殺したいほど憎いのに、好きになりそう   作:味噌村 幸太郎

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110 美少女戦士

 

「美のスキルをマックスって、どういうことだよ?」

 

 俺の問いに女神はクスクスと笑い始めた。

 他人事のように笑いやがって……。

 

『簡単な話ですよ。あなたには”究極の美”を与えたということです』

「は? 全然、説明になってないぞ?」

『いいですか? あなたが転生した水巻 藍という肉体もいつかは劣化するわけです。大食いなあなたがこのまま食べ続ければ、肥満体型の残念な美少女になるわけです。しかし、私の与えた能力が美少女を保つわけですね』

「た、保つってなにを……?」

『全てです。あなたは今後、他人と比べて老けにくい肉体であり、体重が増えることも痩せることもない。見た目が美少女であり続けるわけです』

「あ! だからチュロスをアホみたいに食べても太らないのは、そのチート能力ってことか!?」

『そうです。だっていくら美少女でも太ったら、見向きもされない存在になるじゃないですか。さすがにそれはかわいそうなので、チート能力を与えておきました』

 

 女神から教えてもらった俺の身体の秘密。

 確かに転生して数ヶ月経ったのに、全然体重は太らなかった。

 おかしいなとは思っていたけど、女神の仕業だったとは……。

 

『それでは引き続き、この並行世界をお楽しみください!』

 

 そう言うと鏡から光が消え失せ、女神がいなくなってしまう。

 そして、止まっていた時が動き始める。

 俺はずっと裸で女神と話していたので、すっかり湯冷めしていまい、くしゃみが出る。

 

「はっくしゅん!」

 

 その音に気がついたお姉ちゃんが脱衣所に入って来た。

 

「あんた、すっ裸で一体なにをやってたの? なんか鏡と話してなかった?」

「えっと……イメージトレーニング的なことをやってて」

「藍、悪いことを言わないから、早く病院で頭の中を検査してもらった方が良いよ」

「……」

 

  ※

 

 まさか転生しても、この世界でクソ女神に再会するとは思いもしなかったな……。

 でも、俺にもチート能力が備わっていたとは。

 美少女を保つ……ってことは、この肉体は老けにくいてことだよな?

 それはそれで、かわいそうな存在じゃないのか。

 

 自室にある大きなピンク色のドレッサーに映る自分の姿を見て、あることに気がつく。

 この前、鬼塚と遊園地でジェットコースターに乗った時、藍ちゃんの大きな胸が暴れまくってかなり痛かった。

 優子ちゃんが言っていたように、このダサいファーストブラを買い直すべきじゃないのかな?

 待てよ……下着なんかに金を払うより、お姉ちゃんから借りたらいいんじゃないのか。

 

 そう思った俺は自室から出て、隣りにある部屋の扉をノックしてみる。

 中かから「どうぞ~」と言われたので、さっそくお姉ちゃんに「ブラジャーを貸して!」と頼むと、眉間に皺を寄せて睨めつけてきた。

 

「あんたさぁ……私にケンカ売ってるの?」

「へ?」

「私と藍じゃ、サイズが違いすぎるって言ってんの」

「でも、ブラジャーも服とかと同じで、SMLのスリーサイズぐらいなんでしょ?」

「バッカじゃないの! あんた、それでも女? ハンバーガーじゃないんだから……。大体、あんたみたいなデカ乳が私のサイズに合うわけないでしょ!」

 

 そう言うとお姉ちゃんは、思いきり俺の左胸を握って揉みつぶす。

 

「いたた……お姉ちゃん! やめて、”クーパー靭帯(じんたい)”が切れちゃうって……」

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