにもない。そしてなにより、このパルゥムは彼女が今まで見たどのパルゥムよりも善性に富んでいることは長年の付き合いからよく分かっている。
あるかないかと問われれば、間違いなくこの金庫の中に資金が──それもシルが『軍資金は何とかなる』と言わしめるほどの金額が入っている。ダンジョンで荒稼ぎできなかったために軍資金が心もとなかったのもあってか、リューの心は少々揺らいでしまう。……が、シルから取り上げたカギをアクスへ返した。
「ちゃんと無利子ですよ?」
「いえ、駄目です。これはあなたのお金だ。自分のために使うべきです」
「なら、より一層リューさんに貸さなきゃならないです。僕はリューさんがこれから何をするのか知らないけど、アストレア様と【アストレア・ファミリア】の正義は知ってるつもり。それに、アーディお姉ちゃんなら"こういう時は自分に素直になった方が良い"って言うはずだから、僕はリューさんを助けたい」
自分が奉ずる神と仲間たちの信条。そして、友が言いそうな言葉を汲み取った言葉にリューはぐっと唇を噛み締める。
いつの間に彼はこのようなズルい子になってしまったのだろうか。ここまで言われれば受け取らないわけにはいかないではないか。
しかし、ここまで言われながらもリューは尚、首を横に振る。エルフとしてのプライドの高さだろうか、それとも【アストレア・ファミリア】としてのプライドだろうか。その心は彼女本人にしか分からない。
だが、先ほどシルと話して軍資金について問題があると聞いていたアクスとしては困ってしまう。仮に軍資金不足が原因で闇が払われなかった場合、この騒動が基点でオラリオに『暗黒』が立ち込めるのは
ゆえに──
「まぁまぁ、エルフ様は本当にお堅い存在でございますねぇ」
「……アクス、その
堤を切ったように罵声を浴びせるアクス。
しかし、言っていることはまともだ。この闇を払うためには1ヴァリスでも多くの金が必要不可欠。いくら返す金額が膨大であろうとも、貸してくれる存在が子供ということで恥ずかしかろうとも、『足掻かない』という選択肢を取れるほどリューは恵まれていない。
「分かりました。受け取り……ますっ!」
口から血を吐き出すかのような葛藤を経た末、リューは震える手でアクスから鍵を受け取る。そのままシルを連れて貸金庫へ行こうとする彼女であったが、アクスはそんなリューを止めて『念のため』と少し前の出来事を話し出した。
「ルノアさんとクロエさんってご兄弟とかいます?」
「いえ、聞いたことがありません。シルはどうですか?」
「ううん、私も聞いたことない。アーニャはお兄さんが居るみたいだけど」
どうやら心当たりがない様子の2人。患者のことなので深くは言えなかったが、アクスは以前にルノアたちが口を滑らせた異名と
なお、ヒューマンと
「貴重な情報、ありがとうございます」
「あぁ、くれぐれも【ガネーシャ・ファミリア】に見つかるんじゃないぞ」
改めて念押ししたシャクティにリューは黙って頷きながらテントを出る。相変わらずの堅物直情型のエルフに、残されたシャクティとアクスは一仕事終えたような息をつくのであった。
ただ、まるで変態を見ているかのような冷めた目で見たことは許さん。そう思ったシャクティの心は『バレなきゃ良いが』という心配と『バレたらバレたで痛めつけてから頃合いを見て脱出させる』というやる気の2つあったりするのは彼女だけの秘密だ。
***
リューたちがテントから出て行って数時間もしない内にギルドから出向してきた
『それでも』とお詫びの品を持ってきたため、ありがたく受け取ったアクスはシャクティに業務報告をしようとエルドラド・リゾート周辺に赴いた。
先ほどのやり取りがあったためか、カジノの周囲は他のカジノと比べて守衛がかなり少ない。それでもオラリオのメンツ的にも何人か巡回しているみたいだが、それでも必要最低限といった感じだ。
そんなカジノの裏口。特に侵入者が出入りしやすい場所にシャクティは立っていた。
「シャクティさん」
「っ!? あぁ、キアン。いや、……もうアクスか。すまないな、このようなことを頼んで」
何やら驚かれながらも寂しそうにする彼女の目を不思議そうに見つめつつ、アクスは業務終了の報告をしながらセイクリッド・オースを返そうとする。
しかし、シャクティはその剣を掴もうとしない。さらに、あろうことかアクスにとある『
「アクス、リオンの援護に行って欲しい」
「賊になれと?」
「有体に言えばそうなる……が、安心しろ。これはサントリオ・ベガ側が一方的に悪い」
まさか『犯罪者になれ』と言われるとは思わなかったアクスが目を剥くが、それをシャクティが優しく諭す。
リューの話では、この事件の裏側に居るエルドラド・リゾートのオーナーである『テリー・セルバンティス』は偽物。以前は暗黒期に汚い手で色々悪どいことをやっていた『テッド』という小悪党で、【アストレア・ファミリア】の活躍でお縄──となる直前にかの主神が赦したらしい。
「私も半信半疑だったが、思い返せば色々合点が行く」
「よくバレませんでしたね」
「あぁ、アクスはそういったことには疎いんだったか」
アクスはまだ12歳である。そんなダーティなことなど知る由も無いのに、この団長は彼を何だと思っているのか。はなはだ疑問だが、今はそんな問答をしている暇はない。
改めて、何で今までオーナーが別人なのにバレなかったのか──簡単だ。
身分証明など大勢の者が『本人だ』と言ってしまえば真となる。後は定期的に来る査察官には高い賄賂を払って懐柔し、訪ねてきた知人友人もなんとか懐柔して友達の
それでも懐柔できなかった友人や査察官に関しては──『事故』に合ってもらえば闇に消える。
なにせ、オラリオの外にもモンスターは居る。適当に巣に投げ込めば、後はモンスターが勝手にやってくれるというお手軽さだ。
「私たちも不審に思っていたんだ。書類が過去と照らし合わせておかしい部分があったし、金の流れが不透明な部分もあった」
「でも、サントリオ・ベガから出向してきた人物だから無暗に捜査が出来ないと?」
「あぁ、以前に偶然保護したテリー氏の知人からサントリオ・ベガ側を調べてもらったりしてな。そろそろ証拠も集まってきたから準備をしていた……といったところでな」
気苦労を多分に含んだ息を口から外に出しながらシャクティはエルドラド・リゾートの外観を見やる。高レベルな彼女の聴力がカジノにしてはかなり毛色の異なる騒々しさを知覚した時、彼女たちの下に【ガネーシャ・ファミリア】の団員が駆けてきた。
「シャクティ団長! エルドラド・リゾート内で混乱が起こっています!」
「分かった、一旦混乱を収めるぞ。
どうやら
ホールへ入ると既に混乱は最高潮といったところ。ゲームをするためのテーブルの悉くが破壊され、人が舞い、散乱したチップを客がいそいそと回収する様が見受けられた。
その混乱の中にベルやモルドといった見知った人間が暴れているのが気にはなったものの、アクスはホールの中で特に豪華な作りとなっている扉へ走り出した。
「外には出るな!」
「出しなさいよ!」
「そうニャ! ウチに帰すニャァ!」
扉の前では何やらドレスに身を包んだ女性たちがエルドラド・リゾートが雇用しているスタッフと取っ組み合っている。シャクティから告げられた依頼の内容はオーナーの確保だが、あの混雑具合では素通りすらも出来そうにない。
バレたらアミッドから
「イデッ!?」
「イッッ? なんだぁ!」
「今ニャ!」
「家に帰せぇ!」
ファルナを刻んでいないスタッフのためにかなり手加減をしたつもりだったが、いきなり脛を蹴られてバランスを崩した彼らが女性たちの波に呆気なく飲み込まれる。彼女たちもいきなり勢いが弱まったことを不思議に思っていると、前に居たパルゥムが『大丈夫ですか?』と尋ねてくる。
「だ、大丈夫です」
「なら良かった。あ、ちょっとお待ちください」
反射的に答えてしまったものの、未だに正体不明な彼に警戒心を露わにする女性たち。すると、アクスは一様に彼女たちを見てから近くで倒れているスタッフの手袋を拝借し、自分の手にすっぽりとはめた。
「怪我をしていらっしゃいますね。
「あ、ありがとう……ございます」
「家に帰れると良いですね」
そう言いながら次々と
あとはスタッフも──と治療しかけるが、彼女たちが鼻息を荒くしながら『必要ない』とを伝えられたため、アクスはさらに奥へと進んでいく。行く先々で倒れているスタッフが居たものの、ドレスを着た女性たちに言い含められていたこともあって無視して進む。
すると、道中で慣れていなさそうに走るシルが目に映った。
「あれ、シルさん。なんでこんなところに?」
「リューを追いかけてるの!」
話を聞くと、どうやらオーナーを追っていったらしい。冒険者ではない彼女が仮に男性に遭遇してしまった場合は危険だと判断したアクスは足を緩めながら足元を気遣っていると、いきなり立ち止まったシルが屈んだ。
「シルさん?」
「アクス君、私に構わず先に行ってリューを助けて欲しいの」
アクスの目を見て頼みごとを伝えるシル。こちらを見透かしてくるような目に多少怖気づいたものの、テッドはリューが手こずるぐらいの強者なのか疑問に思った彼が問うと、シルは『違う』と答える。
「じゃあ、どういうこと?」
「リューはまだ旅の途中なの。それは1人で超えなきゃいけない大事な大事な旅だけれど、今のあの人はとっても疲れてる。だから──」
「よく分かんないけど、分かった」
ひそひそとアクスに注文を出したシルはアクスを見送る。正直、話の前半はまったく分からなかったものの、最終的にどうすれば良いのかをシルが具体的に教えてくれたためにそれをアクスはリューが残した形跡を辿っていった。
***
魔法で
射殺さんばかりの視線で私を見ているが、それは私も同じこと。アストレア様の慈悲を無視し、あまつさえこのような大きな悪事を働いていたことに私も彼と同等の憎悪をこの身に秘めている。
そんな彼の視線の先には先ほど放った私の魔法で蹲るアンナ・クレーズの姿。彼女には申し訳ないことをしたと反省する半面、彼が次にやってきそうな一手を予測しながら足を動かす。
「このまま……このまま終われるかぁ!」
激高したテッドがアンナ目掛けて手を伸ばしてくる。しかし、
テッドが触れる前に私は彼女のか細い腕を引く。一般人なのでガラス製のグラスを扱うかのように丁寧にしたつもりだが、どうやら勢い余ってしまったらしい。抱き止める形になったが、アビリティの力でバランスを保ちながらアンナを背後に隠す。
無論、容赦はしない。下種の肌に触れるのは癪なため、手袋を装着しつつも走り寄って来るテッドに合わせて体勢を整えて攻撃を加える──その時だった。
──リオン!
懐かしい呼び名と共に私の視界が鈍色に染まった。
アクスが居ることで原作とは違ってシャクティが予め便宜を図ってくれました。
ルミエール
光という意味。ダンメモ『ファミリアクロニクル episodeリュー』の主題歌
貸金庫の鍵
2700万全ブッパです。なお、某白兎のおかげで倍付どころの騒ぎではない模様。
アーディ、一児の母説
アルペックスさんの感想にティンときただけやねん。しゃあないねん。
でも、あの人が母親ならガネーシャ・ファミリアはさらに強火になってたと思う。
地味に
無論、後に助け出された女性たちからガネーシャ・ファミリアに『あのパルゥムは誰?』という問い合わせが殺到。シャクティの胃に痛烈なダメージが生じる。
よく分かんないけど、分かった
アクス君は普段はポンのコツだけど、医療とか人の弱ってる部分が関わると察しが良くなる系の妖怪です。
──リオン
シルの差し金