霊刻の咎(れいこくのとが)   作:くにゅたろ

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第18話: 冷たい光の下で(アストリス視点)

夜明け前の荒野は、静寂の中に潜む脅威を感じさせた。星観測台跡の周辺は、かつて科学と希望が交錯していた場所のはずだったが、今はただ咎の気配に満ちている。私はその冷たさを肌で感じながら、剣を腰に手を添えて立っていた。

 

星々はまだ空高く煌めいていたが、その光はどこか歪んで見えた。私の瞳に映る星々は本来の輝きを失い、まるでこの荒んだ世界そのものを映しているかのようだった。

 

 

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「お前、そんな所で何してるんだ?」

 

背後から荒っぽい声が響いた。振り返ると、セラヌスが腕を組み、私を睨むように見下ろしていた。その表情はいつものように挑発的で、声にはわずかに嘲笑が混じっている。

 

「観察しているだけだ。」 私は短く答えた。彼女の態度に動じることなく、視線を再び夜空に戻す。

 

「観察、ねぇ。」セラヌスは鼻で笑い、肩をすくめた。「星の光に何か答えが隠れてるってか? それとも、もうお前も星に祈るような神頼みのクチか?」

 

「祈りなんてものはしない。」私は静かに言い返した。「星は嘘をつかない。ただ、見る者がその意味を読み解けるかどうかだ。」

 

セラヌスは少し驚いたように眉を上げたが、すぐに冷たい笑みを浮かべた。「詩人ぶるのもほどほどにしろ。敵に襲われて詩を詠んでる暇なんてないからな。」

 

 

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私は彼女の言葉を無視し、再び空を見上げた。星々が持つ力、それは私が「星火の刃」を手にした理由そのものだった。この力は美しく、そして恐ろしい。私の家族を焼き尽くした咎狂が現れた夜、星の光だけが最後まで私を見つめていた。だから私は星を見つめ返す。この力の源を理解し、その真実を探るために。

 

「何を考えてる?」

 

今度はリリシアの穏やかな声が背後から聞こえた。彼女の声には、包み込むような暖かさがある。振り返ると、その瞳には心配と優しさが宿っていた。

 

「考えているというより、思い出しているのかもしれない。」私は静かに答えた。

 

 

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「星の光に何かを感じるのね。」リリシアは微笑んだ。「私にはわからないけれど、あなたの瞳はそれを語っているみたい。」

 

「語るべきことなんてない。」私はそっけなく返す。しかし、その言葉はリリシアの暖かな表情を崩すことはなかった。

 

「言葉にしなくてもいいのよ。でも、何かを背負いすぎるのはよくないわ。」彼女の言葉は優しいが、どこか核心を突いてくる。

 

私はその場を離れるため、観測台の跡地を歩き始めた。すると、暗闇の中に小さな影が動くのが見えた。

 

 

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「咎狂だ!」コンヴァリアが低い声で警告した。その瞬間、全員が構えを取る。暗闇から現れた異形の姿は、咎の力に歪められた悲劇そのものだった。

 

「来るぞ。」セラヌスが槍を握りしめながら前に出た。「さっさと片付けるぞ、お星さま。」

 

「星を侮るなよ。」私は短く返し、星火の刃を手に召喚した。その刃は星の光を吸収しながら輝き、手の中で生きているかのように鼓動していた。

 

 

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戦闘は激しさを増した。セラヌスは荒々しく槍を振り回し、咎狂を叩きのめす。その一撃は敵を地面に叩きつけ、衝撃波が周囲の空気を震わせた。彼女の攻撃には無駄がないが、どこか過剰な力を感じさせた。

 

「ほらよ、こいつはお前の分だ!」セラヌスが笑いながら叫ぶ。その背中には確かに頼もしさがあるが、彼女の眼差しには狂気の片鱗が混じっている。

 

私は星火の刃を振りかざし、咎狂の一体を切り裂いた。その瞬間、刃が吸い込むように星の光を放ち、敵を塵と化した。だが、その代償として私の体は重くなり、目の前が揺れる。

 

 

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戦闘が終わると、皆が息を整えながら立ち尽くしていた。セラヌスは肩で息をしながら槍を空間に収納し、私に視線を向けた。

 

「お前、星の力が何なのか本当にわかってんのか?」

 

その問いに答えることはできなかった。私はただ星空を見上げ、その光の意味を再び問う。星火の刃に宿る力、それを手にした私の意義。それはまだ、私自身にも明確ではなかった。

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