転生したら...
霞んだ視界で、私は虚空を見つめていた。
(あれ?…なんで私…倒れてるんだろ…)
頭がぼうっとする。辛うじて感じられるのは土の冷たさと、腹部に走る、身体の芯に響くような痛みだけだ。
(確か…さっきまでモンハンやってて…一区切りしたから庭仕事しようとして…)
自分の行動を思い返す。これで何が起こったかがわかるはず。
『確認しました。ユニークスキル『
(これ刺されたんだ…速く…治療しないと…)
目だけを動かして、自分の身体を見る。
赤い。
腹を中心に、服が赤黒く染まっていた。
傍には刃が赤く染まった包丁が落ちている。
『確認しました。ユニークスキル『
(これ無理だ…血が流れすぎてもう…こんなときモンハンのモンスターとかならなぁ…それこそさっきまで討伐クエやってたムフェトジーヴァとか…)
体が動かせない。こういう時モンハンのモンスターならこんな傷なんともないんだろう。
『確認しました。種族を竜種に確定…成功しました。肉体を再構成します。続いて究極能力『
(ていうか刺した奴に思いっきり心当たりあるな…釈放されたって聞いて警戒はしてたんだけど…本当に私って男運ないな…もっとまともな恋愛したかった…)
何年か前まで婚約者だった男の顔を思い浮かべる。婚約者といってもそこまで関係の進展はなかったし相手は最低男だったしで散々だったけど。
『確認しました。ユニークスキル『
(来月の試験乗り切れば卒業だったのに…頑張って勉強したのも無駄になっちゃったか…)
父に無理言って医大通って、もうすぐだったのになぁ…
『確認しました。ユニークスキル『
(だめ…もう…意識が………)
こうして私こと
…かに思えた。
「あれ?」
死んだと思っていた私は何故か目を覚ます。周囲を見渡すと辺り一面は薄暗く岩に覆われていた。
「ナニコレ?」
理解不能。私の頭はこの文字で埋め尽くされた。刺されて死んだと思ったら辺り一面岩、岩、岩なのだから。変な夢といったほうがまだ納得できる。しかし刺された時のあの痛みは紛れもなく現実だったことを考えるとここは死後の世界か何か——
「いつまでよそ見しておるか!後ろだ!妹よ!」
妹?なんか後ろから声が聞こえたけど周りにそんな人いなかった…ん?後ろ?
「…」
振り返ってみるとなんか、竜がいた。黒光りするものっそい竜がいた。
「クァ—————ハハハハハハハハハハハ‼ようやくこちらを向いたな妹よ!では、改めて!我が名は暴風竜ヴェルドラ。貴様と同じくこの世に君臨せし竜種が一体である!歓迎するぞ!新たに誕生した妹よ‼」
ヴェルドラと名乗るドラゴンが嬉々として声を上げる。余程興奮しているのか大気を吹き飛ばし風圧が私を襲った。
「…」
「……あの、なんかリアクションとってくれないと我も恥ずかしいというか「バタンキュー…」妹ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
あまりの情報量に耐え切れず気絶した私は悪くないと思う。地獄の閻魔様って結構最先端な見た目してたのね…