不遇水魔法使いの禁忌術式 後追いを超えた後追い版   作:ゴリラ

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どうしようもないクズ書くのが一番楽しい
それはそうと切り時が無くて、前回前々回よりも長くなってしまいました…
3000前後で切ろうと思ってたのに…


咎人の町

 町に着いた頃には日は傾き、空はすっかりオレンジ色に染まっていた。砂の大地が黄金色に輝き、建物の壁に長い影を落としている。乾いた風が吹き抜け、遠く何かの鳴き声が聞こえた。流石に砂漠で野宿はごめん被ると、早足のままいざ町に入ろうとしたその瞬間──。

 

「おめぇら…何もんだ」

 一人の男が立ちふさがった。気持ち悪い。死ね。

日焼けした肌に無精髭を生やし、ぼろぼろの布を巻きつけた男は、鋭い目つきでこちらを睨んでいた。

 

「何者も何も……新入りですよ、あなたたち風に言うならね」

 その男の言葉に、サーシャさんはどこか不機嫌そうな声色で返す。疲れているところを邪魔されて怒っているのだろうか……。まあ無理もないが、すんなり入れるとは思ってもなかったので、個人的には「ですよね」といった感じだ。

 

「………ここに居るってことは、まあそうなんだろうが……ニルヴァの旦那の結界を、どうやって超えた?」

「この町には、認識阻害? の結界があったはずだ……それはどうした?」

 男の眉がさらに険しくなる。

 

 ニルヴァの旦那? 誰だろうか。言い方から察するに、恐らくまとめ役となる人物であろうが……。というか、結界?結!滅!とかのあの結界だろうか。そんなものはなかったような気がするが……。

 

「そんな物、ありませんでしたよ? だよね? サーシャさん」

 

「えぇ……なかったですね、そんな物」

 やっぱり。僕よりも魔法に造詣のある、サーシャさんもそう言っているのだ。間違いない。そんなに私を信用してくれているなんて、何だか照れくさいですね

 

 

「そんな筈は………………………」いい加減、鬱陶しいし、不快です。おとなしく町に入れなさい…改変

 男の表情が一瞬険しくなったが、次の瞬間、呆けた表情をすると、頭を振って言う。

 

「いや、わかった……外は大変だったろ?休める場所に案内してやる。ついてきな」

 おや?一波乱起きそうな予感がしていたが、ね?大丈夫だったでしょう?何故か案内されてしまった。僕らにとっては都合は良いが、こうも都合が良すぎるとかえって怖い。何か裏がありそうで……。疑り深いですねぇ……改変

 ………まあ良いか。考えても仕方ないしな。何かあったら、その時の自分がどうにかするだろう。しかし、さっきから町民の視線が痛いな……。なんでこんなに見られてるのだろう?

 

 そんな僕の様子を察してか、先導している男が言葉を発する。

「新入りは珍しいんだ。大抵は来る前にくたばっちまうからな」

「まあそのうち馴れるさ。お互いな」

「そういや、まだ名乗ってなかったな……俺はドショーモ・ナーイってんだ」

「お前らは?」

 

「雨宮 悠太です。よろしくお願いします」

 

「アルプサス」

 さらりと恐ろしいことを言ってのけた男……ナーイさんに促され、軽い自己紹介をしたが……サーシャさん、さっきからずっと機嫌が悪そうだ。どうしたのだろうか? 藪をつついて蛇を出したくないので、ここはスルーで。

 

「ア?…アミャ……アマミャ…ユタ?ん?…ユータ…?……アミャ・ユータ?ってのか?」

「変わった名前だなぁ、お前」

 うーん違う……が、訂正しなくてもいいか。そんなに遠くないし。近くもないけど。

 

「そんで、そっちの嬢ちゃんは、アルプサスね……うん? どっかで聞いた名前だが………まあいいか不快。死ね。覚えるな。思い出すな。…忘却

 サーシャさん、結構有名人なのだろうか?まぁこの様子だと、ナーイさんはあまりあてには出来なさそうだ。他の人に当たるしかないだろう。私の事を知りたいと思ってくれるのは嬉しいのですが、知られてしまうと少し不都合なんですよねぇ……ごめんなさいね?…改変

 

「着いたぞ」

 そんなこんなしていると、目的地に着いたようだ。が、まさか家に案内されるとは……宿屋なんかは無いのだろうか……いや、無いだろうな。だってここ、流刑地だもん。普通に考えて、そんなもんあるわきゃない。しかし、この家は誰のだ? まさか、ナーイさんのか?

 

 「あの、この家は一体……?」

 

 「あん?あー…先日、家主が死んでな?空きが出来たから丁度良いってなもんでな?」

 「まっ気にすんな。血痕は残ってないからよ」

 気にするが? 家主が亡くなったとは? 丁度良いとは? 血痕って? 完全に事故物件では? 人が死んでる時点で気になりすぎるんだが? やばい。普通の家だと思っていたものが、一気におどろおどろしく感じてきた。是非ともチェンジを所望したい。フフッ怖がりで可愛いですね♪そんなところも好き、愛してます

さて、これでやっと、このクズともお別れですね。さようなら。

「えーっと…ちょーっと他のう……」

 そんな僕の声を遮って、サーシャさんは無言で家に入って行ってしまった。えぇ……そんなんされたら、チェンジとか言えないよ……ここで寝るの?まじで?てかサーシャさん、本当にどうしたんだろう……体調とか悪いのだろうか?心配だ。

 

 そうして固まっている僕へ、ナーイさんが話しかけてきた。

「……あー………あの嬢ちゃん、どうしたんだ?」

 

「…わからないですね…体調でも悪いんでしょうか……」

 

「まあ疲れてんだろ。あーと……そうだ、とりあえず今日のところはここで寝てくれ」

「そんで明日、ニルヴァの旦那……この町のまとめ役だな。その人の使いが来るはずだから、それについて行って挨拶しろ。……今ん所はこんくらいだな」

 

「そんじゃ、良い夜を。アミャ」

 そう言って、ナーイさんは立ち去って行った。流刑地にある町だからと警戒していたが、良い人も居るもんだな。事故物件に案内されたけど。ところで、夕飯ってどうなるんだろうか?僕朝から何も食べていないんだが……。

 

 

 意を決して家に入ると、サーシャさんが火を起こしていた。ちらちらと赤い炎がゆらめき、影が壁に映る。狭い部屋には砂が吹き込み、どこか寂れた雰囲気が漂っていた。

 

「サーシャさん、それは?」

 

「あっ!悠太さん!いま、食事の準備をしていた所なんです♪」

「まぁ素材が無いので、そんな手の込んだものは作れないと言うか……手自体入れられないと言うか…」

「ぶっちゃけて言うと、魔獣の肉をただ焼くだけなんですよねぇ…」

 サーシャさんが目を逸らしながらそう答える。いや正直、個人的には超ありがたい。朝食を食べそびれ、そして何時間も砂漠を彷徨ったのだ。もう空腹を通り越してお腹が痛くなって来た頃合いである。今なら魔獣の肉だろうが何だろうが何でも食べられる。

いや本当にありがたい。

サーシャ is GODDESS

 ところで、魔獣ってなんだろう?

 

◇◆◇◆◇◆◇

 そして、サーシャさんに魔獣の説明を受けつつ、初めての異世界料理?を僕は堪能した。魔獣の肉は普通に美味しかった。生態の割に謎である。

◇◆◇◆◇◆◇

 

 深夜、少女は慎重に身を起こした。隣で眠る少年が完全に寝静まっているのを確認し、そっと家を抜け出す。冷たい砂の感触が足元に広がり、静まり返った夜の空気が肌を撫でた。

 

 町は先ほどまでの喧騒が嘘のように沈黙し、砂の風が低く唸りを上げながら路地を抜けていく。漆黒の夜空には無数の星が煌めき、月光が砂漠の大地を銀色に照らしていた。乾燥した建物の壁には昼間の熱が微かに残り、表面には細かな砂が薄く積もっている。道端の影は深く、建物と建物の間に続く狭い路地は、まるで迷宮のように暗闇へと溶け込んでいた。

 

 少女は躊躇いなくその闇の中へと歩みを進める。彼女の背後では、ひたひたと誰かの足音が追従していた。その気配は慎重でありながら、明らかに彼女を狙っている。少女はまるで何も感じていないかのように進み、やがて路地の行き止まりに差し掛かると、静かに振り返った。

 

「もうバレてるんですし、いい加減姿を見せたらどうです?」

 

 その言葉に応じるように、闇の中から一人の男が姿を現した。男──ドショーモ・ナーイが卑屈な笑みを浮かべながら肩を竦める。

「あー、やっぱバレてた?まあ、そりゃそうか」

「じゃなきゃ、今頃あそこで呑気に寝てる筈だもんな」

 

 少女──サーシャは無表情に男を見つめた。

 

「残念ながら、バレバレでしたよ」

 

「隠密にはかなり自信があったんだがな……それにしても、独りでこんな場所に来るなんて、やっぱ誘ってたのか?」

 男の目がいやらしく光る。彼の思考が手に取るように分かり、サーシャの口元が僅かに歪んだ。

 

「そんなわけないでしょう? その思考、辞めてもらっていいですか? 不快です」

 

「無理だぜ、そりゃあ……人間に考えるのを辞めろとか、それ死ねって言ってるのと同じだぜ?」

 

「死ねと言っているんですよ」

 

「酷いねぇ…まあそういう強気な女を屈服させて犯すのが一番楽しいんだけどなっ……あ?」

 男が一瞬きょとんとした顔を見せる。しかし次の瞬間、その表情は苦悶に歪んだ。

「ぐっ…がっ…なっな゛に゛が…?」

 体を震わせ、崩れ落ちる男。彼の体内で何かが暴れ回っているかのように、血管が異様な動きを見せ始める。

 

「痛いでしょう? 命の水……血液が好き放題に、身体中を動き回るのは」

「別に、お前を殺すだけなら、わざわざこうして姿を見せる必要はなかったんですけどね?」

「でも、あの下卑た視線と思考の報いを受けさせるなら、目の前で分からせた方が良いと思いまして……それに、こうして痛みに苦しんでのたうち回っている姿を見て、すっきりしたかったという理由もありますかね」

 

 男は口から泡を吹き、目からは血涙が流れる。苦しみから逃れようと地を引っ掻かくが、そのせいで爪が剥がれ、更なる苦痛が生まれる。その様子を見下ろし、サーシャは蠱惑的な笑みを浮かべる。

「ふふっ、蟲みたいですね」

 

「あ゛っぐっぎゃっや゛、やめ゛でぐれ゛」

 

「嫌ですよ。と言うか、お前は今まで犯してきた人間がやめてと懇願してきた時、それに取り合って、その行為をやめたのですか? やめてないですよね?」

「まぁ報いだと思って、おとなしく死んだらどうですか?」

 男の必死の懇願も、そうして無情にも棄却される。

 

「ぐっぐう゛ぅ゛ぅ゛うっお、お゛でをごろせばわ゛さ゛わ゛いがお゛ま゛え゛らのみ゛にいぃぃぃい゛」

 

「呪法の担い手なんですよね? まぁ少し珍しいですけど……でも、そんなに大したものじゃないでしょう?」

「お前の居た国は騙せても、私を騙すことは出来ませんよ」

「お前は死後に呪いを遺せない」

「お前はそこまで強く世界を呪っていないし、呪えない」

「お前は呪法の担い手として中途半端の落伍者だ」

「だからまぁ悔しんで、苦しんで、痛みの中で無様に死んでください」

 サーシャの冷ややかな言葉とともに、男の苦しみは頂点に達する。男の眼球は出血により赤く紅く赫く染まり、もはや何も見えてはいないだろう。全身の血管という血管は脈打ち、まるで中に蟲が這っているかの様に蠢き回り、その動きに合わせて男もまたのたうち回る。それはまさに悍ましい踊りそのものであった。男は泡を吹き、呪詛を吐きながらのたうち回る。

 

「の゛ろ゛っ゛て゛や゛る゛の゛ろ゛っ゛て゛や゛る゛の゛ろ゛っ゛て゛や゛る゛の゛ろ゛っ゛て゛や゛る゛の゛ろ゛っ゛て゛や゛……あ゛く゛は゛め゛…ごっぱあ」

――パンッ

 

 さんな湿った音とともに、男の頭が弾け飛ぶ。

 後に残ったのは、夜の静寂のみ。飛び散った血と脳漿が砂の上に広がり、月光に濡れた冷たい地面を赤黒く染める。サーシャはその光景を一瞥し、冷淡に呟いた。

「汚いなぁ……」

 

 彼女は軽く息を吐くと、静かに呪文を紡ぐ。

「………土はそんなに得意じゃ無いんですが………沈め(イン・テッラム・メルギ)

 地面が緩やかに蠢き、男の亡骸も、飛び散った血肉も、すべて砂の中へと沈み込んでいく。やがて、その場には何一つ痕跡が残らなくなった。

 

「さて、帰りますか」

 夜の闇の中、サーシャは何事もなかったかのように歩き出す。家の方角を見上げると、遠くに微かに灯る窓の光が見えた。そこに待つ少年の姿を思い浮かべ、彼女はくすりと微笑む。

「待っていてくださいね、悠太さん♪」

 

 砂漠の町に、再び静寂が訪れた。

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 吹きすさぶ猛吹雪の中、霊峰の奥深く、闇に沈む洞窟。その深淵で、何かが蠢いていた。

『グルルルル………』

 鈍く響く唸り声。洞窟の奥で、巨大な影が身じろぎする。長き眠りから覚めたばかりのその存在は、一度大きく身震いし、降り積もる雪を弾き飛ばした。

 

そして、次の瞬間——

 

 轟音とともに洞窟の天井が弾け飛ぶ。雪と岩が砕け散り、荒れ狂う吹雪の中に巨大な翼が広がる。冷たい空を裂くような一陣の疾風。その風圧だけで、霊峰の岩肌が抉れ、周囲に降り積もっていた雪が一瞬にして吹き飛んだ。 目を覚ました巨影は、その黄金の瞳を鋭く細める。彼の遠く、遥か砂漠の地に目を向けるように。

そこにいる怨敵を、打ち滅ぼすために──

咆哮一閃。天地を揺るがす轟きとともに、巨影は天を裂き、白銀の吹雪を貫きながら飛び立った。




呪法…人間の負の感情を贄に世界を呪う、人の業。
これは呪う事しか出来ず、壊す事しか出来ない。
また上記の特性から、呪法の担い手は人格に問題がある人物が多い。
表面的には問題の無い人物でも、内ではドス黒い情念が渦巻いている。


第2村人ならぬ、第2罪人 ドショーモ・ナーイ
罪 強姦、殺人
リンドウ王国内において発生した、連続強姦殺人事件の犯人。
被害者は判明しているだけでも20名をゆうに超えており、実際の被害者数は50名を下らないとされている。
彼は呪法の使い手であり、被害者はグズグズに溶かされ人の形を保ってはいなかった。
王国法に則れば死罪は確実であるが、彼の発言や呪法の特性を鑑みるに、彼を処刑すれば王国に致命的な損害が発生する可能性があると考えられ、砂漠への流刑が決定された。

ドショーモの法廷での発言集
「殺した理由?ピーピー騒いで煩かったからに決まってんだろ」
「たった十数人ポッチ殺しただけだろ?なにそんないきりたってんだよ」
「おいおいおいおい俺ぁ悪くないんだぜ?下品な乳して誘って来たのはあいつらの方だ。それに死んだのだって、喧しく騒いでたせいなんだぜ?自業自得だろ?」
「良いのかよ?俺を死罪にして。俺を殺したら呪うぞ?お前らを。この国を。永劫呪い続けてやるよ」
「は?流刑かよ日和やがって。呪いが怖いのか?て言うかそもそも、たった十数人犯して殺したくらいで流刑なんて、重すぎんだろ。理不尽だろ。俺は悪くねぇだろ。この国に正義はねぇのか?ぜってぇ赦せねぇ…呪ってやる。俺はこの理不尽を呪ってやる。不義を呪ってやる。お前らを呪ってやる。この国を呪ってやる。平穏無事に過ごせるなんて思うなよ?俺の怒りを、憎しみを、呪いを刻み続けてやる。俺の痛みを、悲しみを、無念を思い知れ、この人でなしの畜生共が」
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