バカとテストと召喚獣~バカな天才の集まりGクラス~   作:八月一日

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私は最初に皆さんに謝らなければなりません。

えー、前回のあとがきで肝試し編をやると言っておきながらやりません。
この小説の始まりは二学期の初日からですので夏休み中の肝試しは時系列的に矛盾が生まれるわけです。
本当にすみませんでした。

と言うことで今回からは七巻、体育祭編の原作沿いです。



第一章~熱闘体育祭編~
第十五問~我らの敵は教師なり!~


文月学園にGクラスが出来てから一週間が経った。

 

「古今東西、科学技術の発展の裏側には~」

 

Fクラスの教室ではクラス代表の坂本雄二をはじめ僕らFクラス男子一同、そしてGクラスの神谷修玖君と海穀健斗君は目の前で腕を組み、静かにそれら全員を見ている鉄人ーー担任の西村教諭相手に囲みその中で雄二が諭すように語りかけていた。

 

僕には難しくてよくわからないが雄二は鉄人に『知的好奇心』について話している。

 

「ーーここまで言えば、あとは先生にはわかってもらえるはずだが」

 

雄二の話が終わると鉄人は始めて反応を見せた。

 

「坂本。お前が言わんとしていることは伝わってきた。確かにお前の言う通り、知的好奇心は目的の有無でその在り方が変わってくる。それは間違ってはいない。……だがーー」

 

鉄人が腕組みを解き、僕ら全員にはっきりと告げる。

 

「ーーだが、没収したエロ本の返却は認めん」

「「「ちくしょおおーっ‼‼」」」

 

僕らFクラス男子一同+αは、鉄人の無慈悲な言葉に血涙を流して絶叫した。

普通は新学期早々、眠い目を擦って必死に投稿したときにやる冷徹な教師陣の抜き打ち持ち物検査。

だが今年は新学期開始から一週間後、すっかり安心し切ったときに発動された。

抵抗する暇さえ与えられず取り押さえられた僕らは、せめてもの抵抗で鉄人に没収品返還を要求する演説を行っていた。

 

「どうしてですか西村先生!さっきの雄二の演説を聞いてなかったんですか⁉僕たちが"保健体育"という科目の学習に対する知的好奇心を高めるためには、"エロ本の理解"という本能に根ざした具体的な目標が必要なんです!」

『目的の有無で変わると先生自身がさっき言ったはずです!』

「学習しなければ理解できんほど高度なエロ本を読むなということだ。お前らは何歳だ」

「『何歳だ、なんて!知識を求める心に年齢は関係ないはずです!』」

「お前らは字も読めんのか。此処に、思いっきり成人指定と書いてあるだろうが」

 

ぐうぅ……っ!ああ言えばこう言う教師め……!

 

ギリッ、と隣にいたGクラス代表の神谷君の歯ぎしりが聞こえた。

彼もこの一週間で随分とFクラスに馴染んだもんだ。

 

『僕らにはーー僕たちが、その本がどうしても必要なんです!』

『お願いです!僕たちに、保健体育の勉強をさせて下さい!』

『西村先生お願いします!』

『『『お願いします!』』』

 

「ええい、黙れ。一瞬スポ根ドラマと見間違うほど爽やかにエロ本の返却を懇願するな」

「西村教諭、どうして思春期男子(オレら)の気持ちをわかってくれないんですか⁉」

「俺は逆に俺の気持ちをわかって貰いたいぐらいだぞ、海穀」

「それなら先生。こう考えては貰えませんか?」

「だからなんだ吉井。これ以上下らない演説に割く時間はないぞ」

「アレはエロ本じゃなくて、保健体育の不足部分を補う参考書だと」

「全員きちんと準備をして授業に望むように。朝のHR(ホームルーム)を終わる」

 

取り付く島もない⁉

このままだと僕らの珠玉の一品たちが……!

 

「こうなりゃ実力行使だ!僕らの大事な教材(エロ本)の為、命をも捨てて戦うんだ!」

「「「おおおーっ!」」」

 

立ち上がって皆で鉄人を囲む。

この人数ならいくら相手が人外の筋肉ゴリラでも負けるはずがない!

 

「ほぅ…キサマら、いい度胸だ」

 

こんな危機的状況下でも、動揺どころか没収品箱を置き構えを取る鉄人。

 

「総員、突撃ぃ!」

「「「うおおおぉぉーっ!」」」

 

恨み募る宿敵に対し、僕らは拳を固めて飛びかかった。

 

☆☆☆☆

 

「あの野郎……。絶対人間じゃねぇ……」

 

先ほど柄にもなく熱弁していた僕の悪友、雄二が舌打ち混じりに呟く。

体格もよく、喧嘩も【悪鬼羅刹】の異名がつく程の悪友は、背負い投げ一本で叩きつけられ、今では腰をさすっている。

 

『たしかに…。どうして五十人程の健全な男子高校生を相手に、たった一人で勝てるんだろう……」

 

ドッペルゲンガーとも思えるほど僕と似ているGクラス代表、神谷君が落胆した。

彼は一番に鉄人に飛びかかって一番に床に伏した。

僕は僕で召喚獣を呼び出す間もなく肩固めで悶絶させられたし、周りで倒れているクラスメイトは巴投げや払い腰、腕ひしぎなど様々な柔道技で叩きのめされ、挙げ句の果てには、

 

「連!続!C(クロース)Q(クォーターズ)C(コンバット)ィ‼」

 

と叫びながら見たこともない投げ技で鉄人に完膚なきまでに潰された。

一体この人数相手に、しかも怪我をさせないよう手加減しながら戦うなんて世界の危機を三回くらい救わないと慣れないんじゃないだろうか……

 

「………あの動き、日本人どころか普通の傭兵より上」

「……うぅ…まだビリビリするぅ…」

 

同じくクラスメイトのムッツリーニこと土屋康太とその相方になりつつあるGクラスで男に見える少女、雨谷恭さんが肩を落としため息をつく。

ムッツリーニは二つ名通りエロを原動力としている男。

エロ本没収は文字通り骨身を削られるのに等しいだろう。

雨谷さんの方は唯一先の演説に加わった女子だ。

彼女は何故かムッツリーニを尊敬している女の子として大切なナニカを失いかけている残念な子だ。

因みにムッツリーニはスタンガン、雨谷さんは特殊警棒を持って特攻、瞬時に鎮圧された。

二人の素早さは学年でもトップクラスの速さの筈だがその二人の攻撃を刹那の瞬間に見切り逆に武器を奪い取り自分の電撃を食らったのだが、二人からそんなことをするのは武道の達人ですら難しいはずなのに。

 

「アンタらって、こう言うときは物凄い団結力をはっきするわよね……」

 

呆れ顔でこちらにくるのは、Fクラスの数少ない女子の一人、島田美波さん。ポニーテールとそれを結う黄色く大きいリボン、スラリと長い手足や、一般水準より平らな部分が特徴の女の子なんだけど……これ以上は僕の関節の為にもやめておこう。

これ以上は日常生活に支障をきたす可能性があるからね。

 

「物凄い団結力って、そんなに揃ってた?」

「揃うって言うか……どうして教室中の男子が、その……ああいう本を学校に持ってきているのよ……」

 

ため息を尽きながら言う美波の顔が少し赤みを帯びる。

僕らの聖書(エロ本)の表紙とかが目に入っちゃたんだろう。

 

「なんで?……哲学かい?ええと、汝……」

「どんな哲学だったら全員が持ってくるのよ……?」

 

その辺りはムッツリーニにでも聞いて欲しい。

 

それにしてもよりによって夏休み明け直後じゃなくて刻の過ぎて油断し切ったこの時期。

ムッツリ商会主催の『収穫報告祭』当日に持ち物検査をしかけてくるなんて…

もしかして教師陣も何か情報を掴んでいたんじゃないだろうか。

水面下でうごいているこの祭りを事前に察知するなんて、向こうの情報網も侮れない。

 

「でも、没収されたのは仕方がないと思います。その…ああいう本は、明久君たちにはまだ早いと思いますから…」

と、我らがFクラスの数少ない癒し系の女の子、姫路瑞希さん。ふわふわでピンクブロンドの髪や雰囲気、ずっしりした身体からはマイナスイオンが発生しているのでは、と学年中で専らの噂だ。

 

「うぅ……。そうは言っても、やっぱり納得がいかない…」

「そんなに女の人の身体に興味あるの?別にあたしは見せても構わないんだけどね…修玖が止めるのよ」

 

こちらはGクラスの中西佐門さん。彼女は姫路さんや美波とはまた別の種類の女の子だ。ボサボサで赤茶色の髪が少し女の子っぽさが半減されていて、持病の『男女の差を付けない』がFクラスにより悪化してきたようだ。

なんか最近は僕らより男っぽいところもあるし。

 

『佐門……頼むから自重してよ…』

「なにいってんのよ修玖。あんたには害はない筈よ?」

『ぐっ……』

 

中西さんがいつか犯罪に巻き込まれるような気がするのは気のせいかな?

 

「持ち物検査なんぞ、ひさしくやってなかったからの。油断するのも無理なからぬことじゃ」

 

姫路さんと同じFクラスの癒し系の異性である秀吉が、僕らを慰めるよえに声をかけてくれる。

細長い手足に、サラサラの髪、可愛らしい顔。

本人はしきりに自分は男だと言い張ってるけど、そろそろ現実を見た方がいい頃だと思う。

最近は演劇部に自分に似たような人が入ったといって喜んでいたっけ。

どんな人だろう。

 

「確かに不意打ちだったわね。ウチも細々したものを沢山没収されちゃったわ。DVDとか、雑誌とか、抱き枕とか……」

「そうですね……。私も色々と没収されちゃいました…。CDとか、小説とか、抱き枕とか……」

「あたしもよ。流石に厳しいわね…。あたしも枕とか、布団とか、色々ともってかれたわ」

 

最近の女子高生の間ではお昼寝でも流行ってるんだろうか。

 

「なんだ。姫路や島田も没収されてたのか。んじゃ、秀吉もか?」

「うむ……。演劇に使おと思っておった小物の類なのじゃが、運悪くそれがゲームなどでのぅ…」

 

苦虫を噛み潰したように顔をしかめる秀吉。

 

「………持ち物検査についての警戒をすっかり忘れていた…」

「……ぼくも今日の準備で手が回らなかったよぅ…」

 

ムッツリ商会のオーナーとその助手がため息をつく。

この二人が本気で警戒していれば持ち物検査ぐらい余裕で探知出来ただろう、が今回はすっかりノーマークだったんだろう。

雨谷さんの言うとおり忙しかったのも一つの原因だろう。

何しろ残暑の続くこの季節、彼らの獲物である女子は薄手であるからね。

 

「学年全体の一斉持ち物検査だからな……。夏休みから計画されてたってとこか」

「まったく、先生たちもやることがきたないよなぁ…でもまあ、携帯が没収されてないのが唯一の救いだろうね」

『授業中に使ったりしたらアウトだけどね』

「して明久は写真集意外何を没収されたのじゃ?」

「えーっと、本にCDにゲーム、(美波とか姫路や秀吉の)写真とか……」

「写真集だけではなく普通の写真も没収とは…。教師陣も容赦がないのう」

「ほんとだよ…。けさムッツリーニから買ったばかりで殆ど見てないのに……」

 

折角朝早く起きて学校にきて買ったって言うのに。

勿体ない……。

 

「本当、残念ですよね……?わたしもあの枕に抱きつくの、凄く楽しみにしていたんですけど……。写真だって飾りたかったですし……」

「ウチも今夜は凄くいい夢が見れそうだったのに……」

「……まいどありがとうねぃ♪」

 

雨谷さんの一言がなぜか恐ろしく聞こえる。

 

「雄二はどうだった?本の他には何か没収された?」

 

姫路さんたちに深く関わると立ち直れない気がするので、雄二に話を振る。

 

「俺はまたMP3プレーヤーだ。一昨日出た新譜をいれて置いたのに、それも全部パアだ。くそっ」

「ハッ、持ってくるのがわるいんだ」

「んだと?てめえも何か没収されてたじゃねえか。なにをとられた?」

「ふっ……CDラジカセだ」

「随分レトロだな…」

「昨日出た新譜をカセットにしてきたのに全部パアだ。くそっ」

「しかもカセットかよ⁉」

 

レトロブームでな、と悔しそうに呟く海穀君の隣で雄二は忌々しい、と吐き捨てる。

 

「ってことはムッツリーニはやっぱりカメラ?」

「………(コクリ)

 

沈んだ様子で首を縦に振るムッツリーニ。

写真部に所属してたら……無理か。

撮ってるものがものだしね……。

 

「………データの入ったメモリーも没収された」

『「「「ええぇっ⁉」」」』

 

そ、そんな⁉

当分再販ができないってこと⁉

そんなの生殺しじゃーー

 

「………でも大丈夫。恭がまだ持ってる。再販は可能」

 

恭って……ああ、雨谷さんのことか。

ムッツリーニが名前で呼ぶってかなり仲がよくなったんだなあ。

 

「……でも康太君?ぼくが預かってるのは半分、女子の分だけだよぅ?」

「「そ、そんな……っ!」」

 

再販が可能というので僕が胸を撫で下ろしてると姫路さんと美波が思わず床に手をついてしまう。

 

「……因みに秀吉君の方も男子の方に入って居るよ?」

「『バカなっ⁉』」

 

思わず手をついてしまう僕と神谷君。

うそだ。

なんで秀吉が男子に分類されなきゃいけないんだ……!

 

「くそっ…どうする雄二…!……やる?

「だな……。こんな横暴を許したら学園生活に支障がでるな…。よし、やるぞ明久!教師どもーー特に鉄人が出払った昼休みに職員室へと忍び込み、俺たちの夢と希望を取り戻すんだ!」

「ああ!行こうか雄二!」

「………明久と雄二だけを、戦わせはしない」

『僕もいくよ!』

「オレのカセットを返してもらうぞセンコーども!」

「……康太君が行くならぼくも行くよん」

『待ちな、お前ら!』

『俺たちを忘れてもらっちゃ困るぜ?』

『俺たちゃ仲間だろ?』

「みんな……!」

 

ムッツリーニや神谷君を初めとして女子四人を除く全員がにっくき教師を倒す為に立ち上がる。

そうだ!大切なものを没収されたから泣き寝入ってる場合じゃない。

僅かでも希望がある限り僕らは諦めない!

 

「あ、あのっ。皆さん落ち着いて下さいっ」

 

今にでも直ぐに職員室に突撃しそうな僕らを止めたのは、

 

「? 姫路さん……?」

 

胸の前で手を握っている姫路さんだった。

僕らが全員そちらを向くと、姫路さんは言い聞かせるように言った。

 

「明久君、坂本君、それに皆さん……。やっぱりそういうのは、良くないと思うんです」

「そういうのって……職員室に忍び込むってこと?」

「……はい」

『でも、そうしないと没収品は帰ってこないよ?』

 

神谷君と言う通り、あとは実力で取り戻すしか方法は残ってない。

 

「まぁ、瑞希の言う通りよね」

「元はと言えばあたし達が校則を破ったのが原因なわけだしね」

「はい。だから、そうやって職員室に忍び込むっていうのはダメだと思うんです。そういうのは、狡いような気がします」

 

狡い、ズルいか……。

確かにコソコソと忍び込むのは男らしくないかもしれない。

 

「『…雄二、どうしようか』」

「あ~…。どうするも何も、姫路と島田、中西にまでそこまで言われたら、流石に考え直すしかないだろう」

「だな。オレも賛成だ」

「明久君、坂本君、皆さん……。わかってくれたんですね?」

「ああ、つまりこういうことだろ?」

 

雄二は先ほどの発言を撤回するよにはっきり告げる。

 

「ーーこそこそ忍び込まないで、鉄人を堂々と殺ってから奪い返せ、と」

「全然違いますからね⁉」

 

やっぱり女の子の目前、忍び込むなんて男らしくないとこは見せられない。

やるなら正々堂々、正面からやるべきだ!

 

そんなわけで、僕らは昼休みに職員室へ強襲することとなった。




長いですね…
いやあ書いてたら区切りが付かなくて…

次回は本編はちょろっとで、バカテストを入れようかと。

それと明久、カップリングアンケートは本日一杯までとします。
沢山のご回答ありがとうございました!
結果はまた後日、次の更新時にでも。

ーーでは
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