殺したいほど憎いのに、好きになりそう   作:味噌村 幸太郎

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151 ルール破り

 

 夕ご飯を食べ終わって、林間学校の一日目は終わる。

 とその前に、キャンプ場にある露天風呂へ、班ごと順番に入るそうだ。

 俺たちの班も呼ばれたので、優子ちゃんと入浴グッズを持って女風呂に向かう。

 

「あぁ~ 疲れたぁ~ これで一日目なんだよ?」

 と優子ちゃんがぼやくので、俺は苦笑いする。

 

「そうだけど、ジンギスカンもカレーも美味しかったじゃん」

「え~!? ラム肉は臭かったし、カレーは作るのに手間がかかって、食べるころにはそんな余裕なかったよ……」

 

 俺の場合、ほとんど鬼塚がやってくれたからな。

 優子ちゃんと俺の間には、かなり温度差があるようだ。

 更衣室に入っても、いつもの優子ちゃんなら藍ちゃんの裸体に食いついてくるのに、ため息ばかり。

 

「はぁ……早く福岡に帰りたい」

 

 さすがの俺も今日は優子ちゃんに同情してしまうな。

 

  ※

 

 露天風呂と言っても、狭い風呂だ。女の子五人が入れば、もう床が見えない。

 10代女子の生足が拝めて嬉しい……と前世ならば、思えたのだが。

 正直、毎日藍ちゃんの裸体を見ている俺からしたら、特に何も感じない。

 

 目の前に見える九重山を眺めながら、身体の疲れを天然温泉で癒す。

 

「ふぃ~ 極楽だなぁ」

「藍ちゃん、明日はそうも言ってられないよ?」

「え? どうして?」

「明日は今見ている九重山を登って、ここまで戻ってくるんだよ。徒歩で」

「えぇ!? あの大きな山に登るの?」

「やっぱり予定表を見てなかったんでしょ……明日は朝から地獄だよ」

「……」

 

 この真島中学校は、俺たち生徒に何を求めているんだ?

 屈強な肉体を持つレンジャーにでも、育てあげたいのだろうか。

 そういうのは、卒業生の”もりもりにんに君”に頼む。

 

 ~夜になって~

 

 お風呂が終わったら、あとはテントの中で寝るだけ。

 各自、寝袋を持って来ているので、その中にジャージ姿で入って目をつぶる。

 するとキャンプ場のスピーカーから男子教師の野太い声が聞こえて来た。

 

『あー あー、先ほど抜き打ちで検査をしていたら、ある生徒がお菓子を持って来ていた』

 

 その話を聞いて、俺はギクッとして寝袋から起き上がる。

 ヤバい! 俺も夜中にお腹が空いたら良くないから、”いろいろ”と用意してきたんだ。

 

『先生たちが各テントに行く前に、心当たりがある生徒は広場に持ってくること!』

 

 テントの中は軽いパニック状態に陥った。

 先ほどまで静かで眠りにつこうとしていたのに……。

 

「どうしよう? 私、のど飴好きだから持って来ちゃった」

 

 それを聞いて、俺がすかさず突っ込む。

 

「え? のど飴なら良くない? かぜ薬みたいなものだから……」

「そうなのかな?」

「大丈夫でしょ」

 

 しかし、俺たちのテントに現れたのは、スナック感覚で体罰を行うコル●ス先生だった。

 先生の顔を見た女子生徒は恐怖のあまり、のど飴を差し出した。

 

「ほう、自ら出して来たのは偉いぞ。じゃあ、歯を食いしばれ」

 

 偉いぞと褒めてくれたのに、結局、頬を引っ叩かれていた……。

 コル●ス先生は「一度見つかったのなら、まだ出てくる可能性がある」と全員のバッグを出すように指示してきた。

 まずい! 俺のボストンバッグの中には様々なお菓子、夜食、その他ひみつ道具が入っているんだ。

 見つかって鼓膜を破られるのも、絶対に嫌だ!

 ここは嘘をついて、逃れることにしよう。

 

「あの、先生。ちょっといいですか?」

「ん? どうした水巻?」

「さっきトイレに行った時なんですけど……私、見ちゃったんです」

「何を見たんだ?」

「クラスは知らないですけど、茂みに隠れて男女が抱きついて、キスしてました」

「なんだとぉ!? それは我が校の生徒たちか?」

「はい。クッソ、ダサい紫色のジャージでしたから。あと、女子生徒の方は女子バスケ部の子だったと思います」

 

 俺の作り話を真に受けて、肩を震わせるコル●ス先生。

 

「女子バスケ部のメンバーが男子生徒とイチャついていただと!? ”中体連(ちゅうたいれん)”が控えているのに……」

「すっごく熱々なカップルでしたよ」

「よし、水巻! その生徒たちはどの辺にいた?」

「あ、たぶんですけど、トイレの近く……いや、ひょっとしたら川の近くかもです」

「そうか、よく教えてくれた! 水巻」

「ふぅ……」

 

 こうして、俺たちの抜き打ち検査は逃れることができた。

 コル●ス先生は一晩中、カップルを探していたらしい。

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