――季節は巡る。レースは繰り返される。
出走するメンバーも、勝者も変わる。
絶対的なものなんて、ひとつもない。
……ほんの少しの、例外を除いて。
―//―//―//―
最初の3年間で、イクイノックスは
現在比類するもののないほどの無双の成績を
収めることができた。
その結果、当然のことだが――
「トレーナーさん、事務局から
イクイノックスさんへのお問い合わせです。
今度はヨーロッパのほうから……。」
Ω本当ですか!?
イクイノックスには、国内海外問わず
様々な招待が舞い込んでいた。
しかし、さすがにすべては回れない。
どうするか悩んでいたところで、
イクイノックスがひとつ提案を
してくれた。
「……記者会見というか、
所信表明をする場を作りましょう。」
「まとめてお返事という形になってしまうのは、
少し申し訳ないですけど……。」
―//―//―//―
「――まずは、この場を借りて
皆さまにお礼を申し上げさせていただきます。」
「私のようないちウマ娘にたくさんの招待や
依頼をいただいて、恐縮の限りです……。」
「結論から申し上げると、すぐに全部を
お受けするのは現実的ではない、という
ことになってしまいます。」
「すべてをお受けすることになると、
レース間隔も取れず本意でない結果に
なってしまうので……。」
「……ですが、望んでいただいたことには
必ず、応えたいと思います。」
「どれだけ時間がかかるのか
わかりませんけど……。
頑張らせていただきます。」
「それから、もう1つ。
こちらは良ければのお願いになります。」
「もしも、都合が合うのだったら。
――ぜひ、日本のレースへ足を運んで
いただきたいのです。」
「理由は何でもいいんです。
ただ、この時代、この世界が、
もっと大きなうねりを産むのなら。」
「きっとそれは、誰にとっても
幸せなことだと思うから――」
「手前勝手ながら、そう考えさせて
いただいています。」
―//―//―//―
イクイノックスの会見の内容は、
少しずつ広がっていった。
「彼女を待っていたら日が暮れてしまう!
なら――私が、迎えに行くべきだろう?」
「遠征を準備しよう。
私が、世界を踏破する……!」
海外から、日本の大レースに
向かってくるウマ娘。
「ここは、目指せ未踏の大地でしょ!
チャレンジしなけりゃ始まらない!」
「記録と記憶と大偉業!
始めるなら、とにかく今だー!」
未だ誰も勝利していない、
海外の大レースに挑むウマ娘。
イクイノックスが揺らした水面が
波紋となり、大きな波を生むように。
世界はゆっくりと回り始めた。
「……偶然ですよ。たまたま、そういう
目的のある子がこのタイミングで
いてくれただけです。」
そう言ってはいるが、イクイノックスは
少し嬉しそうだった。
「……トレーナーさん。」
Ω何?
「私、なれますかね?
誰かの目標になるような、
何かの中心になるような、そんなウマ娘に。」
自分としては、「もうなっている」と
言いたい気持ちがあったが――
Ωなれるよ、もっと
あえてそう返す。
イクイノックスは、もっと大きく、
もっと強くなれる。
「……頑張らないとなあ。
ふたりで、もっとたくさん背負わないと?」
笑って、イクイノックスとメモを確認する。
たくさんの依頼と、対戦したい相手。
願わくば、それがまた新しい誰かの道標に。
――イクイノックスが目指した背中に、
近付けるように。
――季節は巡る。レースは繰り返される。
出走するメンバーも勝者も変わるほど、
たくさんのウマ娘が世界にはいる。
そのウマ娘たちが勝利を、夢を、
ロマンを求めて駆け抜ける。
新たな蹄跡を、人々に刻む。
熱狂の中を、喝采の中を、
祝福の中を、確かな熱とともに。
それがレースという世界で、
これからもイクイノックスと皆が
大きなうねりを伴って回していく世界だ。
固定発生の育成ウマ娘イベントについては以上になります。
ここまでお読みいただきありがとうございました!