バカとテストと召喚獣~バカな天才の集まりGクラス~   作:八月一日

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第二十三問〜カラスとの初対〜

「雄二…よくあんなに酷い作戦を思いつくね…」

『ほんと、悪鬼の名前に相応しいよね』

「いや…雨谷の腕輪の能力が想定外だった……。本当なら敬遠させたあとムッツリーニで戦意喪失っていう作戦だった…。流石に俺でも同情するぞ……」

 

ところ変わって待機場所。

僕らはEクラスとの試合を驚異的な早さで終えたため、しばしの休憩をとっている。

が、さっきそこへ、100ハードル走を終えたメンバーが帰って来て若干の熱気と男臭さに見舞われたけど、これもクラスのためと思い我慢した。

ちなみにムッツリーニの処刑は今日は忙しいため後日へと引き伸ばしとなった。

 

「ふーーぅ……おう、相手ギブアップだってか?何があった?」

『あ、健斗。お疲れ様』

 

海穀君がタオルで汗を吹きながら疑問顔で尋ねてくる。

 

「戦意強奪ってとこだ……。それより、テメェはどうだった?」

「あ?ハッ全部一位だ。どうした?俺が心配になったか?」

「バカ言うな。テメェなんぞはなから心配なんかしてねぇよ」

「ったりめぇだ。テメェなんかに心配されてたまるかよ」

 

お互い罵りあっているが二人の顔をみていると……

 

「ん?どうした明久。俺の顔がわからなく成る程バカになったか?」

「………お気の毒に」

「明久よ。ワシはあまり脳外科は知らぬぞ?」

「酷いっ!……ってそうじゃなくて、雄二と海穀君を見てるとなんだか薄い本が出そうだな…って」

「「ザケンな⁉っつうか誰がそんな趣味の悪いもん書くんだよ!」」

 

ヤバイ。

冗談のつもりで言ったのに二人は噴火寸前の火山のように怒り燃えている。

ここはどうにかして話しを変えないと……

 

「そ、それより雄二さ。さっき試合中打ちそこねがあったけどどうしたの?」

「あァ?悪鬼羅刹。テメェ野球程度もできねぇのか?」

 

よしっ。

話題すり替え、成功っ!

後は思い出させないように気をつけながら…。

 

『それはないよ健斗。雄二はこの前だって打ったボールを吉井君に命中させるくらいうまいんだよ?いくら召喚獣の扱いが下手でも理由にはならないよ』

「あれはひどかったのう…」

 

ぐぬぬ…イヤな思い出を…

 

「…おい、お前ら」

 

ん?なんだろう。

僕が過去に冷や汗をかいていると雄二が声のトーンを落として、まるで周りに聞こえないように、そして真剣な顔をする。

 

「少し、話が有る。もっと近寄ってくれ」

「どうしたのじゃ雄二。いきなり感慨深い顔をして」

 

雄二、僕、秀吉、ムッツリーニ、神谷君、海穀君の順で丸く、小さく座る僕らを一度雄二みてから口を開いた

 

「これはまだ確実とは言えない事だが……」

 

そこで、より深刻そうな顔をして雄二は言った。

 

「誰が俺たちの試合を妨害しようとしていた」

「はァ?妨害?なにいってむぐぐぐ」

「(テメェ!バカやろっ!その妨害者に聞こえたらどうする!)」

『(そうだよ健斗!野球大会には僕らの保健体育の参考書(エロ本)がかかってるの忘れた⁉)』

「…っ!(わりぃ…忘れてた)」

 

雄二がわざわざ声を小さくして話したのに海穀君が普通の声で喋ろうとしたため両サイドの神谷君と雄二が羽交い締めにする。

 

「棒がーーなんですか?」

 

その声を聞いたのか姫路さんがこちらに首を傾げて見せる。

その行動は僕に可愛らしい小動物を想像させ、とても幸せな気分にーーって!違う、今は姫路さんに妨害行為(まだ確定ではないけど)が、あった事を悟らせないようにしないと。

 

「ぼ、棒倒し!僕らは棒倒しの話をしてたんだよ!ね⁉神谷君⁉」

『う、うん!僕が前いた学校は棒倒しなんてなくてね!』

「この辺もやはり文月学園の校風かのう⁉」

「………(カシャカシャカシャ)」

 

僕が話をふると神谷君と秀吉はフォロー、ムッツリーニはいつも通り今の姫路さんの動きをカメラに収めていた。

後で売ってもらおう。

 

「あ、そうですか。ふぇ?なんですか美波ちゃん……え?明久君たちは没収品の事を話してるから今は近寄らない方がいい?わかりました……じゃ、じゃあ明久君、皆さんまた後で…」

「姫路さんまってぇぇ!僕を変態のままにしないでぇ!」

 

このままじゃ僕は日夜エロ本のことしか考えてない変態野郎として姫路さんに印象付けられてしまう!

 

「諦めろ明久。そんなことよりこっちの方が大事だ」

「そんなことってなに⁉僕の印象が絶賛急降下中なのに!」

「俺にとっちゃどうでもいいことだ」

「………」

『吉井君。苦労してるね…』

 

同情するなら今は僕は金より名誉が欲しいっ!

 

「じゃが雄二よ。なぜそう考えるのじゃ?」

「これを見ろ」

 

そういって雄二は左のゴツイ握りこぶしを開いて見せた。

 

『うわぁ……ゴツイ…』

「そこじゃねぇ」

「羅刹。この針は…?」

 

よくみてみると雄二のゴツイ手のひらには5センチ程度の針が二本、乗っていた。

 

「これは俺と明久がバッターボックスに入ったときに飛ばされたものだ」

「え⁉僕にもこんなのが飛ばされてたの⁉」

「ああ。だがお前のはちょうど中林に当てられたときだったみたいでな。バッターボックスに入ったときに一緒に拾っといたんだ。……で、そこでだ。どうやら薬が塗ってあるみたいなんだが……中西はいるか?」

『佐門?佐門はさっき姫路さんや島田さんと一緒にどっかいったけど……?』

 

ああ、あの時か……。

あの時美波は中西さんも連れていったのか……でも。

 

「なんで中西さん?」

「あいつの得意科目は科学。だからこの塗ってある薬もわかるんじゃないか、と思ったわけか、悪鬼」

「そういう事だ。しかし困ったな……おい、神谷。他にGクラスには科学が得意な奴はいるか?」

『えぇっとお………』

 

イヤそうな顔で視線をそらす神谷君。

その顔に僕にはできていない苦笑いがあるように見えるんだけど…?

 

「いることには居る。だがかなりめんでぇ」

『ちょっ!健斗⁉』

「没収品がかかってる以上、やむ終えないだろ」

 

うん…、と一応納得した様子の神谷君。

そんなにイヤなのか…。

なんでだろう?

もしかして姉さんみたいな人とか?

いや、もしかして超不良とか?

ひょっとしたら、ムッツリーニみたいな変態とか?

 

「で、どこに居るんだ?ソイツは」

「探すまでもねぇ…。悪鬼羅刹、そこに立ってろ………オラッ!」

「のわっ⁉」

 

僕が必死に考えてると突然、海穀君に突き飛ばされた。

あまりに不意だったため、僕は浮いて雄二にもたれる格好になる。

すると神谷君が手をメガホンの様にして口に添える。

 

『はぁぁ……わあ!ここに薄い本にぴったりの男同士で抱き合ってる人が‼』

「ちょ、ちょ、ちょ!神谷君!」

「てめぇ⁉なんてことを言ってくれるんだ!」

 

周りでは今の声を聞きヒソヒソと話し合っている。

 

『おい…聞いたか?』

『ああ…吉井が坂本に抱きついたみたいだぞ』

『…っ!アキ…やっぱり坂本の事が……』

『そ、そんなのはダメです!不健全ですっ!』

『でもあの二人、実は凄く仲が良いらしいのよ』

 

マズイっ!

なにがと言われても答えられないけどとにかくマズイっ!

雄二は海穀君を追いかけてどこかいったから僕は神谷君を!

 

「ちょっと神谷君!どうしてくれるのさ!」

 

僕の青春を返せぇっ!

 

「で、そのときの状況は?あ、出来るだけ詳しく、ね」

『えっと、いきなり吉井君が雄二に抱きついてーー』

「ふむふむ…で、その吉井君ってのは?」

「僕が吉井明久。っていうかなにそのメモ!なにそのウソ!何一つ正しくないよっ⁉っていうか君は誰!」

 

不穏当なメモを神谷君と話していた少年はズボンのポケットにしまって笑みを作った。

 

「アハ。僕はGクラスの城地 烏。烏でいいよ」

 

カラスと名乗った彼は名前の通り黒いラインの入ったジャージと黒い手袋を左手に、黒字に黒の翼の柄のバンダナを巻いた格好、左目はクセの多い髪に隠した彼は直ぐにまたメモを取り出して、

 

「で、その雄二君とやらのどこがいいんだい?」

『彼、漫画部の部長でね。日々、漫画や薄い本を描いてるんだよ』

「誰があんな赤ゴリラみたいなのと!というかだれが僕と雄二の薄い本なんかを買うの!」

「え?玉野さんとか、木下さんとか」

「………」

 

ちくしょう!

サラリと言われた!

もう僕の心はズタズタだよ!

もう姫路さんに抱かれでもしないと立ち直れないっ。

 

「ぬ?姉上がどうかしたかの?」

 

そこへ秀吉がーー

 

「秀吉!僕 の心を癒してぇ!」

「わ。なんじゃ明久⁉ワシの手なんぞ握って」

 

そうだよ!

秀吉だよ!

秀吉に僕のカラカラの砂漠のような心には秀吉はような潤いが必要なんだ!

 

「あれ?木下さん……じゃないね。もしかして弟の秀吉君?」

「そうじゃが…お主姉上のクラスメイトかなにかか?」

 

まあね、といいながら彼は物凄い勢いでメモにシャープを走らせる。

 

「よし、と。じゃまたなにかいいネタが会ったらヨロシク。あ、あと木下君。お姉さんに毎度御ひいきにっ、て伝えといて」

『あ、ちょっとまって城地!』

「ん?なんだい?」

 

これをみて、と神谷君は雄二の座っていたところから針を持ってくる。

すっかり僕は彼を呼んだ(?)理由を忘れていたよ。

 

『これの先っぽになんか薬が塗ってあるみたいなんだけど…』

「ん?どれだいーーーああこれは僕の作った麻酔針だね」

「え⁉君が作った⁉」

「と、いっても失敗作。せいぜい動きが鈍く成る程度だけどね」

「で、だれに売ったんだ?その針」

「雄二、帰ってたんだね」

 

気が付くと横に雄二が並んで立っていた。

その顔についている女子のらしきアイアンクロー痕には触れないでおこう。

 

「雄二?ああ、君が噂の……」

「噂?なんのことだ。いいから教えろ」

「まあまあそんなに焦らないでよ……いやね、実はそれ盗まれちゃってそれ」

「ザケンな!テメェの作ったその薬のせいで俺たちの希望が砕け散ってたかもしれないんだぞ!」

 

その言葉は希望がエロ本以外だと格好いいと思うな…。

 

「ま、本当にだるく感じる程度だから平気だよ。他になにかあるかい?」

『いや、ないよ。ありがとう、教えてくれて』

「礼をいうのはこっちさ。うん、いいのが描けそうだ。じゃあね」

 

そういって烏は微妙な情報を置いて、イヤなメモを持って人混みへと消えていった。

 

 

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