北斗の拳 ー明日方舟救世主伝説ー   作:カマクラカスタ

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遅くなってすいやせん


第4話 地上最強の拳法!その名は北斗神拳!!

 

手に持った検査カルテと若干顔の強張った上官と共にホシグマは廊下を歩いていく。

 

視線の先にある角を右へ、また右へと曲がっていくと目的の場所についた。

 

全く内部を覗けない不透明なガラスの前に二人は立つとホシグマは可視化できるようガラスに取り付けられたボタンを押した。

 

「「うおっ!!?」」

 

二人が驚きに体を仰け反らせるのと機械の作動音が鳴るのはほぼ同時だった。

 

二人の反応は当然だろう。なぜなら、ガラス越しではあるが目と鼻の先でゴツすぎる男が立っていたのだから。

 

「ん、ホシグマか。係の者だと思っていたが」

 

ガラス越しでくぐもった野太い声が聞こえ、ホシグマは短く吐息する。心臓に悪いと内心呟きながら、ホシグマは彼の言葉を聞き逃さず、

 

「⋯⋯係の者にもその対応を?」

 

「物の受け渡しがスムーズだからな、そうしている。何か変か?」

 

「こいつ天然だな⋯⋯」

 

呆れるホシグマの横でチェンは小さくそう呟いた。その刹那、男の視線がギロリとチェンを射抜く。まさかと思い龍は思わず息を飲んだ。が、

 

「⋯⋯ホシグマ、その女は誰だ?」

 

少し男の声色が変わったように感じたが、届いてはいなかったようでチェンは内心で安堵する。

 

「こちらは私の上官のチェン隊長です。今回の結果を見た所、小官の手に余ると判断したので同伴して頂きました」

 

「俺のことは話したのか?」

 

「いえ、まだ何も。貴方の疑いは検査の結果でもう晴れましたので、隊長へ直接説明してくれませんか?」

 

「そうか⋯⋯わかった」

 

ホシグマの発言を聞き男――ケンシロウが微かに目尻を下げたのをチェンは見逃さなかった。

 

彼女の中でケンシロウは、えらく逞しいが感情の乏しいヤツという第一印象だったものの少し改善された。

 

そんな龍女の胸中を他所にケンシロウはチェンの正面に立つと、自己紹介を始める。

 

「俺の名はケンシロウ。異世界の住人だ。よろしく頼む」

 

眼前の男の言葉を一通り聞き、チェンは無表情のまま一度深呼吸をする。

 

「すまない、ガラス越しでよく聞こえなかった。ホシグマ、彼を外へ出してやってくれ」

 

チェンの指示に快活とホシグマは返事をすると、ガラス壁の右端ついている取っ手を回した。耳に響く解除のブザーが鳴り、開かれた扉から男が体を出す。

 

チェンは190センチほどある体躯を見上げると朗らかな微笑を浮かべ、

 

「改めて自己紹介を。近衛局局長のチェンだ。すまないが、もう一度自己紹介を頼んでいいか?『聞き間違い』があるといけない」

 

チェンは笑みを顔面に貼り付けたまま手を突き出す。それを握手だと理解したケンシロウは小さな掌をギュッと握り、

 

「ケンシロウだ。異世界からここに来た。よろしく頼む」

 

「大分簡素ですね。それでは自分がどういった人物か相手に伝えられませんよケンシロウさん」

 

「む、そうか。⋯⋯北斗神拳という拳法の伝承者で、趣味は木彫りと奥義の開発だ。自慢ではないが、息を止めて五十三分間潜水できる」

 

「ご、ごじゅっ⋯⋯!?ケ⋯ケンシロウさん、冗談⋯冗談でしょ?」

 

後ろにいる緑髪の鬼に指摘されケンシロウはパッと頭に思い浮かんだ趣味などを言ってみる。が、アドバイザーから先に反応が返ってきたため、流し目を向けながら、

 

「冗談ではない。北斗には調気呼吸術という呼吸法がある。水中での戦いを視野に入れ古くに考案された術だ。今では北斗神拳の基礎にあたる」

 

淡々とそう告げる異常存在にホシグマは絶句。黙り込んだ緑の鬼にケンシロウは納得したかと思い表情すら見ず、視線を真っ直ぐにする。

 

「戦闘だけは得意だ。もし暴力沙汰があるなら頼ってくれ」

 

既に肉体から溢れ出ている自信を謙虚に言うケンシロウ。

 

しかし相手は何の反応も示さず手を握ったまま動作が止まっていた。あまり興味を引く内容ではなかったかとケンシロウは思っていると、

 

「⋯⋯?」

 

握っている龍の手がプルプルと細かく震えていた。何故だと思い視線を上げて顔を見る。

 

彼女の表情は笑みを浮かべたまま変わらないが、眉や口角は微かに痙攣していた。

 

「どうした?どこか具合でも悪いのか?」

 

「――っ!ええい!離せッ!」

 

苛立ちの見える言葉と共にチェンは腕を振り払う。豹変ともいえる情緒の起伏に珍しくケンシロウは戸惑いの色を表情に浮かべる。

 

「隊長!気が触れましたか!?初対面の人に横暴すぎますよ!」

 

「横暴なことだと?そんなものは既にしている!だのに、此奴は一切痛がる様子もなくケロッとしているのは何故だ!お前も聞いていて可笑しいと思わないのか!?」

 

「⋯⋯なにかしていたのか?」

 

「ああ、そうとも。荒唐無稽なお前の発言を戒めようと、思いっきり手骨を握ったというのに⋯⋯っ!恥だ!」

 

訳を話しながら頬を紅潮させるチェンを横目にケンシロウは手の調子を確かめる。

 

開閉を繰り返して具合を確認するが、痛みもなければ違和感もない。ただ、これは当然だろうとケンシロウは思う。

 

妙齢の女がもし一捻りで自分を顔を歪ませるのならこの国は猛者の集う修羅の国以上に修羅じみている。逞しいが、そんな光景は想像したくない。

 

「悪いな。ただ俺が異界から来たというのはもう判明しているのだろう?なら、俺の口から事の顛末を話したい。納得は難しいだろうが理解はしてほしい」

 

殊更真剣な面持ちを深くするケンシロウにチェンは憤りを鎮め、承諾する。

 

不服そうな表情の消えない龍を尻目にケンシロウは自身の世界とここに来た経緯を語り出す。

 

自分語りはせず、核やそれによって滅びた世界などを幾らか伝え、旅を続けていた所突然ここに転移したという旨を語った。

 

「⋯⋯酷い世界だな。この大地よりも過酷だとは」

 

「源石よる天災ではなく、人の手でそこまで⋯⋯それに暴力が支配する乱世。不幸すぎる世の中だ」

 

苛立ちの表情は掻き消え、二人は顔に深い憐憫の感情を覗かせる。やはり口頭で伝えた情報では地獄絵図を想像するだろう。だが、それだけではない。

 

「大丈夫さ。そんな乱世にも確かに希望の糸は紡がれている。哀しみに塗れた世界だが、それでも強く生き他者と寄り添おうとする者を天は見捨てはしない」

 

これは単なる祈りなのかもしれないが、そう生きる人達には辛いことはあれど良い巡り会わせがあり、逆にそうでない悪人共は死神と巡り会う運命にあるとケンシロウは世界を回って思ったのだ。

 

だからこそ、自分が遺した数々の伝説は無駄ではないと思えるし正しかったと胸を張って言える。

 

そして、終末の世で愛を抱き強敵との決別で哀しみを背負い続けた者だからこそ、豪語できることがある。

 

「誰であろうと、どんな世であろうと、救いの手を差し伸べる者は必ずいる」

 

それが世紀末救世主――ケンシロウと云う漢の人生観だ。

 

「⋯⋯暴力の世でもそんな奴がいるのなら、そいつは天に遣わされた救世主だな」

 

澄んだ目を向けチェンは口角を少し上げた。天に遣わされた救世主、その言葉にケンシロウは義兄の姿が脳裏を過ぎる。

 

世紀末を力で支配した覇者ラオウ。彼は世に秩序を作り、修羅の国では救世主と呼ばれていた。そんな彼をケンシロウは北斗の宿命とユリアのために――

 

「⋯出しゃばりすぎたな、話を変えよう」

 

黙り込む男を見計らいチェンが話題を変えようと口を開く。

 

沈黙を破った龍の声にケンシロウは弾かれたように顔を上げ、頭を小さく振るう。目標にした兄はこんな女々しい自分など望んではいない筈だ。

 

「お前の検査結果を見たんだが、どうやら毒への耐性が尋常ではないという結果が出た。なぜなのか問いたい」

 

気さくそうな態度を崩し、チェンは凛とした表情と鋭い眼光を向けてくる。

 

なぜ毒への耐性力を知っているのか疑問に思うもののケンシロウは口には出さず説明する。

 

「それは俺の血筋によるものだ。俺の一族、北斗宗家は天帝という時代の英雄を守護するため戦に生き戦に殉じてきた一族。故にあらゆる面での抵抗力は他人と比にならない」

 

北斗宗家や天帝など、意味の分からない単語を連発するケンシロウに聞き手二人は首を傾げた。

 

ただ、高潔な身分だということは伝わったため、早くに解釈したホシグマはそれを要約しようと噛み砕く。

 

「⋯ええっと、つまり、ケンシロウさんの一族は所謂王の盾的な存在。でしょうか?」

 

「ああ、その認識で問題ない。だが、あくまで世に平安を齎さんとする英雄の盾だ。独裁者や暗君などに従いはせん」

 

精悍な顔を鋭いものに変え、ケンシロウは願わず頂点に立った罪人共を思い浮かべながら拳を握り締めた。

 

そんな信念の籠った拳に毅然とチェンは指差すと、

 

「そのたった二振りの拳でお前はそんな奴らを倒してきたのか?」

 

疑念、或いは期待が乗せられた呟きにケンシロウは視線を拳から外し、相手を見据え、

 

「⋯⋯そうだ。それが北斗の宿命だからだ」

 

「⋯⋯なるほど」

 

端正な顔立ちに浮かぶ柳眉をチェンは僅かに寄せると、ケンシロウの背後へと移動しホシグマの横に付いた。

 

その直後、彼女の雰囲気が変わった。否、見る目が変わったとケンシロウは感じた。

 

こちらを値踏みし、見定めるようなそんな視線を向けられていると感覚で分かる。

 

「俺の素性は話した。それで、異界から来たという俺をあんた達はどう扱うんだ?」

 

彼女等の目に害意は浮かんでいないが、裏に潜んでいる可能性まではまだ見切れない。

 

猜疑心を抱いていると印象付けるため、ケンシロウは語調を強める。勿論、発言通り自分の立ち位置を把握するという意味合いもある。

 

ケンシロウの声質の変化に二人は顔を強張らせる。警官である二人は質問の本質を含め気付いていた。

 

ただ、一際その変化に敏感だったのはやはりチェンだ。

 

「⋯⋯問いをそのまま返して悪いが、逆にお前はどういった処置を望んでいるんだ?」

 

チェンの投げやりな質問にケンシロウは暫し思考を巡らす。まず、急ぎ元の世界に帰還したいという感情はあまりない。

 

弱者を救うという使命を次世代が担ってくれているからだ。自分の遺した想いがきっと芽を出し始めている。

 

無駄な雑草は狩り尽くし、成長を阻害する害虫もいない。すくすく育っていく筈だ。

 

だから帰還したいという感情は今は無い。それに正直なところ彼処には生きる目的や志というものがケンシロウの中で消失しかけていた。

 

「⋯⋯わからん。別に望みは無い。ただ、この世界で俺に成せることはある筈だ。それをしたい」

 

差し入れられた数々の本の内容からケンシロウは此処が平気で暴力の横行する世界だと察した。

 

種族差別、紛争、蔓延る犯罪組織、そしてオリパシーによる感染者問題。特に感染者問題はそれが顕著だった。

 

病の進行中は人から人へと感染することはないと医学的に証明されているらしいが、死亡すれば感染源。

 

そして致死率100%の不治の病と聞けば世間が彼等をどう扱うか、きっと奴隷すら生ぬるい生き地獄なのだろう。

 

そんな彼等をケンシロウは助けたいと思った。どこまでも正義感に駆られてしまう性分はやはり消えはしない。

 

「ただ、此処には人間の社会がある。だからまずは日銭を稼ぎたいんだが、働き口を紹介してくれるとありがたい」

 

しかし直ぐにとはいかない。今は以前のような荒廃した環境とは一変し、世俗的にならなければいけない。

 

だが、いつの日か同じ理念を抱く者が現れ、拳を必要としているのならケンシロウは喜んで振るうつもりだ。

 

「⋯⋯お前は拳法家と言っていたな。それに過酷な世界の中、拳一つで生き抜いたと豪語した」

 

「ああ」

 

チェンの言葉をケンシロウは肯定すると、目の前の龍は「なら」と前置きし、

 

「こちらからお前に二つの選択肢を提示したい。が、その前にお前の言うことが虚偽ではないかテストする」

 

早々と話しを進めるチェンに鬼と拳法家の思考は置いてけぼりになる。

 

困惑の色を浮かべる二人を尻目にチェンは付いて来いと言わんばかりに腰に下げた刀を軽く持ち上げた。

 

「伝承者の実力、見せてみろ」

 

 

 

 

 

広々とした簡素な空間に三人の男女が粛然と立つ。第二対人訓練所と記されたここは現在無人で、第一と比べ規模は少し縮小している。

 

床には軟性のマットが敷かれ衝撃を吸収できるよう工夫されて良心的だ。

 

「これからホシグマと素手での試合を行ってもらう。形式的なルールはない。先に相手を行動不能にした方が無条件で勝ちだ」

 

説明をするチェンは壁際に立ちこちらを傍観している。どうやら彼女は審査員のようだ。

 

龍から視線を外しケンシロウは眼前の鬼を見据える。ホシグマは意気揚々と軽く構えを取っていた。

 

逞しい女といえど取っ組み合うのはごめんだとケンシロウは胸中で呟くと吐息した。

 

「やる気が出ないですか?ケンシロウさん」

 

「⋯⋯できるなら男手と立ち合わせて欲しい。女が戦う理由はどうしようもない時で十分だ」

 

ケンシロウの言葉に二人は不快そうに顔を歪ませる。オブラートに取り繕っているが言外に見下されているのだ。彼の不遜な態度に二人はふつふつと闘志を燃やす。

 

「女というだけで見縊らないでくださいね。私達は近衛局を背負う上官です。勿論実力も兼ねています」

 

「その通りだ。変更はしない。そろそろ始めるぞ」

 

有無を言わせない二人の気迫にケンシロウは拳の骨を鳴し、応える。その不躾な行動が更に二人の闘志を燃え上がらせた。

 

「わかった」

 

「⋯⋯始め!!」

 

チェンの掛け声とほぼ同時に鬼が疾風の如くケンシロウへ肉薄する。盾として前線立つ彼女の脚は瞬発力の塊、瞬時に短距離を詰めるなど造作もなかった。

 

「はあッ!!!」

 

そこからホシグマは顔面に向けて上段蹴りを放つ。引き際を考え懐には潜らず、間合いギリギリで顎を狙う。

 

が、ケンシロウはそれを最低限の動きで横に回避。すかさず引こうとするホシグマの鎖骨部分に人差し指を突き立てた。

 

あまりに早くホシグマは既に突かれた瞬間しか認識出来なかったが、そのまま後ろに跳び距離取る。

 

突かれた鎖骨を瞬時に手で確認するが何の痛みもなく、怪訝に思った――刹那、

 

「――ッ!!」

 

体の違和感にホシグマは双眸を震わせ、額に汗が滲み出した。まるで氷漬けにされたように同じ体勢のまま手先、足先に至るまで体がピクリとも動かないのだ。

 

「おい!どうしたホシグマ!?なぜ動かない?!」

 

銅像のように固まるホシグマにチェンは声を掛けると彼女は振り向きもせず顔を正面に固定したまま、

 

「体が、動かないんです⋯⋯ッ!」

 

「なに――!?」

 

「どうやら鬼とて血の通う位置は同じのようだな」

 

ケンシロウは動揺を隠せないチェンを遮り、呟くとホシグマを指差し、

 

「今⋯お前の経絡秘孔を突いた。新膻中という秘孔だ。あんたは俺からの合図がない限り動けん」

 

「経絡秘孔?一体なんだそれは!指の一突きだけでなぜ動かなくなる!?ありえない!」

 

耳を疑うケンシロウの発言にチェンは腕を振って抗議する。しかし、目の前で起きている光景であり否定しようがない。

 

「これが北斗神拳の秘孔術だ。経絡とは言わば血の流れ、秘孔とはその要。北斗神拳はそこに気を送り込み、内部からの破壊を極意とする一撃必殺の暗殺拳だ!」

 

「内部から破壊って、私死ぬんですか?」

 

停止した体の代わりに声を震わせホシグマは顔を青くする。

 

「心配するな。その秘孔は体の自由奪うのみで、頭が吹き飛んだりはしない」

 

「なっ⋯⋯!下手をすれば頭が吹き飛ぶということかそれは!?」

 

「俺は伝承者だ。下手はせん。取り敢えず試合は終了でいいな?」

 

何度も喚くチェンをケンシロウは鬱陶しく感じ吐息した。物騒なことを言う男の問いに上官は相方の状態を確認。

 

相方は足掻こうと力んで筋肉を振動させることしかできていないためチェンは終了を告げた。

 

「試合終了⋯⋯。何が何だか分からんがお前の勝ちだ」

 

「わかった、ではホシグマの秘孔縛を解こう」

 

解くための合図としてケンシロウは手を叩く。鋭く叩かれた掌が破裂音のような甲高い音を部屋に響かせた瞬間ホシグマは糸が切れたように動き出す。

 

「あっ、動ける」

 

安堵の呟きをホシグマは独りごちると腕や体の具合を確かめ始める。ケンシロウもこの技を次兄から喰らったことがあるので異常をきたしていないかと不安を抱くのはなんとなく共感できた。

 

ただケンシロウは技を掛けられた当時ブチ切れてそれを破ったので、本当になんとなくだが。

 

「はぁ、急に体が動かなくなって驚きましたよホント。悔しいですが私の負けですね」

 

ケンシロウの顔を見て側は苦笑するホシグマだが、彼女は負けに不貞腐れのではなく武人のように精進していこうという心がある事をケンシロウは気迫から感じていた。

 

「⋯⋯いや俺の負けだ。相手を女だからと蔑んで、あんた達、そして武としっかり向き合っていなかった。すまない」

 

先程女というだけで軽蔑していた自身を恥じ、ケンシロウは謝罪した。

 

戦うことを強制された訳ではなく、その道を選び己から戦場に立つことを選んだ彼女達を冒涜してしまっていたことをケンシロウは彼女と手を合わせて分かったのだ。

 

ちょっぴり萎縮した男の態度に上官二人は互いの目を合わせると朗らかに笑い、

 

「まあ、変なプライドを張らず態度を改めるのは社会人として当たり前だな。別に褒められることではない」

 

「相手として認めてくれたのは素直に嬉しいですが、私はケンシロウさんの女性に対する扱いに女としては少し感心していましたよ」

 

「⋯⋯そうか」

 

気骨のある彼女達をケンシロウはその優しげな双眸で捉えながら、喉まで届いていた本音をグッと抑えた。すると、

 

「よし、ではお前に二つの選択肢を提示しよう」

 

「近衛局の武術教官となるか、警官となるかどちらがいい?」

 

言葉と共に立てられた二本の指をケンシロウは鋭い眼光で見つめる。長い旅路の果てにケンシロウのキャリアは遂に幕を開けた。

 


 

二つの道を示されたケンシロウ。

人生初となる就職を彼はどう選ぶのか?!

 

次回!北斗の拳!!

 

『ケンシロウ新たなる道!近衛局に待つのは地獄か進歩か!!』

 

「そんな心持ちでは、死ぬぞ」

 

 

 

 





ケンシロウの年齢は原作終了から計算して三十代前半をイメージしています
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