転生したら5番目の竜種だった件   作:Rin1411

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運命の出会い

 この世界に竜種として転生して1年。お兄様と話し込みながら過ごしていたがここに訪れようとしているものがいるようだ。

 スライムらしいが…

 とはいえ第二村人のようなものだ。どのように接すればという気持ちはあるが私は不思議と平然としている。

 というものの…

 

 「よく来たな小さきものよ!…違うな。クァ——ハハハ!ようこそ虫けらよ!これも違うか…ど、どどどどうすればよいと思う妹よ!我はあのスライムが来たらなんといえばいいと思う⁉︎」

 

 「普通に初めましてスライムさんでいいのでは?」

 

 「ば、バカ!下に見られたらどうする!こういうのは第一印象が一番大事なのだぞ!あぁ!スライムが遠ざかっているではないか!妹よ!スライムをここに案内できないか⁉︎」

 

 メチャクチャテンパってるお兄様がいるからだ。どうやら私が来るまで300年の間ここに封印されていたらしくとにかく緊張しているという。私と話している間は饒舌だったことを指摘するとどうやら兄の威厳という名の虚勢を張っていたようで、内心ではもうドッキドキだったとのこと。

 

 「そもそもスライムって意思疎通できるんですか?」

 

 「いいや、スライムは基本、思考もせず吸収・分裂・再生を繰り返すだけの低位モンスターだ。」

 

 「それうろついてる間に迷い込んだだけでは?」

 

 「それもあり得んだろう。奴らはテリトリーから出ることはめったにないからな。もしかしたらネームドかユニークやもしれんな」

 

 となるといよいよ謎だ。スライムなんて前世でゲームやってた時も最初に出てくる雑魚モンスターみたいなものだったし。いっそのこと初討伐でも…ん?

 

 「飛んできたな」

 

 「飛んできましたね。私の頭に…」

 

 考え込んでいると件のスライムが私の頭の上に飛んできた。

 

 「ふむ、この再生速度、ユニークなのは間違いないな。一度語り掛けてみるか」

 

 「語りかけるって言ったってこれ言葉通じな『聞こえるか?小さき者よ』わひゃあっ!」

 

 なんか頭に声が響いてきた。学習者と話してる時みたいな。

 

 「驚かせたか、すまんな。今のは念話というものだ」

 

 「念話?」

 

 「うむ、せっかくだからお前も使ってみよ。このスライムの声が聴けるはずだ」

 

 とにかくやってみよう。お兄様以外との初めての会話、なんかドキドキする。

 

 『スライムさーん、聞こえますかー?』

 

 『うわっ!今度は女の人の声!ど、どこにいるんだ?』

 

 スライムさんが頭の上でもぞもぞと動いている。くすぐったいなこれ。

 …ていうかこのスライムさんもしかして…

 

 「お兄様、このスライムさん多分『おい!返事をするが良い!』ちょっ『うっさい!ハゲ!』ブフゥッ!」

 

 ハゲ…!見えてないから分からないんだろうけど…ハゲって…!

 だめだお腹痛い!

 

 『…ほう、我をハゲ呼ばわりとは…貴様、死にたいらしいな…』

 

 あらら~…お兄様怒っちゃったか。これは止めないとまずいかも…

 

 『す、すんません!思ったことが相手に伝わると思わず!自分、目も見えない状態でして…』

 

 やっぱり見えてなかったのか。にしてもこのスライムさん、やけに人間味あるな。これってもしかして…

 

 『クァ―――ハハハハ‼我を見ての発言かと思ったが、成程、目が見えないのか。ならば見えるようにしてやろう』

 

 『え?本当っすか?』

 

 『うむ、ただし、見えるようになっても我に怯えぬこと、そしてまた話をすることが条件だ。どうする?』

 

 …お兄様、自分の見た目がだいぶ厳ついって分かってるのかな?

 

 『それだけでいいんですか?』

 

 『うむ、実はな、300年の間ここに封印されて暇でしょうがないのだ。最近は妹がおるから暇もまぎれるが、話し相手は多いほうがいいからな。』

 

 「(そのくらいでいいなら喜んでお願いします!)」

 

 スライムさんも安請け合いしちゃったか…まぁ見えないんなら仕方ないけど…

 

 『よし、では『魔力感知』というスキルがある。使えるか?』

 

 『使えないです。どういうスキルなんですか?』

 

 『周囲の魔素を感知するスキルだ。体外の魔素の動きを感じるだけで獲得できる』

 

 お兄様もいい加減だなぁ…魔素の感知は私たち竜種には簡単だが彼はスライムだ。よし、ここは…

 

 『まだ慣れてないみたいですし、私が手助けしましょうか?』

 

 『さっきの女の人の声、もしかして妹さんっすか?』

 

 『そうですよ』

 

 『さっきは無視してすんません!』

 

 『いいですよ別に。私ももしかしたら見えないんじゃないかなって思ってたところですし。それで話を戻しますけど、私のスキルに周囲の魔素を自分に収束させるものがあるんです。弱めに収束させるんでただ漂っているのを感じ取るよりは簡単じゃないでしょうか?』

 

 『そんな裏技が!ぜひともお願いします!』

 

 『はい、それではゆっくりとあなたに向かってくる流れがあると思いますからそれを感じ取ってくださいね』

 

 『わかりました!』

 

 よし、『学習者』。魔素の収束を弱めでお願い。

 

 《了。ユニークスキル『冥灯龍(ゼノ・ジーヴァ)』の魔素収束を、最小出力で実行します》

 

 次の瞬間、周囲の魔素が私に集まっていく。流れは緩やかだがスライムさんは私の頭の上に乗っかったままだ。この緩やかな流れでも十分に感じ取れるだろう。

 

 『出来ました!もう収束を解いても大丈夫ですよ!』

 

 少ししてスライムさんからの声が届いた。

 

 『できたんですね!良かった良かった』

 

 『おお!見える見える!』

 

 見えるようになった喜びでスライムさんが飛び跳ねているようだ。

 見てみたい…

 

 『出来たようだな!』

 

 『はい!お二人ともお手数おかけしてってえぇ!ド、ドラゴン⁉︎』

 

 スライムさんは驚いていた。そりゃそうだ。私だって最初は気絶したもん。

 

 『あ、あの~…妹さんはどちらに…』

 

 『何を言うか我が妹ならば貴様が乗っているであろうが』

 

 『え?』

 

 スライムさんが下を覗き込んだそのまま固まった。

 

 『み、()()()()()()()()()()!す、すんません!ずっと乗っかっていたとは気づかず!!』

 

 スライムさんが大慌てで私から飛び降りると上部分を曲げて謝ってきた。多分頭を下げてるみたいなものだろう。

 それにしても「緑色のゼノ・ジーヴァ」か…これは確定だな。

 

 『気にしてないので大丈夫ですよ』

 

 『そ、それは良かったです』

 

 『それはそうとスライムさん』

 

 『何でしょう?』

 

 『あなた、転生者ですよね?それも私と同じ、異世界からの』

 

 「(よくわかりましたね!そうなんですよ俺、刺されて死んだと思ったらこんな姿になってて…ん?「私と同じ」?)」

 

 『はい、私も死んだと思ったらこの姿になってたんです。お揃いですね』

 

 『え、ええええええええええええ⁉︎』

 

 スライムさんは大層驚かれていた。でも死因まで一緒だったのは驚きだなぁ…

 

 そして、この時の私は知る由もなかった…

 この出会いをきっかけに、世界は激動の時代を迎えていくこととなることを…

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