殺したいほど憎いのに、好きになりそう   作:味噌村 幸太郎

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4 パラレルワールド

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ……あんたは神様なんだろ? あんな死に方をしたから転生させて、人生のやり直しをさせてくれるんじゃないのか?」

「はい。本来ならば、水巻さんのいうような異世界へ転生させ、チート能力を与えられるのですが……このご時世ですので」

「はぁ~!?」

 

 目の前に現れた、女神様から話を詳しく聞くと。

 近年の異世界ブームにより、謎の事故死が急増したため、異世界へ転生させまくったら……。

 異世界は転生者で溢れかえっており、これ以上転生すると。あちらの世界が崩壊してしまう恐れがあるそうだ。

 

 申し訳なさそうな顔で俺を見つめる女神様。

 

「で、でも水巻さんには、是非とも人生のやり直しをして欲しいと思っております」

 

 その言葉に俺は安心する。

 

「じゃあ、何か代案があるんだな?」

「はい。あなたは死ぬ間際、この世で最も憎いはずの男。鬼塚 良平の息子を救ってくださいました……なんという清き心」

 

 と涙ぐむ女神。

 

 いや……あれは鬼塚の息子と知ってたら、助けてないけどな。

 

「ですから、あなたにはパラレルワールドの世界で生きなおして欲しいのです」

「ぱ、パラレルワールド?」

 

 聞きなれぬ言葉に思わず、動揺してしまう。

 一体、どんな世界なんだ?

 

「いわゆる平行世界。水巻さんが生きていた現実世界に限りなく近い、もう一つの地球です」

「はぁ……」

「自由な異世界とは違い、現実世界とほぼ同じ世界ですので。チートなどの能力は与えられませんが」

「え? なにもくれないの!?」

「いえ、その代わりと言ってはなんですが。美人の女性に転生させてあげます」

「……」

 

 つまり女体化するってこと?

 ま、まあ美人なら人生はイージーモードかもな。

 

「あ、でも水巻さんって今。おいくつですか?」

「え? 今年で37歳だけど……」

 

 俺がそう答えると、苦い顔をする女神。

 

「うわっ……せっかく美人に転生しても37歳じゃ、もうオバサンですね」

 

 いちいちムカつく、女神さまだな。こいつ。

 じゃあ自分は何歳なんだよ?

 

「じゃあ、どうすんだよ?」

「こうしましょう。特典として、時を巻き戻してあげます」

「え? 一体どういう意味……」

 

 そう言いかけた瞬間、女神が指を鳴らして見せる。

 すると、目の前が真っ暗になり、何も見えなくなってしまった。

 

  ※

 

「きなさい……”(あい)”。早く起きなさい! あなた今日も休む気? そろそろ学校へ行かないと」

「んん? あい? 誰、それ?」

「寝ぼけてないで早く顔を洗って、一階に降りて来なさい!」

 

 そう言って、俺の肩に優しく触れるのは……。

 女の格好をした。と、父さん!?

 

「いいわね! お友達の”優子(ゆうこ)ちゃん”も迎えに来てくれているんだから!」

「え? 優子?」

「まだ寝ぼけているの! ちゃんとしなさい。もうお母さんは一階に降りて、朝ごはんの用意をしておくからね」

「はぁ……」

 

 話し方がめっちゃオネェぽいな、父さん。

 ん? この世界ってまさか……ウソだよな。

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