殺したいほど憎いのに、好きになりそう   作:味噌村 幸太郎

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第十三章 ブラック校則
119 抜き打ち検査


 

 生まれて初めての生理が始まってから、3日が経とうとしていた。

 腰が痛いし、ナプキン交換のため、何度もトイレに入るからそれだけで疲れてしまう。

 中学校で授業を受けていても、また失敗しないか不安に駆られる。

 

 教室の右側に生徒全員の名前が貼られているのだが、その下に今日の時間割表も貼ってある。

 見れば、このあとの3時間目と4時間目は体育と書いてある。

 俺は現在、生理中なので体育は見学できる。真冬のグラウンドなので腰が冷えるけど、何もしないから休んでいられるぞ。

 

  ※

 

 3時間目になり、周りの生徒たちは制服を抜き始めて体操服姿になる。

 俺と優子ちゃんはあの日だから、セーラー服のまま教室を出ようとした瞬間、教室のスピーカーから男性の野太い声が聞こえてきた。

 

『あー あー、一年生の6組から8組は3クラス合同で抜き打ち検査を行う。男子は武道館、女子は保健室に来るように』

 

 それを聞いたクラスの男子と女子がいきなり叫び声を上げる。

 

「ヤベッ! 俺、先輩からもらった学ラン着てきたんだけど」

 

 そう言うと、学生服の裏地をクラスメイトに見せつける少年。

 確かに裏地が表かってぐらい派手な刺繍が入っている。勇ましい虎が大きく描かれていた……ダサッ!

 

「私、色付きの下着を着て来ちゃった~! どうしよう? ねぇ、今から交換しない?」

 

 女子は女子で色々と大変なんだな。下着の色まで確認されるとは……って、今の俺じゃん!

 ヤッベー! パンツはサニタリーショーツだけど。ブラジャーはこの前お母さんに買ってもらった黄色の可愛いやつだった……。

 

 

 急きょ、抜き打ち検査が始まると知って、俺と優子ちゃんもセーラー服を脱いで体操服とブルマ姿になる。

 こんな真冬の中、女の子に渡り廊下を歩かせるとは、なんて酷い学校なんだ。

 それに今はあの日だからお腹も冷えている。優子ちゃんと身体をくっつかせて保健室の外。廊下で順番が呼ばれるのを待つ。

 

「はぁ~ 藍ちゃんの香りがする~」

「……」

 

 今は優子ちゃんの変態発言も許すとしよう。

 彼女は人間ホッカイロとして、俺には必要な存在だ。

 しばらくブルマ姿で廊下に立っていると、「次は7組の番だ」と保健室の中から呼ばれた。

 

 みんなして保健室の中にぞろぞろ入って行くと、部屋の中には三人の教師が立っていた。

 険しい顔で女子生徒を睨んでいる。手にはなぜか茶色の道具箱があった。

 

「じゃあ今から抜き打ち検査を始める。3列になりなさい! 順番に先生がチェックに入る」

 

 ふと気になったので、俺の並んでいる列の先頭を見ると担当の教師はなぜか男性だ。

 この学校の生徒はみんな先生が厳しいのを知っているので、普段は先生に反抗しないが。さすがに男性教師にチェックしてもらうのは嫌らしい。

 激しいブーイングが起きている。

 

「男の先生に見られたくありませぇ~ん!」

「抜き打ちだからって、先生は変態じゃないですか?」

 

 さすが女子だな。こういう時は団結力がある。

 しかし、担当に当てられた男性教師も負けずと女子生徒たちへ一喝する。

 

「うるさい! 本来ならお前たちの担任教師がする予定だったのに、風邪で休んだから俺が担当することになったんだ! それに俺はお前ら、子供の身体なんて興味ないぞ!」

 

 そう言えば、今日は担任のねーちゃん先生がいなかったな。風邪だったのか。

 

 ~10分後~

 

 抜き打ち検査が始まってしばらく経ったが、特に引っかかる女子生徒はいなかった。

 みんな校則を守って登校しているようだ。

 

 俺が並んでいる列の担当になった先生は、若いけどもう結婚しているらしい。

 だから、小便臭い13歳の子供を性的な目で見ることはない……と後ろに立っている優子ちゃんから聞いた。

 でも、藍ちゃんという肉体は成人女性より、女性らしい体つきだからな。

 

「はい。次、水巻だったか? 早く見せてみろ」

 

 目の前に立つ男性教師を見て、その姿にビックリして瞼をこする。

 小さい、小さすぎるこの人。本当に成人男性なのか? 藍ちゃんが高身長だということもあるが、それにしても背が低い。

 鬼塚より背が低いと思う。あと、めっちゃ短足なんだよな……。

 ボーっと教師の顔を見つめていると、”短足先生”が怒り始める。

 

「俺の顔に何かついているか!? 早く体操服を脱いで下着を見せろ!」

「えっと……あの、その前に聞いてもいいですか?」

「なんだ?」

「部活の顧問とかやってます?」

「あ? まあ俺は陸上部を任せられているけど。なんだ? お前も入りたいのか?」

「いえ……」

 

 短足でも、関係ないんだな。

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