イクイノックス 育成ウマ娘イベント   作:土見

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[シニア級3月前半]熱、海を越えて

 

 

 

イクイノックスの次走について、

レースや体調の精査がようやく終わった。

 

あとはイクイノックスにプランを3つ提示して、

一番惹かれるものにしてもらおう。

そう考えていた矢先――

 

(ピロン♪)

 

Ωメール? 誰からだろう……

 

確認する。メールは……URA運営からだった。

 

「イクイノックスと一緒に、今日の夕方

理事長室に来るように」。

メールにはそう書かれていた。

 

 

   ―//―//―//―

 

 

「歓迎ッ! 2人とも、よくぞ来てくれた!」

 

「あ、えーっと…… その、秋川理事長……

私ってもしかして、何か非常にマズいことを

やっちゃったりしたんでしょうか……?」

 

「いえ、そういうことではないので

大丈夫です。というのも――」

 

「うむッ、イクイノックス!

君に招待状が届いている!」

 

「海の向こう側――ドバイの国際G1への!」

 

「……え、っ?」

 

ドバイで行われる国際G1。

国内のレースではほとんど見られない、

主催による完全招待制のレースだ。

 

招待が来ることすら、世界でも引けを取らない

現役最上位であることの証明になる。

その招待が今、イクイノックスに……。

 

「すみません、連絡が遅くなってしまって……

ですので、受けていただけないかもしれない

というのは先方も重々承知ということで……。」

 

「無論、今すぐに答えを出すのは難しいだろう。

招待を受諾するのであれば教えてほしいッ!」

 

 

   ―//―//―//―

 

 

トレーナー室に戻ってきて、2人で考える。

当然、出て何事もなく勝てるのであれば

出ないという選択肢がないようなレースだ。

 

だが対戦相手は世界の名だたる強豪。

 

「……トレーナーさんは、どう思いますか?」

 

Ωえ?

 

「その、私が……

ドバイのG1に出走したとして、いい走りが

できるって、思ってますか?」

 

間髪を入れず首を縦に振る。

 

もちろん、海外挑戦には多くの壁がある。

長期滞在では向こうの風土と自分の身体が

合うかどうかは大きなウエイトを占める。

 

短期滞在ではその負担はいくらか軽減されるが、

急激な環境やバ場の変化に慣れる時間は

かなり減ってしまう。

 

だが、ドバイのレース場は他に比べると比較的

日本のレース場に近い。

イクイノックスの体調も今は上向きだ。

 

Ω君が走るなら、勝てると思ってる

 

不安要素はあるが、今のイクイノックスなら。

そう伝えると、イクイノックスは下を向いた。

 

「……私は、まだわかりません。」

 

「だから――1日。

明日まで、待ってくれますか?」

 

「もちろんその分遅れるトレーニングは、

頑張って取り戻すので……」

 

Ω大丈夫だよ、ゆっくり考えて

 

突然提示された選択肢に悩む

イクイノックスを見送って、自分も

プランの見直しを始める。

 

大切なのは、イクイノックスが選べるように

選択肢を充実させておくことだ。

 

そう思って、とりあえず

携帯の連絡先を開いた。

 

 

   ―//―//―//―

 

 

「え、イクイもドバイ行くの!?」

 

「……も?」

 

「うん、私のところにも招待来たよ!

去年の凱旋門賞のリベンジしないとだし?」

 

「ま、アタシはイクイとは違うレースに

出走する予定なんだけどね!」

 

「あとパンサラッサ先輩も別のレースに

出るって言ってたような気がする……?

えーっと、あとはー……」

 

(同じレースに出る日本のウマ娘も、

別レースとはいえ一緒に行く友達もいる)

 

(トレーナーさんも、私なら勝てるって

期待してくれてる……。)

 

「こんな感じかなー…… イクイ?」

 

「あ、うん、ごめん、ありがと……」

 

「ってことで、目指せ全G1中央勢制覇!

一緒に頑張ろうなイクイ!」

 

「ま、まだ出るって決めてないよ!?」

 

「……出るよ、イクイは。

そういうウマ娘だとアタシは思ってる。」

 

(ドウは、私をどういうウマ娘だと……?)

 

(でも――)

 

「……走って、期待に応えられるなら――」

 

 

   ―//―//―//―

 

 

翌日。イクイノックスはトレーナー室を

訪れるやいなや、90度に頭を下げた。

 

「――ご迷惑をおかけしますっ、

トレーナーさん!」

 

Ωイクイノックス……

 

「でも……私にもできることがあるなら、

挑戦してみるべきなのかなって……

そう思ったんです。」

 

「もちろん、トレーナーさんが厳しいって

判断したら中止にして大丈夫です!

でも、できるって思ってくれるなら――」

 

「……やらせてください、ドバイ遠征!」

 

力強い言葉に、一も二もなく頷きかえす。

前途多難、専用の調整も難しいだろう。

 

それでも今は、イクイノックスが

挑戦することそのものを選んでくれた。

その事実が何よりも嬉しかった。

 

Ω頑張ろう、ドバイ!

 

こうして急遽決まったドバイ遠征。

様々な手続きや管理を急ピッチで進めながら

とにかく情報をかき集める日々が始まった。

 

 

 

コマンド制限発生

お出かけ以外の行動が行えなくなった

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