イクイノックス 育成ウマ娘イベント   作:土見

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「――大丈夫、大丈夫……。取れる手立ては全部打ったし……。あっ、でもアレも……!?」

誕生日…3/23
身長…160cm
体重…増減なし(たぶん…)
スリーサイズ…不明

真面目で少しだけ流されやすい、ごく普通の少女。頭の回転が早いが、他人の言葉を真に受けやすい不安症なのが玉にキズ。ファンの期待を背負って走るキタサンブラックは憧れのウマ娘のひとり。エクレアを食べる時が心の癒し。





【育成目標】

1.メイクデビュー/出走
2.東京スポーツ杯ジュニアステークス/5着以内
3.皐月賞/5着以内
4.東京優駿/5着以内
5.天皇賞秋/3着以内
6.有馬記念/1着
7.宝塚記念/1着
8.天皇賞秋/1着
9.ジャパンカップ/1着


[育成開始時]イクイノックス登場!

 

 

 

「――イクイノックスちゃん、あしはやーい!」

 

「こいつは驚いた……

中央トレセンに行っても通用するんじゃないか?」

 

「あ、えっと、その……」

 

(……昔から、他人に流されてばっかりだった)

 

(期待されるのは嬉しい

でも、それよりも――)

 

(期待に応えられなかったときが、何よりも怖い)

 

「そんなに走れて中央行かないの? ……なんで?」

 

「先生はできると思うぞ! 何事も挑戦だ!

トレセン学園にはレース以外の学部もあるし、

君ならきっと中央で活躍できる!」

 

「あ、あはは……」

 

(自分にそんなことができるなんて思ってないのに

断る勇気も、自分を奮起させる気持ちもなくって)

 

(結局、私は他人に流されたままここ――

トレセン学園に通うことになってしまった)

 

(……期待された以上、失望されたくはないし

私にできる範囲で、期待されたぶんだけは――)

 

(それぐらいは、頑張っていきたい、んだけど……)

 

 

   ―//―//―//―

 

 

今日はイクイノックスと契約を結んでから

初めてのトレーニング日、なのだが――

 

Ω(来ないな、イクイノックス……)

 

約束の時間を破るようなタイプには見えなかった

イクイノックスが、予定時刻のギリギリに

なっても姿を見せない。

 

少しだけ、逃げられてしまったのかと

不安になっていると……

 

「すっ、すみませんっ! 遅くなり、わああっ!?」

 

大きくバランスを崩しながら、イクイノックスが

姿を現した。両腕には、たくさんの専門書が

抱えられている。

 

Ωもしかして、これ全部借りてきたの?

 

「あっ、は、はい……

トレーニングの本と、ストレッチに関する本と、

あとは食事の本と、録画機器の説明書と……」

 

Ω多いよ!?

 

「そ、そうですよねっ、ごめんなさい……

いろんな本に目移りしちゃって、結局全部

持ってきちゃいました……」

 

いったんベンチに本を置かせて

ストレッチを頼んでから、考える。

 

体が強くないこともあってなのだろうか。

イクイノックスはとにかく不安症で、

自分の準備不足を信じて疑わないタイプだ。

 

もちろん入念な準備は悪いことではないし、

彼女の備えが走りに活かされているところも

大いにあるだろう。

 

Ω(とはいえちょっとこれはやりすぎかな……)

 

積み上げられた本を見る。

デビュー前のウマ娘というより、トレーナーが

読むと言ったほうが納得するような量だ。

 

いくらイクイノックスの走りに活かされて

いるとしても、健全な知識の入れ方とは

思えなかった。

 

それに現時点でもイクイノックスの走りは、

それだけなら先にデビューしたウマ娘たちと

比べても見劣りしないレベルに見える。

 

なのに模擬レースになると、

一人で走っていた時の精彩を欠いてしまう。

 

きっと彼女には、圧倒的に自信が足りない。

自分の実力や判断力を信じきれず、知識に頼り

走りにも影響が出ていると自分には見えた。

 

だから、自分がまずやるべきことは――

 

Ωとりあえず、今後の方針について話そう

 

「え、は、はいっ!」

 

今イクイノックスに必要なのは、

自信をつける機会と、目指しやすい目標だ。

 

それらを作りやすくするために、

もう一度本人と目標を共有しておきたかった。

 

Ω君は、レースを走ってどうなりたい?

 

「う、うーん……」

 

「……その、私自身は別に強い目的があって

トレセン学園に入ったわけでもないので……」

 

その話は、契約をする前に聞いていた。

 

自分は、周りのウマ娘たちのように

確固とした何かを持っていないのだと。

 

Ω別にしっかりしたものじゃなくていいよ

 

「そ、そうでしょうけど……」

 

確かに、言われてすぐに切り替えられるなら

不安症だってすぐに改善しただろう。

 

だから「これから一緒に考えていこう」と、

そう伝えようとしたところで――

 

「……その、」

 

「強くなりたいとか、何かをしたいとか……

そういうのは、今は考えられないんですけど……」

 

「少なくとも、誰かに期待してもらってるなら

その期待を裏切らないような、

そんなウマ娘になりたい、とは……」

 

Ωよし! それ採用!

 

「え、ええっ!?」

 

「そんな、今思いついた適当な目標みたいな……」

 

Ωでも、君は思ってもないことは言わないから

 

「……っ、それ、は……」

 

それに、目指すものがあれば頑張れる。

イクイノックスはそういうウマ娘のように見える。

 

詳しい目標については、

これからゆっくり決めていけばいい。

それだけの時間はあるだろう。

 

Ωとりあえず、今はそれを目標にしよう

 

「うっ、は、はい……」

 

目を泳がせてはいるが、イクイノックスの表情は

少し明るくなった……気がした。

 

「とりあえず、軽く走ってきますね……!」

 

そそくさとコースに向かうイクイノックス。

しかし――

 

「は、ぁぁああああ!!」

 

風が吹き抜けるような、イクイノックスの走り。

 

初めて自主トレーニングに通りがかった時から、

輝いているように自分には見えている走り。

 

この走りを、レースで見たい。

そのために自分ができることは、何でもしたい。

 

少しでも、イクイノックスがのびのびと

走ることができるように努力しようと――

あらためてそう思った。

 

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