ありふれた天才錬金術師は世界をビルドする   作:仮面大佐

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第2話 特訓とイジメ

 異世界へと召喚されてから、しばらくが経った。

 壮馬達は、訓練の日々を送っていた。

 ある時は、壮馬と光輝が模擬戦を行っていた。

 

「ハアッ!ふっ!」

「てやっ!はっ!」

 

 壮馬は自分で錬成した日本刀、光輝は聖剣を持って、剣をぶつけ合う。

 

「相変わらず、やるな!」

「まあな」

 

 光輝と壮馬は、互いを称えると、剣をぶつけ合う。

 その様は凄まじく。

 

「ほう……………壮馬も、超錬金術師という職業だが、あんなに戦えたのか。これは、侮る事は出来んな」

 

 メルドも、超錬金術師になったのにも関わらず、強さを発揮する壮馬の事を認めていた。

 それを見ていた檜山は。

 

「ちっ!調子に乗りやがって…………!」

 

 そんな風に吐き捨てた。

 それを見ていた海斗は。

 

「……………彼を使ってみるか」

 

 そんな風に企んでいた。

 そして、ただ訓練のみをやるのではなく、ハジメも一緒になって、訓練の休憩時間を利用して、王立図書館にて調べ物をしている。

 ハジメも、壮馬の特訓によって、錬成を上手く使いこなせるようになっており、着実に強くなっていた。

 ちなみに、王立図書館で調べ物をしようと提案したのは、壮馬だ。

 

『俺たちは、この世界の事を詳しく知らないからな。無知というのは、時にとんでもない事態に繋がりかねないから、知識を溜めても、問題はないだろ』

 

 壮馬はそんな風に提案して、ハジメも光輝も納得して、三人で調べる事に。

 ハジメは北大陸魔物大図鑑を、壮馬はこの世界の魔法や魔力に関して、光輝はエヒト神についてだ。

 

「へ~。魔物の肉を食べると死ぬのか............。そっちは何か分かったか?」

「ああ。この世界の魔法には、神代魔法っていう、より根源的な事象への干渉を行える魔法があった」

「こっちは、ある意味では凄いよ。どうやら、この世界はエヒト神を崇めてるのは、全ての国家みたいだ。なんか、歪な感じがするな」

 

 ハジメがそう聞くと、壮馬と光輝はそんなふうに言う。

 エヒト神を崇めているのは、全ての国家なのだが、その教えは全て同一の物だったのだ。

 地球では、宗教はそれぞれの土地の宗派によって、色々と解釈されているのだが、それが起こっていないのだ。

 

「……………なんか、変な世界に呼ばれたんだって改めて思うよ」

「そうだね……………」

「まあ、エヒト神が何なのかは分からないけど、俺は魔力や魔法とかを調べて、ある物が完成したんだ!」

「……………今度は何を作ったんだ?」

「見てみろ!これだ!」

 

 光輝とハジメがそう話すと、壮馬はそう言う。

 若干、不安げな表情を光輝が浮かべる中、壮馬はある瓶を取り出す。

 それは、何かの液体が入った物だった。

 

「何それ?」

「フッフッフッフッフ……………!魔力とかを調べて、俺はふと、思ったんだ。魔力を液体状にすれば、容易に摂取が可能になるんじゃないかってな!というわけで、魔力を錬成して、ファントムリキッドみたいに、液体状にした!ねぇ、凄いでしょ?最高でしょ?天才でしょ?」

「……………なんか、桐生戦兎っぽくなってるな」

 

 ハジメがそう聞くと、壮馬はそう語っていく。

 壮馬は、ネビュラガスが圧縮されたファントムリキッドに目をつけて、魔力を圧縮する様に錬成して、それを生み出したのだ。

 

「……………もはや、何でもありだよね、壮馬は」

「それだけじゃないぞ!それを応用して、これも作ることが出来た!」

「これ……………フルボトルとビルドドライバーか!?」

 

 ハジメが何とも言えない表情でそう言うと、壮馬はそう言って、ある物を取り出した。

 それは、60本のフルボトルと、ビルドドライバーだった。

 

「ああ。戦力は必要かなって思ってさ。皆を守る為にもな」

「そうか」

 

 壮馬はそう語る。 

 それを聞いた光輝は、そんなふうに反応した。

 すると。

 

「あっ!そろそろ訓練の時間だ」

「あっ、そうだったな。俺と壮馬は、この本の山を片付けておくから、先に行ってくれ」

「分かった」

「やべぇ…………夢中になって出しすぎたな」

 

 ハジメは、訓練の時間が近づいている事に気づいて、そう言うと、光輝は壮馬と共に本の片付けを行う。

 ハジメは、ひと足先に訓練場へと向かう。

 すると、ある存在が話しかけてくる。

 

「よぉ、南雲。なにしてんの?最近訓練サボってたくせに。もしかして訓練参加するつもり?そんな奴迷惑だから来るんじゃねーよ」

 

 それは、檜山を始めとする不良組だった。

 ハジメは、内心げんなりする中、檜山達は口を開く。

 

「ちょっ、檜山言い過ぎ!いくら本当だからってさ~、ギャハハハ!」

「あんなかっこつけたこと言ってたくせに、俺なら恥ずかしくて無理だわ!ヒヒヒ………!」

「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」

 

 檜山達は、何がおかしいのか、そんなにゲラゲラしながら話をしていく。

 すると、1人の提案を聞いた他のメンツも口を開く。

 

「あぁ?おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね?まぁ、俺も優しいし?稽古つけてやってもいいけどさぁ〜」

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」

 

 そんな風に檜山達は宣った。

 特訓という名目で、ハジメを痛めつけようと画策していたのだ。

 それを聞いたハジメは。

 

「いや、いいよ。壮馬や光輝が特訓に付き合ってくれてるし」

「はぁ?俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの?マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

 

 ハジメは、壮馬と光輝が特訓に付き合ってくれてる事を話して、断ろうとする。

 すると、それを聞いた檜山はそう叫ぶと、口を開く。

 

「ここに風撃を望む――〝風球〟!」

「え!?あ、危な!!」

 

 檜山はそう叫ぶと、魔法を発動して、ハジメに向かって放つ。

 ハジメはそれを躱す。

 

「何するんだよ!?」

「うるせえ!黙って俺たちの稽古を受けやがれ!!」

 

 ハジメがそう言うと、檜山はそう叫び、他の三人も魔法を撃つ態勢を取る。

 

「こんな事して、何の意味があるんだ!?」

「うるせぇ!桐生も天之河も、お前みたいなオタクと連んで、特撮の話で盛り上がって!ガキかよ!情けないな!」

「………………は?」

 

 ハジメがそんな風に言うと、檜山はそんな風に叫んだ。

 檜山の、壮馬と光輝をバカにした発言に、ハジメはそう呟く。

 すると、ハジメの心の中に怒りが湧き上がり、それがドス黒いオーラとなって現れる。

 そのオーラには、赤黒い文字で、悪意を連想させる様な文字が混じっていた様に見えた。

 それには、檜山達は少しのけぞる。

 

「…………な、何だよ?」

「…………僕の事をバカにするのは別に良いよ。もう慣れたし。でも……………あの2人の事までバカにするな!!」

 

 檜山がそう聞くと、ハジメはそんな風に叫んだ。

 檜山達は一瞬怯んだが、すぐに叫ぶ。

 

「う、うるせぇ!無能如きがイキってんじゃねぇぞ!!やっちまえ!!」

 

 檜山はそう叫ぶと、魔法を放つ。

 すると、ハジメは錬成を行い、大地の拳を出して、魔法を叩き落とす。

 

「なっ…………!?」

「こ、これは……………!?」

「び、ビビってんじゃねぇ!やっちまえ!」 

「お、おう!」

 

 それを見て、檜山が驚愕する中、ハジメも困惑していた。

 すると、その隙をついて、他の人たちや檜山は魔法を放ち、ハジメを吹き飛ばす。

 

「うわっ!?ううっ…………!?」

「ったく……………無能がイキってんじゃねぇよ!!」

「何してるの!?」

 

 ハジメが転ぶ中、檜山はそんなふうに吐き捨てる。

 すると、騒ぎを聞きつけたのか、香織、雫、龍太郎、恵里、光輝、壮馬がかけつけた。

 

「ハジメ君!大丈夫!?」

「う、うん…………なんとか…………」

「……………檜山。これはどういう事だ?」

「か、勘違いしないで欲しいんだけど、俺達、南雲の特訓に付き合ってただけで……」

 

 香織がハジメに駆け寄り、そんな風に聞く中、光輝は静かで、怒りを滲ませた様な声でそう聞く。

 檜山はそんな風に言い訳しようとするが、壮馬が口を開く。

 

「……………これのどこが特訓だ。一方的なリンチだろ」

「そんなに特訓したいなら、僕たちが相手するよ」

 

 壮馬もまた、そんな風に言うと、光輝はそう言う。

 2人はキレていた。

 

「う、うるせぇ!やっちまえ!!」

 

 檜山がそう叫ぶと、魔法を放ってくる。

 すると、2人はそれを躱して、壮馬は錬成を発動する。

 

「な、何だよ、これ!?」

「動け…………!?」

「ハァァァァァ!」

 

 壮馬は土の壁を錬成すると、檜山達を動けなくする。

 すると、光輝は剣を抜いて、檜山達に迫る。

 檜山達が顔を青くすると、光輝は檜山達の首の前で、寸止めをする。

 

「……………へ?」

「…………これ以上、僕たちの親友をバカにするのなら、容赦はしない」

「「「「ひ、ヒィィィィ…………!?」」」」

 

 檜山達が呆気に取られる中、光輝はそんな風に言う。

 それを聞いた檜山達は、尿を漏らしたのか、ズボンを濡らして、そのまま気絶した。

 光輝と壮馬が一息つくと。

 

「光輝君、大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ」

「壮馬は!?」

「俺も大丈夫だ」

 

 恵里と雫が2人に近寄り、そんな風に言う。

 2人がそう答えると、龍太郎が口を開く。

 

「それにしても、随分と派手にやったな。大丈夫か?」

「…………一応、脅しておいたから、大丈夫な筈だが…………」

「力を得て、調子に乗ったんだな。力に溺れやがって…………」

 

 龍太郎がそう言う中、光輝と壮馬はそう言う。

 2人はハジメに話しかける。

 

「大丈夫か?」

「う、うん。ありがとう」

「気にすんなって」

 

 光輝がそう聞くと、ハジメはそう言い、壮馬はそう答える。

 その後、訓練場へと向かい、ハジメに対するイジメをメルドに話した結果、メルドによって、壮馬達よりも倍の訓練を受ける羽目になった。

 その訓練が終わった後、メルドからある事が語られる。

 

「明日から、実戦訓練の一環としてオルクス大迷宮へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!まぁ、要するに気合入れろってことだ!今日はゆっくり休めよ!では、解散!」

 

 メルドから、オルクス大迷宮に向かう事が連絡される。

 それを聞いた壮馬は。

 

『…………いよいよか』

 

 そんな風に思っていた。

 オルクス大迷宮とは、全百階層からなると言われている大迷宮であり、この世界の秘境『七大迷宮』の一つで、数少ない正確に場所が判明している迷宮でもある。

 その特徴は、階層が深くなるにつれて現れる魔物の種類が増えたり、強力になっていく点だ。

 この性質故か、階層によって挑戦者の実力を把握できることから冒険者や傭兵、新兵の訓練や魔物から採れる武器、防具の素材回収に最適と言われている。

 その上地上で暴れている魔物より体内器官の『魔石(魔物と野生動物の明確な違いと言える器官で、魔物の持つ魔力の結晶体)』が良質になっており、それ目当てで迷宮に挑むものも後を絶たない。

 この魔石は主に砕いて魔法陣を描くときなどに使うと魔法の威力が引き上げられるなどの効果が見込まれ、当然ながら良質な魔石ほど効果が強くなるがその分魔物の強さも上がっている。

 魔物を侮ってはいけない一番の理由は、魔物が持つ『固有魔法』だ。

 魔法陣を書く事も詠唱もできない魔物だが、魔物は1種類につき1つだけ詠唱無しで扱える魔法として固有魔法を持っており、それぞれが魔物の脅威として伝えられている。

 壮馬達は、オルクス大迷宮へと向かうべく、メルド団長と共に、宿場町であるホアルドへと向かう。

 そこで、一晩休んでから、迷宮へと向かう事になった。

 壮馬とハジメは、相部屋となっている。

 

「いよいよか…………」

「ああ。俺たちも頑張ろうぜ」

「うん。ていうか…………最終調整をしてるのか?」

「ああ。念には念をって奴だ」

 

 2人はそう話す。

 壮馬は、ビルドドライバーの最終調整を行っていた。

 しばらくすると、最終調整を終えた。

 

「…………よし。こんなもんだな」

「それじゃあ、寝ようよ」

「そうだな」

 

 壮馬はビルドドライバーの最終調整を終えて、2人は寝ることにした。

 すると、ドアがノックされる。

 

「誰だ?」

「対応するよ」

 

 壮馬が首を傾げる中、ハジメが対応する。

 すると。

 

「お邪魔します…………」

「入るね…………」

「香織、雫。こんな深夜にどうしたんだ?」

 

 入ってきたのは、香織と雫だった。

 しかも、2人とも、ネグリジェにカーディガンを羽織った姿だ。

 

「……………どうしたんだ?似合ってるけど」

「え、ええ……………ありがとう。ちょっと、私も香織も、話があって」

「そうか。なら、俺と雫は別の場所に行こう」

「あ、ああ。ありがとう」

 

 壮馬がそう聞くと、雫は顔を赤くしつつもそう言い、壮馬と雫は別の場所へと向かう。

 ベンチに腰掛けると、壮馬は口を開く。

 

「それで、どうしたんだよ?」

「……………明日、オルクス大迷宮に向かうでしょう」

「そうだな」

「……………少し、不安になって」

「不安?」

 

 壮馬がそう聞くと、雫はそんな風に言う。

 壮馬が首を傾げると、雫は口を開く。

 

「……………ほら、壮馬も光輝も南雲君も、皆の事になると、いつも無茶ばかりするから。何だか、嫌な予感がするのよ……………」

「……………そうか」

 

 雫はそんな風に言う。

 壮馬達が、いつも無茶をしている事に不安を抱いたのだ。

 壮馬は口を開いた。

 

「大丈夫だって。俺や光輝、ハジメがそんな簡単にくたばってたまるかよ。皆で日本に戻ろうぜ」

「……………そうね。君がそう言うと、妙な説得力があるのよね」

 

 壮馬がそんな風に言って、雫の頭に手を置く。

 それを聞いた雫は、そんな風に呟く。

 

「だからさ…………そんな不安になるなよ。俺たちを信じてくれ」

「……………うん。そうね」

「それと、これを渡しておくよ」

 

 壮馬がそう言うと、雫は安心した様な反応をする。

 すると、壮馬はある物を雫に渡した。

 

「これって…………スマホ?」

「ビルドフォンだよ。これを使えば、連絡を取れるからな」

「スマホまで作るなんて……………流石ね」

 

 壮馬が渡したのは、ビルドフォンだった。

 壮馬がそんな風に言うと、雫は呆れとも、安堵とも取れる表情を浮かべる。

 

「それじゃあ、もう寝ようぜ」

「ええ」

 

 壮馬と雫はそんな風に話して、元の場所に戻る。

 この時の壮馬達は、気づいていなかった。

 運命の時が近づいている事に。




今回はここまでです。
今回は、オルクス大迷宮に向かう直前までです。
この小説のハジメは、光輝も友として認めており、それを貶した檜山にはキレました。
その際、何かの力の目覚めの兆しが見られました。
果たして、それは。
もちろん、檜山達は成敗されました。
そして、いよいよ別離の時。
果たして、どうなるのか。
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