荒野の真ん中にそびえ立つ星観測台の跡地は、どこか異質な静けさを放っていた。古い石材で作られた塔の残骸が、不規則に転がる瓦礫となり、夜の闇に溶け込んでいる。冷たい風が砂を巻き上げ、私たちの視界を遮るようだった。
「ここが……観測台の跡?」
私は低く呟きながら足を止めた。この場所が長い間、何者にも触れられていないことを示すように、すべてが廃墟のまま眠っている。
「だが、何かが動いている。」
先頭を歩くセラヌスが短剣を構え、周囲を鋭く見回した。その金色の瞳には警戒心が宿り、闇の中のわずかな異変を見逃さないようにしている。
「気配は近いわ。」
コンヴァリアが低く囁く。彼女は手に絡む異形化した蔦を操り、慎重に一歩ずつ進んでいく。その動きには、彼女の探索力と洞察力が強く感じられた。
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星明かりが荒野を照らし始めた頃、私たちはその場所で奇妙な人物に遭遇した。
彼女は高く伸びた首を少し傾け、私たちをじっと見つめていた。黒いショートヘアに黒のフード付きローブ、そして星模様が刺繍された衣服。どこか中性的で、星を宿すような瞳の光が不気味なほどに印象的だった。
「この地で何をしている?」
彼女は静かに尋ねた。その声は低く、滑らかだが、冷たさを含んでいた。
「私たちは……」
リリシアが答えようとした瞬間、遠くから咎狂の唸り声が聞こえた。私たち全員が一斉に身構える。
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闇の中から咎狂が姿を現す。その歪んだ骨格、不規則に伸びた四肢、そしてねじれた顔は、何度見ても耐え難い不気味さを感じさせる。
「下がっていろ。」
星を宿した瞳の彼女が冷たく言い放ち、右手をゆっくりと掲げた。すると、手の中に突然光が集まり始める。それはまるで星空そのものが彼女の手に凝縮されたかのようだった。
眩い光が剣の形を成す。
彼女の手に握られたその剣は、夜空の星々を反射するように輝きながら、異様な存在感を放っていた。
「これが星火の刃だ。」
彼女は低く呟き、剣を一閃させた。その動きは流れるようで美しく、敵を切り裂くたびに光の波動が広がる。咎狂たちは一瞬にして消え去り、跡にはただ冷たい静寂だけが残された。
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「あなたは……一体?」
私は恐る恐る声をかけた。彼女は星火の刃を消し、ゆっくりと私たちの方へ向き直った。
「名を問うなら、私はアストリス。」
星明かりを背負った彼女が静かに名乗る。その声は冷静だが、どこか執着めいた感情が感じられた。
「この地を守る者として……そして、星々に導かれる者として。」
彼女の言葉には何か隠された意図があるように思えたが、その真意を知る術はなかった。ただ、彼女の瞳に浮かぶ星の模様が、どこか悲しげで孤独を漂わせているように見えた。