轟音が響いた。
神殿が崩れ始めている。
私の手の中で、鍵はすでに光を失っていた。封印されたのだ。それなのに——
「なぜ……こんなことに?」
足元が揺れる。壁に刻まれた古代の紋様が崩れ、紫の光が脈打つ。
「封印が……崩壊している!?」
リリシアの叫びに、私は息をのんだ。
封印の維持には、咎の力が必要だった。
だが私は、その力を封じる決断をした。
その結果——神殿の構造そのものが、耐えられなくなったのだ。
「走れ!」
セラヌスが叫ぶ。
「長くは持たねえ!全員、外へ出るぞ!」
私は頭を振り、出口へと駆け出した。
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崩壊の神殿
壁が砕け、石の瓦礫が降り注ぐ。
神殿の通路はすでに歪んでいた。私たちは、崩れかけた床を踏みしめながら走る。
「もう少しで——!」
リリシアが先を走る。だが、そのとき——
「——危ない!!」
天井が崩れる。
私は立ち止まる間もなく、衝撃で後ろへ飛ばされた。
視界が揺れる。
——その瞬間、強い腕が私を引き寄せた。
「アリセア!」
セラヌスだった。
彼は私を庇い、崩れた石の破片を受けながら地面に転がる。
「——っ!!」
「セラヌス!!」
私はすぐに起き上がった。
セラヌスの背中に、血が滲んでいた。
「大丈夫か!?」
「……クソッ、少し、やられたな……!」
彼は息を荒げながら、なんとか立ち上がる。
私はすぐにリリシアを振り返った。
「リリシア、治療を——!」
「後だ!」
セラヌスが強く言う。
「ここで止まれば、全員死ぬぞ!」
「……!」
私は唇を噛む。
彼の言う通りだった。
今は、ここから脱出するのが最優先だ。
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フローリアの選択
「こっちよ!」
通路の先で、フローリアが私たちを手招きしていた。
彼女の腕には、古びた書物が抱えられている。
「フローリア、それ……!?」
「神殿に残されていた記録よ!まだ読んでいないけど……おそらく、咎の浄化に関するもの!」
「そんなもの、持ってきたのか!?」セラヌスが驚く。
「当然よ!」フローリアは息を切らしながら答える。「これが、咎の力に関する唯一の手がかりなら、絶対に失うわけにはいかない!」
彼女の瞳は強い意志に満ちていた。
私は彼女を見つめ、すぐに頷く。
「分かった。とにかく、外へ——!」
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崩れゆく神殿
神殿の出口は、もう目前だった。
だが、その瞬間——
「……っ!」
再び、激しい揺れ。
「屋根が——崩れるぞ!」
セラヌスが叫ぶ。
私はすぐにリリシアとフローリアを抱え、全力で出口へと飛び込んだ。
「っ!!」
次の瞬間——
崩落。
灰色の塵が舞い上がり、轟音が神殿全体を覆った。
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静寂の中で
——しばらく、何も聞こえなかった。
私はゆっくりと目を開ける。
空が見えた。
「……助かった?」
「……ああ。」
セラヌスが息を吐く。
彼も、私たちと一緒に間一髪で外へ飛び出していた。
「危なかった……!」
リリシアが胸を押さえる。
フローリアは、震える手で抱えていた古文書を見つめていた。
「……間に合ったわ。」
彼女の瞳には、確かな安堵が宿っていた。
私は、神殿を振り返る。
そこには——
完全に崩れた、瓦礫の山があった。
封印は、崩壊した。
そして、神殿はもう、戻らない。
私は、拳を握る。
「……次は?」
リリシアが、私の隣でそっと聞いた。
私は、目を閉じる。
封印を破ったことで、都市国家間の緊張はさらに高まるだろう。
咎の力を巡る争いも、まだ終わらない。
——けれど、私はこのまま引き下がるつもりはない。
「……私たちの戦いは、まだ終わらない。」
私は、静かに言った。
遠く、都市の灯りが揺れていた。
新たな戦いの幕開けを告げるように——