ソロ専アルバイター、ダンジョン配信者になる-回収屋バイトのわたしは零細配信会社に見初められる   作:こしこん堂

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わたし、配信者デビューします! ④

「配下のゴブリン討伐完了。後はキングだけです」

 

 

 "時間飛んだ?"

 "キンクリ使われた?"

 "マジでキング以外死んでるんですけど"

 "な、何が起こったんだってばよ…!?"

 

 

「グォウッ!?」

 

 煙が晴れ、対峙していたキングゴブリンが驚愕の声を上げる。

 

 横たわる同胞の骸、骸、骸。

 

 それを目にして逃げないのは王のプライドか、はたまた危機管理意識がないのか。

 

「燃やすと白い煙を出す草、ハクモク草と火薬を混ぜた煙幕弾で視界を封じた隙に仲間を全員倒しました。これで増援を気にせずキングだけと戦えます」

 

 

 "こわっ"

 "やり方がアサシン"

 "しれっととんでもないこと言ってんぞ"

 "あんた、今何をしたんだ?"

 "なにって、煙幕張って相手が慌ててる隙に部下を皆殺しにしただけだが?"

 "所業がサイコパス"

 

 

「ガアアアアアッッッ!!!」

 

 仲間を殺されて激昂したキングが自身が座っていた玉座の裏から何かを取り出す。

 

 それは表面にドラゴンの鱗らしきものが乱雑に貼られた巨大な木の盾と、竜の脊髄をそのまま削り出した大剣だった。

 

 素材が素材だから剣の柄頭にはドラゴンの頭骨がくっついている。

 

 

 "ドラゴン脊髄剣!?"

 "ドラゴン武器!?"

 "ゴブリンがこんなもん使うの見たことねぇよ!"

 "多分ドラゴンの死体でも見つけたんだろうな"

 

 

「鱗の盾と竜骨剣…。このナタも火竜の牙を削り出したものですが、鱗を斬るのは難しいでしょう」

 

 

 "さらっと衝撃の事実明さんといて"

 "ドラゴントゥースの武器って百万クラスの高級品やぞ?"

 "あの盾と剣かっぱらえたら高く売れそうだけど絶対無理だわ"

 "回収屋ちゃん?くん?逃げてー!!"

 

 

「グアアアアッッ!!!」

 

 咆哮を上げ、ゴブリンの3倍はありそうな巨体からは想像もつかない速さでわたしへと迫る。

 

 大地をえぐり、仲間の死体すら轢き潰しながら走るその姿はさながら戦車。

 

 まともに当たれば並みの人間ならバラバラになるだろう。

 

「盾を構えながら剣を握ってますね。恐らく、避けたところを死角から剣で攻撃するつもりなんでしょう」

 

 

 "状況分析が冷静すぎる"

 "覚悟決まりすぎ、いやキマりすぎ"

 "詰んでてワロタ"

 "どう戦えばいいんだよ!!?"

 

 

 当たれば死、避ければ死。

 

 一見すると八方塞がり。けど、倒す方法はある。

 

「行きます!」

 

 ナタを構え、キングへと突貫する。

 

 キングも自分より小さなわたしを見て勝ちを確信したのか、更に速度を速める。

 

 

 "真正面!?"

 "まともに打ち合う気か!?"

 "無理無理無理無理!!"

 "やだぁーー!期待の新人が死んじゃうーー!!"

 "こんな新人がいるか"

 

 

「はっ!」

 

 盾の間合いまで後数歩。

 

 そこで体勢を低くして軽く飛び上がり、脚で地面を削るように前進する。

 

 スライディングだ。

 

「ゴォッ!?」

 

 盾の真下の隙間に潜り込み、完全に視界から消えたわたしに驚いたのか、キングの前進がわずかに緩む。

 

 その隙を見逃すほどお人好しじゃない!

 

「せぁっ!!」

 

 ナタに魔力を纏わせ、跳躍でゴブリンめがけて飛び上がる。

 

 骨や木でできた簡素な鎧を纏ったキングにはまともな攻撃は通用しづらい。

 

 鎧にまでドラゴンの鱗が貼ってあるからなおさらだ。

 

 狙うのは顎と喉仏の間の柔らかい部分。

 

「ガヘッ!?」

 

 魔力を纏い、より鋭利になったナタは狙った場所に突き刺さり、ケーキを切るような手応えと共に脳へと登っていく。

 

「爆ぜろ!!」

 

 更に魔力を籠め、牙に宿った竜の力を解放。

 

 ナタから迸る魔力の奔流は全てを焼き尽くす炎となってキングを内側から燃やし、

 

「ガァ…アァ…!」

 

 目と口から炎を吹いて動きを止めた。

 

「ふぅっ」

 

 ナタを抜いて着地。

 

 作業着に入れておいた雑巾で未だ高熱を発するナタを拭い、鞘にしまう。

 

 それとほぼ同じタイミングでキングの体が揺らぎ、轟音とともに地面に倒れ伏した。

 

 

 "す、すんげ…"

 "すごいのはわかった。けど、何が起きたかわからん"

 "教えてエロい人"

 "キングゴブリンが構えていた盾と地面の隙間をスライディングで抜けて懐に潜り込み、跳躍して顎の下からナタを刺して脳に到達。その後、火竜の牙の力を解放してキングゴブリンを内側から焼き尽くしたものと思われます"

 "解説ニキ助かる"

 "なんでわかるんだよぉ"

 "さっきの会社調べたけどつじぶきって子おらんかった。会社のリーサルウェポンか?"

 "回収屋が抱えてていい人材じゃない。キングのソロ討伐はA相当だぞ"

 

 

「キングを倒したのでしばらくは安全でしょう。早速、宝物庫を見てみたいと思います」

 

 配信ごっこに戻り、玉座の裏を見る。

 

 思った通り、そこにはうず高く積まれた様々な物の山が。

 

 

 "なんじゃこりゃっ!?"

 "ゴミ山?"

 "骨とか武器とか色々落ちてんな"

 

 

「ゴブリンには収集という習性があります。たくさんの物を集めることで自分の力をアピールしてるんじゃないかって言われてますね。まぁ、ほとんどがガラクタなんですけど…」

 

 砕けて風化した骨や武器の残骸、ダンジョンにポイ捨てされたゴミなど大半はガラクタばかり。

 

 キングも倒したしゆっくり回収できる!

 

 そんな甘い希望はこっちに向かってくる数人の足音にかき消された。

 

「見つけたぜぇ。クソ回収屋ぁっ」

 

 さっきの人と、その仲間らしき人たちに…

 

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