62:開戦
遮蔽物が全くない荒野に紅の団旗が乱立している。オラリオでは見かけないエンブレムの旗だが、それもそのはず。かのエンブレムを持つファミリアはアレスファミリア。世間では『ラキア王国』という名前で知られている軍事国家である。
「行け、我が勇敢なる兵士たちよ! オラリオの冒険者に、ラキア王国の力を見せてやれ!」
『うおぉぉぉ!』
兵士たちの先頭に立つ赤い鎧を着た偉丈夫の号令により、彼らは雄たけびを上げながらオラリオへ進軍する。
駆けていく兵士はさながら1匹の巨大な生き物の如く動き、雷鳴と見紛うような勢いのある馬蹄の音が未だ遠いがオラリオ市民の耳にまで届いた。いくらダンジョンでモンスターを相手にしのぎを削っている冒険者であっても、この人数の騎馬や兵士たち相手では為す術も──。
「ぬぅぅんっ」
『ぎゃあああ!』
──為す術も。
「そらぁ!」
『うわぁぁぁ!』
為す……術……も。
「ちっとは骨のあるやつは居らんのかぁ!」
『ひえぇぇ!』
前言撤回。全くの余裕で迎撃していた。
開戦初日における最初の攻撃ということで数百とかなり大盤振る舞いしたのだが、ガレスの放った1撃によって半分ほど一気に戦闘不能となる。
衝撃に馬から転げ落ちる者。砕かれた大地から飛んできた石礫に当たる者。驚いた馬から放り出される者。経緯は様々だが、部隊の半数という損害に『相変わらずオラリオの冒険者おっかねー』と独り言ちた指揮官は隣の兵士に撤退を指示する。指示を聞いた兵士も先ほどの独り言について同意するように渋い顔をしながら頷くと、角笛にて抑揚をつけた音を何度か鳴らして前線に指揮官からの指示を伝達させた。
その符丁の意味は『全力後退』。それも部隊の後方に集合させるのではなく、後方よりも後ろにある本陣に駆け込むという対オラリオで幾度となく使われた符丁だ。
「逃げろーっ!」
「敵いっこねぇよぉ!」
その音を聞くや否や、
その見事な
「では、我々は取り残された方の救助に向かいます」
「あぁ、頼んだぞ」
「では、行きますよ。トレオさん、リーネさん」
性懲りもなく変な神からおかしなことを仕入れてきたのだろう。アクスはやや高めの声で名前を呼びながら大きな荷車を前進させる。
そのまま道すがら倒れている兵士や騎士を荷台に詰め、馬を治癒魔法で回復させていったアクスたちはいよいよガレスの近くまでたどり着く。何故か相手側に居るリーネに彼は驚きはしたものの、荷車に突き立てられた槍の穂先に取り付けられている【ディアンケヒト・ファミリア】の団旗を見て何も言わずに『さっさと仕事をしろ』と言いたげに手を振る。
「では、伝えたとおりに手分けして荷台に怪我人を収容してください。治癒魔法は極力馬のみで」
「分かりました」
「はい」
突き立てておいたブリューナクを引き抜いたアクスは、怪我人を次々と荷台に収容していくトレオとリーネとは別に倒れた馬に向かって
兵士や騎士もそうだが、馬──特に乗り手を求めて帰ってくるほどよく調教された軍馬はかなりの出費を伴う。そして、人間とは違って走るのに特化した生き物ゆえに一度足が折れてしまえば現場復帰どころか、生存さえも出来なくなるほど脆い生き物だ。
ゆえにオラリオ側もラキア王国周辺のパワーバランスを崩したくないのか兵士や馬になるべく死なないように厳命されているが、それでも特に馬はちょっとしたことで骨折する。
ぶっちゃけ、
他の理由としてこんな場所で治癒魔法なんか使ったら範囲に入った兵士が回復し、ついでにステイタスが上がったことに喜んで突撃。挙句の果てに捕虜になる気配がしたからという懸念もあるが、それを正直にアレスあたりに言ったら怒られた。──残念ながら当然である。
「あの、アクス君。
「なんですかね、あれ」
負傷者を運んでいたトレオの声にアクスがガレスの方を見ると、今まで静観していた彼が何かを指で刺すような仕草をした後に腕を振ったりと妙な動きをしている。
ここでロキから学んだ『手を打ち鳴らしてからピースをし、両手で眼鏡を作る仕草《パン・ツー・まる・みえ》』をしても良かったが、後が怖そうなので解読してもらおうとリーネを呼ぶ。
「リーネさん、あれなんだかわかります?」
「えーっと、"となり"に”おいてけ”? 直訳すると、隣のを置いていけ……かな?」
【ロキ・ファミリア】所属ともあってか、リーネは簡単にガレスが伝えようとした内容を翻訳してくれる。それでもアクスは分からずに首を傾げていたが、リーネたちはガレスが言いたいことが分かったらしい。
「アクス君を置いていけ……とかですかね?」
「あ、私もそう思います。リーネ様の隣……ですから」
「……」
右見て──左見て──後ずさり。まるで『僕、関係ない』と言いたげな行動のアクスをトレオは捕まえる。
「そっと後ずさりしない!
「やだー! 仕事あるんだから余計なことやりたくなーい!」
新たなタスクという社会人にとっては絶望的な予感をひしひしと感じたアクスは駄々をこねながらトレオの腕から逃れ、撤収準備に入る。未だ戦場で倒れている馬全てに
突然アクスの横に何かが高速で通り過ぎ、彼が目を向けていた方向の地面が爆ぜた。一体何が起こったのかと考えている間にも同じような出来事が起こったため、そこでようやく何かを投げられたと把握できたアクスは振り返る。
そこには、手の平サイズの石を手元で弄ぶガレスの姿があった。
「うわ、あの人石投げてきた!」
「無視するからよ。話だけでも聞いてあげたらどう?」
「それに団長からのお話かもしれませんし、無視するのはどうかなって……」
転げ落ちそうな怪我人をしっかりと固定していく頼れる仲間たちが、アクスをガレスとその後ろに居るであろうフィンに事情を聞くというさらなる仕事を押し付けてくる。酷い職場もあったものだ。
だが、これ以上無視もしていられない。なぜならどこから持ってきたのか、ガレスはドワーフの身長ほどある岩石を持ってどこかの芸術作品がごとく完璧なアルカイックスマイルをしているからだ。
「……行ってきます」
「はい。私たちも出来得る限り離れさせてもらいます」
「あ、アクス君。心配しなくてもちゃんと治療は私たちでしておくから安心して。 ねっ!」
なにが『ね』なのだろうか。これでも【ディアンケヒト・ファミリア】では古参に入るのに、少しはこちらを心配して欲しかったとアクスの目から雨粒が滲み出る。
しかし、アクスにはブリューナクという借りがある。いくらガレスが壊したのが原因だとしても、かなりの金額をかけてもらっている。
そのため、用事ぐらいは受けてあげようと思って移動を開始しようとした騎士に言伝を頼んだ。
「この様子だと
「相手はLV.6ですよ!? 時間稼ぎの範疇を超えてます! 逃げましょう!」
「まぁ、死にはしませんよ」
逆に危害を加えようとしたら、それこそ問題だ。あの様子ではおそらく色々話をするだけで、別に戦うというわけではないだろう。荷車を引かせていた馬を1頭拝借したアクスはステイタスの暴力によって何の苦も無く騎乗すると、鐙が無いことで安定しないままガレスの方へと行ってしまった。
***
「じゃあ、尋問を始めよう。名前は?」
「くっころ!」
「なんのためにラキア王国に?」
「くっころ!」
ところ変わって【ロキ・ファミリア】の陣幕。対面に座るフィンが笑いながら尋問を執り行うが、彼の正面に居たアクスは同じ言葉を言うのみであった。そんな彼の横で笑い転げているロキを見て大まかに察したのか、『それは誰から教わったんだい?』と確信めいたことを問い正す。
「え、ロキ様ですが。"これ言うとけばえぇわー"って」
「いつ?」
「さっきです。皆が居なくなった時に」
「いやぁ、ほんまおもろいわぁ……っていだぁ! フィィン、ママがぶったぁ!」
我慢が限界に来たのか、拳で制裁を加えたリヴェリアを指差すロキ。しかし、フィンはそんな主神の懇願を無視する。
いくらこんな時分に攻めてきたラキア王国や未だ燻っている
「1つ前だとアミッドも居たみたいだけど、今回は君だけかい?」
「いいえ、リーネさんと新人の方が1人。リーネさんを加えたのは、魔力を上げたり大勢を癒す練習になるだろうというお姉ちゃんの判断です」
「なるほど、たしかにこれからの戦いでも役に立つ技術だな。やはり、アミッドに頼って良かった」
「いやー、でもなぁ。うちのメガネ巨乳っ子がアレスのアホの所のむくつけき眷属を癒すとか……。アクス、ちゃんと見とくんやで」
『うちは純愛派なんや』と高らかに宣言するロキなのだが、そう思うならガレスを通じてこんな所に連れてこさせないで欲しい。まぁ、いまさら言っても後の祭りなのでアクスは黙っておくことにした。
それにラキア軍はかなりの痛手を被っているし、元【イシュタル・ファミリア】の
ただ、前回のように『純朴そうなのが好き』や『冷徹そうな瞳が良い』とアミッドが迫られてたパターンもあるため、その時はアレスか話の分かりそうなマリウスに契約破棄という脅しをチラつかせれば大丈夫なはずだ。
そのことも踏まえて『大丈夫』と伝えたアクスだが、ふと先ほどガレスと行ったやり取りを思い出す。
「ところで、なんでガレスさんは僕と戦ったんですか? 普通に言ってくれればついていったのに」
「ん? ただ、戦いたかっただけじゃが?」
何かしら理由があると思いきや、ガレスが事も無さげに答えた内容にアクスは唖然とする。
リーネたちと別れた後、乗馬したアクスとガレスは何故か戦うこととなった。向かってきたガレスに対して一進一退の攻防が出来たことから相当の手加減をされてもらっていることは分かったが、なにがどうしてこういう状況になってしまったのかアクスの頭は疑問符に埋め尽くされていた。
結局、大きく距離を取っての突撃でガレスの兜に小さく傷をつけたことを皮切りに満足げに頷いたガレスによって拉致られたわけだが、まさか何の考えも無かったことにアクスは『これだから冒険者は』と毒を吐く。
「いやはや、手加減はしていたがまさか1撃をもらうとは思わなかったわい。良い突撃だった」
「ズルいぞ、ガレス。アクス、明日は私があそこの担当だ」
「その次は僕だね。同族相手は久々だからちょっと手元が狂うかもしれないけど、アミッドに怒られないようにするから安心して欲しい」
駄目だ、この冒険者たち。早く何とかしないと。
すっかり『若者を可愛がる遊び』に夢中な三首領。しかし、やられる側はたまったものではない。【ロキ・ファミリア】全員に対して『もっと突っかかってあげなよ』と内心文句を言うアクスであったが、よくよく考えればガレスはまだしもフィンはティオネ関係で、リヴェリアはまぁ……
すると、フィンはもう1つの
「ところでアクス。オラリオの壁外に通じるクノッソスの入り口について、聞いたことはないかい?」
「無いですね。当たり前ですが、マリウス殿下は最高機密に当たることを僕たちには知らせないようにしてます。アレス様が時たま暴走して、その度に殴られてますが」
目下の最重要目標である
その話が本当であればバベルを見張っていようが、ダンジョンからオラリオへ。オラリオからダンジョンへといった具合に移動でき、ダンジョン産の素材や魔石の換金によって財政回復が出来てしまう。
それだけでも非常に厄介だが、フィンはその懸念をさらに飛躍させる。
飛躍した理由は
そうなると、
「分かった。何かクノッソスに繋がりそうな情報があればついでに聞くから、明日からよろしく頼むよ」
もしかして、それを口実にただ腕試したいだけなのではないか。フィンの後ろにある思惑が透けて見えたアクスであったが、開戦初日ということでしばらくは忙しくはないだろうと『やれたらやる』と消極的に同意。これでラキア王国に内緒で行った報告会はお開きとなった。
無茶をさせまくった馬に治癒魔法を掛けたアクスが挨拶をした後、馬上にも拘らず結構安定したままラキア王国の陣地に帰っていく後ろ姿を見送っていたフィンとリヴェリアは、彼の姿がすっかり見えなくなったことを皮切りにガレスへ話を振った。
「ガレス、忖度無しで答えて欲しい。君の見立てはどうだったんだい?」
「先ほども言った通りよ。冒険者が騎馬などと侮っておったが、もしかすると騎馬の方が合っておるかもしれんの」
フィンの疑問にガレスは満足そうな表情で先ほどの戦いを思い出す。
騎兵というものは総じて
それゆえにアルゴノゥト時代のような過去ではいざ知らず、今の時代は騎馬による一斉突撃といった『質より量』の戦法は時代錯誤も甚だしい。
しかし、アクスはどうだ。ラキア軍の精強とはいえ冒険者と比べれば霞む軍馬──それもパルゥムの身長では鐙に全く足が掛けられずに不安定になっている馬上で槍を巧みに操りながらガレスに攻撃を加え、防御し、時には弾くといった芸当をやってのけた。
攻撃に関しては手加減したが、防御や体捌きといったことは正真正銘の本気で相対している。いくらドワーフが鈍重であろうとも、高レベルのガレスが捌くことが出来ない攻撃をアクスがしてきたことにリヴェリアは大層驚いていた。
「それに最後の突撃。あれは効いたな。おそらくはLV.3なりたてでは轢き潰されて終わるじゃろうて」
「それほどかい。なるほど、楽しみだ」
「おい、明日は私だぞ。……それにしても、乗馬もアクスに仕込んでいるとは思わなかったぞ。お前たちのどちらかだろう?」
まるで人気者の遊び相手について喧嘩するような様相の中、リヴェリアはポツリとつぶやく。
振り返ればかなりアクスに入れ込んでいるという自覚はあったものの、流石に乗馬やそれに付随する戦い方のような一見しなくとも無駄な技術を教えるほど彼の素養を見出していない。そんな彼に乗馬や騎馬兵の才能があると看破し、適切に教えるという教師適性が高すぎる2人のどちらかの仕業だろうと彼女は賞賛する。
しかし、その言葉に両者は首を傾げることで話が一気にややこしくなる。
「いや、僕は何も……。君じゃないのかい? 出会った時もユニコーンに乗りながら弓を使っていたじゃないか」
「儂は何も教えとらんぞ? 逆に儂が乗馬のあれこれを教えられると思うか?」
全員の認識が共有されたところで、『自分ではないが、誰かが教えたのだろう』という恐ろしい集団心理でなぁなぁになっていた事実が浮き彫りになっていく。
──そう、誰もアクスに乗馬関係を教えていないのである。
では誰が教えたのか。簡単だ、『交友関係が広すぎる』ということで
そもそも、神々が素直過ぎるアクスに面白おかしく色々教えるのが悪い。そう結論付けたフィンたちは、一旦この話を右から左に放り投げ、ラキア王国との茶番に付き合うために一旦アクスについては忘れることにした。
***
そうしてフィンたちと別れた後、アクスはラキア軍の陣地へと戻ってきていた。既に負傷者の回収は完了して奥の方で治療が開始されてはいるものの、現場は圧倒的に人手が足りていない状況に陥っている。
そもそもラキア軍には
さらには重傷者を最優先で診ているためか、軽症者は早々に列から外れて商人が
それでも今は雇われ。お仕事はしなければならないとアクスもリーネたちの方に向かっていると、リーネたちより奥にある豪奢な幕舎からマリウスとアレスがものすごい勢いで出てきた。
彼らはアクスを見つけるや否や、猪突猛進とばかりに突貫。マリウスがアクスの脇に手を入れて持ち上げると、そのまま左右に揺らしながら口から泡を飛ばしながらがなり立てる。
「だ、大丈夫なんですか? 殿として
「あー、向こうも適当に遊んでほしかったみたいです。ちょっと時間がかかりましたが、こうして帰ってきました」
どうやら無事に戻った兵士たちがガレスとの1戦について報告してくれたらしい。ただ、アクスが話した通りガレス本人としては『お遊び』で本命はその後の聴取なのだが、彼らにとって『殿を務めた』ように見えたみたいだ。
そのことについて、いくらアクスが齟齬があること言っても負傷者全員を後送したことで証言してくれる人が居なかったため、裏で兵士に『遅滞戦術説』をラキア軍の陣内に触れを出すように指示するマリウス。それもこれも少しでも士気を上げようと藁にもすがる思いで彼が実施したことなのだが、そういった戦場における知識が皆無なアクスは知る由もなかった。
さらには『あの
間違ってもアクスは雇われた身なので正式にアレスの眷属になったわけではない。そのため、まるで今後ラキア軍に入るような誤解を生む発言は慎んでもらいたかった。
それに馬なんて飼えるスペースや余裕など【ディアンケヒト・ファミリア】にはない。もらっても【デメテル・ファミリア】に農耕馬として養ってもらうのが関の山だろう。
なので鞍だけはありがたく頂戴したアクスは周囲から降り注ぐ関心の目に耐えながらリーネたちに合流していると、あちらもあちらで大変だった。
「リ、リーネさん。俺、冒険者を1人倒しました!」
「それはすごいですね。ですが、あなたが無事に帰ってこれて良かったです」
「トレオちゃん、これ終わったらちょっと付き合わない?」
「申し訳ありません、業務が終わったらオラリオに帰らなければなりませんのでー」
「えー、泊っていきなよー。うちの陣幕空いてるからさー」
なんというか……。本当に戦争しに来ているのか不安になる空気感だった。
アミッドの願いに賛同して
トレオの方は【ディアンケヒト・ファミリア】のマニュアルに従ってやり過ごしているものの、リーネの方は真面目に1人ずつ返事をしているのでそろそろヘルプをしないとまずい。そう判断したアクスは緊急的に治癒魔法を行使する。
「あ、
「うわ、マジかよ。怪我消えてる」
唐突に怪我や倦怠感が身体から消えたことで狼狽えた兵士がアクスを見るや否や駆け寄ってくる。薬を売っていた商人からの嫌みな視線や兵士たちのお礼の言葉に揉まれつつ、アクスは治療が完了した人から列を抜けて欲しいことを伝えるのだが──。
簡単に怪我が治ったことと、アクスのスキルによる治癒魔法の副次効果によって兵士たちに『余裕』が出来てしまう。
「身体の調子も良いぞ、今ならもう1当てイケなくね?」
「よし、やったるか! リーネちゃん、トレオちゃん! 俺たちの勇姿、見ててよー!」
ステイタスが上がったことで
ただ、そんな彼らが突っ込んだ先──
「あぁ、分かってます。流石にあそこに行って回収してこいとは言いませんよ」
「アクスッ、先ほど突撃した将兵を救助ぐぇぇ!」
「じゃ、仕事に戻りまーす」
どうやらマリウスも同じ気持ちだったらしい。後から騒々しくやってきたアレスを肘打ちして黙らせる
アクスもバカではないため、並んでいる負傷者の治療をしながら釘を突き刺しつつも業務に励んだ。
***
こうして一部のバカは出たが、治癒魔法による大規模な回復のおかげでかなり居た重傷者はすっかり0人となる。後は軟膏を塗っておけば明日にでも万全になる軽症者ぐらいしかいないため、ほぼほぼ消化試合のような緩やかな時間が流れて行く。
そうなるとついつい話をしてしまうのは人の性。だが、ここには
「それにしても、他にアマゾネスの人とか居るのになぜ私なんですかね?」
「そうですよね。私も不思議です」
「綺麗とか美人とか可愛いからではない? トレオさんもリーネさんも美人だし」
『アマゾネスの人の方が美人じゃない?』
トレオは最近入ってきた新人だが、『新人に可愛い子が入った』と既に神々を中心に噂が出回るほどだ。
リーネに関しても見た目が眼鏡と野暮ったいイメージが先行するものの、あの女好きを自称するロキのパスを通った。それだけで男たちが言い寄って来るのも仕方がない。
それに2人共、患者を世話する
そんな具合に治療の片手間で雑談をして少しした頃。ようやく兵士全員の治療が終わったアクスはマリウスに経過を報告し、陣から引き上げる許可をもらう。
「アクス殿、初日だというのに大勢の捕虜を出すところでした。明日もよろしく頼みます」
「いえ、契約なので。それでは、失礼します」
一礼したアクスは目が充血した状態で地図に色々書き込んでいるマリウスに
「アクス、お疲れ様です。どうでしたか?」
治療院に戻ると同時にアクスたちを出迎えたアミッドは初日の手応えを聞いて来る──が、彼は『前回と同じだった』とあまりにもざっくりとした報告をする。
あまりにもざっくりした報告に足がもつれそうになったアミッドだったが、トレオたちも似たような報告をしたことで相変わらずラキア軍は時代錯誤の突撃をしては無駄に怪我人を増やす蛮行をしていたことに呆れる。
「そうですよね。そもそも
解散を命じられたそれぞれが宿舎に戻り、残ったリーネは【ディアンケヒト・ファミリア】に出向した目的である『治癒魔法を用いた治療技術の向上』のためにアミッドと共に特訓を始めた。
ついでに言えば、リーネは【ロキ・ファミリア】の2軍として遠征にもついていっているために【ディアンケヒト・ファミリア】の団員より遥かに
こうして、新たな規格外の
そろそろアミッドとのイチャイチャ(棒読み)を書きたい。
トレオ
オリキャラ。多分ラキア王国編ぐらいしか出番はない新人の子。
元ネタはダンメモバレンタインイベント内の裏神会で神が言っていた『ディアンケヒト・ファミリアの新人が可愛い』という言動から。
アクスと馬
まぁ、どっかの神様と勇者が勇鉄と誓樹を持ってきたせいで前世繋がりのスキルが生えましたということで。
効果としては以下を構想として練ってます。
※強すぎる、チートかよとか何か意見があれば修正します。
アクス君のスキルについて③
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=327509&uid=293848
馬と軽い意思疎通が可能
乗馬中かつ、周囲に味方が居ない場合、【耐久】、【俊敏】、【器用】の高補正。
→乗馬継続時間に比例し、さらに補正が掛かる。
乗馬中に発展アビリティ『槍士』が一時的に発現する。補正効果はLv.に依存する。
乗馬中に発展アビリティ『射手』が一時的に発現する。補正効果はLv.に依存する。
乗馬中に発展アビリティ『破砕』が一時的に発現する。補正効果はLv.に依存する。
くっころ
なお、本当に危害を与えたらなんの比喩もなくロキ・ファミリアは終わります。
可愛がり
苛めではありません。先輩冒険者からの可愛がりです。合法なんです。