樹海のかみさま ー 因習村の花嫁ENDを回避したい男の娘ヒロインは、美少女かみさまと共に闇堕ちして街ごと全て滅ぼすことにした ー   作:紫陽花の季節に会いましょう

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2.5章を挟みます。4話です。


第2.5章:柏崎海知の章 chapter1
2.5章1話:柏崎ハーレムの朝


「……だよ。……きて」

 

 ユサユサと揺さぶられる感覚。

 眠い。もう少しだけ寝ていたい。

 

「……だってば。ほら………はや……きて」

 

 段々強くなるユサユサ攻撃。

 痛い。なんか肩がすごい力で握られている。されど眠気には勝てない。

 

「朝よ! 海知! 起きてって言ってるでしょっ!」

「わかった、わかったから……よっと!」

 

 まず背伸びして一息。そして寝る。

 

「もうっ! 起きなさいっ! 置いてっちゃうからね!? 遅刻したって知らないんだから!」

 

 ……それは困る。いやまて、今日は土曜日……。まぁいいか。それじゃぁそろそろ起きるか。

 

「んぁぁぁ、悪いなぁ夏葉。昨日遅くて……って、なんだこの柔らかい感触……あ……」

 

 起き上がろうと腕を前に伸ばした時、柔らかいモノを掴んだ。寝ぼけ眼を擦って、それが何なのか確認しようとして……察した。

 

「あ、その……か、夏葉……? ご、ごめ」

「あ、朝からどこ触ってるのっ!!!」

 

 バッコーーーンっと凄まじい音がして、強烈な一撃にベッドが揺れる。

 ついでに俺が掴んでいた夏葉の胸も揺れた。あと、俺の視界も。

 

◇◆◇

 

「怪我してない? 大丈夫?」

「あ、ああ。大丈夫だ。ごめんな、夏葉」

「い、いいわよ、別に。……言ってくれればいつだって胸くらい……」

「……? なんか言ったか?」

「な、何も言ってないわよ!」

 

 朝。食卓に座り先ほどの件で腫れた頬を保冷剤で冷やすこととなった。その間に自己紹介でもしておこう。

 俺の名前は柏崎海知。どこにでもいるごくごく平凡な高校一年生だ。今は両親が海外出張に行っていて、結果俺は春から1人で色々とやらなくてはいけないことが増えてしまった。

 そんな俺を見兼ねてか、時々こうして仲間たちが俺の世話をしてくれる。なんならこの家に住んで共同生活をしている。幼馴染の女の子:夏葉(かよ)もその1人だ。

 

 エプロン姿で台所に立つ夏葉。絵になるなぁ。

 昔から彼女は俺のことをよく気遣ってくれる。小学校からの付き合いだけど、彼女の優しさにはいつも救われてきた。こうやってご飯を作ってくれたり朝起こしに来てくれたり、宿題見せてくれたりと世話焼きな女の子だ。きっと良いお嫁さんになるだろうなぁ。

 

「はい、出来たわよ。えっと、みんなも呼んだ方がいいかしら?」

「さんきゅ! あー、そうだな。真冬(まふゆ)千秋(ちあき)もニコラも朝弱いからなぁ……」

 

 昨日は珍しくニコラが泊まりに来て、みんなで遅くまで遊んだりしていた。時々他の女の子たちも泊まりに来るけど、大体はこのメンツだ。

 

「ん……起きてる」

「あ、おはよう真冬!」

「む……お兄ちゃん……おはよ」

 

 寝ぼけ眼を擦りながら、ぺたぺたと可愛らしい足音を立てて階段を降りてきたのは柏崎真冬(かしわざきまふゆ)。俺の義理の妹だ。

 真冬は父さんと再婚した今の母さんの娘さんで、俺と血の繋がりはない。あ、ちなみに離婚しただけで俺の実母は生きてるぞ。今は南米にいるらしく、毎月よくわからないお土産を送りつけてくる。この前は変な像のせいで大変なことに……ってその話はまた今度だな。

 父さんは女関係にだらしがなかったので、最悪まだ数人くらいは兄弟が出てくるんじゃないかと覚悟している。

 ともあれ、真冬は柏崎家の一員として現在は幸せそうに生活している。無口だけど結構積極的な性格で、今だってほら俺の膝に……えーっと……。

 

「ま、真冬さん?」

「お兄ちゃんの膝、真冬の場所。だめ?」

「ぐっ! ま、まぁいいんじゃないか?」

「むふー」

 

 こんな感じで俺に懐いてくれているらしい。子供っぽいのだけど、時々ドキッとするほど大人っぽく見える時もある。まったく、少しは兄離れして欲しいぜ。

 

「おはよぉー……ってうわぁ! 真冬あんた何抜け駆けしてんのよ!」

「千秋が遅いから」

「むきー! あんたねぇ! 海知、あんた真冬に甘すぎ! この子中学2年生よ? あたしらの2個下よ? そんなに年齢大差ないわよ!」

「ま、まぁまぁ。見た目はもっと下な感じするし……」

「む。お兄ちゃん。真冬は大人。ほら、胸だってある」

 

 そう言ってパジャマを捲る真冬。っておい! 見えちゃうぞ!

 

「うわぁぁあ! な、何してるんだよ! だめだぞ女の子がこういうことしちゃ。こういうのは好きな人にだけ見せるんだよ」

「……お兄ちゃん、好きなのに」

「そ、その……好きってのは恋人になりたいとかそういう意味の好きで……」

「む…………鈍感…………」

「へ?」

 

 よく分からないけど真冬はご立腹だった。

 そんな真冬を見てため息をついた千秋。彼女もまた、この家に泊まり込んでいる女の子の1人だった。

 京ヶ(きょうがせ) 千秋(ちあき)。金髪をツインテールにまとめたこの少女は、京ヶ瀬財閥という大企業のお嬢様だ。とてもツンケンしているけど、心根はとても優しい女の子なんだぜ?

 

「ふんっ。アンタってばホントにシスコンよね。それより折角の土日なんだし、何か遊んだりとかしない? クルージングとかどう?」

「き、規模がでかいな。さすがお嬢様」

「逆にアンタら休日何してんのよ」

「お兄ちゃんとゲーム」

 

 ふんす、と興奮した面持ちでコントローラーを取り出す真冬。今はご飯中だぞー。

 

「千秋もやるか? ゲーム。楽しいぞ!」

「……ま、まぁ、アンタがそこまで言うならやってあげないこともないっていうか」

「よーし、それじゃあ全員でやるか!」

「ニコラがまだ起きてきてないから、私起こしてくるわね!」

 

 夏葉はそう言うと、食器を片付けて2階へと上がっていった。

 その間に千秋はムスッとしたままコントローラーを手に取り、キャラクターを選択していた。有名なレーシングゲームだ、見たことくらいはあると思う。

 

「にしても、まさかアンタとこんな風にゲームとかするようになるとは想像してなかったなあ」

「っていっても、まだ出会って1ヶ月も経ってないぞ?」

「あれ、そうだっけ? なんかアンタとは長い付き合いな感じしてくるわ。でもそっか、あの日からまだ1ヶ月も経ってないんだ」

 

 そう言われると感慨深いものがあるな。

 千秋との出会いは、結構劇的なものだったのだ。

 これは入学して1週間経った日のお話。

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