殺したいほど憎いのに、好きになりそう   作:味噌村 幸太郎

145 / 145
145 空腹には勝てない

 

 体育祭、当日。

 俺は上下ジャージ姿で、優子ちゃんと登校する。

 全身、紫色でクッソ、ダサいデザインだ。何かイベントがある時は、これで参加しないといけない。

 かと言って、発育の良い藍ちゃんが、体操服にブルマ姿で歩くのも浮いて見える。

 

「はぁ……やっぱり納得できないな。あんな形になるなんて」

 

 と深いため息をつく優子ちゃんを見て、体育祭のことだと思った。

 

「今日のジャージ登校のこと?」

「違うよ、”るろうな謙信”のアニメ版の声優だよ! 絶対にドラマCD版の声優さんの方が似合ってた! テレビ版の方じゃ、興奮できないもん!」

「ああ……そっちね」

 

 優子ちゃんは相変わらず、創作と現実の世界がごっちゃになっているようだ。

 俺はと言えば、あれ以来、鬼塚とは口をきいていない。

 あいつ自身も何か隠したいようで、俺と学校で目が合っても、逸らしてすぐに逃げる。

 そんな鬼塚を見ると、俺もなんだかムカついてしまい、素直になれずにいた。

 

 気がついたら、体育祭当日。

 ぜんそく持ちの俺は、応援係として競技にはほとんど参加しなくて良いが、校長や地元の政治家たちと、同じパイプテントの中で座るのが気まずい。

 

「あぁ~ 君は確かこの前、福岡市長とテレビに映っていたねぇ……」

「え? 市長……」

 

 なんか、知らないジジイに話しかけられた。

 校長先生から「有名な政治家の人だよ」と言われ、俺は「はぁ……」と興味が湧かない。

 

「地元の男子小学生を助けたんだって? 女の子なのにすごいねぇ……君には、強い勇気を感じるよ」

 

 そう言って、藍ちゃんの頭を撫で続けるジジイ。

 これはセクハラとして、カウントしていいのかな?

 

 ~数時間後~

 

 俺が入っている黄色組だが、現在最下位の位置にいる。

 練習中、三年生の団長が毎日「絶対に勝とう! 俺たちは今年が最後なんだっ!」と泣いていた。

 たかが体育祭ぐらいで、よくあそこまで本気になれるよな……内申書に響くのかな?

 

 仕方ないのでリレーの時に、俺が黄色のポンポンを持って、その場で盛大にジャンプしてやる。

 すると赤組と青組の男子だけ何人か転んでしまう。

 しかし、この手は男子のみ効果があるだけで、女子の場合無視されて終わりだ。

 藍ちゃんの身体を使った工作によって、少しは黄色組の点数が増えたが、依然として最下位のまま。

 

 昼休憩になり、俺はお父さんとお母さんを探しにグラウンドを探すが一向に見つからない。

 グラウンドには夜間練習のため、電柱が何本か突き刺さっているのだが、そこに一匹のモンスターが立っていた。

 厚底ブーツにルーズソックス、ミニスカートとヘソだしのチビTシャツを着た金髪のギャル。

 そこに真島中学校の卒業生らしき、若い青年たちが群がっていた。

 

「お姉さん、PHS持ってる? 番号を交換しようよ」

「俺は携帯電話を持ってるぜ! なあ良いじゃん」

 

 しかし、そのモンスターは誰も相手にせず、自身の手にある携帯電話を触り続ける。

 

「帰りな。がきんちょ共。お姉さんは忙しいの……って、藍じゃん! こっちだよ~!」

 

 お姉ちゃんに振られた卒業生たちが、俺を睨みつける。

 

「クソっ、妹さえ邪魔しなければ、いけたかもしれないのに……」

「お姉さんの方が全然エロいな。妹は可愛くないよ」

 

 はぁっ!? あいつら、目が腐ってんじゃねーの?

 俺の方が……藍ちゃんの方がナイスバディだし! 顔も百点満点だっての!

 こんな”ばく●んいわ”のどこが良いのだろうか?

 お姉ちゃんの顔をじーっと見つめていると、お姉ちゃんに怒られた。

 

「ちょっと、なんで私をそんなに睨んでんのよ? お母さんが風邪を引いたから、弁当が無いのは私のせいじゃないでしょ?」

「はぁあ!? お弁当が無いの?」

「うるさいな。お母さんからお小遣いを預かって来たから、コンビニとかで買えばいいじゃん」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

TSして魔法少女になったら頭が可笑しい奴しかいないんだが(作者:つる植物)(オリジナル現代/戦記)

 TS転生した先は魔法少女が異形の魔物と戦う世界だった。▼ 孤児だった俺に魔法少女の適正があったので魔法少女になった。▼ しかもなんか魔物を適当に斬っていたらSクラスの1位になっちゃった。▼ 同期の2位は俺を殺しに掛かってくるし、他のSランク頭の可笑しい奴らばかり。▼ 一般人の俺は今日も魔物をたたっ斬るのであった。▼ 


総合評価:5120/評価:8.36/連載:20話/更新日時:2026年07月14日(火) 15:00 小説情報

学園でエセ勇者と揶揄されるオレ、うすほそ貧弱ボディ過ぎて喋らなかったら周りが勘違いを重ねて過保護になっていくんだけど(作者:IXAハーメルン)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

魔王が滅びて数百年、世界はめまぐるしい発展を遂げた。▼かつて対魔族の戦闘員を養成する魔術学院は、今や貴族などの箔付のために使われる場所と化している。▼そんな王立魔術学院にて勇者の血を引くオレ、セラフィリア・スタンレイは――絶賛いじめられていた!▼貧弱すぎる体、ガガンボ以下の体力、パスタのほうがまだ太い筋肉、勇者の血を引いているとは思えないほどあまりに雑魚すぎ…


総合評価:7728/評価:8.47/連載:72話/更新日時:2026年09月15日(火) 01:22 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>