恵里が天之河家に引き取られてから、しばらくが経った。
壮馬達が通っている学校。
そこでは、昼休みになっていた。
生徒の1人、南雲ハジメが一息吐くと、1人の生徒がハジメの机を蹴る。
「あっ!?ああ…………!?」
「よお、キモオタ!今日も遅刻寸前な上に、速攻で居眠りかよ!いいご身分だな、ええ?」
「いや、そんなつもりは……………」
ハジメが驚く中、その生徒が話しかける。
その生徒は、檜山大介。
典型的ないじめっ子であり、ハジメをターゲットにしていた。
すると。
「ハジメ君」
「お、おお……………白崎」
「ハジメ君、一緒にご飯、食べよ」
「う、うん」
「おい、まだ話は終わって…………!」
ハジメに話しかける女性がいた。
彼女の名は、白崎香織。
このクラスに所属していて、八重樫雫と合わせて、二大女神と呼ばれている。
香織がそう言うと、檜山は止めようとする。
すると。
「うるさい。邪魔しないでよ」
「キーキーキーキーうるさいんだよ。ほら、バナナでも食って、落ち着け」
「むごっ!?」
檜山の事を恵里が牽制して、壮馬がバナナの皮を剥いて、口に突っ込む。
その隙に、ハジメを連れて、どこかへと向かう。
「ちっ!舐めた態度とりやがって!ふざけんじゃねぇぞ!桐生!」
その際、檜山のそんな遠吠えが聞こえたのだった。
「いいの?あんなに言わせて」
「良いんだよ。どうせ、口だけだから」
移動してる中、雫とも合流して、そう聞かれると、壮馬はそう答える。
それを見ていたある人物は。
「……………相変わらずだねぇ」
その人物は、園崎海斗。
クラスメイトではあるが、その瞳には、壮馬に対する憎悪が見えていた。
その頃、壮馬達は屋上へと来ていた。
「やあ、やっと来たね」
「すまん、檜山の奴が絡んできた」
「本当、何で絡んでくるんだろうね」
「とにかく、お昼にしましょう」
「そうだな」
「うん」
屋上には、一足先に光輝が居て、そんな風に話す。
そうして、壮馬達は昼食を取る事に。
この6人の関係は、色々とある。
まず、光輝と恵里。
恵里が天之河家に引き取られてから、友達と一緒に過ごすうちに、恵里は明るくなっていった。
そして、光輝は恵里に告白して、付き合う事になった。
ハジメと香織は、付き合っている。
当初は、香織からの一方的だったのだが、壮馬と光輝の2人がハジメを押した事で、付き合う事になった。
ちなみに、壮馬と雫に関しては、付き合ってこそ居ないものの、仲は良い。
かつて、光輝に好意を持っていたが、女子にいじめに遭っていた。
その時に、壮馬が尽力して対処した事で、今は壮馬の方に好意を持っている。
クラスメイトからは、仲良しグループという認識だ。
「光輝君、あ〜ん」
「ああ。うん、美味しいな」
「光輝君のお義母さんに作り方を教えてもらったんだ」
「ハジメ君、あ〜ん」
「う、うん。ありがとう」
「うん、どういたしまして」
「…………本当、ピンク色の空気が見えるわね」
「だな」
光輝と恵里、ハジメと香織のいちゃつきには、その周りがピンク色に染まってるように見えて、壮馬と雫の2人はそんな風に話す。
昼食を食べ終えて、壮馬達は教室に戻る。
「…………そういえば、仮面ライダーの最新話は見た?」
「ああ、見た見た!」
「本当にいい感じだ」
壮馬、ハジメ、光輝の3人は、仮面ライダーの話で盛り上がっていた。
そんな中、檜山達はハジメにちょっかいを出そうとしたが、光輝が居る事もあって、ちょっかいを出せずにいた。
すると。
「皆さん!とっくにチャイムは鳴ってるんですよ!ちゃんと席についてなくちゃ!」
そんな声と共に、女性の教師がやってくる。
彼女は、畑山愛子。
壮馬達のクラスの社会科担当。
童顔だが、25歳である。
それを聞いた壮馬達は、自分の席に戻ろうとする。
すると。
「ん?なあ、壮馬」
「ん?どったん?」
「あれ…………誰かいないか?」
「えっ?」
光輝はある存在に気づいて、壮馬に話しかける。
視線の先には、不審者がいて、チラリとナイフが見えた。
「ナイフ?なんかやばそうだな…………」
「あ、天之河君?」
「ん?なっ……………何だ?」
それを見た壮馬は、クラスにパニックを与えないように、小声でそう言う。
すると、愛子はそう言う。
光輝の足元を見ると、そこには魔法陣があった。
「み、皆!教室から出て!」
その魔法陣は広がって、教室全体にまで広がる。
愛子はそんな風に言うが、それと同時にその不審者が入ってくる。
次の瞬間、光が包み込み、壮馬達の意識は途切れる。
光が消えると、そのクラスには、誰も居なくなっていた。
後に、神隠し事件と話題になったのは、壮馬達には知る由もなかった。
その頃、壮馬達は目を覚ますと、どこかの場所にいた。
「どこだここ……………?」
壮馬はそう呟く。
視線を周囲に向けると、どこかの教会のような場所で、近くには神を模したような豪華なステンドグラスがあった。
それを見ていると。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いております、イシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
そんな風に声をかけられて、壮馬達がその声の主を見る。
そこには老人がいて、イシュタルと名乗り、そう話す。
それを聞いて、壮馬達は困惑していた。
その後、イシュタルの案内のもと、部屋へと案内されて、壮馬達は椅子に座る。
そして、イシュタルから、この世界に関して、説明を受ける。
この国は、トータスというらしく、トータスには人間族、魔人族、亜人族の大きく分けた3種族が存在し、 人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きており、人間族と魔人族は何百年も戦争を続けている。
魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きいらしく、その力の差に人間族は数で対抗して戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近になって魔人族側の力が増しており、このまま行けば人間族は滅びの危機を迎える。
そこで、人間族が崇める神『エヒト』が人間族を救うために他世界からの勇者一行を召喚するという事だ。
それを聞いた壮馬は。
『……………何が勇者だよ。要するに別世界の人間の誘拐して、勇者…………つまり、俺たちを戦争の兵器にするって事だろ』
壮馬は、イシュタル……………もとい、エヒトの意図を見抜いた。
すると、愛子先生が口を開く。
「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることは、ただの誘拐ですよ!」
愛子先生はそんな風に叫ぶ。
すると、それを聞いた壮馬も口を開く。
「勇者とかなんか言ってるけど……………要は、俺たちの事を魔人に対する兵器として扱うつもりなんだろ?戦争の道具として」
『……………壮馬がキレてるな』
壮馬はイシュタルに対して、きつい視線を向けつつ、そんなふうに言う。
ハジメがそんな風に思う中、イシュタルが口を開く。
「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」
「そ、そんな……」
「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」
「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇ!ふざけんなよ!」
「なんで、なんで、なんで……」
イシュタルはそんな風に言うと、愛子先生は崩折れる。
それを聞いた生徒達は、パニックを起こしていた。
壮馬とハジメは、小声で話をする。
「なあ、あいつの今の表情、どう思う?」
「え?そうだな……………。あいつ、俺たちの事を侮蔑の表情で見てる」
「…………という事は、そのエヒトってやらは相当な存在感って事か」
2人はそんな風に話す。
今のイシュタルの表情は、侮蔑の表情になっていて、まるで『エヒト様に選ばれておいて、なぜ喜べないのか』と言わんがばかりだった。
すると、光輝が口を開く。
「……………事情に関しては分かりました。それで、皆を帰してくれるんでしょうか?」
「…………そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」
「……………分かりました。俺だけが戦います。他の皆を巻き込まないで下さい」
「おっと?」
光輝はそんな風に聞くと、イシュタルはそう答える。
それを聞いた光輝は、そんな風に言う。
すると。
「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。…………俺もやるぜ?」
「龍太郎……………」
「まあ、元の世界に帰る為には、現時点ではそうするしかないだろうからな。…………そのエヒトって奴の思惑通りになるのは癪だけど」
「そうね。今のところ、それしかないわよね。気に食わないけど……私もやるわ」
「光輝君だけには戦わせないよ。僕も戦う」
「1人だけでかっこつけさせないよ」
「え、えっと、ハジメ君や雫ちゃんがやるなら、私も頑張るよ!」
それを聞いた龍太郎、壮馬、雫、恵里、ハジメ、香織はそう言う。
そこから、賛成する人が増えて、愛子先生は慌てていた。
そんな中。
『ふ〜ん……………この状況、利用しない手はないな』
それを冷ややかな目で見ていた海斗は、そんな風に考えるのだった。
それから、それぞれの部屋があてがわれて、その翌日、早速訓練と座学が始まった。
集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。
不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長であるメルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
「へぇぇ…………!どういう仕組みになってんだろう!テンション上がる〜!」
「お前……………」
「相変わらずね……………」
メルドはそんな風に言う。
ステータスプレートと呼ばれており、身分証も兼ねているのだ。
それを聞いた壮馬は、仕組みが気になるというのもあってか、テンションが上がり、それを見ていた光輝と雫は、呆れつつも、どこか安堵した様な表情を浮かべていた。
異世界に来ても、壮馬は変わらないのだと。
ちなみに、ステータスプレートは、神代のアーティファクトと呼ばれるものらしい。
生徒達は顔を顰めながら指先に針を軽く刺し、浮き上がった血を魔法陣に擦り付けた。
すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。
壮馬は、ステータスプレートを覗き込む。
桐生壮馬 17歳 男 レベル1
天職 超錬金術師
筋力:90
体力:90
耐性:80
敏捷:90
魔力:100
魔耐:90
技能
超錬成・言語理解・全属性適性・全属性耐性・物理耐性
そんな風に書かれていた。
『これが俺の職業か!超錬金術師ね…………。なんか色々作れそうだな。せっかくだ。あれ作るか』
壮馬はそれを見て、そんな風に考えていた。
そんな中、メルドは他の人たちのプレートを見ていた。
すると、壮馬とハジメの所に来た。
2人がプレートを渡すと、メルドはホクホク顔からなんとも言えない微妙な表情になった。
「ええっと…………錬成師に超錬金術師か。その二つはまぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
メルドはなんとも言えない表情でそう言う。
それを聞き逃さなかった奴が1人いた。
「おいおい、南雲、桐生。もしかしてお前達、非戦闘系か?鍛治職でどうやって戦うんだよ?メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」
「おいおい、南雲~、桐生。お前達、そんなんで戦えるわけ?」
檜山だった。
檜山がメルドにそう聞くと、メルドはそう答える。
すると、昼休みでの鬱憤を晴らすと言わんがばかりに、煽っていく。
それを聞いた壮馬は。
「戦えるか…………か。もちろん、戦えるさ。俺も、南雲も」
「えっ!?」
「おいおい!強がるなって!お前らは使えないんだぜ?ギャハハハハハハッ!っ!?」
壮馬はそんなふうに断言をする。
ハジメが驚く中、檜山はそう言うが、途中で言葉が止まる。
何故なら、地面から大地の槍を錬成されていて、檜山の首元に突きつけられていたのだ。
「なっ…………!?」
「錬金術師を舐めるなよ。アニメの鋼の錬金術師は、こうやって錬成で色々出来るって事を証明してくれているんだからな。それに…………今は弱くても、錬成で色んな物を作れる。そうですよね?メルドさん」
「ああ」
檜山が驚く中、壮馬はそう言う。
壮馬の問いに、メルドはそう答える。
「だから、俺とハジメは弱くないさ。むしろ、力を得て、調子に乗ってるそっちが不安だけどな」
「んだと……………!?」
「こらー!生徒同士で喧嘩しない!」
「ちっ!」
壮馬はそう言うと、檜山は飛びかかる寸前だったが、愛子先生が入った事で、お互いに矛を収めた。
そんなトラブルがありつつも、ステータスを確認する事が出来たのだった。
ちなみに、愛子先生の天職を見て、メルドは驚いたのだった。
今回はここまでです。
今回は、ステータスを確認するまでです。
檜山に対しては、壮馬も嫌味な態度をとります。
壮馬としても、檜山は嫌なので。
もちろん、私としても、檜山は嫌いです。
ちなみに、香織とハジメは付き合っているので、ユエに関しては、側室的な感じになる予定です。
次回は、オルクス大迷宮に向かう直前です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
光輝達が変身する仮面ライダーですが、変更します。
壮馬はライダーオタクなので、ビルド系列にこだわらずに、他の仮面ライダーのアイテムも作らせる予定なので。
現状は、雫がクローズなのは変わりませんが、光輝がセイバー、恵里がネクロム、鈴がワイズマン、龍太郎がジュウガ、ハジメがアークゼロ、香織がライブ、ユエがウィザード、シアがバスター、ティオがソーサラーとなる予定です。
リクエストがあれば、受け付けています。