殺したいほど憎いのに、好きになりそう   作:味噌村 幸太郎

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115 女の子の世界

 

 「お父さんには内緒にして欲しい」とお姉ちゃんに頼み、二人で1階の洗面所まで向かう。

 とりあえず浴室に入ると、その場で「下半身は全て脱げ」と言われた。

 下半身のみすっぽんぽんになったら、お姉ちゃんに「汚れた服はその場に置いておいて」と言われたので、浴室の床に置いておく。

 

 お姉ちゃんは「今から”サニタリーショーツ”とナプキンを持ってくるから、藍は身体を洗っておきな」と言って浴室の扉を閉める。

 シャワーで下半身を綺麗に洗うが、お股の血が止まらない。

 異常な状態だと思った俺は足音が戻って来たことを確認して、扉越しにお姉ちゃんへ質問してみる。

 

「あのさ、全然血が止まらないんだけど!?」

「はぁ? それが生理なんだから、仕方ないでしょ」

「え……これって止まらないの!?」

「あんたさ、マジで何も知らないんだね。処女っぽくて面倒くさいわ」

 

 なんだよ! 俺だって前世は童貞のまま死んだんだ!

 女の子の秘密なんて、知るわけないだろ……。

 美少女になることを望んだけど、毎月こんな状態になるなんて辛すぎる。

 俺の知らないところで女子って苦労してたんだなぁ。

 

  ※

 

 お風呂から上がって、バスタオルで頭を拭いているとお姉ちゃんが見慣れぬパンツを持って来た。

「これがサニタリーショーツね。んで、もうナプキンつけてあるから……」と言われて、そのまま新たなパンツを取り出し説明が始まる。

 洗濯機の上にパンツを置いて、新しいナプキンをつけるという流れを丁寧に教えてもらった。

 そこでようやく俺も一安心したせいか……目頭が熱くなってしまう。

 

「お姉ちゃ~ん! やっぱり、私お姉ちゃんがいて良かったよ~! ”ばく●んいわ”でもお姉ちゃんが好き~!」

 

 叫びながら、濡れた裸体でお姉ちゃんに抱きつく。

 するとお姉ちゃんは、普段甘えてこない妹を見て驚いていた。

 

「あ、藍? 一体なんなの? 初めてだから情緒不安定なんじゃない?」

 

 ~翌日の朝~

 

 今日からまた中学校が始まる。

 でも、生理二日目なんだよな……お腹と腰が痛むし、冷えるしダルすぎる。おかげで昨晩はほとんど眠れなかった。

 ナプキンもつけ慣れてないせいか、不快感が半端ない。

 細かめに交換しないと、また失敗するからイライラするわ。

 

 とにかく学校に行くため、1階のリビングに降りてきたけどお腹痛くて朝ごはんを食べる余裕がない。

 その姿を見てお母さんが驚いていた。

「藍のために、サンドイッチを6個も用意しておいたのに……」と。

 

 お姉ちゃんは知らん顔して、俺の隣りの席でPHSを触っていた。

 昨晩、俺と交わした約束を律儀に守っていてくれているようだ。

 女の子のことなんて知らないお父さんが新聞紙を読みながら、とある記事を読み上げていた。

 

「なに、そろそろ日本にも女性の首相を誕生させるべきだ? ふん、男にしかできない仕事だよ……」

 

 聞いていて、イラッとしてしまった。

 女がいないと子供も産めないくせに……と。

 

 

 結局、お腹が痛すぎて朝ごはんのサンドイッチは諦めることにした。

 でも学校から帰ってきて、痛みが和らいでいたら食べたいので「冷蔵庫に入れておいて」とお母さんに伝えておく。

 自宅の外に出ると、見慣れたセーラー服が目に入る。

 優子ちゃんだ。

 

「あ~いちゃん、おはよう!」

「あ……おはよう。優子ちゃん」

 

 どう考えても様子がおかしいので、察しの良い優子ちゃんは一発で俺の状態を言い当てる。

 

「藍ちゃん!? ひょっとして始まったの!?」

 

 この言い方からして、優子ちゃんの方が先輩だったのかな。

 

「う、うん……こんなにキツいものだとは思わなかったよ」

「そうだよねぇ~ 辛いよねぇ~ 男子には分からないもんねぇ」

「まあ、そうだね……」

 

 ここまでは優しい女友達の配慮だと感じていたのだが、優子ちゃんは違った。

 

「でも、良かった~ 藍ちゃんてさ、身体が大きい割に遅かったもん。私も昨日から始まったから、同じ二日目。お揃いでうれしい~!」

「へ……? なにが嬉しいの?」

「だって、大好きなお友達と同じ苦痛を共有していると思うと、すっごく嬉しいもん! あ、これからは二人の周期を合わせようね!」

「……」

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