夏から今までの全力を注いだ天皇賞秋。
その結果は――
「届いた届いた! 最後は、天才の一撃!」
「大逃げパンサラッサに
見事追いついてみせましたイクイノックス!」
「すーごっ……! っていうかクラシック級で
天皇賞勝ちか、また今年も強い子がどんどん
出てくるな……」
「いやぁ、この後ジャパンカップとか
有馬記念とかもさ、この子が取っちゃうんじゃ
ないかって気がしてきた……!」
―//―//―//―
「――勝っ、た……?」
(私が、1着……? 本当に……?)
「っだーーーっ!!」
「わひっ!?」
「負けた!! いけると思ったのにー!」
「ぱ、パンサラッサ先輩、その……」
「よっし、そこのイクイの!」
「は、はいっ!?
っていうか、イクイのって――」
「次は負けない!
あたしが、逃げきるっ!」
「……お、」
「お?」
「お手柔らかに、お願いします……」
「おっ、ライバル関係成立か!?」
「これは次の対決も目が離せないな!」
「…………あ、あはは……」
―//―//―//―
控え室に戻ってきたイクイノックスは、
想像よりもずっと落ち着いていた。
Ωおめでとう!!
「わ、わっ!? トレーナーさん、
そんなに喜ばなくても……」
喜ぶに決まっている。
クラシック級での天皇賞秋の制覇は、
簡単に流してはいけないレベルの偉業だ。
もっと喜んでいい、と
言ってはみるが――
「なんというか、まだ実感がなくって……」
「……でも、みんなの努力が
ムダにならなくて、本当によかったです。」
安心のほうが強いということかもしれない。
おいおい振り返りはするとして。
最初に掲げていた秋の大目標はひとつ
達成することができた。
ここから次のことも考えてはいたが……
ダービーと同じ舞台のジャパンカップ。
キタサンブラックの走った有馬記念。
どちらも一長一短といった感じだった。
Ωイクイノックス、次のレースだけど――
「――有馬記念、じゃ、ダメですか?」
すっとその名前が出てきたことに驚く。
確かに当初から有馬記念の予定ではあった。
それでもイクイノックスのことだから、
もう少し悩んだり別の案を出すかとも
ちょっとだけ思っていたのだが……
Ω一応理由を聞いてもいい?
彼女らしくない即決の理由をたずねる。
「わかりません。らしくないって
自分でも思いますけど……」
「なんというか、いける気がするというか……
それに、知りたいんです。」
「みんながみんなの想いを背負って走る、
グランプリレースの舞台のことを。」
イクイノックスの瞳は、
期待と不安に揺らめいているように見えた。
こうして、大きな実績を手に入れた
イクイノックスとともに、年末の
有馬記念へ向けて調整をすることになった!