転生したら5番目の竜種だった件   作:Rin1411

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怒り

 私とリムルが見下ろす戦場では、戦闘…というより蹂躙が繰り広げられていた。

 いくつもの竜巻や落雷、黒いドーム…黒獄炎(ヘルフレア)っていうみたいだけど、それで圧倒的だったオーク軍が見る間に減ってってる。

 ガビルさんの方もリオ達が合流して形勢逆転したみたいだね。ハクロウやシオンも大暴れしてるし。

 ちなみにこの場にいないソウエイは側近さんと一緒に首領の救出に向かってもらった。

 

 「なんかもう…すごいな」

 

 「あははは…」

 

 なんかもう…いろいろと通り越して笑えてくるね…

 さて、オークロードは…

 

 「…いた」

 

 湿地帯の真ん中に一際強大な妖気を放っているオークがいる。あれがオークロードだね。

 そこに何者かがオークロードもとに飛来した。あれは…魔人?

 

 「どういうことだ!このゲルミュッド様の計画を台無しにしやがって‼」

 

 この人がゲルミュッド…それに計画、やっぱりオークの侵攻に絡んでたんだね。

 

 「もう少しで俺の手足となって動く、新しい魔王が誕生したというのに‼」

 

 地団太を踏んでる。なんだかすごく小物に見える。

 それにしても…

 

 「新しい…」

 「魔王?」

 

 リムルとベニマルもそこが気になってるみたいだね。

 

 「そうだ!だから名付けをしまくった!種を蒔きまくったんだ!最強の駒を生み出すためになぁ‼」

 

 しゃべるしゃべる、聞きたかったことはあらかた話してくれたみたいだね。

 …なんだろう僅かにしか抱けないはずの苛立ちが募っていってる。

 

 「おぉ!これはゲルミュッド様!」

 

 ガビルさん嬉しそう、リオも言ってたけどやっぱり慕ってるんだね。

 

 「どうしてここに!もしかして、我輩達を助けに「この役立たずの鈍間が!」…え?」

 

 「貴様もさっさとオークロードの糧となれ!」

 

 「は⁉」

 

 …何を言ってるの?

 

 「あのトカゲを喰え、オークロード。使えぬやつだったが一応この俺が名を与えた個体の一つだ。貴様を魔王に進化させるだけの力はあるやもしれん」

 

 ガビルさんには貴方が名を与えたんでしょ?

 

 オークロードが動こうとしない。

 

 「何をボケっとしている、豚が!…時間がない、手出しは厳禁だが」

 

 動こうとしないオークロードに痺れを切らし、ゲルミュッドは片手に光弾を生み出す。

 

 「俺がやるしかないか」

 

 光弾をガビルに放つが、矢が飛来し光弾とぶつかり相殺された。

 

 「お久しぶりですね、ゲルミュッド殿」

 

 リオがガビルの前に立つ。

 

 「何者だ貴様!」

 

 「忘れるとは酷いですね。ガビルが名を賜った時、私にも誘っていたではありませんか」

 

 「あの時のリザードマンか!」

 

 ゲルミュッドが忌々しそうにしている。

 

 「今のはどういうおつもりですか?」

 

 「なに?」

 

 「今の攻撃です、当たればガビルは無事ではすみませんでしたよ」

 

 「ゲルミュッド…様?我輩には見所があると…いずれは右腕にしたいとおっしゃっていたではないですか…」

 

 ガビルさん…

 

 「ああ、そうだ。だからオークロードの養分となり俺の役に立つがいい!」

 

 その言葉にガビルさんが唖然とする。

 ゲルミュッドがいくつもの光弾を生み出した。

 

 「そいつもろとも死ね!死者之行進演舞(デスマーチダンス)!」

 

 一斉にリオとガビルさんに向けて放つ。

 

 「ゲルミュッド様ーーーーーー‼」

 

 もう、見てられない…

 

 「水氷大魔散弾」

 

 複数の氷の塊で打ち落とした。

 私はリオとガビルさんの前に降り立つ。

 

 「次から次へと…」

 

 苛立ってるようだけど、そんなの知らない。

 

 「ゲルミュッド、何故オーガの里を襲わせたんですか?」

 

 「何?」

 

 「まさかと思いますが、名付けを拒まれた憂さ晴らし、なんてことはありませんよね?」

 

 「ッ!」

 

 図星か…

 これにベニマル達の怒りが滲み出ている。

 

 「もう一つ、リグルという名のゴブリンに覚えは?」

 

 「リグル?あぁ、牙狼族にやられた役立たずか…ごほぁッ」

 

 気づいたら殴り飛ばしてた。なんでゲルミュッドに対してこんなに苛立ってたかわかったよ。

 

 「私は名を与えた子達を絶対に見捨てない。それはリムルが名付けた子達にも言えること。誰かの餌にしようなんてもってのほか…」

 

 今となっては怒り。

 

 「甘言で何人もの魔物を惑わせた卑劣さ」

 

 似てるんだ…

 

 「あまつさえ切り捨てる非情さ」

 

 あの男に…

 

 「何より、逆恨みでベニマル達の里を滅ぼした非道さ…」

 

 前世の私を殺した、あの男に…

 

 「あなたがとことん救えない人で良かったわ…」

 

 怒りが湧いてくれてよかった、じゃないと私は…

 

 「おかげで、何の憂いもなく殺せる」

 

 私自身を軽蔑してた。

 怒りによりとてつもない妖気を発する。皆委縮し動けなくなり、ゲルミュッドは腰を抜かす。

 

 「なんだ…お…お前は一体…なんなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 ゲルミュッドの絶叫が辺りに木霊する。

 私はゲルミュッドに向けて歩いていく。

 

 「く…来るなぁぁぁ‼」

 

 ゲルミュッドが私に向けて光弾を撃つ。しかし、全て形が崩れ私に取り込まれていった。

 

 「な…何が起こったんだ?」

 

 「あいにくと、私に魔素を使った攻撃は効かないのよ」

 

 「あ…あぁぁ…」

 

 《告。デスマーチダンスの解析、完了しました》

 

 そっか、じゃあ…

 

 「折角だし、返すね」

 

 「え?」

 

 「デスマーチダンス」

 

 無数の光弾が次々と生み出されていく。

 

 「まずは300。私も死なないように加減するけど、あなたも頑張って耐えてね」

 

 一斉にゲルミュッドを襲った。

 

 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 ゲルミュッドの叫びが響く。

 

 「あ…うぅ…」

 

 痛みでうずくまっている。

 

 「た…助けて…ください…許して…ください」

 

 この期に及んで…ますます怒りが湧いてくる。

 

 「耳障りね、喉を裂きましょうか」

 

 短刀を抜きゲルミュッドに向ける。

 

 「ぐ…くそぉ!」

 

 ゲルミュッドは光弾を足元に放つ、その勢いを利用しオークロードのもとに飛んだ。

 

 「お、俺を助けろオークロード!いや…ゲルド‼」

 

 動こうとしなかったオークロードが動き始めた。

 

 「そうだ恩を返せ‼行き倒れのお前に飯をやったのはこの俺だ‼あの女を喰え‼」

 

 元々オークロードは倒すつもりだったし、変わらないよ。

 

 ドクン!

 

 「ッ!」

 

 何…これ…力が…荒れ狂ってる…

 突然起きた力の奔流に胸を押さえ膝をつく。

 

 「シード!」

 「シード様!」

 

 私を心配してみんなが駆け寄る。

 

 「どうした!攻撃を食らったのか⁉」

 「シード様!お気を確かに‼」

 

 なんで…こんなこと…一度も…

 『学習者』何が起こったの?

 

 《解。異常を検……》

 

 『学習者』?

 

 《……異常は検出されませんでした》

 

 そんなはずないでしょ!こうなったら…

 

 「リムル…仮面…貸して…」

 

 「仮面?」

 

 「なんでか…わからないけど…力が…暴走しそうに…なってる…抗魔の…仮面…なら…」

 

 「そういうことか!」

 

 リムルは私に仮面をかぶせる。するとみるみる力が静まっていった。

 私の全身から力が抜けていく。

 

 「ハハハ!馬鹿め!相当な力を使ったようだな!今だゲルド!あの女をくらー」

 

 オークロードがゲルミュッドの首を刎ね、喰らった。

 

 《確認しました。個体名ゲルドが、魔王種への進化を開始します》

 

 まずい、何とかしないと…

 私は立ち上がろうとするが力が入らず崩れ落ちそうになる。

 

 「シード様!」

 

 リオに支えられ何とか立ち上がれた。

 

 「シード、お前は休んでろ」

 

 「だめ…私も…」

 

 「シード様、あとは我らが、リオ、オウガ、頼んだぞ」

 

 「はい」

 「任せろ」

 

 オウガも駆けつけて来た。

 

 …戦うのは諦めるしかない、だったら…

 

 「リムル…手を…」

 

 「あ、あぁ」

 

 リムルが差し出してきた手に私の手を重ねる。

 『学習者』リムルに『冥灯龍』を…

 

 《解。ユニークスキル『恋愛者』の能力貸借で、個体名:リムル=テンペストにユニークスキル『冥灯龍』を貸与します》

 

 「お前、これ…」

 

 「使って…『大賢者』を介せば…戦況を有利に…出来る」

 

 「サンキュー、あとは任せとけ」

 

 「おね…が…」

 

 私の意識はそこで途切れた。




ユニークスキル『恋愛者(コイスルモノ)
効果
???
能力貸借:能力を貸し借りできる。しかし、貸借するには一定以上の信頼関係が必要。
運命改変:とある条件下の運命改変。条件達成により効果が停止する。
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