転生したら5番目の竜種だった件   作:Rin1411

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注目する者たち

 周囲に鉄同士がぶつかり合う音が響く、発生源ではシードとガゼル王が剣を振るっていた。

 シードは果敢に攻めていくも、ガゼル王は全て受け流してシードを斬りつけるがシードが全てを弾く。その繰り返しが何度も行われていた。

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 何回か防ぎきれず、掠めている。

 

 「中々に良い剣筋だがまだまだ途上、といったところか」

 

 再び剣同士がぶつかる。

 

 「さっきとは随分違うんですね」

 

 「気を悪くしたなら謝ろう。しかし、同じように戦ったとして、それを見られているのではなあ‼」

 

 ガゼル王は強く振ったことにより私は後ろに交代する。さらにその隙を逃すまいとガゼル王が斬りかかるが、私は迫る剣を受け流した。

 

 「ムッ⁉」

 

 「そこ!」

 

 私は隙を見逃さず刀を振り抜く、避けられたが、ガゼル王の頬に薄っすらと赤い線が入っていた。

 

 騎士たちはガゼル王が傷を負ったことに動揺し、ベニマル達には歓声が広がる。

 

 「ほう、俺の太刀筋を真似たか」

 

 「何度も至近距離で見ることができたので、もう一度成功させる自信はありませんが」

 

 「言いおる。次で終いだ、凌いでみせよ」

 

 あれが来る、だったら!

 

 ガゼル王の剣にタイミングを合わせて私も刀を振るう。

 

 次!

 

 さらに迫る剣に合わせて振るい、何度目かの激突となる。

 

 鍔迫り合いとなり、ガゼル王に押されていく。

 だけど!

 

 「負けない‼」

 

 気合いで押し返した。

 後退したガゼル王は体勢を崩し方膝をつく。

 

 「ふふふふふ…ふはははははははははははッ‼」

 

 ガゼル王の笑い声が辺りに響く。

 

 「俺の剣に真っ向から勝負し競り勝つか。見事だ!」

 

 「えっと、それでは」

 

 「俺の負けだな」

 

 勝った…

 

 「勝者、シード=テンペスト!」

 

 ベニマル達が歓声をあげる。

 

 「やったな、シード!」

 

 「お見事です、シード様!」

 

 リムルが肩を組んできて、リオも駆け寄ってくる。

 

 「ほっほっほっ、お見事でしたぞお二人とも」

 

 「ハクロウ」

 

 いつからいたの?

 

 「しかし、リムル様は打ち込みがまだまだ」

 「うぐ…」

 

 「シード様は直線的すぎますな」

 「はい…」

 

 要練習だな…

 

 「失礼ですが、剣鬼殿ではありませんか?」

 

 ガゼル王がハクロウに話しかける。

 剣鬼殿?

 

 「先程の剣気、如何なる猛者かと思ってみれば、随分と成長なされた」

 

 「剣鬼殿にそう言って頂けるとは恐縮です」

 

 「ふむ、森で迷っていた小僧に剣を教えたのは懐かしき思い出」

 

 なるほど、ガゼル王ってハクロウのお弟子さんだったんだ。だから太刀筋が似てたんだ…

 

 「あれから300年になりますか」

 

 300年⁉

 

 「さてリムル、早く案内してくれ」

 

 「え?」

 

 「見極めに来ただけではないからな、話し合いの席を設けてもらいたい」

 

 ガゼル王って、見た目に反して結構考えてるんだね。

 

 「上空から見た限りじゃ美しい街並みだったぞ、美味い酒くらいあるのだろう?」

 

 「…まぁ、あるけど、裁判の時と比べて軽すぎない?」

 

 「なぁに、こっちが素よ」

 

 自由な人だなぁ…

 

 

 

 

 あれから町に移り避難してもらっていたみんなには戻ってもらい、私たちは…

 

 「魔物の危険度?」

 

 「そうだ、大まかな区分だがな。災害級(ハザード)災厄級(カラミティ)災禍級(ディザスター)と上がっていく。オークロードならば災害級(ハザード)だな」

 

 私とリムルはガゼル王と話していた。さっきのディザスターっていう階級が気になっていたのでその話に触れてみた。

 

 「最も、オークロードよりもシードを危険視する者の方が多いがな。新たな魔王が誕生したのではないかと警戒する者もおる。今後の身の振り方は考えておけ」

 

 「はい…」

 

 これからはもっと気おつけよう。

 

 「てことは、魔王は災禍級(ディザスター)なのか?」

 

 「そうだ、怒れる魔王など災禍そのものだ。シードがいるとはいえ、うっかり出会っても手を出すなよ」

 

 「出さないって」

 

 レオンって魔王には出す気満々だよね。私もだけど…

 

 「ところでリムルよ、俺と盟約を結ぶつもりはあるか?」

 

 「盟約?」

 

 「この町は素晴らしい造りをしていた、ここはいずれ交易路の中心都市となるだろう。後ろ盾となる国があれば便利だぞ?」

 

 確かにドワーフ王国と繋がりができるのは今後のメリットが大きい。だげどそれって…

 

 「いいのかよ、それは俺達を…魔物の集団を国として認めるということだぞ?」

 

 「無論だ、これは王として言っておる、双方の国に利のある話だ。条件はとりあえず二つ、国家の危機に際しての相互協力、相互技術提供の確約だな」

 

 それだけでもありがたいかな。

 

 「なに、答えは急がずともよい。よく考えるがいい」

 

 「…いや、この話、喜んで受けたいと思う」

 

 さすがリムル、ここ一番の判断能力だね。

 

 「王者にふさわしき決断力だ、さすがは俺の弟弟子よ!」

 

 ガゼル王が嬉しそうにリムルの背をバンバンと叩く。

 

 「で、お前達の国の名はなんというのだ?」

 

 国の名前?

 

 「いや…まだ国という段階でもなかったからな。俺はジュラの森大同盟の盟主だけど国主ってワケじゃないし」

 

 「リムル様を王と認めぬものがいたならばこのシオンが「こらこらこら、しまいなさい」」

 

 シオンが剛力丸を抜くが、リムルに諫められてしゅんとする。

 

 「ここの主なら、リムルが一番じゃないかな?」

 

 「シード、いやお前の方が…」

 

 「私は生産部門の指揮と医療部門の新設で忙しいから国主までは手が回せない。それに、リムルがいいっていうのは私だけじゃないよね、みんな」

 

 私はベニマル達の方を見る。

 

 「そうですね。力ある者に従うのは魔物の本能だが、少なくとも俺たちはそれだけで配下になったわけじゃないしな」

 

 「確かに私も頑張ってきたけど、中心にいたのはいつもリムルだったもん。私たちも支えるから、やってみよ」

 

 「王妃にここまで言わせたんだ、腹を括れ」

 

 「分かったよ、やってやる」

 

 リムルの言葉に歓声があがる。

 ん?

 

 「王妃?」

 

 「姓も同じで常に隣におるからそう思っていたのだが、違うのか?」

 

 「違います!」

 「違う!」

 

 

 

 

 「リムルも災禍級(ディザスター)なんですね」

 

 「魔物が町を造るなど前代未聞だからな」

 

 翌日、私は調印式の準備のため早くに起きて準備していたところガゼル王と会い、話していた。

 

 「でも、階級って結構ざっくりしてるんですね、私とリムルって結構魔素量違いますし」

 

 「正確にはもう一段階上に天災級(カタストロフ)という階級がある」

 

 「天災級(カタストロフ)?」

 

 「文字通り天災だ、単独で世界を滅ぼせるほどのな」

 

 すごい心当たりがある…

 

 「ちなみに該当するのは」

 

 「暴風竜ヴェルドラが真っ先に上がるな」

 

 ですよね…

 

 「それってつまり、ほかの竜種もですか?」

 

 「そうだな」

 

 本当に身の振り方に気おつけよう。

 でも私って一段階下なんだ。まだ日が浅いのかな…

 

 「ところでシードよ、昨晩の王妃に関してだが」

 

 「それなら違いますって「そうではない」え?」

 

 違うんだ。

 

 「昨晩にも言ったが、各国ではオークロードよりも貴様に注視している者が多い。いっそのこと王妃として地位を確立することが身のためかもしれん」

 

 「地位、ですか?」

 

 「俺と盟約を結んだとしても、ここはまだまだ不安定だ。一介の幹部のままでは引き抜かれることもありうる。一度しっかりと考えておくことだ」

 

 言い終わるとガゼル王は去って行った。

 王妃か、リムルのことは嫌いじゃない、むしろ好きな方。だけど、結婚…

 

 

 「女のくせして頭がたけぇんだよ!」

 

 

 ッ!違う!リムルはあの男とは違う‼違うってわかってるけど…

 

 「怖いなぁ…」

 

 不意に言葉に出ていた。

 

 「…そうだ、準備準備」

 

 私はその場を後にした。

 

 「…シード様」

 

 心配し見つめるシュナに気づかずに…

 

 

 その後、無事調印式は無事執り行われた。武装国家ドワルゴンとの盟約は魔法により保証され世に公開される。

 よって私たちの国『ジュラ・テンペスト連邦国』は、世に知られることとなった。

 ちなみにこの町の名前は『シード』と『リムル』で割れたけど口八丁で丸め込んで『リムル』にした。

 

 

 

 

 

 

 side魔王

 「すっごいのだすっごいのだ‼こいつすごく強いのだ‼」

 

 水晶玉に映し出されている光景に、ピンクの髪の少女が目を輝かせている。

 そこにはシードがゲルミュッドを蹂躙する光景が映し出されていた。他にもベニマル達の戦いも映し出されている。

 

 「これだけでも俺と同等、魔素量は上回ってるだろうな。ゲルミュッドは馬鹿やったが、それでもこいつの発見は上々だ」

 

 「カリオンの言う通りなのだ!フレイもそう思うだろ?」

 

 「あのねぇミリム、私があなた達の計画とやらを知るわけがないでしょう?」

 

 ピンクの髪の少女、ミリムの言葉をフレイが半ば面倒そうに答える。

 

 「ひとまず計画は頓挫したわけですが、少々軌道を修正してやればまだチャンスはあります」

 

 白いスーツの男が切り出す。

 

 「オークロードは倒されたとみるべきでしょう。そしてあの女は私たちと同等の力を持つ、彼女を魔王として擁立させれば、あるいは」

 

 「ならばその者へ挨拶に行くとするか!」

 

 ミリムの発言に三人は目を丸くする。

 

 「落ち着いてくださいミリム。ジュラの大森林には不可侵条約がある以上、堂々と侵入してはほかの魔王たちが黙っていませんよ」

 

 「何を言っているのだ、クレイマン」

 

 ミリムは何を疑問に思ったのか白スーツの男、クレイマンに問いかけた。

 

 「不可侵条約など今この場で撤廃してしまえばいいではないか。ここには魔王が四人もいるのだぞ?」

 

 ミリムの言葉に全員が条約を撤廃出来ることに気がついた。

 

 「そもそもあの条約は暴風竜ヴェルドラの封印が解けないように締結されたものなのだ。暴風竜は消えたというウワサだしな、もう必要なかろう?」

 

 魔王三人の視線が交差する。

 

 「そういうことなら条約破棄に反対する者もいないだろう。俺は賛成だ」

 

 「私も賛成ね。元々私の領土はあの森に接してるし、不可侵と言われても面倒だったのよ」

 

 カリオンとフレイが賛成する。

 

 「…いいでしょう。私も条約の撤廃に賛成です」

 

 クレイマンも賛成し、人数分の紙を出現させた。

 ミリムたちは紙にサインする。

 

 「よし、では恨みっこなしで早い者勝ちなのだ!互に手出しは厳禁。約束なのだぞ?」

 

 ミリムは言い終わるとテンペストの方角へ一直線に飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

sideヴェルシード

 「クシュン!」

 

 「シード様、先ほどからくしゃみが続いていますが、体調がすぐれないのですか?」

 

 「大丈夫だよオウガ、でもなんでこんなに、誰かウワサでもしてるのかな?」

 

 「シード様の偉大さが世に広まるとは、よきことです」

 

 「私としてはのんびりしてたいんだけどねぇ」

 

 この時、私は知る由もなかった。複数の魔王に目をつけられていることを、そして、天災が一直線に向かってきていることを…

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