転生したら5番目の竜種だった件   作:Rin1411

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ミリム旋風

 「じゃあ今日はここまで、次回は病気の原因や診断方法について教えるからね」

 

 「「「ご教授頂きありがとうございます!シード様‼」」」

 

 「元気でよろしい」

 

 こんにちは、ヴェルシード=テンペストです。

 私は現在、新設される医療部門に配属される人たちに医学知識を教えています。え?魔物と人間では体のつくりが違うんじゃないかって?そこはご心配なく、我らが『学習者』とリムルの『大賢者』指導のもと、違いはしっかりと勉強しておきました!

 まぁ、前世では研修こそ行ったものの現場なんてそれっきりだったし時間が空いたから少し忘れてたりしたけど、そこは『学習者』に助けてもらいながらなんとかやれているので見逃していただけると嬉しいです。

 あと、実際に治療経験を積むことができたのも大きかったですね。武装国家ドワルゴンとの協定で私たちの国が世界に知られてからというもの来訪が多くなり、なかにはヒャッハーなモヒカンさんなど不埒なことを考える人もいたのですが、ソウエイたちがお話をしてくれたようで迷惑をかけたお詫びとして練習台となってくれました。医療の練習なんて危険なことも多いのに、彼らの優しさには感服しました。私も精進ですね!

 …そういえばあのモヒカンさんたちなんでボロボロだったんだろ、危険な魔物でも出たのかな?

 

 「シード様、こちらの本はどちらに?」

 

 「あぁ、それは次の授業までに書き上げるものだから机に置いておいてほしいな」

 

 「承知しました」

 

 「ありがと、ベスター」

 

 そして今は次に教えるものの教材準備に取り掛かっています。まだ『学習者』頼りなとこはあるけど、遅くとも来年には自力で出来るようにしておきたい。

 ちなみに今手伝ってくれてベスターは少し前にガゼル王が連れてきた人で、以前リムルの裁判沙汰になったきっかけなんだとか。けど、今は心を入れ替え真面目に働いてくれている。元大臣ということで、礼儀作法なんかも教わっています。

 

 「そういえば、リオ殿はいらっしゃらないのですか?」

 

 「リオは今日休みで、今はオウガが影の中にいるよ」

 

 「そうでしたか、確かにガビル殿が休みが重なったから共に修練を、と言っていましたね」

 

 そういう意味で休みにしたんじゃなかったんだけどな…

 

 

 

 sideリオ

 木陰でリオやゴブタたちが見守るなか、ハクロウとガビルが打ち合っているが、ガビルはことごとくを弾かれ、ハクロウに徹底的に打ち込まれている。

 

 「ちょ!ハクロウ殿‼我輩に対してだけ当たりが強すぎるのでは⁉」

 

 「無駄口をたたくでない‼」

 

 「ゴフェッ!」

 

 ハクロウが木刀を振り上げると、それはガビルの顎に当たり綺麗な弧を描き飛んで行った。

 

 「「「ガビル様ー‼」」」

 

 ガビルの部下三人が後を追いかけていった。

 

 「ハクロウ殿!私たちもガビルと同じよう徹底的にお願いします‼」

 「え⁉「も」っすか⁉」

 

 リオは目を輝かせ、さりげなく含まれたゴブタたちは青ざめる。

 

 「ほっほっほ、よかろう全員でこい!」

 

 数分後、ゴブタの悲鳴が辺りに響き渡った。

 

 

 

 

 sideヴェルシード

 「今悲鳴みたいの聞こえた?」

 

 「気のせいでは?」

 

 「そっか」

 

 あの後ベスターと別れた私たちはオウガが日向ぼっこに来ている丘に訪れていた。ここは木陰もあり陽光が当たって心地よくのんびりするにはもってこいだね。

 そしてもう一つに…

 

 「陽光の気持ちよさ、木陰の涼しさ、そしてオウガのモフモフ、癒される~」

 

 オウガの毛並みだね、出会った頃はごわごわで荒れたい放題だったけどブラッシングなどでケアを行った結果、魔性のモフモフが誕生した。それからはのんびりする時にオウガがいればモフモフに身を預けている。

 

 「このモフモフは世界の宝だよ~」

 

 「気に入って頂けて光栄です」

 

 「はぁ~このまま平和がつ…づ…け…」

 

 「これは!」

 

 オウガが毛を逆立てて唸り始める。

 

 「ねぇオウガ、なんか私に向かってすごく強そうなのが迫ってきてるように感じるんだけど…」

 

 「向かってきています、オークディザスターとは比べ物にならない存在が!」

 

 これがリムルの言ってたフラグって奴かな…

 

 「シード!」

 

 異変を察知してリムルも駆けつけてきた。

 

 「ヤバいのが近づいて来てるぞ!しかもお前に向かって一直線に‼」

 

 やっぱり狙いは私かぁ…

 とにかく…

 

 『リオ、聞こえる?』

 

 『シード様!今どちらに⁉』

 

 やっぱりリオも気づいてるか。

 

 『今向かってきてる存在の狙いは私みたい。何とかしてみるからあなたはベニマル達と連携してみんなの安全確保をお願い』

 

 『なりません‼シード様にもしものことがあれば‼』

 

 リオの言うことも分かる…けど…

 

 『お願い』

 

 相手が私の正体を知っていたら…

 

 『……承知いたしました。ご武運を』

 

 本当にごめん…

 

 それから程なくして私たちの近くに何者かが一直線で降りて来た。辺りに走る衝撃や舞っている砂埃からとてつもない何かが来たということだけはわかった。

 

 「お、おい!オウガ‼」

 

 私の後ろからリムルの声がすると同時にオウガが何者かが降り立った場所に駆け出した。

 

 しまった!オウガに命令だすの忘れてた!

 

 「オウガ!やめなさい‼」

 

 「出来ません‼お許しを‼」

 

 もう、変なところで頑固なんだから!

 

 オウガは複数の雷玉を生み出し撃ちだす。雷玉は砂埃に入っていったが直後に弾かれ、同時に舞っていた砂埃も晴れた。

 そこには桜金色(プラチナピンク)の髪をツインテールにした少女が立っていた。

 

 「挨拶に来たつもりだったが、お前、ワタシと遊びたいのか?」

 

 寒気が背筋を通り抜ける。あれはヤバい、勝てない。

 

 《告。推定魔素量は約三倍です》

 

 まずい、無理やりにでも止めないと!

 

 「シード様!リムル様と共にお逃げください‼」

 

 オウガは全身に雷を纏う。

 

 「ほう、ワタシを魔王、ミリム・ナーヴァと知ってのことか?」

 

 「舐めるな魔王‼私はシード様より「王」の名を賜りし無双の牙‼例え遠く及ばずとも、一矢報いて果ててくれる‼」

 

 オウガが駆けだそうとするが…

 

 「やめなさい‼」

 

 大樹の根がオウガに巻き付いた。

 

 「な、シード様‼」

 

 「落ち着け、オウガ」

 

 リムルがオウガの横に立つ。

 

 「リムル様!しかし‼」

 

 「シードから伝言だ、「任せて」だってさ。信じてやれよ」

 

 リムルの言葉に、オウガはただ頷いた。

 

 「「後でお説教」とも言ってたぞ…」

 

 「…はい…」

 

 

 私は魔王の前に出る。

 

 「部下が失礼しました。ミリムさん、でよろしいでしょうか?」

 

 「うむ、ワタシが魔王、ミリム・ナーヴァなのだ」

 

 面と向かって勝てないと改めて実感するなぁ…何とか穏便に済ませないと。

 

 「本日はどのようなご用件で?」

 

 「挨拶なのだ」

 

 「挨拶…ですか?」

 

 「挨拶なのだ」 

 

 予想外の答えにシードが固まる。

 

 「えっと…何故挨拶に?」

 

 「ゲルミュッドの残した水晶を見たからなのだ」

 

 ゲルミュッド…やっぱり魔王が絡んでたんだ。

 

 「それはつまり、計画を台無しにした私たちへの報復、ということですか?」

 

 「違うのだ、そもそも、それはお前が魔王になれば済む話なのだ」

 

 私が魔王に?

 

 「何故私が魔王に?」

 

 「水晶を見たが、お前はとても強いのだ!だから魔王になるのだ!」

 

 そういうとミリムさんは私の手を引いて飛ぼうとする。

 

 「ちょっ、待ってください、私は魔王になるつもりはありません!」

 

 「なぬっ⁉」

 

 ミリムさんは驚愕し私に飛びつく。

 

 「何故なのだ⁉魔王になれば魔人や人間に威張れるのだぞ⁉」

 

 「そんなことに興味はありません、私はここでの生活に満足してるんです」

 

 「そうかそうか」

 

 思いのほか物分かりがよ「じゃあワタシと戦うのだ‼」くなかったか…

 

 「一撃でも攻撃を受けたらワタシの負けなのだ!だがそれが出来なければワタシの部下になってもらうぞ!」

 

 勝利条件はだいぶ優しめ…なのかな?

 

 「ちなみに…お断りした時は?」

 

 「お前が来るというまで暴れるのだ」

 

 選択肢は一つか…

 

 私は短刀と刀を取り出す。

 

 「やる気になったようだな!ならドンとデカいのを撃ち込んでくるのだ!」

 

 「それでは遠慮なく」

 

 シードは左手に持つ短刀を横一文に振る。

 

 「月牙…」

 

 そこには薄緑の魔素が残った。さらに一歩踏み込むと右手に持つ刀を掲げ振り下ろす。

 

 「十字衝‼︎」

 

 十字の形をした薄緑の魔素の塊がミリムに一直線に迫る。

 ミリムは正面から受け止めると大爆発を引き起こし、リムルたちに風圧が襲いかかる。

 

 「すっげ…」

 

 リムルはその威力の高さに唖然とする。

 

 「すっごいのだ!並の魔王ならばこれで倒せるのだ‼︎」

 

 ミリムは爆炎から楽しそうに飛び出してきてシードに一直線に向かっていく。

 

 「次はこっちの番なのだ!」

 

 ミリムの拳がシードに迫った。

 

 「ッ!月牙天衝‼︎」

 

 シードは両手の刀で迎え撃ち、再び辺りに衝撃が走る。

 

 「おぉ!ワタシの攻撃を正面から迎え撃ったのだ‼︎ならば‼︎」

 

 ミリムは更に興奮し、力を強めた。

 

 まずい、このままじゃ押し負ける。だったら‼︎

 

 シードは刀を僅かに横にずらすとミリムの攻撃を受け流した。しかし勢いを殺しきれず刀が飛んでいってしまう。

 

 「螺旋手裏剣‼︎」

 

 さらに追い討ちとばかりに螺旋手裏剣を複数生成しミリムに投げつけた。

 

 「効かないのだ!」

 

 ミリムは全てを弾く。弾かれた螺旋手裏剣は辺りに着弾すると込められた魔素が荒れ狂い、辺りの木々を薙ぎ倒していった。

 

 「本命は…」

 

 シードはミリムに向け一直線で飛んでいく。

 

 「こっち‼︎」

 

 拳を振り抜いた。

 

 ミリムは咄嗟に片腕を割り込ませて防ぐが、そのまま木々を薙ぎ倒しながら吹き飛ばされていく。

 

 「防がれたッ!」

 

 今ので決めたかったのに!

 

 ミリムがすぐに戻ってくる。

 

 「お前やるのだ!片腕が痺れたのは久々なのだぞ‼︎」

 

 骨折くらいして欲しかったよ!

 どうしよう、これ以上ミリムさんに効くものは…

 

 「ならばワタシも少しばかり本気を見せてやるのだ!」

 

 ミリムは飛び上がると両手を私の方ににかざす、そこに膨大な魔素が収束していった。

 

 『告。個体目:ミリム・ナーヴァの大規模な攻撃がきます。退避してください』

 

 …あれだ。

 『学習者』あれ、取り込める?

 

 『解。吸収と放出を同時に最大出力で行えば可能です。しかしどちら片方でも精度を落とせば失敗し、辺り一体は更地と化します』

 

 充分!

 

 「食らうがいいのだ!竜星拡散爆‼︎」

 

 複数の光線が迫る。

 

 「やってやる‼︎」

 

 光線はシードを襲った。

 辺りに風圧が襲い、土煙があがる。

 

 「シード!!」

 「シード様‼︎」

 

 リムルとオウガの叫び声がこだました。

 

 「殺さぬよう加減したのだ!それでは約束通り部下に…ムム?」

 

 土煙が僅かに晴れると、そこには竜星拡散爆を吸収しながら魔素を放出するシードの姿があった。

 

 「すっごいのだ!ワタシの攻撃を受け止めてるのだ‼︎」

 

 『告。吸収量が放出量を上回っています。即座に修正してください』

 

 わかってるよ!解析は⁉︎

 

 『解。竜星拡散爆の解析は67%完了。残り時間は、あと24秒です』

 

 10秒でやって!

 

 『了。命令を実行します』

 

 「あいつ、あれを取り込もうとしてんのか⁉︎」

 

 「危険ですシード様!お逃げください‼︎」

 

 気が散るから喋らないで‼︎当のミリムさんは…

 

 「ワクワク!」

 

 すっごい目を輝かせてこっちを見てるし…

 

 『告。竜星拡散爆の解析が完了しました。いつでも発動できます。』

 

 でかした!じゃあこっちも…

 

 シードを襲っていた光線は少しずつ縮んでいき、彼女に取り込まれた。直後、疲労が襲ったのか片膝をつく。

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 「すっごいのだ‼︎すっごいのだ‼︎あれを防げるものなどそうはいないのだぞ‼︎」

 

 ミリムさんは更に興奮してるみたいだけど、私としては…

 

 「ミリムさん」

 

 「ム?」

 

 両手に魔素を収束させる。

 

 「この着物、お気に入りだったんですけど」

 

 先の攻撃は防ぐことはできていたが、着物はズタボロとなっていた。

 

 「弁償してください!」

 

 先程解析した技を解き放った。

 

 「竜星拡散爆‼︎」

 

 「なっ!あれを模倣したのだ⁉︎」

 

 ミリムは技を模倣されたことに動揺し、防御が間に合わず直撃を受けた。

 

 「当たっ…た」

 

 少しして、煤まみれとなったミリムが降りてくる。

 

 「えっと…その…私の勝ち…でいいんですよね?」

 

 ミリムさんの表情が見えない。プルプル震えてるし、これもしかして怒っちゃった?

 

 「すっっっっごいのだ‼︎‼︎」

 

 すっごい目が輝いてる…

 

 「受け止めるだけでなく、まさか模倣し一矢報いるとは思わなかったのだ‼︎あれはお前のスキルなのか⁉︎」

 

 「え、えぇ、まぁ…」

 

 「お前なら今からでも魔王を名乗れるのだ!すぐほかの魔王のところに行くのだ‼︎」

 

 「え、ちょ…」

 

 ミリムさんは私の手を引くとどこかへ飛ぼうとする。

 

 「待った待った待った!」

 

 リムルが私たちの間に入ってくれた。

 

 「ム?なんなのだお前」

 

 「俺たちの仲間を連れていくなよ、それに勝負はシードが勝ったんだろ?」

 

 「勝負?」

 

 ミリムはなんのことかと頭を傾げたが、何かを思い出したようにハッとした。

 

 「そうなのだ!勝負なのだ‼︎」

 

 忘れてたのかよ!

 

 「私が直撃を受けたら負けだと言う約束だったのだ、そちらの勝ちでいいぞ」

 

 「か、勝ったぁ〜」

 

 シードはその場にへたり込んだ。

 

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