北斗の拳 ー明日方舟救世主伝説ー   作:カマクラカスタ

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な、なぜぇ!面白い展開が描けないぞぉ〜〜!!

たわば!!(爆死)


第3話 驚愕の真実!ケンシロウよ、貴様は一体何者なのか!?

 

白く整ったベットシーツの上で太眉の男はその眉を幾度も上下しながら本を読み耽る。

 

場は八畳ほどの房。しかし同居人はおらず辺りに隣接している牢もない、完全に切り離された空間である。

 

整備も行き届いており、トイレとベットが同室にあるものの房は鉄格子ではなく何か不透明なガラスで覆われており、プライバシーは守られている。

 

初めて独房にぶち込まれた際は汚らしい地面のみだっただけにこの待遇の差には驚くばかりである。

 

過去と現在の差を頭の片隅でぼんやりと思いながら太眉の男――ケンシロウは読書を続けていく。

 

今手に取っているのは取り調べが終わった翌日の今朝にホシグマが差し入れてくれたもので、表紙には『オリジムシでも解るテラの世界常識!』

 

とチープな文字で書いており、荒野で数回ほど見た虫がその表紙を飾っている。

 

数十分前に渡された本だがページ数は既に終盤に差し掛かっておりゆくゆく読み終えそうである。が、ケンシロウの手は読み進めた二ページを何度も往復していた。

 

そのページに描かれたものにどこか既視感をケンシロウは覚えている。

 

「巨獣⋯⋯」

 

描かれた絵に指を滑らせながらケンシロウは小さく呟く。テラと呼ばれるこの大地の太古より存在したとされる超常の存在。

 

書には明確にはその存在を記述されてはおらず、おとぎ話のように漠然とその存在感を漂わせているだけである。

 

しかしどの巨獣もその名の通り、巨大な獣や動物として描かれていた。

 

此処の存在である巨獣。その姿、造形をケンシロウはテラに来る前、一度目撃していた。それも元いた世界で。

 

目にした巨獣が恐らく自分がテラに転移した要因、だとケンシロウは考えている。

 

「⋯⋯」

 

思い起こしても中身のない不明瞭な答えだと自負しているが、そう推察することしかケンシロウはできなかった。

 

なぜならここに転移する直前、その記憶が殆どないのだ。覚えているのは巻き込まれた黒い砂嵐、こちらを見据える巨大な獣の眼光。

 

この大地に来る直接の原因となった細かな経緯は思い出せなかった。

 

「⋯⋯分からんな」

 

内容的に小中学生レベルの本を前に諦めの言葉を吐き、ケンシロウは瞑目するとパタリと本を閉じた。

 

ため息を吐き、眼下にある四角形の木机に目を向ける。

 

そこには差し入れによる書冊が丸一日はもつであろう量が積まれていた。

 

ケンシロウは上部から徐に本を手に取るとその胸に静かに期待を膨らませる。

 

どこか似通った世界だと感じるものの、文化や進歩、星が歩んできた歴史はまるで違う。それに自分の世界と違ってテラはまだ滅んではいない。

 

未来があるのだ

 

ケンシロウは初めて絵本を手に取る子供のような、純粋な冒険心を抱くと、冊子の一頁に手をつけた――

 

 

 

 

 

 

 

――a.m 7:00 天気/曇天

 

近衛局戦闘訓練場

 

 

「はあぁ!!」

 

「ぐっ⋯!うおぁっ!?」

 

ぐはッ!と地面に叩きつけられた近衛局員の一人が衝撃に溜まった肺の空気を吐き出した。

 

「そこ!脇が甘いぞ!接近してくる敵に隙を晒してどうする!」

 

「は、はい!」

 

そんな組手がかなりの面積を誇る訓練所を埋め尽くさんばかりの大人数で行われている。

 

傍から見れば朝からハードだと言われそうな光景だが、市民の安全を守る義務を背負う彼等はそんなうわ言など眼中に無く、

 

彼等は一片の怠慢すらない誠実さで訓練にあたっていた。

 

そんな熱心に満ちる空間の端で鬼の副教官――ホシグマはその光景を俯瞰していた。

 

鬼の副教官といっても勘違いしないでほしいのは彼女の場合は種族的な意味合いであり、心が鬼ということではない。

 

「貴様らの実力はその程度か!!これでは暴徒の一部隊も鎮圧できないぞ!」

 

本物の鬼は別にいる。その鬼教官と比喩される『龍』は未だ調子を落とさず、もはや怒号に近い指導を行っていた。

 

「「「はいッ!チェン隊長!!」」」

 

いつもと変わらない龍――チェンにホシグマは少し呆れながら肩を落としていると、

 

「どうしたホシグマ?今日はやけに静かじゃないか。調子でも悪いのか?」

 

局員に向けていた厳格な形相を崩し、顔を綻ばせたチェンがホシグマの側に立つと、そう呟く。

 

その言葉にホシグマは首を小さく振ると、

 

「いえ、実はこれからちょっとした野暮用があるんですが、少々これが癖ものでして。頭を悩ませていたんです」

 

「ほう、野暮用にお前が頭を回すなんて只事ではないのは確かだな。もしかして私には言えないことか?」

 

臀部から垂れ下がる細い尻尾をくるりと回し、訝しげな表情をするチェン。

 

何か重大な事だと誤解していると思いホシグマはその真面目さに苦笑すると、

 

「そんな真剣な顔しないでくださいよチェン隊長。ただ、今からある書類を取りに行くだけですから」

 

「⋯⋯お前が柄にもない言い方をするからだろ」

 

言い訳を並べ、先の不穏立った態度を誤魔化すようにチェンは首筋を片手で覆うとバツが悪そうに視線を流す。

 

羞恥心が残るのか、チェンはそれを吐き出すように大きく吐息した後「それで」と前置きし、

 

「なぜ野暮だと言い張った書類になんかに悩んでいるんだ?そもそも言い分が矛盾しているぞ」

 

「そこを突かれると痛いですが、説明すると長くなるんですよ。気になるなら隊長も来ますか?絶対見た方が早いと思うので」

 

「⋯わかった。そうしよう」

 

意見が纏まり教官と副教官は目的地に向かおうと扉の前まで移動すると、チェンは訓練に励む隊員達にそのまま続けておくよう言い放つ。

 

「「「了解ですッ!」」」

 

キレのよい隊員達の返事にチェンはよし、と頷く。

 

組織としての規律と士気の良さにホシグマも屈託のない笑みを浮かべると案内するため先に扉の奥へと進んでいく。

 

長い廊下を進み、下の階に向かうためエレベーターのボタンを押したところで、チェンが口を開いた。

 

「一体どこに向かっているんだ?」

 

「⋯医療所です」

 

「――?何故だ」

 

ピンポンッとエレベーターの到着音がなり響く。二人は一度会話を中断し乗り込む。

 

医務室のある階へのボタンをホシグマが押すと、エレベーターは従って下へと向かった。

 

エレベーターは後ろの壁面がガラスになっており少し洒落た作りになっている。

 

背後から差し込む日の光を浴びながら両者は言葉を交わす。

 

「依頼して丸一日。もう彼の検査結果が出ているはずなので、それを取りに行くんですよ」

 

「彼??⋯それに検査結果だと?おいおいホシグマ、全然要領を得られないぞ」

 

やれやれと半ば呆れた様子で顔を顰めるチェン。説明不足だとホシグマは自覚しているものの、こればかりは聞くより知ってもらった方が早いのだ。

 

「彼というのは昨日の夜、訳あって留置所に逗留させた者のことなんですが⋯⋯あー、ここまでにしておきます。小官が伝えてもややこしくなるだけですので。詳しくは彼に直接聞いてください」

 

頑なに話そうとしない相方をチェンは怪訝な視線で射抜くが、当の頑固な鬼には効果はなく飄々としている。

 

その態度を見てチェンはため息を吐くと同時にもう首を突っ込むのは止めようと諦観する。

 

無駄に考えるやめて、成り行きを見守ろうとチェンは心に思うと、大人しくホシグマについて行くことにした。

 

 

 

 

エレベーターを降ると、上官二人は下層部に位置する医療フロアを進んでいく。

 

小さな病院とも言えるここは、何かと物騒な事件に砕身する近衛局員を癒す目的や物的証拠の解析、DNAの照合などを素早く執り行うため近衛局が他所と連結した医療兼化学施設だ。

 

美人な女性スタッフが多いので局員からの評価も高い。

 

「どうもおはようございます。今大丈夫ですか?」

 

「あ、ホシグマさん!――え、それにチェンさんまで!?お、おはようございます。え⋯ええ、大丈夫ですよ。ご用件はなんでしょうか?」

 

若干動揺を見せつつもニコニコと愛想の良い笑顔で受付をする女性スタッフ。

 

確かに近衛局トップ二人がこの場にいるのは不自然だと今になって思い、ホシグマは苦笑すると、カウンターに片腕をつくと少し身を乗り出し、

 

「一昨日の0時頃に手配したケンシロウという男性の血液検査の結果を取りに来ました」

 

「ご用件承りました。えーっと、チェンさんのご用件もお伺いしても?」

 

「⋯私か?私は気にしないでくれ、こいつの付き添いだ」

 

「そ、そうですか、了解しました。ホシグマさんの用件は、一昨日の0時頃⋯ケンシロウさんの検査結果⋯ですね」

 

ホシグマの用件を聞き、スタッフはその要点を呟きながら慣れた手つきでカタカタとキーボードを叩く。

 

「はい!確かに、確認が取れましたので担当の者をお呼びします。しばらくお待ちください」

 

そう言い足早くカウンターの奥へ行くスタッフをホシグマは見届けると、チェンと共にその辺の椅子へ腰を下ろした。

 

傷を負った局員の何人かが何事かといった様子でチラチラと視線を送ってくるが上官二人は気にもとめず淡々とその時を待つ。

 

「ホシグマさんどうぞ〜」

 

名前を呼ばれ、背丈の高い鬼が立ち上がるとそれに合わせるように鬼より半尺程低い龍も立ち上がり、部屋へと向かう。

 

「⋯朝からご苦労様です。ホシグマさんそれにチェンさんまで。どうぞ、お座り下さい」

 

「いえ、そちらこそ。朝から面倒を押し付けて申し訳ない」

 

中年の男性医師の手に示された椅子に座り、ホシグマは言葉を並べた。

 

すると面倒という単語に呼応するように医師が顔を顰め、言葉を続ける。

 

「ではケンシロウさんの検査結果ですが⋯⋯こちらのカルテをどうぞ⋯」

 

ホシグマは手渡された一枚の用紙を受け取りチェンの方に寄せると、まじまじと項目を見詰める。

 

そしてある欄でホシグマは目を止め、眉を微かに下げた。

 

「やはり⋯⋯」

 

彼女の視線の先、種族に関する欄には『該当なし』と記されていた。

 

「⋯彼の種族に関する項目に該当なしと記されていますが、何かの手違いですか?」

 

「まさか、何度も検査に掛けた結果がそれです。何かの手違いだと言いたいのはこっちの方ですよ。本当に人の血なんでしょうね?」

 

医師の疑いの言葉を聞き、ホシグマは間違いないと考え、ケンシロウへの疑念を晴らす。

 

しかしそうなると懸念していた問題が現実となるため、心まで快晴とはいかずホシグマは微妙な顔をしていると、隣から肩を叩かれた。

 

「おい、何さも当たり前かのような顔をしているんだ?種族不明などどう考えてもおかしいだろう?!」

 

隣りの龍に囁くような声量で突っ込まれ、ホシグマは少し目を泳がせた後彼女と距離を詰め耳打ちする。

 

「この結果は正常ですから大丈夫!というか隊長はもう黙っていてください!後で全部説明しますから!」

 

「はあ⋯!?さっきからはぐらかすばかりで何故頑なに真実を言おうとしない?!ここまで来たら怪しいぞ!お前は一体、どんな問題に首突っ込んでいるんだ!!」

 

声量を落としながらも更に強く突っかかってくる相方にホシグマは鬱憤の感情と共に眉を寄せる。しつこい、

 

「いいから!!黙ってろチェン!」

 

言い切った瞬間、隣りの相方が意表を突かれたような顔でこちらを射抜いてきたところで、ホシグマはあっ、と口元を手で覆う。

 

発言の際の声量は落としていたが、勤務姿で、しかも公衆の前で公務での敬語が抜けてしまっていた。恐らく目の前の医師には聞こえていただろう。

 

チェンとは親しい間柄なので非番でのタメ口は問題ないのだが、これでは彼女の面目が傷ついてしまう。

 

「⋯⋯すいません、チェン隊長」

 

「⋯⋯いや、いいさ。しつこく問い立てた私が悪い。お前の言う通りにしよう」

 

自重し、部下の失態を許容する隊長は柔和とした表情で部下にそう告げる。ホシグマは今夜チェンに一杯奢ろうと心に誓った。

 

「⋯⋯話は済みましたか?」

 

区切りが付いたと判断した医師がホシグマに問いかける。その声に酒鬼はハッとすると咳払いをし、

 

「彼が人間かどうかでしたね?ええ、そこは間違いありません。血も同じ赤色でしたし。種族に関しては些細なことなので別に気にしません」

 

「⋯⋯そうですか、まあ、種族に関してはそうですね、この際些細なことだ」

 

「――?この際、というのは⋯⋯?」

 

医師の物言いを聞き思わずホシグマは首を傾げた。どこか含みのある言い方だと感じたのだ。

 

奥歯に物が挟まったような謂れのない感覚を彼女は抱くと、医師はそれに応えるように口を開いた。

 

「いやはや、驚きましたよ。彼はね、人の形をした化け物なんですよ」

 

アハハッと医師の乾いた笑い声が室内を独走した。

 

「⋯⋯はい??」

 

「⋯⋯何を言っている?」

 

医師の淡々とした爆弾発言に二人は一瞬頭が真っ白になったが、思考を戻し各々で聞き返す。

 

「少し誇張しすぎましたね。えー⋯言い直すとすれば、彼は⋯生理的耐性が人の範疇を大きく超えているんです」

 

生理的耐性という単語と後述の言葉を聞き、二人は目を見開く。兵士への適正の一つの指標とされる生理的耐性は、簡単に言い換えれば毒物への抵抗力だ。

 

そんな人と変わらず数多の生物に等しく有効な毒が、即ち彼には効かないというのだ。馬鹿げている。

 

「具体的にはそうですね⋯。常人では致死量の毒物を、彼はその数十倍でも余裕で耐えられる」

 

「――え!?」

 

「な、なんだって⋯⋯?!なあ、何故ソイツの抵抗力は異常なまでに高いんだ!?説明してくれ!」

 

驚愕を隠せないままがっつくチェンに医師は投げやりに肩を上下させ、

 

「さあ?そんなの私が知る由もありません。逆に私が彼に聞いてやりたいものですよ」

 

お手上げといった様子で医師は手を腕まで上げる。冗談だろと言いたげな龍と鬼の視線にも首を振って答えた。

 

そんな行動を最後に室内は静寂に満たされる。なんとも言えない空気感の中、二人の視線がかち合う。

 

目の奥の考えは両者共無論、同じだ。

 

「⋯⋯隊長、彼に会いに行きますか?」

 

「⋯⋯嗚呼、勿論だ」

 

二人は謂れのない緊張感を抱えながら、診察室を後にしたのだった。

 

 

 


 

 

ケンシロウの秘密を知ったチェンとホシグマ!

 

拳法家というケンシロウの実力を図るため今、伝承者の力量が試される!!

 

次回!北斗の拳!!

 

『地上最強の拳法!その名は北斗神拳!!』

 

 

 

「今⋯お前の経絡秘孔を突いた」

 

 





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