雫達に生存を知らせた壮馬達。
壮馬達は、奈落の下へと向かう事にした。
そんな中、出発する前に、壮馬はある作業をしていた。
「何してるの?」
「これ?ハジメの血液検査」
「ええっ!?」
香織が作業をしている壮馬にそう聞くと、壮馬はそう答えた。
香織は驚いた。
「何で、ハジメ君の血液を?」
「なんか、般若が出てないか?」
「怖いって。相変わらずだな…………これは、俺や香織の為なんだぞ」
「どういう事?」
香織が背後に般若を出しながらそう聞くと、ハジメが冷や汗をかきながらそう言うと、壮馬はそう言う。
「そりゃあ…………俺が持ってた携帯食料はもう底をつきかけてるし、ハジメと違って、俺と香織は魔物の肉を食べてないからな。もう食べざるを得ないけど、そのまま食べたら、かなりの負担がかかるだろ?」
「まあ…………あんまり、そういう無茶はして欲しくないからな」
「そういうわけで、どうにかしようと、魔物の肉を食ったハジメの血液を調べてるんだよ。何か、対策出来るかもしれないし」
「そ、そうなんだね」
俺はそう説明する。
ハジメを捜索する際に、もう携帯食料は底をつきかけているのだ。
その為、ハジメの血液を調べているのだ。
鉱石鑑定で、モニターに使えそうな鉱石をハジメに見繕ってもらって、ビルドフォンと接続して、解析しているのだ。
「それにしても…………よくスマホなんて作れたよね?」
「これ?召喚された時に持ってたスマホを分解して、ビルドフォンに再錬成したんだ」
「もはや何でもありだな…………」
香織が感心とも呆れとも取れる表情でそう言うと、壮馬はそう言う。
それに対して、ハジメは呆れながらそう言う。
壮馬はそう言いながら作業を進めていく。
しばらくすると。
「…………出来た!」
「何が出来たんだよ?」
「これだよ!」
「これって……………サプリ?」
壮馬がそう叫ぶと、ハジメはそう聞く。
壮馬が見せたものは、サプリメントみたいな物だった。
「これは…………なんて言うか、補助みたいなもんだよ。今のハジメの血液から、魔物の肉に対する抗体を見つけたんだ!これを魔物の肉と一緒に食えば、負担なく食べられるはずだ!」
「はずかよ…………」
「仕方ねぇだろ!ハジメはもう意味ないし、俺と香織を実験台にするわけにはいかないし!」
「でも、やらねぇと効果は分からないだろ?」
「まあ、それはそう。だから、まずは俺から行くよ」
壮馬がそう説明すると、ハジメがそう呟く。
その呟きに対して、壮馬がそう答えると、ハジメはそう聞き、壮馬はそう言う。
ハジメと香織が不安げな表情を浮かべる中、壮馬はそのサプリと魔物の肉を食べる。
「…………まずっ!?そんなに美味くないな…………うっ!?」
壮馬がそう言うと、突然、壮馬が倒れる。
ハジメと香織は、壮馬に駆け寄る。
「壮馬!大丈夫か!?」
「壮馬君!?」
「大丈夫……………なんだけど…………体が熱い…………!」
「痛みとかは感じないか!?」
「特にそういうのはないな…………。熱いだけだ」
「とにかく、これを飲め!」
「ああ」
2人がそう聞くと、壮馬は熱にうなされながらそう答える。
ハジメは、神水を壮馬に渡して、壮馬はそれを飲む。
しばらく、壮馬の為にハジメと香織は留まった。
しばらくすると。
「う〜ん…………?」
「お、目が覚めたか!」
「大丈夫?」
「大丈夫だけど…………どうした?」
「なんか、雰囲気変わったなって」
「え?」
壮馬は目を覚ます。
2人がそう言うと、壮馬は壁を見る。
そこには、若干、雰囲気が変わり、体格がさらに良くなった壮馬の姿が映っていた。
「…………マジか。若干、細マッチョみたいな感じになったのか」
「ステータスはどうなってるんだ?」
「え?ええっと…………」
壮馬はそんな風に言うと、ハジメはそう聞く。
壮馬がステータスプレートを見ると。
桐生壮馬 17歳 男 レベル1
天職 超錬金術師
筋力:200
体力:200
耐性:200
敏捷:300
魔力:300
魔耐:300
技能
超錬成・言語理解・全属性適性・全属性耐性・物理耐性・纏雷・胃酸強化
ハザードレベル 3.4
こんな感じになっていた。
「すげぇな…………ステータスも上がってるし、ハザードレベルも上がってる。奈落に落ちる前は3.0だったから…………0.4は上がったのか」
「なるほどな。それで、体は大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。むしろ、すこぶる絶好調みたいな感じだ」
壮馬がそう言うと、ハジメはそう聞く。
壮馬はそう答えた。
すると、香織も口を開く。
「なら…………私も食べる」
「良いのか?あのサプリを使っても、熱はどうにもならないんだぞ?」
「うん。2人の足手纏いになりたくないから」
「そうか」
香織はそう言う。
ハジメがそう聞くと、香織は決意を決めた表情でそう言う。
香織は意を決して、サプリと魔物の肉を食べる。
「うっ!?体が熱い…………!ハジメ君………!」
「そばに居てやれ」
「おう」
香織が熱を出してうなされる中、壮馬はハジメにそばに居てやるように言い、ハジメは香織の手を握る。
壮馬はというと。
「…………さて。神結晶を探す装置でも作りますかね」
壮馬はそう言うと、何かの装置を作り始めた。
しばらくすると。
「…………香織は大丈夫か?」
「ああ…………大丈夫なんだが…………」
「うん?ああ…………」
壮馬は作業を終えて、ハジメの所に戻ると、ハジメは気まずそうにそう言う。
壮馬はすぐに納得した。
何故なら、香織は更にスタイルが良くなっており、服が若干、キツめになっていたのだ。
「私もステータスが上がったよ!」
「そうか。上に上がる道はないし、下に行くか?」
「そうだな。上か下に錬成出来れば手っ取り早いんだけどな」
香織がそう言うと、壮馬はそう聞き、ハジメはそう言う。
こうして、3人は奈落の下階層へと向かう事にした。
3人は今、二階層目を歩いていた。
「大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ」
「それにしても何も見えねぇ…………暗闇で灯りなんて、命取りだが…………」
「暗闇から奇襲されるのは、覚悟しよう」
壮馬がそう聞くと、香織はそう答える。
ハジメはそう言うと、緑光石で作ったランタンをつける。
3人が周囲を見渡す中、何かが光った。
「ん?」
「あれは…………?」
ハジメが緑光石のランタンを向けると、そこにはトカゲがいた。
すると、そのトカゲの目が光った。
次の瞬間、ランタンが石化して砕け散った。
そして、ハジメの左腕が石化し始めた。
「石化か!?」
「下がるぞ!」
「うん!」
それを見た三人はすぐに下がり、ハジメは神水を左腕にかけて、石化を止める。
「くそっ!やってくれたな!」
「バジリスクみてぇだな…………」
ハジメはそう言いながら神水を飲むと、石化が解除されていく。
それを見た壮馬はそう呟く。
能力から、バジリスクを連想させたのだ。
そんな中、そのトカゲは徐々に接近していた。
すると、トカゲの目の前にある物が投げられる。
それは、ハジメお手製のフラッシュグレネードだった。
トカゲはフラッシュグレネードの光を浴びると、そのまま倒れ込む。
「ふっ!」
ハジメはドンナーで銃撃して、そのトカゲを撃破した。
三人はそのトカゲに近寄ると、素早く剥ぎ取りを行い、そのまま去っていく。
しばらく進むと、拠点を作るべく、錬成を行う。
壁に穴を開けて、そこに拠点を作る。
「それじゃあ、飯にしようぜ」
「私に任せて」
ハジメがそう言うと、香織はそう言い、纏雷を使って、調理をしていく。
とはいえ、シンプルに焼くだけだが、下ごしらえもしていた。
「…………すげぇな」
「お母さんから、料理を教わってたから」
「なるほど」
ハジメが感心すると、香織はそう言い、壮馬はそう言う。
三人は食べる準備を整える。
「「「いただきます」」」
三人はそう言うと、先ほどのトカゲや拠点に入るまでに遭遇した魔物の肉を食べていく。
ちなみに、サプリを飲んでいるのは壮馬と香織で、ハジメは服用していない。
その理由は、本人曰く、『もう慣れた』との事だ。
「やっぱり、夜は焼肉っしょ!」
「……………え?」
「…………お前、この状況でそのギャグを言うか?」
「いや、なんか思わず」
食べていく中、壮馬は突然、そんな事を言う。
香織が呆気にとられると、ハジメはそう聞くと、壮馬はそう答える。
三人は神水を飲みつつ、食べていく。
「ふぅ〜…………こんなもんか。前に食った魔物の肉よりうまかったぜ」
「うふふ、ありがとう」
「ステータスも上がって、夜目っていう技能も手に入ったし、これで暗くても大丈夫な筈だな」
三人はそんな風に話す。
三人は少し休息を入れて、先に進んでいく。
その頃、雫達はというと。
「ふっ!はっ!」
「はっ!はあっ!」
雫と光輝は、模擬戦を行っていた。
しばらくすると、模擬戦を終えて、恵里がタオルを持ってくる。
「お疲れ様」
「ありがとう」
「ありがとうね」
恵里がそう言うと、2人はタオルを受け取って、汗を拭う。
「それにしても、2人とも頑張ってるね」
「ええ。早く、壮馬に会いたいから」
「…………そうか。俺はちょっと違うかな」
「え?」
恵里がそう聞くと、雫はそう言う。
それを聞いた光輝は、苦笑しながらもそう言う。
「…………あの時、ベヒモスに歯が立たなかった。あの2人が助けに来なかったら、俺は死んでたかもしれない…………そう思ってさ」
「…………光輝君」
「ありがとう。だからこそ、あの2人に恥じない様に、強くならないとって思ってさ」
「…………そうね」
光輝はそう言う。
光輝なりの後悔の念が募っていたのだ。
だからこそ、強くなろうと決意していた。
三人はそう話していた。
一方、その様子を冷ややかな視線で見ていた男がいた。
『…………ふん。よくもまあ、そんな話で盛り上がれるもんだね』
海斗だった。
そんな風に思っていた。
そんな中、壮馬達は奈落の下を魔物を倒しつつ進んでおり、気が付けば、50階層にまで進んでいた。
「もうこの迷宮が、何階層あるか分かんねぇ」
「一応…………あの奈落の底から50階層目までは降りたけどね」
「あの扉の向こうに、何があるんだろうな」
三人はそう話すと、ある場所を見る。
そこには、巨大な扉があった。
三人は頷くと、その扉がある方に向かった。
そこには、二体の巨大なサイクロプスの様な石像があり、扉の中心には、中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれているのがわかった。
「なあ、あれ分かるか?」
「いや、俺も図書館の本を読み漁ったつもりだったんだけど、こんな式見た事がないな」
「そうなんだ……………」
ハジメがそう聞くと、壮馬はそう答える。
王立図書館でいろいろな本を読み漁った2人だったが、扉の魔法陣の式は見た事がない物だった。
「相当、古いってことか?仕方ない、いつも通り錬成で行くか。香織、下がってろ。壮馬、手伝え」
「ああ」
「分かったわ」
ハジメがそう言うと、香織を下がらせて、壮馬にそう声をかける。
香織が下がり、2人は頷くと、扉に触れて、錬成を行おうとする。
すると。
「「うわっ!?」」
「2人とも、大丈夫!?」
「大丈夫。多分、無理矢理は突破出来ないって事だな」
扉から赤い放電が走り、2人は吹き飛ばされる。
壮馬がそう呟くと、何かの音が聞こえてくる。
すると、扉の両隣にいたサイクロプスの石像が、動き出そうとしていたのだ。
「まぁ、ベタと言えばベタだな。香織は援護を。壮馬は片方よろしくな」
「ええ。任せて」
「おい。…………まあいいけど」
ハジメがそう言うと、さらっとサイクロプスの片方を押し付けた。
壮馬は抗議しようとしたが、すぐに諦めた。
ハジメの無茶振りは、今に始まった事ではないと分かっているからだ。
扉を見て左側のサイクロプスが動き出そうとした次の瞬間、そのサイクロプスの目が撃ち抜かれ、そのまま倒れた。
もう片方のサイクロプスが呆然とする中、ハジメは口を開く。
「悪いが、空気を読んで待っていてやれるほど出来た敵役じゃあないんだ。というわけで、あとは頑張れよ!仮面ライダー!!」
「他人事の様に言いやがって…………!まあいいや。実験台にしてやる!!」
「ヒーローが言うセリフじゃないと思うけどね…………」
ハジメがそう言うと、まるでヒーローショーでヒーローに応援する子供の様な声を壮馬にかける。
それに対して、壮馬がそう突っ込むと、すぐにそう言う。
それを聞いた香織は、そんな風に突っ込んだが、壮馬は無視して、ビルドドライバーを装着して、ラビットフルボトルとタンクフルボトルを装填する。
『ラビット!タンク!』
『ベストマッチ!』
その音声が鳴ると、壮馬はビルドドライバーのボルテックレバーを回転される。
すると、壮馬の周りにスナップライドビルダーが出現して、トランジェルソリッドが注入されて、アーマーの形になる。
すると。
『
「変身!」
そんな音声が鳴ると、壮馬はサイクロプスの攻撃を避けながらそう叫ぶ。
すると、アーマーが壮馬に挟まり、姿が変わる。
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!』
『イェーイ!』
壮馬はビルドに変身すると、攻撃を躱しつつ、ドリルクラッシャーで攻撃する。
だが、サイクロプスが腕で顔を守ると、何かの固有魔法が発動して、攻撃が弾かれる。
「ん?よっと!」
壮馬は一瞬、首を傾げるが、すぐに攻撃を再開する。
だが、防御態勢を取ったサイクロプスには、攻撃が通じていなかった。
「くそっ!防御系の固有魔法か?」
「大丈夫か!それでも自称天才か!?」
「あとで覚えてろよ!」
壮馬がそう言うと、ハジメが煽る様にそんな風に言う。
壮馬は、割と余裕があったのか、そんな風に突っ込んだ。
「ったく!これ使ってみるか!」
壮馬はそう言うと、ある二つのフルボトルを取り出す。
それは、ゴリラとダイヤモンドだった。
その二本を振ると、ドライバーに装填する。
『ゴリラ!ダイヤモンド!』
『ベストマッチ!』
その音声が鳴ると、壮馬はビルドドライバーのボルテックレバーを回転される。
すると、壮馬の周りに再びスナップライドビルダーが出現して、トランジェルソリッドが注入されて、アーマーの形になる。
すると。
『
「ビルドアップ!」
そんな音声が鳴ると、壮馬はそう叫ぶ。
すると、アーマーが壮馬に挟まり、姿が変わる。
『輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!』
『イェイ……!』
壮馬は、ゴリラモンドフォームにフォームチェンジする。
「勝利の法則は決まった!」
壮馬はそう言うと、サイクロプスへと向かっていく。
サイクロプスはパンチで攻撃しようとする。
「ハァァァァァ!」
壮馬もパンチを行う。
それも、右腕で。
ゴリラハーフボディには、サドンデストロイヤーという炸裂パワーユニットがついており、それによって増したパワーで、サイクロプスは腕の装甲部分が破壊される。
サイクロプスは、怒って壮馬に攻撃しようとするが、すぐに門の方に戻る。
「お前は、何かを守ってるのか?」
壮馬はそう言うと、ボルテックレバーを回す。
『
「はっ!ハァァァァァ!」
その音声が鳴ると、壮馬は右手で地面を思い切り殴ると、周囲の岩や地面の破片が飛び上がり、ダイヤモンドハーフボディの効果で、ダイヤモンドに変化する。
『ボルテックフィニッシュ!』
『イェーイ!』
「ハァァァァァ!」
壮馬はそう叫ぶと、変化したダイヤモンドを思い切り殴る。
すると、ダイヤモンドが砕かれて、石礫のように飛んでいく。
サイクロプスはそれを防ごうとするが、数が多く、固有魔法が破壊されると、ダイヤモンドによって頭部が破壊されて、サイクロプスは倒れる。
壮馬は一息吐くと、変身解除する。
すると。
「おお〜。やるじゃねぇか。流石は仮面ライダーだ」
「……………俺が戦っている間に、サイクロプスの解体を呑気に行っていた事に関して、言いたい事があるんだけどな」
「あははは……………」
ハジメは呑気にサイクロプスの解体を行なっており、壮馬はジト目でそう言うと、香織は苦笑する。
だが、壮馬も切り替えて、サイクロプスの解体を行う。
すると、魔石が出てきた。
「魔石か…………そっちはどうだ?」
「こっちも出てきたぜ。自身が鍵だったって事だろうな」
「魔石が鍵になってるの?」
「ああ。肉は後で取るとして……」
壮馬とハジメはそう話すと、香織はそう聞く。
三人は扉の方に向かうと、壮馬とハジメが、扉に魔石を嵌める。
すると、魔石から赤黒い魔力光が迸り、魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。
そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まる。
それと同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、久しく見なかった程の明かりに満たされる。
三人は頷くと、その部屋の中に入っていく。
その部屋は、まるで夜空のような雰囲気になっていた。
すると、三人が入ってきたのを感知したのか、部屋の風貌が変わっていく。
まるで蔦が引いていくかのように少なくなっていき、柱の上の灯りがつく。
中央に立方体の石が置いてあった。
立方体の石に、何が埋め込まれていた。
「…………あれって、女の子?」
「ああ…………」
「なんでこんな所に…………?」
それを見た三人はそう話す。
埋め込まれていたのは、金髪のガリガリの女の子だったのだ。
すると、女の子が口を開く。
「……だれ?」
その女の子は、壮馬達を見ながらそう言う。
すると。
「邪魔したな」
「あっ…………!待って…………!お願い………!助けて…………!」
ハジメはそう言うと、部屋から出ようとしており、女の子はそう言う。
助けを求めたが、ハジメの回答は。
「断る」
「どうして……なんでもする……だから……!」
素っ気なくそう答える。
壮馬と香織は、どうしたらいいのかと判断を決めかねていたが、ハジメは口を開く。
「あのな。こんな奈落の底の更に底で、明らかに封印されているような奴を解放するわけないだろう?俺たちは忙しいんだ」
ハジメは素っ気なくそう言う。
それを聞いた女の子は、口を開く。
「違う…………!こほっ………!私、悪くない…………!待って!私…………裏切られただけ!」
「「っ!!」」
女の子は必死にそう言うと、ハジメと壮馬が反応する。
裏切られた。
それは、まさにハジメと壮馬も同様の事が起こっており、檜山に裏切られたのだ。
壮馬と香織は、ハジメに話しかける。
「……………話くらいは聞いてやっても良いんじゃないか?」
「そうね。何か、訳ありみたいだし…………」
「香織まで…………はぁ…………」
壮馬と香織はそう言う。
ハジメはため息を吐き、頭を掻くと、その女の子の方に向かう。
「裏切られたと言ったな?だがそれは、お前が封印された理由になっていない。その話が本当だとして、裏切った奴はどうしてお前をここに封印したんだ?」
ハジメはそんな風に聞く。
女の子が無言でハジメを見ていると。
「おい。聞いてるのか?話さないなら帰るぞ」
「あっ………!私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」
「封印されたのか…………」
ハジメがそう言うと、その女の子はそう説明する。
それを聞いた壮馬はそう呟く。
どうやら、先祖返りの吸血鬼であり、国の為に頑張ってきたが、裏切られて、封印されたそうだ。
すると、壮馬は口を開く。
「君は…………どこかの国の王族だったのか?」
壮馬がそう聞くと、その女の子は頷く。
すると、ハジメは口を開く。
「殺せないって何だ?」
「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」
「そんな力が…………!?」
「それで、凄い力ってそれ?」
「それに……魔力、直接操れる……陣もいらない」
「マジか…………。反則的な力だな。おまけに不死身と来てやがる…………」
ハジメがそう聞くと、その女の子はそう答える。
香織が驚く中、壮馬の質問に女の子がそう答えると、ハジメは驚く。
その力を聞いて、確かに封印されるのも納得という反応をした。
すると。
「……たすけて……」
その女の子はそう言い、ハジメ達を見つめる。
それを聞いたハジメは。
「何やってんだがな…………。壮馬、手伝え」
「フッ。ああ」
ハジメは頭をかきながらそう言うと、壮馬にそう言い、壮馬は頷いて、ハジメと共に女の子を縛りつけている立方体に触れる。
2人が錬成を発動すると、立方体が赤く光る。
「くっ…………!流石に抵抗が強いな…………!」
「だけど、今の俺たちなら!」
「「うぉぉぉぉぉ!!」」
「頑張って…………!」
ハジメと壮馬はそう叫ぶと、力を込める。
すると、立方体が更に赤く光っていく。
ヒビが入ると、そこから崩れていき、女の子が解放される。
「2人とも、大丈夫!?」
「ああ…………手伝ってくれてありがとうな。俺1人だったら、消耗が更に激しかったからな」
「まあ、2人でやっても疲れるものは疲れるけどな」
香織がそう聞くと、ハジメと壮馬はそう言い、神水を飲む。
すると、ハジメの手を女の子が握る。
「ん?飲むか?」
「…………ううん。暖かい…………」
「そりゃまあ…………まだ生きてはいるからな」
ハジメがそう聞くと、その女の子はそう言う。
すると。
「んんっ!とにかく、この子に服を着させるよ」
「そうだな」
香織は咳払いをするとそう言い、ハジメはそんな風に言って、取り敢えず、毛皮のマントで代用させた。
すると、マントを羽織った女の子が口を開く。
「……………名前、何?」
「ん?…………ハジメだ。南雲ハジメ」
「私は香織。白崎香織よ」
「俺は壮馬。桐生壮馬だ。よろしくな」
「ハジメ…………香織…………壮馬…………」
女の子がそう聞くと、三人はそう名乗る。
それを聞いた女の子が復唱していると。
「お前は?」
「え?」
「お前の名前は?」
ハジメはそう聞く。
すると、女の子が口を開く。
「……………つけて」
「あ?つけるって…………」
「王族なんだから、名前はあるだろ?もしかして、前の名前を忘れちゃったとか?」
「もう前のはいらない!ハジメのつけた名前がいい!」
「いらないって…………お前…………」
女の子はそう言う。
ハジメと壮馬がそう言うと、女の子はそう言う。
女の子はまっすぐ、ハジメの事を見ていた。
「つけてやったらどうだ?随分とハジメに懐いてるし」
「いや、そうは言ってもだな…………」
壮馬がそう言うと、ハジメは悩んだ。
しばらくすると、口を開く。
「〝ユエ〟なんてどうだ? ネーミングセンスないから気に入らないなら別のを考えるが……」
「ユエ? ……ユエ……ユエ……」
「ああ、ユエって言うのはな、俺達の故郷で〝月〟を表すんだよ。最初、この部屋に入ったとき、お前のその金色の髪とか紅い眼が夜に浮かぶ月みたいに見えたんでな……どうだ?」
ハジメはそう提案する。
その女の子…………ユエがそう言うと、ハジメはそう言う。
それを聞いたユエは。
「……んっ。今日からユエ。ありがとう」
「おう」
「よろしね、ユエちゃん」
「呼び捨てでいい」
「うん」
ユエはその名前を気に入ったようだ。
すると、香織はユエにそう話しかける。
2人がそう話す中、壮馬が叫んだ。
「皆、伏せろ!!」
「「「っ!?」」」
壮馬がそう叫ぶと、三人は伏せて、壮馬はドリルクラッシャーをガンモードにして、ハリネズミフルボトルを装填する。
『
『ボルテックブレイク!』
その音声が鳴ると、鋭い針を弾丸として高速連射する。
すると、何かにぶつかり、小規模な爆発が起こる。
ハジメが口を開く。
「ちっ!油断した!助かった!」
「ああ。どうやら、万が一、ユエの封印が解けた場合に備えて、確実に始末する為の存在を入れてたわけだ!」
ハジメがそう言うと、壮馬はそう言う。
2人の視線の先には、天井に巨大な蠍みたいな魔物が居たのだ。
ユエを逃さない為に。
ハジメは口を開く。
「香織、防御や支援は任せたぞ」
「ええ」
「行くぞ、壮馬!あいつを倒すぞ!」
「ああ!これで行くか!」
「ユエ、掴まれ」
「うん!」
ハジメはそう言うと、香織と壮馬はそう答える。
壮馬は、タカフルボトルとガトリングフルボトルを取り出して、振って、ドライバーに装填する。
『タカ!ガトリング!』
『ベストマッチ!』
その音声が鳴ると、壮馬はビルドドライバーのボルテックレバーを回転される。
すると、壮馬の周りにスナップライドビルダーが出現して、トランジェルソリッドが注入されて、アーマーの形になる。
すると。
『
「変身!」
そんな音声が鳴ると、壮馬はサイクロプスの攻撃を避けながらそう叫ぶ。
すると、アーマーが壮馬に挟まり、姿が変わる。
『天空の暴れん坊!ホークガトリング!』
『イェーイ!』
壮馬は、ビルド・ホークガトリングフォームに変身する。
すると、右手に武器が現れる。
『ホークガトリンガー!』
ホークガトリングフォーム専用武器である、ホークガトリンガーだ。
「行くぞ!」
「ああ!」
2人はそう話すと、それぞれの武器で銃撃していく。
だが、装甲が硬いのか、そこまでダメージが入っていなかった。
2人が蠍の攻撃を躱すと、尻尾の方から攻撃が飛んでくる。
「っ!」
ハジメが驚くと。
「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りをここは聖域なりて、神敵を通さず!聖絶!」
香織の詠唱が聞こえてくると、それと同時に防壁が現れて、蠍の針攻撃が防がれる。
「サンキュー!」
「うん!」
ハジメが礼を言うと、香織はそう答える。
それと同時に、ハジメは蠍の足元にある物を投げる。
それは、所謂〝焼夷手榴弾〟という物で、タールの階層で手に入れたフラム鉱石を利用しており、摂氏三千度の付着する炎を撒き散らす。
「効いてるな!」
壮馬がそう言う中、ハジメは柱の影に隠れてリロードをする。
ハジメが隠れている柱に向かって、蠍が攻撃すると、瓦礫が崩れてくる。
「縮地!」
ハジメは縮地を使って脱出して、ドンナーで銃撃する。
だが、やはりと言うべきか、装甲によって弾かれていた。
「どうだ?」
「ダメだ!あの硬い殻さえどうにか出来れば…………!」
壮馬がそう聞くと、ハジメはそう答える。
すると、ユエが降りる。
「どうした?」
ハジメがそう聞くと、ユエは無言でハジメの首筋に噛み付く。
「ハジメ君!?一体何を…………!?」
「そうか。ユエは吸血鬼だから、血を吸うんだ」
「……………壮馬、香織。時間を稼いでくれ」
「分かった。香織、手伝ってくれ!」
「え、ええ!」
香織は、ユエの突然の行動に困惑したが、壮馬は納得した。
ハジメがそう言うと、壮馬と香織はそう言う。
すると、蠍が咆哮すると同時に、地面が波打つ。
「あいつの固有魔法か!だけど、それはこっちの十八番でもあるんだよ!」
壮馬はそう言うと、錬成を行い、周囲三メートル以内が波打つのを止め、代わりに石の壁がハジメ達を囲むように形成される。
周囲から円錐の刺が飛び出しハジメ達を襲うが、その尽くを壮馬の防壁が防ぐ。
一撃当たるごとに崩されるが、直ぐさま新しい壁を構築し、寄せ付けない。
すると、ユエは口を離す。
「…………ごちそうさま」
ユエはそう言うと、蠍と対峙する。
すると、手を大きく上げると。
「〝蒼天〟」
そう呟く。
すると、蠍の頭上に直径六、七メートルはありそうな青白い炎の球体が出来上がる。
ユエが手を下ろすと、蠍に落ちてきて、ダメージを受ける。
ユエが倒れ掛かると、ハジメが支える。
「大丈夫か!?」
「うん。最上級魔法…………疲れる」
「あともう一息ってところかな…………」
「疲れてるところ悪いが、同じやつ、もう一発行けないか?」
「出来る。でも、小さい…………」
ハジメがそう聞くと、ユエはそう答える。
先ほどの魔法で、体力を持っていかれたからだ。
香織がそう言う中、ハジメはそう聞くと、ユエはそう答える。
「上等だ!さっき、ハジメのドンナーと俺のホークガトリンガーで撃ち込んだ場所を覚えてるか?」
「うん」
「合図をしたら、そこに叩きつけてくれ!香織は援護を頼む!」
「うん!」
「ええ!」
「勝利の法則は決まった!」
壮馬がそう聞くと、ユエは頷く。
ハジメがそう言うと、ユエと香織はそう答える。
ハジメが駆け出し、壮馬がソレスタルウィングで飛ぶ中、蠍は針攻撃を行う。
すると。
「聖絶!」
香織が聖絶を発動すると、防がれる。
そんな中、壮馬はホークガトリンガーのリボルマガジンを回転させていた。
『10!20!30!40!50!60!』
そんな音声が鳴る中、ハジメは叫ぶ。
「ユエ!」
「うっ!」
ハジメがそう叫ぶと、ユエは再び蒼天を発動して、蠍を怯ませる。
そんな中、壮馬のチャージは終わりを迎えようとしていた。
『70!80!90!100!フルバレット!』
そんな音声が鳴ると、蠍の周りに隔離フィールドが生まれる。
すると。
「ハァァァァァ!」
「行っけ〜!!」
ハジメは壮馬に抱えられながらも、ドンナーを撃ち、壮馬もホークガトリンガーを撃つ。
蒼天によってダメージを受けていた場所に2人の攻撃が集中して、血を吹き出すと、蠍は絶命する。
2人が着地する。
「お疲れさん」
「ああ」
「ハジメ君、大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ」
壮馬達はそう話す。
すると、ユエが口を開く。
「…………どうして?どうして私を置いて逃げなかったの?」
ユエはそう聞く。
それを聞いた三人は。
「そこまで落ちてねぇよ。酷い裏切りを受けたお前が俺たちに身を託すって言うんだ。答えなきゃ、男が廃る」
「まあね。何かと、親近感を抱いたんだよ」
「ハジメ君がそう言うから」
3人はそう答える。
それを聞いたユエは、笑みを浮かべる。
蠍の解体を行う中、壮馬は何かに気づく。
「ん?ハジメ」
「なんだ?」
「あそこ、何か無いか?」
壮馬がそう言うと、ハジメは壮馬の指差した方向を見る。
そこには、何かの紋様が床にあったのだ。
「なんだこりゃ?」
「とりあえず、錬成で開けてみるか?」
「そうだな…………」
ハジメが首を傾げる中、壮馬がそう聞くと、2人は錬成を行う。
若干、抵抗があったが、錬成を行い、無理やりこじ開ける。
すると、紋様の周囲の床がせり上がると、そこには鉱石が安置されていた。
「なんだこれ?」
「さぁ…………?」
それを見た2人は、首を傾げる。
それが、ユエに関係する物だと、この時の2人は気づいていなかった。
今回はここまでです。
今回は、ユエと遭遇して、守護する魔物である蠍を撃破する所までです。
サプリを使う事で、痛みなどをなくして、壮馬と香織は強化する事が出来ました。
壮馬に関しては、色んな知識を持っているので。
そして、ユエと遭遇して、蠍を撃破した後、ある物を見つける。
果たして、それは。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
活動報告にて、リクエストは受け付けています。
ちなみに、遠藤も変身させます。
変身させるのは、サウザンドアークの予定です。
あと、壮馬のヒロインは、現状は雫とティオの予定ですが、園部優花も加えようかなと考えています。