転生したら5番目の竜種だった件   作:Rin1411

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大鬼族の事情

 「まさか半日と経たずに折ってくるたぁな…」

 

 「…ゴメン」

 

 うん、本当にごめん。

 

 町に戻った私はそのままカイジンの工房に直行。折れた…というより斬られた短刀を見せに行った。

 

 「まぁいいさ。折れたんならまた打てばいい。こいつはこっちで預かるぞ」

 

 「またありあわせの物を使っても結果は目に見えてるし、例の一振りが完成するまでは町で大人しくするしかないか…」

 

 「そうだな、それに、例のやつも一から見直した方がいいかもしれねぇな」

 

 私の専用武器は当分先か…

 いっそのこと『園芸師』で固い木刀でも用意するかな。

 

 「それにしても、オーガの里が壊滅してたなんてなぁ」

 

 「断片的にしか聞いてないから、詳しくはわからないんだけどね」

 

 「ま、そこらへんは後で聞くしかねぇだろ」

 

 この森で何が起きてるんだろ…

 

 「シード、カイジンも、宴の準備ができたぞ」

 

 ドアが開き、リムルが工房に入ってきた。

 

 「もうそんな時間か」

 

 「じゃあ行こうか」

 

 私達は町の広場に向かった。

 

 

 

sideリムル

 

 広場に机が設置され、そこにたくさんの串焼きが盛られた皿が並べられていく。

 町の皆は串焼きを食べて楽しんでいるようだ。

 そんな中、ゴブイチが串焼きを焼いて皿に盛り、リムルに差し出す。

 

 「リムル様、どうぞ」

 

 「おう、ありがと」

 

 リムルは皿を受け取ると串を一本手に取り肉を食べる。

 周囲の皆はリムルに視線が釘付けになった。

 静寂が辺りを包み込んだ。

 そして…

 

 「うんっっっまぁぁい!」

 

 リムルが満面の笑みを浮かべる。

 その様子に皆が歓声を上げた。

 

 

 

sideヴェルシード

 

 私はカイジンやリグルドと共にオーガの若さんから事情を聞いてみたところ…

 

 「オークがオーガに仕掛けただって⁉そんなバカな!」

 

 「事実だ。武装した豚共数千の襲撃を受け、里は蹂躙し尽された。300人いた同胞は、もうたった6人しかいない」

 

 そんなことが…

 でも数千なんて数、どうやって…

 

 「そんなにおかしなことなんすか?」

 

 考え込んでいるとゴブタが話に割って入ってきた。

 

 「当然だ、オーガとオークじゃ強さのケタが違う。格下のオークが仕掛けること自体あり得んし、まして全滅させるなど「全滅じゃないでしょ」…姫さん」

 

 「まだ彼らがいる。でしょ、若さん」

 

 私の言葉に若さんが面食らったようだ。

 

 「あぁ、そうだな」

 

 「…すまねぇな」

 

 「なるほどな、そりゃ悔しいわけだ」

 

 広場からリムルがやってきた。

 

 「肉はもういいのか?リムル殿」

 

 「ちょっと食休み。そういや、お前の妹すごいな」

 

 リムルがある方を向く。そこには若さんの妹さんがゴブリナの皆に囲まれ、和気あいあいと話している姿があった。

 

 「…箱入りだったからな、頼られるのがうれしいんだろ」

 

 「で、お前らこれからどうすんの?」

 

 「どう、とは?」

 

 「今後の方針だよ、再起を図るにせよ、ほかの地に移り住むにせよ、仲間の命運はお前の采配に掛かってるんだろ?」

 

 「知れたこと、力を蓄え再度挑むまで」

 

 「当てはあるの?」

 

 若さんが目をそらし黙り込んだ。

 ノープランなんだね…

 

 「提案なんだけどさ、俺達の部下になる気はないか?ま、俺達が支払うのは衣食住の保障のみだけどな。拠点があった方がいいだろ?」

 

 「しかし、それではこの町を俺達の復讐に巻き込むことに…」

 

 「まぁ、別にお前達のためだけってわけじゃない。数千の、しかも武装したオークが攻めて来たんだろ?そりゃどう考えても異常事態だ、この町だって安全とは言えない。そんなわけで、戦力が多いほうがこちらとしても都合がいい」

 

 「…なるほど」

 

 若さんは考え込んでいるようだ。

 

 「…悪いが少し考えさせてくれ」

 

 「おう、じっくり考えてくれ」

 

 

 

 そして翌日、私はいつもより早くに起きた。

 手早く身支度を整えると部屋の隅に立てかけてあった木刀を持ち町のはずれに訪れ、素振りを始める。

 

 昨日の一戦で思い知らされた。今の私は種族の力を振り回しているだけ、お爺さんみたいな熟練の戦士を相手にすればそれは通用しない以上、技術を高めるしかない。

 

 だけど、技術なんてどうすれば…

 

 「こんな早朝から鍛錬とは感心ですな、シード殿」

 

 お爺さんがやってきた。

 

 「えぇ、早朝くらいしか、鍛錬の時間は取れないので」

 

 「ふむ、今の素振りを見たところ、肩に余計な力が入っておる、もっと力を抜いて自然体のまま振ってみるといいでしょう」

 

 「そうなんですね、ありがとうございます」

 

 お爺さんの言葉に従い肩の力を抜いて振ってみる。すると心なしかいつもより綺麗に振れたように感じた。

 

 「呑み込みがいいようですな、ならここは一つ、実戦形式でやってみましょうぞ」

 

 お爺さんは傍に立てかけてあった予備の木刀を手に取ると私に向ける。

 

 「好きに打ち込んできてみなされ」

 

 「はい!」

 

 森にカン!カン!と音が響き渡った。

 

 

 「はぁ…はぁ…」

 

 「やはり筋がいいですな、ここまでの才を持つ者は久々に見ましたぞ」

 

 あれからお爺さんと実戦形式で稽古をしていたけど、一方的にボッコボコにされた。私の攻撃をことごとく打ち落とし、その隙にいくつも攻撃を食らう、その繰り返し…

 このお爺さん容赦ない!

 

 「しかし、昨日はもっと動きが的確だったんじゃが…」

 

 「スキルのアシストを受けてたんです。ズルみたいなものですよ」

 

 「そんなことはありませんぞ、スキルも自身の力なのじゃから、それに、そのアシストなしでもここまで食いついてきただけでも十分といえるじゃろう、今後の経験次第でどうとでもなりますな」

 

 「爺、それにシード様」

 

 若さんがやってきた。

 シード様ってことはもしかして…

 

 「リムル様がお呼びです」

 

 そっか、決めたんだね。

 私とお爺さんは若さんに連れられリムルの待つ仮設テントに向かった。

 

 

 

 仮設テントに入るとリムルがおりほかのオーガ達はそろっていた。

 

 「シード、なんでそんなボロボロなんだ?」

 

 「お爺さんに実戦形式で稽古をつけてもらってたの」

 

 「将来有望で、つい熱が入ってしまいましたぞ」

 

 「お、おう…」

 

 そして若さんとお爺さんは先に来ていたオーガ達に寄り、私はリムルの隣に立つ。

 リムルはオーガの皆を一瞥すると…

 

 「配下となった証に、お前達に名をやろう」

 

 「お、お待ちください、名付けとは本来大変な危険を伴うもの。それこそ高位の…」

 

 「いいからいいから、大丈夫だって。それとも俺に名前を付けられるのは嫌か?」

 

 「そういうことでは…」

 

 「異論などない、ありがたく頂戴する」

 

 危険ってスリープモードのことだよね?

 あ、オーガはゴブリンよりよっぽど高位の魔物だから…

 

 「リムル、何回かにわけた方がいいんじゃ…」

 

 「大丈夫だって」

 

 リムルは私のいうことを意に返さなかった。

 『学習者』これって…

 

 《解。個体名:リムル=テンペストがスリープモードに移行する可能性は極めて高いと推測されます》

 

 だよね…

 

 そんな私と『学習者』のやり取りをよそに、リムルはオーガ達に名前を付けていく。

 青い髪の一本角が蒼影(ソウエイ)、紫の髪の一本角が紫苑(シオン)、黒髪の二本角が黒兵衛(クロベエ)、お爺さんには白老(ハクロウ)、姫巫女さんには朱菜(シュナ)、若さんには紅丸(ベニマル)と名付けられた。

 そして…

 

 「リムル様⁉」

 

 「リムル様、お気を確かに‼」

 

 リムルがスライムの状態に戻ると形が崩れていった。

 オーガの皆がリムルに駆け寄る。

 

 《告。個体名:リムル=テンペストのスリープモード移行を確認》

 

 はぁ、言わんこっちゃない。

 

 「皆落ち着いて、リムルは三日で目が覚めるから」

 

 「そうなのですか?」

 

 「うん、前も同じことあったし」

 

 私は崩れたリムルの形を整え椅子に乗せた。

 

 「それじゃあ、皆にもあなた達のこと紹介しないとね」

 

 「シード様、リムル様のお世話は私がしてもよろしいでしょうか?」

 

 「ずるいですシュナ様!私もリムル様のお世話をしたいです!」

 

 シュナとシオンがリムルの世話を申し出て来た。

 

 「そうだね、このままってわけにもいかないし、私もやることあるから、二人にお願いしようかな」

 

 「「はい!」」

 

 二人とも凄く嬉しそう。

 本当はすぐに起こせるけど、今回は反省してもらうためにそのままにしておこ。

 

 でも、なんか胸がチクチクするような…

 疲れてるのかな?

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