天皇賞秋、ジャパンカップ。日本最高峰の場で
あらゆる相手に実力を証明してきた
イクイノックスは――
「イクイノックス、有馬記念連覇達成ー!!
ライバルも古豪も新星も、すべてまとめて
相手にしてなお問題なし!!」
「そしてこの勝利をもって、ついに史上3人めの
秋シニア三冠ウマ娘が誕生しました!」
「イクイノックス、どこまでも強い!
この強さに天井はあるんでしょうか!」
どよめきと歓声が、
中山レース場に響き渡る。
「くぅぅっ、負けた……!
でも、まだ、まだまだ……!」
「強くなれる、アタシは!
次もやるよ、イクイノックス……!」
「だってアタシたちは――
まだまだ、戦い足りない!
絶対逃がさないからね!」
「あたしがしなかった形で、
できなかった形で、大きなお祭りが――」
「――うんっ。あたし、今日ここで走れて
本当によかった……!
ありがとう、イクイノックスちゃん!」
「あなたがあたしに憧れてくれたこと。
もう一度ここに来たいって思わせてくれたこと。
本当に嬉しくって、ドキドキしたんだ!」
「だからまた――いつかになったとしても、
一緒に走りたい! それまで、ちゃんと
走りこんでおくよ!」
「――はいっ、ありがとうございます!」
―//―//―//―
イクイノックスは
控え室に戻ってくるやいなや、
頭を深く下げてきた。
「すいません、ワガママを聞いてもらって。
有馬記念もなんて欲張っちゃって……。」
Ω大丈夫だって
突然の参加にはなったが、こうして無事に
大きな記録を打ち立てることができた。
それに、キタサンブラックが突然復帰を
発表したとなれば、イクイノックスも
行かないわけにいかないのは理解できる。
そういったことを、
イクイノックスに言うと。
「……それも、当然あったんですけど。
『大丈夫だよ』って、伝えたかったんです。」
「ファンの方には、私は無理をしすぎたり、
追い詰められてるわけじゃないよって。」
「先輩には、私は私なりの道を
見つけられるかもしれないってことを。」
「ドウには色々心配かけちゃったし、
いったん私は気にしなくても走るよって。」
「それから……トレーナーさんにも、
私だってたまにはワガママを言えるぐらいに
なったんだよって、伝えたくって。」
笑うイクイノックス。
つられてこちらも笑ってしまう。
Ωそれは、本当によかった
イクイノックスは、自分が成長していると
教えてくれた。それならこちらも、
ちゃんと努力し続けなければ。
Ωじゃあ、次は何を証明しようか?
最強の称号は、今彼女の手の中にある。
次は、どんなレースで何をしたいのだろう。
既に集めてある次走の候補を呼び出す。
その数にイクイノックスは
少しだけ驚いたようだったが――
すぐにふたりで額をつき合わせて、
笑いながら作戦会議を始める。
次は何を証明するのかの話を。
明るく、光に満ちた未来の話を。