ソロ専アルバイター、ダンジョン配信者になる-回収屋バイトのわたしは零細配信会社に見初められる 作:こしこん堂
「はいいいっっ!?えっ!?ここで!?」
「うん。こんなところ、1人じゃ持て余しちゃうよ」
そっか。あのクッションとか枕、わたし用だったんだね。
「狭くてごめんね。奨学金返してなかったらもっといいところに住めたんだけど…」
「いやいや!十分すぎだよ!」
今寝てるベッドだってわたしが使ってる布団の3倍くらい大きい。
何もかもが大きすぎて小人になった気分だよ。
「姉さん…」
はる巳が覆い被さるように抱きついてきた。
柔らかな胸越しに伝わる拍動と温もりに包まれながら、3年間離れ離れだった妹の存在を確かめるように抱きしめ返す。
「…ごめんね」
「なにが?」
「姉さんが勝った時、すっごく嬉しかった。姉さんのこと、疑っちゃった…」
「えみ里さん強かったもん。無理ないよ」
今回は向こうにわたしを下だと思い込みたいという隙があり、わたしもキレてたからほとんど怪我もせず勝つことができた。
けど、お互い冷静で心に隙がなかったらもっと長引いて深手を負わせてたかもしれない。
余裕で勝ったように見えただろうけど、こっちだってギリギリだった。はる巳が心配するのも仕方ない。
「勝ってくれてありがとう。これからはずっと一緒だね」
「こっちこそ、委ねてくれてありがとう」
そこからはもう言葉はいらなかった。
胸に顔を埋めたり、ほっぺをこすり合わせたりと思う存分甘えてくるはる巳のやりたいようにやらせていると昔のことを思い出す。
あの頃とは比べ物にならないくらい成長して、住む世界も変わっちゃったけど…やっぱりはる巳はわたしの知ってるはる巳のままだ。
人を寄せつけないようで優しくて、わたしにはすっごく甘えん坊で…。
わたしも、そんなあなたが大好きだよ。
泰征での決闘から5日経ち、はる巳もすっかりリンクトーカーの一員として馴染んできた。
今はよう華ちゃんと一緒にミミにお菓子をあげている。
『ンミィッ!』
「大抵のものは食べるようですね。健康的でよいことです」
「かわいいーーっ!!ミミちゃんをお披露目できたらすっごくバズりそうなんだけどなぁ…」
「今は難しいかな。捕まって解剖とかされちゃいそうだし…」
ミミもすっかりうちのマスコットだ。今はまだ無理だろうけど、時期がきたら公開してもいいと思う。
そうすればミミを外に出しても騒がれないだろうし。
「皆揃ってるね」
ミミを囲んでおしゃべりをしていると、事務所のドアが開いて社長が戻ってきた。
「まずは朗報だ。先日の泰征との案件が大好評でね。他の学校からもオファーが来たよ」
そう言ってわたしたちに見えるようにスマホを見せてきた。
そこに映っていたのは会社の公式SNS。
あの日みんなで撮影した制服姿の写真を上げた投稿には数千件のいいねと大量のコメントがついていた。
「やったわねとも子ちゃん!はる巳ちゃん!」
「うんっ!」
「これから忙しくなりそうですね」
三人で手を取り合って成功を喜んでいると、不意に社長が咳払いをした。
「とも子。ちょっといいかい?」
「はいっ。なんでしょうか?」
二人から社長に視線を移し、次の言葉を待つ。社長は一拍置いて神妙な声で言った。
「お前さんの神器のこと、人に話してもいいかい?」
「…はいっ?」
「アタシの旧友に【異世界】を研究してる奴がいてね。そいつにあの神器を見せてやりたいのさ…」
「い、異世界…?」
本作は女の子同士の愛と絆を描きつつ、ダンジョン配信を通してダンジョンという不思議な世界を描くお話です
百合が好き!ダンジョン配信ものが好き!という方には特におすすめです
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