転生したら5番目の竜種だった件   作:Rin1411

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ガビル参上!

 ゴブタ達の前で二人の攻防が繰り広げられる。

 白髪の鬼人から次々と放たれる流れるような一閃を後ろに束ねた緑髪を靡かせる少女が次々と弾いていく、そしてまた迫ってきた一閃を次は弾かずに体制を低くして避けると足払いを仕掛けるが、鬼人は跳躍して避けそのまま勢いをつけて刀身を振り下ろすが、少女はそれを刀身で受けた。そして力任せに鬼人を押し飛ばし、すぐさま体制を直し後退する。

 少女と鬼人が互いに出方をうかがっていると鬼人がにこやかな表情になり…

 

 「ここまでにいたしましょう。お見事でしたぞ、シード様」

 

 「そんなことないよ、ハクロウだいぶ加減してたでしょ」

 

 この数日間、根気強く稽古にしがみついてきた私はハクロウの提案で久々に実践での稽古をつけてもらっていた。

 ハクロウの提案にゴブタ達が慌てて止めたが自分の段階を確かめるため承諾。

 まぁ、手加減されていたけど…

 ちなみに稽古では着物は動きずらいため、シュナに袴を用意してもらった。

 

 「すごいっすよシード様!ジジイ相手にあそこまで渡り合えるなんて!」

 

 あ、ゴブタ…

 

 「ほっほっほっ、お主らは稽古を再開するぞ」

 

 私の目の前でゴブタ達が次々と天を舞った。

 強く生きてね…

 

 「姫さん、ちょっといいかい」

 

 カイジン?

 

 

 

 

 

 鞘から刀を抜くと、翡翠色の刀身が姿を現す。

 それは淡い光を放ち、神秘的な輝きを持っている。

 

 「綺麗…」

 

 「おうよ、俺とクロベエの合作だ」

 

 「感触はどうだべか?」

 

 「すごく馴染む、それこそ私の一部なのかってくらいに」

 

 私の専用武器が完成しました!

 短刀の一件からカイジンは耐久性の問題を解決しようとずっと考えてくれていたんだけど、手が足らずどうしようかというときにクロベエが現れてくれた。

 そこで二人が話し合った結果、魔鋼の段階で私の魔素を馴染ませてみてはどうかという話になったらしい。

 そういう訳で呼ばれた私は用意されていた魔鋼にとにかく魔素を馴染ませまくり、そこからカイジンとクロベエは数日間工房にこもり打ちあげてくれた。

 

 「しっかし特質級(ユニーク)ができあがるたぁ、素材が相当よかったみてぇだな。そんな素材作れる魔素持った姫さんも姫さんだが」

 

 「あはは…」

 

 そりゃ竜ですから…

 

 「よう来たぞ、ってシードもいたのか」

 

 そこにリムルが来た。

 それからリムルを交えて四人で話していたけど、次第にカイジンとクロベエの独壇場になっていった。話題が専門的過ぎてついて行けない。

 『学習者』刀工技術の情報ってある?

 

 《解。該当する情報は存在しません》

 

 だよねぇ…

 

 「大変です、リムル様、シード様もここにおられましたか」

 

 リグルドが何やら焦った様子でやってきた。どうしたんだろ?

 

 「リザードマンの使者が訪ねて来ました」

 

 リザードマン、ソウエイから報告があったやつかな。

 

 「すぐ行く、カイジン、クロベエ、続きはまた今度聞かせてくれ。シード、行くぞ」

 

 「うん」

 

 私はリムルを抱きかかえるとリグルドについて行く。

 

 「リムル様、シード様」

 

 訪ねて来たリザードマンのもとに向かう途中、ベニマルとシオン、ハクロウが来た。

 

 「話は聞いた、俺達も同席して構わないか?リザードマンの思惑が知りたい」

 

 「もちろんだ、果たして敵か味方か…」

 

 

 

 そして私達は町の入り口に来たけど、そこにはリザードマンが一人だけいた。

 

 「一人だけ?」

 

 リザードマンが森の方を向いた。私達もそちらを見ると森の方から複数のリザードマンが二足蜥蜴?みたいなのに騎乗しこちらに駆けてくる。私達の前で止まると先頭にいたリザードマンが勢いよく飛び降り着地する。

 なんか演出みたいだな…

 

 「ご尊顔をよーく覚えておくがいいぞ、このお方こそ、次代のリザードマンの首領となられる戦士」

 

 控えていたリザードマンがそんなことを言い出した。

 首領?

 

 そして次期首領?さんが両手を上に広げると。

 

 「我が名はガビル!お前らにも我輩の配下となるチャンスをやろう‼」

 

 周囲のリザードマンが跪きガビル?さんに拍手を送っていた。

 

 「「「「「…はぁ?」」」」」

 

 私とリムルもそうだけど、リグルドとベニマル、シオンもそんな一言しか出なかった。ハクロウもジト目になってる。

 

 配下になるチャンスってガビルさん…

 あ、シオンが不機嫌になってきた。

 私達が返す言葉が見つからなくなっているとガビルさんは呆れたように…

 

 「やれやれ、皆まで言わねばわからんか、貴様らも聞いているであろう、オークの軍勢がこの森を進攻中だという話だ」

 

 あ、そういうこと。

 

 「しからば我輩の配下に加わるがいい!この我輩が!オークの脅威から守ってやろうではないか!貧弱なゴブリン共では…貧弱…貧弱?」

 

 ガビルさんは私達を見ると固まり、部下達に目配せすると集まりひそひそと話し始めた。

 

 「ゴブリンがいないようだが?」

 「あれー?」

 「情報によればここは確かにゴブリン村のはず…」

 

 『なぁシード、どう思う?』

 

 そこにリムルからの思念伝達が来た。

 

 『う~ん…この町もオークの標的にされる危険性がある以上はリザードマンとの共闘はありだと思うけど…』

 

 『こいつに背中を預けるのはなぁ…』

 

 『そうだね…』

 

 不安すぎるよ…

 

 「聞けばこの村には牙狼族、さらには雷を操るユニークを飼い慣らした者共がいるそうだな。そいつは幹部に引き立ててやる。連れてくるがいい」

 

 私達のことか…

 あ、シオンがまた不機嫌になってきた。

 そしてベニマルが私とリムルの方を向くと…

 

 「こいつ、殺していいですか?」

 

 すっごくいい笑顔で表情とは正反対なこと言ってきた。

 私とリムルも釣られて笑顔になる。

 

 「いいよ「ダ~メ」そ、そうだ!NO!NO‼」

 

 リムル、そこは釣られちゃダメでしょ。

 

 そこでリムルはランガを影から呼び出した。

 ランガは本来のサイズで出てきたため、その大きさにリザードマン達は圧倒されている。

 

 『私も出ますか?』

 

 『オウガは待機してて』

 

 『御意…』

 

 すごい不服そう…

 

 「主より命を受けた。聞いてやるから話すがいい」

 

 「貴殿が牙狼族の族長殿かな?さすが威風堂々たる佇まい」

 

 へぇ、ほかのリザードマンは委縮してるのにガビルさんは割と大丈夫そう。

 

 『兄上の本来の大きさを前にしてあの威勢、なかなかやるようですね』

 

 これにはオウガも素直に関心してる

 

 「しかし…」

 

 しかし?

 

 「主がスライムとは些か拍子抜けであるな」

 

 あ…

 

 「どうやら貴殿は騙されているようだ。良かろう、この我輩が貴殿を操る不埒者を倒してみせようではないか」

 

 「ガビル様かっけー‼」

 「見せてやって下さいよガビル様ー!」

 

 「「「ガ・ビ・ル!ガ・ビ・ル!ガ・ビ・ル!」」」

 

 ガビルの言葉にリザードマン達から歓声があがる。

 一方でランガは…

 

 「トカゲ風情が我が主を愚弄するとは…」

 

 ランガ怒っちゃった、止めたほうがいいかな…

 

 『シード様、殺しますか?殺しますよね?殺しちゃっていいですよね?』

 

 『物騒な三段活用は止めなさい』

 

 「あれ?なにやってるっすか?」

 

 あちこちに傷を作ったゴブタが通りかかった。

 

 「良いところへ来た、ゴブタよ」

 

 ランガはゴブタの服を咥え持ち上げるとガビルの前に立たせた。

 

 「え?え⁇な、なんなんすかこの状況⁉」

 

 「トカゲ、この者を倒せたのなら貴様の話を一考してやろう」

 

 ランガはゴブタの背中を押し前に出す。

 

 「構いませぬぞ、部下にやらせれば恥はかきませんからな。なぁ、スライム殿」

 

 「ゴブタ遠慮はいらん、やったれ」

 

 リムルもイラついてたためゴブタに檄を飛ばした。

 

 「ええ、なんなんすかもー…」

 

 まぁ、急にそんなことになってもやる気でないよね。

 

 「勝ったらクロベエに頼んでお前に武器を作ってもらってやる」

 

 「あ、ホントっすか?ちょっとやる気出たっす」

 

 ご褒美作戦に出たか。

 

 「負けたらシオンの手料理の刑な」

 

 リムル…なんて恐ろしいことを…

 

 「がんばるっすー‼」

 

 心なしかゴブタから金色のオーラが噴き出すように見えた。

 

 「では始めろ!」

 

 ランガの遠吠えが始まりの合図となった。

 

 「ふっ、偉大なるドラゴンの末裔たる我らリザードマンが、ホブゴブリンなんぞに」

 

 ガビルが何か言ってるところにゴブタが槍を投げつけた。

 

 「ぬおっ⁉」

 

 ガビルは咄嗟に避ける。

 

 「おのれ小癪なっ」

 

 そしてゴブタに向き直ると同時に槍を振り払う。

 

 「⁉」

 

 しかし、そこにはゴブタの姿がなかった。

 

 「馬鹿なっ、消え…」

 

 「とうっす」

 

 ガビルは周囲を見回しゴブタを探す。そこでゴブタは背後から突然現れ回し蹴りを食らわせる。

 回し蹴りをもろに食らったガビルはそのまま崩れ落ちた。

 

 さすがゴブタ、影移動を駆使した見事な戦いぶりだね。

 

 「勝負アリ、勝者ゴブタ‼」

 

 ランガの言葉にベニマル達は喜びをあらわにする。

 

 『なぁシード、俺てっきりゴブタを口実にいちゃもんつけてボコボコにするつもりだと思ってたんだけど』

 

 『リムル、もうちょっとゴブタを信じてあげよ…』

 

 『…』

 

 「やったなゴブタ!約束通りクロベエに頼んでやる!」

 

 「やったっすー‼」

 

 変わり身早!

 

 「そこのお前ら見てたな?勝負はウチのゴブタの勝ちだ」

 

 リムルの言葉に呆然としていたリザードマンが我に返った。

 

 「オークと戦うのに協力するという話なら検討しておくが、配下になるのは断る。今日のところはソイツを連れて帰れ」

 

 するとリザードマン達は慌ててガビルを担ぎ上げる。

 

 「い、いずれまた来るぜ!」

 「然り、これで終わりではないぞ」

 「おぼえてろー!」

 

 リザードマン達は捨て台詞と共に来た道を戻っていった。

 

 「さてと、今後の方針を立てないとな」

 

 私達は他の皆を集めようと会議室に向かおうとすると、近くの茂みから木の棒を杖代わりにしたリザードマンが肩からゼェゼェしながら出て来た。

 

 「ガビル~置いてかないでよ~…」

 

 所々怪我をしていたため私はリムルをシオンに渡してリザードマンに駆け寄った。

 

 「大丈夫ですか?今治療しますね」

 

 私は『治療者』でリザードマンの傷を治した。

 

 「ありがとうございます。すみませんが、ガビルという名のリザードマンをご存じありませんか?」

 

 すごい心当たりがあります…

 

 「えっと…その…」

 

 「もしかして、ガビルが何かご無礼を…」

 

 仕方なく先ほどまで来ていたガビルさんとのやり取りを話す。するとリザードマンの顔がみるみる真っ青になって…

 

 「この度はガビルがたいっっっっへんなご無礼を働いてしまい!誠に申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 目にもとまらぬ速さで土下座してきた。

 あぁ、ガビルさんってほかでも結構やらかしてた人なんだな…

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