「ジャパンカップというレースは、もともと
世界のウマ娘と競いあうという目的のために
設立されたレースでした。」
「そういった意味では、『日本のウマ娘が
世界を見るためのレース』という側面も
間違いなくあったのですが――」
「今年はもう『世界のウマ娘が日本のレースを
見る』という、そんなことになっても
おかしくないと思います!」
「ええ、上位人気に食い込んだウマ娘たちは
いずれも超一線級と呼んでも差し支えない
豪華なメンバーです。」
「このレースが、後に伝説のレースと
呼ばれることになってもおかしくない。
そんな気がしてなりません――」
―//―//―//―
いつも通り、レース前のブリーフィングを
準備を進めていると。
「……あの、トレーナーさん。
大それたことを言ってしまうかも
しれないんですけど。」
「今日のレースで、やりたいことが
あるんです。」
Ωいいよ!
「えっ、せ、せめて内容を聞いてから
判断してくれませんか!?」
イクイノックスのやりたいことに、
とりあえず許可を出す。
ともすれば無責任な肯定になるが――
Ω君のやりたいことを全力でサポートしたい
ファンとしての自分は、イクイノックスの
背中を押したい。責任を取るのは、
トレーナーとしての自分の職務だ。
自分の中で自信をもって「やりたい」と
思ったことは、遠慮なく伝えてほしい。
そう伝えると、イクイノックスは
困ったように笑った。
「……ありがとうございます。」
「その期待に応えられるかは
わからないんですけど――」
―//―//―//―
(ウオオオオオッ!!)
「出てきたぞ、イクイノックス……!」
「今日もぶっちぎっちゃうのかな……」
(……大丈夫)
(大切なのは、自分から前に進むこと)
(まずは1歩、踏み出すこと……!)
「――よーっす、イクイの!」
「パンサラッサ先輩……!」
「いやぁ、天皇賞秋出たかったんだけどねぇ……
身体はようやく本調子ってコトでここはひとつ
見逃してもらえない~?」
「その代わり、今日も――
全力全開、カッ飛ばさせてもらうから!」
「ちょっとちょっとパン先輩!
抜け駆けナシってさっき言ったじゃ
ないですか!」
「ドウ……!」
「イクイ、言った通りだよ!
アタシは、何度だってイクイに挑む……!
勝って、最強の称号を手に入れるまで!」
「ただただ背負われるなんて、
アタシのガラじゃないしね!」
「あたしはあたしのレースをする!」
「アタシはイクイに勝つレースをする!」
「だから――今日はアタシが勝つっ!!
だから――今日はあたしが勝つっ!!」
「……そう、だね。
でも――それでも、私だって
今日は勝たせてもらうよ……!」
世紀のジャパンカップが、幕を開ける――!