バカとテストと召喚獣~バカな天才の集まりGクラス~ 作:八月一日
それでは、どうぞ!
「すこし算段が狂ったが、だいたい順調だ!さっさと点とってブッ倒すぞ!」
「「「おおーっ!」」」
雄二の言葉に全員が握り拳を高く挙げる。
そもそも僕らは守備より攻撃派だ。
ガンガンいこうぜ!
「トップバッターは…」
「こっちです」
東雲君がバッターボックスに向う。
彼の召喚獣もそれに続いて歩くーー
『な、なによあれ⁉』
ーーバットを三本、宙に浮かせて。
「仕様です」
きっぱりといいきって召喚獣にバットを構え(?)させる。
マウンド上ではピッチャーを務める中林さんがボールを投げた。
東雲君はその球筋をしっかりと見極めて、バットを振った。
カカン
甲高いバットとボールが衝突した音が二連続で聞こえたあと処理の終わった点数が表示される。
古典
Gクラス 東雲翔 3829点
VS
Eクラス 中林宏美 103点
点数が表示され終わる前に白球は青空に消えて行った。
『さすが翔君だね!』
「はい…ですが少し…」
『少し…なに?』
「できればバット一本でちゃんとお相手したかったのです…」
「やっぱ東雲君って律儀だね」
これで1対2。
次は2番打者のムッツリーニだ。
アイツなら運動神経も良いし、僕ほどじゃないけど召喚獣の扱いも慣れている。
今度も期待が…
古典
Eクラス 中林宏美 105点
VS
Fクラス 土屋康ーー
『ストライッ!バッターアウト!』
「「「早すぎるだろ!」」」
点数処理が終わる前に三振をブン獲られたムッツリーニは肩を縮こませて戻ってきた。
そのムッツリーニの前に雄二が立った。
「…………」
「因みに聞くがムッツリーニ。今回の古典、何点だった?」
「…………18点」
「そうか…明久」
一瞬、遠い目をした雄二はムッツリーニの肩に手を置いた後振り返り、不意に僕の名を呼んだ。
嫌な予感しかしない…!
「な、なんだい、雄二?」
「いいか、よく聞け?…中林は必ずお前を殺ーーゲフンゲフン…一塁に送る。だから無駄なことはするな。いいな」
「今、殺すって言いかけたよね⁉なに⁉デッドボール宣告を受けてなにもするなって!僕の召喚獣はフィードバックがあるの忘れた⁉」
「案ずるな…願っといてやるよ、神になり、妖精になりにーーー」
以外にも僕の身を心配してくれる雄二。
そうか。やっぱ僕がいなけりゃダメってことか。
それにしてもえらいファンタジーな他力本願だ。
すると雄二は両腕を大きく広げて声を張り上げた。
「頼むぜ!俺の守護神、《大量虐殺の王》暗黒神・バロム!
「おかしくない⁉ソイツになにを願うつもりだい⁉」
「こいつらを生贄にするから俺に勝利を!」
最悪だコイツ!
邪神に生贄を捧げて自分だけ得しようなんて…!
『次のバッター、入ってください。今日は時間の余裕がありませんので』
主審の先生の声に応じて渋々とバッターボックスに入る僕。
その正面にいるのは、
「来たわね吉井…!」
異常に闘志を燃やす中林さん。
大丈夫。僕ならうまくやれるさ!
「さぁ…こいっ!」
ゴスッ
『ーーデッドボール。一塁へ』
「ぎゃぁあ!顔が陥没したような痛みがぁっ!」
暗黒神・サカモトユージーの予言通りしかも、初級にデッドボール。
地面にうずくまる僕に、マウンドの上から見下し目線の中林さんが告げた。
「ここから、アンタの打席は全部デッドボールよ」
「最悪の予言だよ、全く!絶対さっきのこーー」
「審判!今の発言はスポーツマンシップに則るどころか人として、クラスの代表として如何なものでしょう!」
僕が泣き泣き叫んでいるとネクストバッターサークルの雄二が言った。
その言葉に主審の先生は一度、顎に手を当て考えた後結論を出した。
『中林宏美、退場!Eクラスは新しいピッチャーを出してください』
「えっ?ちょ、ちょっと」
『中林…今のは俺たちもフォローできねぇや』
『少し頭、冷やして来い…』
クラスメイトからも見放された中林さんは目の端に涙を貯めつつ、グラウンドから去った。
****
「さて…ここで一発出せば逆転だな」
ニヤリと口を弓にした雄二が呟く。
古典
Eクラス 千堂太一 96点
Fクラス 坂本雄二 196点
『く…。敬遠か…』
Eクラスの副リーダーっぽい人が雄二の点数をみて呟く。
雄二の次は須川君だし、妥当と言えるだろう。
ピッチャーが振りかぶってボールを投げる。
放たれたボールは雄二の真上を山なりに浮かびーー
「あめぇ!」
キィン、と甲高い音を奏でて宙を飛ぶ、見事すぎるホームランーー
「……くっ…」
「「「えっ?」」」
にはならなかった。
雄二の召喚獣はバットとボールが激突する寸前、不意に身体を揺らしたのだ。
あの雄二が操作ミスなんてするわけない。
だったらなんだ?
不意打ちの事故だ。
いくら暗黒邪神、悪鬼羅刹といえど偶然におこる事故には対応出来ないだろう。
ボールは無情にもファースト側へと転がる。
僕はギリギリベースに届くか届かないか、雄二は空振りした呆気にとられ未だバッターボックスに突っ立っている。
当然ピッチャーはボールを拾いファーストへ。
これでツーアウトだ。
続くバッターの須川君は何とか塁へ出て姫路さんは敬遠。
満塁のチャンスが来たものの美波が驚異の3点を叩き出しキャッチャーゴロ、スリーアウトチェンジだ。
【Fクラス 1点VS Eクラス 2点】
****
『クソッ除けられたか…流石坂本…』
『まだチャンスはあるわ。……それより』
『分かってる。これが成功すれば俺たちは勉強からおさらばさ』
『それま出だけよ、手を貸すのは…恭二』
『俺としてはずっとがいいんだがな……友香…』
『あ、名前で呼ばないでキモいから』
『…………』
『…声を殺してざめざめと泣かないでよ。まぁでも、今回の頑張り次第で考え直してあげてもいいわよ?』
『ほ、本当か友香!』
『ええ』
感想、ご指摘お待ちしております。
ーーでは