ソロ専アルバイター、ダンジョン配信者になる-回収屋バイトのわたしは零細配信会社に見初められる 作:こしこん堂
「さっきの人みたいに回収屋のお仕事を悪く言ったり馬鹿にする人はたくさんいます。わたしも今までに何度も言われてきました…」
配信にはアドリブも大事。
前に読んだ本の内容を思い返し、さっきあった出来事絡みの話をする。
「でも、このお仕事はなくちゃいけないものだと思っています。わたしたちがダンジョンの物を拾うから、外でダンジョンの物が安く買えるんです」
"確かに"
"一理ある"
"薬草一枚だってこの子みたいな人たちが集めてきてるんだろうな"
"粗悪なポーションが10万なんて時代もあった。安く買えるのは回収屋のおかげさね"
"有識者は語る"
「だから、回収屋を見かけてもそっとしておいてあげて下さい」
"りょ"
"はーい"
"正直、俺もアイテム拾うだけの底辺職って思ってた。ごめん…"
いつか本当に配信することになったら、回収屋の話もしよう。
そんなことを考えていると、複数の小さな足音が聞こえてきた
「…ゴブリンです」
咄嗟に大きな岩陰に隠れたわたしの前に現れたのは緑の体に尖った耳を持った子供くらいの大きさの魔物、ゴブリンの群れだ。
数は三匹。多分縄張りを巡回してるんだろう。
「ゴブリンは討伐ランクE。初心者にとって最初の壁です。群れで行動するので数によってはC相当になる場合もあります」
"わかる。地味に強いよな"
"しかも色んな武器持っててバリエーション豊富なんだよな"
"まさかやる気じゃないだろうな?回収屋じゃ無理だろ"
"チャラ沈めたのがまぐれじゃないのを祈る"
「三匹だと正面からは分が悪いですね。なので…」
そこで言葉を切り、ゴブリンが通り過ぎるのを待つ。
わたしが隠れている岩を通り過ぎたところで足音を立てずに距離を詰め、
「ほっ」
腰のナタを抜き、背後から三匹の首をほぼ同時に刎ねる。
"はっ?"
"何が置きたし?"
"ゴブリン死んだ?"
"恐ろしく速い一閃。普通に見逃したわ"
"マジなんなんこの回収屋"
首を失い、倒れるゴブリンたち。
「あまり警戒していなかったので簡単に倒せました」
早速魔力で指を強化してゴブリンの牙を1本ずつ引き抜いていく。
「ゴブリンの素材価値は高くないですが、この牙を研げば矢じりなどに使えます。こん棒に埋め込めば即席釘バットにもなりますよ」
"グロ注意"
"インプラントが痛む"
"武器の現地調達ってそうやるのか"
"はえー。ためになるなぁ"
「枝とかがなくて矢が作れない時は…」
握った右手の人差し指の上に特に尖った犬歯を乗せ、牙の先端が前に来るように構える。
その拳を背中越しに後ろに向け、親指で弾いて牙を射出。
「ガオオオオオオッッッ!?!?」
予想通り。
振り返った先にはさっきのゴブリンの倍はありそうな大型の上位ゴブリン、ハイゴブリンがいた。
「指で弾いても使えます」
"いや無理"
"ちょっと何言ってるか分かんない"
"ねっ?簡単でしょ?"
"つかなんで後ろのハイゴブリンに気づけたん?"
"探索者たるもの後ろにも目をつけろ"
"俺が知ってる回収屋じゃない"
"同接増えてきたな"
うまく目に当たったらしく、片目を押さえて暴れるハイゴブリン。
わたしは振り返りざまに跳躍し、隙だらけな首を両断する。
片目が潰れ、何が起きたかわからないといった顔で死んでるハイゴブリンの生首を掴んで着地。
さっきと同じように牙を拝借する。
「ハイゴブリンがいるってことは、近くにキングがいるかもしれませんね。よう華さんが心配なので倒しに行きたいと思います」
"はっ?"
"ひょっ?"
"今なんと?"
"キングはBランクでも苦戦する強敵ですが?"
"チャラなら瞬殺されると思う"
"流れ変わってきたな"