転生したら5番目の竜種だった件   作:Rin1411

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牙狼族の主

 牙狼族と戦うにあたってまずは防備や戦力を整えることにした。私とリムルがいればまず負けないとは思うけど、ここはあくまでも彼らの村だ。ならば彼らにも参加してもらわなければ。

 …それに雷を操る牙狼族という不確定要素もある以上、こちらも出し惜しみはできない。

 

 「…皆、牙狼族にやられた者です」

 

 村長さんに案内された小屋には牙狼族との戦いで負傷したゴブリン達が寝かされていた。皆爪や牙にやられたのか傷が酷く、中にはもう長くない者までいる。

 

 『俺の回復薬でどうにかできるな』

 

 『回復薬?』

 

 リムルそんなの持ってたの?

 

 『シードの服の材料にもなったヒポクテ草だよ、あれは回復薬の原料なんだ』

 

 『あの洞窟ってそんなのあったんだ。でも、今回は私にやらせて。回復薬の数にも限りはあるし』

 

 『何するんだ?』

 

 『まぁ見ててよ』

 

 『学習者』。『治療者』をこの小屋の中にいる負傷したゴブリン達を対象に発動させて。

 

 《了。ユニークスキル『治療者』を、負傷したゴブリンを対象に実行させます》

 

 そう、私のユニークスキル『治療者』だ。

 これは私が少しでも魔素を流し込めば使えるスキルで自然治癒力を自在に操作できるものだ。ほかにも私の魔素が残っていれば体内組織を操作して造血を促したり、常に健康診断ができるうえ、病原体は即座に除去できるという効果もある。ちなみに『学習者』から除去の効果を利用し、敵を内側から破壊するという中々に恐ろしい使い方も提示されていたりする…

 …とにかくこのスキルを使えばすぐに完治させることが可能なのだ!

 

 私から流れ出た魔素は負傷し横たわるゴブリン達に流れ込んでいく。するとみるみる傷が塞がっていき、彼らの顔色も戻っていった。

 

 「おぉ!シード様は蘇生の力をお持ちなのですね!」

 

 村長さん、死んでないよ。

 

 負傷者の治療を終わらせた私達は次にほかのゴブリン達に作らせた柵を見に行った。

 

 「ご命令の柵を皆で作ってみましたが、いかがでしょうか?」

 

 「急ごしらえならこんなもんか。シード、補強頼む」

 

 「任せて」

 

 私は柵に触れると全体に魔素を流す。そして『園芸師』の品種改良で強度を底上げした。

 応急処置にしかならないけど、これならすぐに侵入したりはできないはず。

 

 「これで準備は整ったな」

 

 「あとは迎え撃つだけね」

 

 そして夜になった、魔力感知に百匹程の魔物が引っかかる。

 

 「き、来た!来たっすよ!牙狼族っす‼」

 

 木の上で見張りをしていたゴブリンの言葉に緊張が走る。

 前方から牙狼族の群れが駆けてくる。

 

 「シード、手筈通りに」

 

 「えぇ、やるわよ『学習者』」

 

 《了。命令を実行します》

 

 すると柵から薄緑の膜が広がり壁となった。私が先程柵に魔素を流したのは補強のためだけではなく『冥灯龍』の魔素操作のためでもあった。あくまでも柵は見せかけで本命は魔素で作った障壁だ。

 

 「それじゃ行ってくる」

 

 「うん、こっちは任せて」

 

 「ご武運を」

 

 リムルは障壁を出て牙狼族に立ちふさがる。この障壁は内側から出る分には問題がない。

 

 「そこで止まれ」

 

 「オヤジ殿、あの者です、例の」

 

 「お前が見たという異様な妖気をまとう魔物のことか?くだらん、ただのスライムではないか」

 

 「一度しか言わないからよく聞け、このまま引き返すなら何もしない。さっさと立ち去るがいい」

 

 牙狼族のリーダーはリムルの警告を無視してそのまま進んだ。

 

 「人間の村によくある柵と妙な障壁か。スライムと魔人風情が生意気な…お前たち行け!」

 

 リーダーの言葉に三匹の牙狼族が接近するが入口に近づいたところで何かに傷つけられる。さらにゴブリン達の弓矢で狙撃され倒された。

 

 「バカなっ、いったい何が起こって…なんだこれは⁉」

 

 リーダーは血が滴るものが張られているのを見つけた。

 

 「あの糸は⁉」

 

 「鋼糸だね。この柵と障壁は囮で、あの糸に気を取られている間に弓矢で狙撃する。仮にたどり着いても柵と障壁に足止めされている間にこっちから仕留める。守りに徹するつもりなんて最初からなかったってこと」

 

 でもなんなんだろう、この違和感。大切な何かを見落としてる気が…

 

 「今だ!息子よ!」

 

 《告。後方から牙狼族が接近。ユニークと推測》

 

 私は後ろを振り返る。そこには雷光をまとった碧色の牙狼族が駆けてきている。

 しまった!前からきている群れは囮だったんだ!

 牙狼族のユニークが私の顔目掛けて飛び掛かってきた、私は咄嗟に右腕を割り込ませる。すると右腕に噛みつき放電した。

 

 「シード様!」

 

 ゴブリン達が駆け寄ろうとするが放電により近づけない。

 …問題なし!

 

 「ふん!」

 

 私は右腕を大きく振った。すると牙狼族のユニークは吹き飛び障壁を出て木に衝突、そのまま意識を失いずり落ちた。

 そしてゴブリン達が私に駆け寄ってくる。

 

 「シード様!ご無事ですか⁉」

 

 「問題ないよ。私には『物理攻撃無効』と『状態異常無効』があるから」

 

 ゴブリン達は安堵していた。

 

 『シード!大丈夫か⁉』

 

 今度はリムルか。

 

 『大丈夫。でも服がボロボロになっちゃったから後で新しいのお願いね』

 

 さっきの電撃で服が焦げちゃったんだよね…

 

 『そんなのお安い御用さ』

 

 リムルは牙狼族の方を再度向き…

 

 「お前達の秘策も潰えたぞ。どうする?」

 

 これで引いてくれれば嬉しいんだけど…

 

 「調子に乗るなスライム如きが‼ひねり潰してくれる‼」

 

 「オヤジ殿⁉」

 

 リーダーは仲間の血を頼りに糸の罠を潜り抜けリムルに飛び掛かったが、空中で動きがぴたりと止まった。

 

 「なんだこれは、動けぬ…」

 

 「粘糸だ、残念だったな」

 

 リムルは水刃でリーダーの首を撥ねた。

 

 「や、やった!」

 

 ゴブリン達から歓声があがる。

 一方で牙狼族はリーダーの死に戸惑っていた。

 

 「聞け、牙狼族よ!お前らのボスは死んだ!選ぶがいい、服従か死か!」

 

 『リムル、なんか目的変わってない⁉』

 

 『ヤベ、ついノリで…服従するなら死を!的な感じで向かってきたらどうしよう』

 

 あれ?群れが動かない。統率者を失って決められないのかな?

 少しの静寂の後、リムルが牙狼族のリーダーを捕食し擬態した。

 

 「ククク、仕方がないな、今回だけは見逃してやろう。我に従えぬと言うのならば、この場より立ち去ることを許そう‼さぁ行け‼」

 

 するとリムルは強い思念で遠吠えを発する。

 威嚇のつもりなんだろうけどこっちにまで被害出てるから!

 ていうか牙狼族の群れが少しずつリムルに向かってってる。やっぱり弔い合戦的なのかな?

 

 「「「我ら一同!貴方方に従います‼」」」

 

 シモベが増えました☆

 

 そして日が昇り…

 

 「えー、これから君達はペアとなって一緒に過ごしてもらいます!」

 

 リムルのペアという言葉にみんな困惑している。意味わからないのかな?

 

 「ペアっていうのは二人一組ってことだよ」

 

 私の言葉にゴブリン達と牙狼達が目を見合わせる。やっぱり敵同士だったし難しいかな?

 

 「宜しくな!」

 「おう、こちらこそ!」

 

 そんな感じでペアが出来上がった。打ち解けそうだね、険悪にならなくて何よりだよ。

 

 「それと、お前達に名前を付けようと思うが、いいか?」

 

 リムルの言葉に皆驚愕し視線がリムルに集中している。

 なんで?

 

 「宜しいのですか?」

 

 恐る恐ると村長が訪ねている。なんで名前を付けるってだけでこんなに…

 

 「あ、あぁ…」

 

 するとみんなが歓声をあげている。いや本当にどうして?

 

 「一つ宜しいでしょうか!」

 

 そんな中、一匹の牙狼が声をあげる。

 私に噛みついたユニークの子か。

 

 「どうかしたのか?」

 

 「叶うのならば、私はシード様に名付けていただきたいのです」

 

 え、私?

 

 「シードにか?」

 

 「はい、確かに父上を屠る実力者のリムル様でも異論はありません。しかし、この私の牙を受けてもびくともしない強固さ!そのうえ簡単に振り払った力強さ!さらに私の奇襲を受けても動じない胆力!それらを備えたシード様に感服しすべてを捧げ尽くしていきたいと存じております!そのためシード様から名をいただきたいのです!」

 

 …どうしよう、この子からの眼差しが凄い。

 ごめん違うの。びくともしないっていうけど内心凄いびっくりしてたから!振り払ったのも咄嗟で力強さ示す気なんてなかったし胆力も外に出てなかっただけだから…

 

 『シード、どうする?』

 

 見かねたリムルが念話で話しかけてきた。

 う~ん…よし。

 

 「じゃあ君には私とペアになってもらおうかな」

 

 「シード様とですか⁉」

 

 周囲がざわく。

 

 「うん、君のお兄さんに聞いたけど、あの奇襲は独断で動いていたんでしょ?そういう自分で考えられる力はとても重要だし、今後はそれで私を助けてほしいかな。どう?」

 

 「光栄の極みであります!」

 

 「それじゃあ名前だね。実は君のことを聞いた時にこれだっていうのがあったんだ」

 

 そう、雷を操る狼。そして碧色の四肢に背中の白毛、これでより定まった。私がモンハンでムフェトジーヴァと同じくらい好きだったモンスター、さすがに全部は長いから…

 

 「『オウガ』それがあなたの名前よ」

 

 「ハッ!このオウガ、シード様に誠心誠意仕えさせていただきます!」

 

 「よかったな、弟よ」

 

 「感謝します。兄上」

 

 額に星の模様を持つ牙狼の新しい族長が賛辞を送っている。

 

 「それじゃあ気を取り直して一列に並んでくれ」

 

 リムルの言葉に従いゴブリン達は一列に並ぶ。

 

 「まずは村長とその息子か、確か村一番の戦士だったリグルの身内だと言っていたな。」

 

 「「は、はい」」

 

 「では、村長はリグルド。息子のお前は兄の名を継いでリグルだ」

 

 「おぉ!」

 

 「息子にこの名を継がせる許可をいただき、感涙に堪えませぬ‼」

 

 すごい嬉しそう。

 それからも名前を付けていったけどリムル、多いからって「ゴブタ」「ゴブチ」「ゴブゾウ」っていうのは捻りがなさすぎなんじゃ…

 

 「お前はハルナだ」

 

 それにしても皆本当に嬉しそう。名前付けるだけだよね?

 

 「ねぇオウガ」

 

 「いかがされましたか?シード様」

 

 「なんで皆こんなに嬉しそうなの?」

 

 「もしや、ご存じないのですか?我ら魔物は「リムル様!」」

 

 リグルドの声に驚き声のする方を見るとリムルが形を崩し広がっていた。

 

 「リムル!」

 

 私とオウガも駆け寄る。

 『学習者』!これどうなってるの⁉

 

 《解。個体名:リムル=テンペストは体内の魔素が一定値を割り込み、定位活動状態へと移行した模様です》

 

 なんで魔素が?

 …もしかして…

 

 「ねぇオウガ、魔物の名付けって魔素消費したりする?」

 

 「流石シード様です。ご自身で答えにたどり着くとは!」

 

 うん、これだけ材料揃えばね。

 でも魔素が足りないだけなら私の魔素を流し込めばいいんじゃ…

 

 《解。ユニークスキル『冥灯龍』の魔素操作で個体名:リムル=テンペストを回復させることは可能です》

 

 なんだ、それなら

 

 「皆、落ち着いて、リムルはすぐによくな…る…」

 

 私はリグルドの方を向いたつもりだったがそこには筋骨隆々のゴブリンがいた。え?リグルドだよね?周りを見てもなんか皆すごい成長してってあ、ゴブタだけ変わってない。

 牙狼もランガと名付けられた子が一本角生やしてすごく大きくなってる。ほかの牙狼も進化してるのはなんで?

 

 「シード様、どうかいたしましたか?」

 

 オウガの方を向いてみたらあらびっくりこちらもランガと同じくらい大きくなってる。さらには耳の付近から二本角が生えてよりジンオウガに近い見た目になった。

 

 「すごく…立派になったね…」

 

 「ハッ!名をいただき、進化したのです!」

 

 マモノッテスゴイ…




ユニークスキル『治療者(ナオスモノ)
効果
治癒促進:自身を経由した魔素を内包する生物の自然治癒力を操作する。
組織活性:自身を経由した魔素を内包する生物の体内組織を操作する。
状態把握:自身を経由した魔素を内包する物体の状態を把握する。
除去:自身を経由した魔素を内包する生物の体内物質を除去する。

ユニークスキル「帯電者(マトウモノ)
効果
電力変換:内包する魔素を電気に変換する。
電力蓄積:魔素を集約させて電圧を強める。
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