ソロ専アルバイター、ダンジョン配信者になる-回収屋バイトのわたしは零細配信会社に見初められる   作:こしこん堂

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第六話 わたし、狙われています!
わたし、狙われています! ①


「いくよ!みんな!!」

 

 全員が武器を構え、眼前の敵に備える。

 

『グオオオオオッッ!!!』

 

 

 "ど、ドラゴンだぁーーっ!!"

 "フレアドラゴンなんて並みの配信だったら詰みだぞ"

 "リンクトーカーは並みじゃないから大丈夫!"

 "はる巳ちゃんは在学中にドラゴンソロ討伐したらしいしな"

 "むしろドラゴンが可哀想"

 

 

 相手はフレアドラゴン。

 

 討伐ランクはAだけど、その口から放たれる火のブレスや全身を覆うウロコ、15メートル近い巨体も相まって攻守ともに隙がない額面以上の強さを誇る強敵だ。

 

 わたしも一度倒したことがあるけど、あの時はソロであることの強みを活かした攪乱戦法でちまちまと削って倒した。

 

 でも、今回は違う。

 

「私と姉さんで活路を開きます!よう華さんはカヤさんを守ってください!」

「任せて!」

「カヤさんは援護を!動きを止めた隙に目や口、翼膜などの柔らかい部位を狙ってください!」

「あぁっ」

「防護結界《プロテクトウォール》!」

 

 はる巳の指示でそれぞれが配置につき、よう華ちゃんが聖術のバリアを張る。

 

 わたしとはる巳で前線を張り、後衛のよう華ちゃんがカヤさんを守りつつわたしたちをサポート。

 

 そしてカヤさんが魔法で援護射撃。

 

 これが敵に見つかった場合のオーソドックスな布陣。

 

 地味でよく見る形だけど、実戦的でどんな敵にも有効だ。

 

『ガァウッ!!』

 

 フレアドラゴンが左前脚を大きく振り上げ、はる巳に向けて振り下ろす。

 

 ドラゴンの巨体から繰り出される一撃はどれも即死級の一撃必殺。

 

 普通なら回避を選ぶだろう。

 

 けど、

 

「はあああああっっ!!」

 

 はる巳は自身の武器、竜骨を削り出して作った大剣でフレアドラゴンの左前脚を真っ向から受け止めた。

 

 前脚ははる巳を数メートル引きずったところで止まり、はる巳は剣を押し出して前脚を弾く。

 

『グアアアアアアアアアッッッ!!!』

 

 そして、はる巳のケタ外れの膂力で振るわれた一撃が左前脚をウロコと骨ごと斬り飛ばした。

 

 

 "き、斬ったぁーーっっ!?"

 "人間…いや、ドラゴン無骨かよ"

 "ドラゴンの骨ってあんな簡単に斬れるの?"

 "んなわきゃない。骨素材の中では最高硬度だぞ"

 "ほぼ力だけで叩き斬ったはる巳ちゃんマジなんなん?"

 "こんだけ強かったら海外のギルドも欲しがるわ"

 "この力が我が国のものになってたかもしれないのか(英語)"

 "許すまじリンクトーカー(英語)"

 "外国人ニキキレてる!?"

 

 

「コールドピアス…」

 

 カヤさんが魔法の杖を向けて呪文を唱える。

 

 杖の先に展開された魔法陣から放たれた鋭利なツララが片足をなくして揺らいだフレアドラゴンの翼膜に突き刺さる。

 

 ツララは翼膜を破り、空に逃げるという手段を完全に潰した。

 

『グルオオオオオオオッッ!!!!』

 

 フレアドラゴンが大きく口を開けた。ブレスの予備動作だ。

 

「姉さん!」

「うんっ!」

 

 はる巳が両掌を上に向けて組み、腰を屈める。

 

 その意図を理解したわたしははる巳に駆け寄り、その掌に足を乗せ…

 

「ふぅんんっっ!!」

 

 大きく空へと打ち上げられた。その間にもブレスはフレアドラゴンの体内で煮えたぎり、いつでも発射できる状態になっていた。

 

 

 "飛んだぁっ!?"

 "跳躍してどうすんだよ!?"

 "このままじゃみんなブレスの餌食だぁーっ!!"

 "ダメだぁ…!もう間に合わないよぉ…!!"

 

 

 ブレス

 

 それはドラゴンと聞けば誰もが思い浮かべる攻撃であり…無防備で柔らかい口内を晒すドラゴン最大の弱点だ。

 

「ふぅっ!!」

 

 持っていた剣をドラゴン目がけて投擲する。

 

 剣はブレスを放とうとするドラゴンの舌に突き刺さり、フレアドラゴンは激痛のあまり口を閉じた。

 

『ガボぉっっ!?』

 

 ブレスを放つ最中だったのも関わらず。

 

 

 "はっ?"

 "えっ?なに?何が起きたん?"

 "舌攻撃されて口閉じたからブレスが体内に逆流しちゃったんじゃね?"

 "ゲ◯吐く時に口閉じて飲み込んじゃったみたいな?"

 "それ"

 "例えが最悪すぎる"

 

 

 口から黒煙を吐き出したフレアドラゴンの体が傾き、轟音とともに倒れ伏した。

 

「筋力強化《ストレングス》!」

 

 よう華ちゃんが身体強化の聖術をはる巳にかける。

 

 その加護で更に力を増したはる巳はひと足でフレアドラゴンの喉元まで跳躍。

 

「ああああああっっっ!!!」

 

 鉄山をも粉砕しそうな一撃でフレアドラゴンの首を斬り飛ばした。

 

 おびただしい鮮血がはる巳と大地を濡らす。

 はる巳はそんなことはお構い無しと言わんばかりにフレアドラゴンの首を掴み、ドローンに見せつけるように高々と掲げた。

 

 

 "うおおおっっ!!すっげーーー!!"

 "やっぱつえーよリンクトーカー!!"

 "はる巳ちゃんはともかく、これだけの人材どっから引っ張ってきたんだよ!?"

 "技の姉と力の妹、聖術のよう華ちゃんと魔法のカヤちゃん…。布陣に隙がねぇ!"

 "いいもの見せてもらった!(¥3,000)"

 "これからも頑張って!(¥5,000)"

 

 

コメントと一緒に送られてくる投げ銭。最近は動画の収益だけでなく、リスナーからの投げ銭も増えてきた。

 

それだけわたしたちの知名度が上がってきたってことだろう。

 

「みんなー!応援ありがとー!みんなの応援のおかげで、無事ダンジョンのボスを倒せました!」

「じゃあ解体といこうか。…エアロカッター」

 

カヤさんが風の刃で皮を剥ぎ、はる巳が角や牙を引きちぎっていく。

 

わたしもウロコを剥がしながら退屈にならないよう解説する。

 

「ドラゴンは本当に無駄のない魔物です。骨、ウロコ、牙、角、甲殻…翼膜までもが高級な武具の素材に使われます。肉もとてもおいしく、高級ホテルやレストランで振る舞われることもありますよ」

 

 

"解説助かる"

"フレアドラゴン解体ショーはじまた"

"こうなるとドラゴンもマグロも同じだな"

"カヤちゃんがドラゴンの血操ってボトルに詰めてんぞ!"

"竜血は薬の材料だからな"

"高級素材の山が目の前に…。これ総額いくらくらいだ?"

"普通なら複数のギルドが精鋭を出し合ってなんとか倒せる化け物だぞ。それを総取りとかやばすぎでしょ"

 

 

そこからはよう華ちゃんにバトンタッチ。

 

よう華ちゃんがトークで場を繋いでるうちに高く売れそうな部位や武器の強化に使える素材を回収する。

 

よう華ちゃんにドローンが集中してるうちにズルもして。

 

「お願い。ミミ」

『ミィッ!』

 

ポケットに入れてきたミミが大きく息を吸い、持ちきれないウロコや骨、甲殻、翼膜を飲み込み始める。

 

これが最近発見したミミの能力。【収納】だ。

 

ミミは食べ物以外の物を無尽蔵に貯蔵できる力があり、頼めば好きな時にそれを出してくれる。

 

宝箱に納めるというミミックの性質が成せる業なんだろう。

 

なんで食べ物はできないのかって?食べちゃうから。

 

「姉さん。内臓はどうする?」

「火炎袋以外は置いていこっか。胆石はある?」

「…なさそう」

「それは残念だ。あれはいい材料になるんだけどなぁ…」

 

カヤさんが肩を落とす。それが目当てだっただけに落胆もひとしおだ。

 

「次回は竜骨を使ったラーメン作りに挑戦したいと思いまーす!」

「…はいっ?」

「えぇっ!?聞いてないんだけど!?」

「今決めたの」

「ラーメンか…。よくロクロウに連れて行ってもらったけど、あれは本当にいいものだった。ボクも協力するよ!」

「ありがとね、カヤちゃん。と、いうわけで!今回はここまで!次回は竜の素材でラーメン作りにチャレンジしたいと思いまーす!」

「本動画を面白いと感じて下さった方はチャンネル登録と高評価をよろしくお願いします」

「みなさまの応援がわたしたちの力になります。それではまた次回まで…」

 

 

 

「「「「まったねーー」」」」

 

 

"まったねーー!!"

"したらな!"

"ドラゴンラーメンか…味が想像できねぇ"

"出汁は骨から取るのかな?だったら豚骨みたいなもんじゃね?"

"は虫類って鶏肉みたいな味するらしいし鶏白湯かも"

"ドラゴンはは虫類なのか?"

"恐竜は鳥類の祖先らしいからな"

"うぉーー!ラーメン楽しみーー!!"

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